大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年12月22日(金)11:19 ~11:39 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私からはまず、本日の閣議で、平成29年度補正予算及び30年度当初予算が閣議決定されましたので、御報告いたします。これらの予算をいかして、環境問題と社会経済上の諸課題を同時に解決し、持続可能な社会を実現するための環境政策、また原子力防災を着実に推進し、原子力規制委員会をしっかりとサポートしてまいります。
 次に、北朝鮮籍とみられる漂着木造船等の処理にかかる財政支援の拡充について、御報告いたします。近年、北朝鮮籍とみられる漂着木造船等が、日本海側を中心に多数発生しておりまして、中には乗組員が乗船したまま漂着するケースもございまして、漂着現場周辺の住民の皆様に非常に大きな不安を与えているところでございます。また、地元の道県からも、漂着木造船の円滑な処理のため、財政支援の拡充の御要望をいただいております。こうした状況を踏まえ、地方自治体が財政的不安を伴うことなく廃木造船等を迅速かつ円滑に処理できるよう、「海岸漂着物等地域対策推進事業」による補助制度を拡充いたします。具体的には、廃木造船等を処理する場合、現行の補助率7/10から9/10を、8.5/10から9.5/10に引き上げるとともに、残りの地方負担分に対する特別交付税措置を8割から10割に拡充することによりまして、地方自治体の財政負担が生じないようにいたします。環境省としては、本補助制度を活用いただくことにより、地方自治体による漂着木造船等の処理が迅速かつ円滑に進むよう、しっかり支援してまいります。詳細は、御手元の資料を御覧いただければと思います。
 そしてもう1点でございますが、閣議前に開催されました「観光立国推進閣僚会議」において、「国際観光旅客税(仮称)の使途に関する基本方針」が決定されました。同方針において、平成30年度に新たに創設される「国際観光旅客税(仮称)」の財源の一部が、環境省による国立公園の多言語解説の整備に充当されることとなりました。観光庁等と連携し、負担者に納得いただける効果の高い施策を行ってまいります。

2.質疑応答

(問)時事通信の市原です。2点ありまして、閣議決定した予算についてですけども、一般会計で見るとほぼ横ばいで、復興特会が大幅に減少しているということですけども、大臣として強調したい点、または重点的に今後取り組みたい点があれば教えていただきたいというのが1点と、発表のあった北朝鮮籍とみられる漂着木造船の処理についてなのですけども、印象としては、漂着船が多くなっているという印象はあるのですけども、実態として、実績をどういうふうに把握してらっしゃるのかということと、これの財源はどこから措置するのかということを教えていただけますでしょうか。
(答)まず、30年度の環境省当初予算につきましては、おおむね環境省として要求をしていた予算額が認められ、必要な額は確保できたというように考えております。重点的に政策展開を図ってまいりたい課題でございますけれども、一つ目には、気候変動対策につきまして、パリ協定の下、2030年目標の着実な達成や世界全体での削減に向けて、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHですね。ZEH化等による住宅における低炭素化の促進。これは85億円認められましたが、そういったことに取り組むほか、適応策の充実・強化を進めてまいりたいと考えております。二つ目に、環境再生・資源循環局の立ち上げも踏まえまして、福島の環境再生・創生を進めるとともに、国内外での徹底した資源循環を進めてまいります。三つ目に、「国立公園満喫プロジェクト」の推進。117億円を確保したところでございますが、そういった問題や、ヒアリ等の外来種防除等を進め、地域活性化と生物多様性の確保に取り組んでまいります。四つ目に、安全で豊かな環境基盤の整備のため、海洋ごみ対策や化学物質対策を進めます。また、原子力防災の当初予算案では、自治体が行う原子力防災対策の充実・強化を引き続きしっかりと支援していくとともに、訓練・研修による人材育成、それから原子力災害時の避難の円滑化対策等を進めまてまいりたいと思います。原子力規制委員会につきましては、安全研究の推進、原子力災害対策やモニタリング体制の強化、人材の確保・育成の強化など、原子力・放射線利用の更なる安全確保のための予算を確保することができたというように考えております。
 北朝鮮の木造船の漂着の船の数については事務方より御説明させていただきます。
(事務方)朝鮮半島からのものと思われる漂流、漂着木造船等の確認状況は海上保安庁より発表されてございます。平成25年から今まで見ますと、28年までの間には、一番少ない年で45件、平成25年が一番多くて80件なのですけども、今年は12月15日現在で89件ということで、過去5年でも最も多くなってございます。
(答)財源というのは、この補正予算でもしっかり確保させていただきまして、この全体の中で海岸漂着物等の廃棄物の処理の推進、海岸漂着物等地域対策推進事業の予算の中で処理できる、そういう金額だというふうに考えております。

(問)日経新聞の草塩です。ちょっとテクニカルな話も含むので、事務方の方かもしれないのですが、まず北朝鮮の漂着の船の事業に対する拡充なのですけれども、よく読むと朝鮮半島からのものと考えられると、海保さんが確認したものと書いてあるので、言ってみれば北朝鮮に限らず、例えば韓国から来ている可能性がある船でもこういうふうに手厚く支援されるのですかというのが一つでして、もう一つは財源のお話で、この配布資料にあります対策推進事業から手当てされるというお話だったのですけれども、例えば、今年は89件ということなのですが、89件処理するとなると、国費から出る費用は大体どのくらいの規模になるのかというのを2点伺えればと思います。
(答)まず、今回の補助率のかさ上げは、これから補助金を交付するものについてということでございまして、過去に遡ることは、現行の法令上難しいというふうに解釈しておりまして、これからの分について引き上げをすると。これから処理していただく分について引き上げをするということでございます。

(問)NHKの松田です。北朝鮮のものとみられる木造船の件なのですけれども、補正予算で賄うことができるというようなことだと思うのですけれども。この29年度の補正予算ということだと思うのですが、これはこの拡充が決まる前にもう出されている補正予算だと思うのですが、この範囲内でカバーすることができるということなのでしょうか。それとも、30年度の補正予算で更に要求していくというようなことなのでしょうか。
(答)29年度の補正予算で頂いた金額の中で補助率をかさ上げしても、処理できるというふうに考えております。そして、30年度の分につきましても、全体の金額を頂いてますので、その中で処理していくことができると。その範囲の金額だというふうに思っております。
(問)新たに30年度の補正予算で、更に予算を求めていくというようなことではないということですか。
(答)30年度の補正予算というのは、全く今そういう話はないわけですから。当初予算で頂いた金額の中で処理をしていくということになります。
(問)あと1点。当初予算の関係で、ZEHのお話は大臣もお話をされていたかと思うのですけれども、これは元々経産省の事業だったものを環境省の方に移してきているというようなものだと思うのですが、それをやはり一つ環境省として進めることに意味があるということをおっしゃられているのですけれども、経産省ではなく環境省がやることの意義というのはどこにあるのでしょうか。
(答)これは、もちろんZEH自体を進めていくということは、この脱炭素化、そしてまた国民運動の大きな柱になるというように考えております。それで、経済産業省と環境省と国土交通省でそれぞれ役割分担をしていこうということになりまして、環境省の方は注文住宅と、それから低層の集合住宅については、環境省の方でこうした補助金をお出しすると。そして、経済産業省の方は建て売りとそれから高層と、こういうふうにしております。国土交通省の方も、それ以外の部分について補助金を出していくということで、3省がそれぞれ役割分担をしながらこのZEHの普及に努めていくと、こういうことになっております。
(問)更にZEHの推進が進むとか、そういったようなことなのでしょうか。
(答)今まで補助金の出ていない分野も含めて3省で役割分担をしましたので、これによって今回の予算、そして3省の役割分担によってZEHが更に進んでいくというふうに考えております。

(問)読売新聞の中根と申します。象牙の件で伺いたいのですけれども、今週、NGOのトラフィックというところが、日本の象牙の国内市場と違法取引の実態に関する調査結果というのをまとめて発表しまして、そこの中で、日本国内の古物市場ですとか観光エリアの調査で、一部、明らかに外国に帰る中国人などに、日本のお店が販売してしまっていて、その結果、中国に持って帰って取り締まられる、押収されるというケースが見つかっているということですとか、あるいは、こういったことがどんどん続くと、いずれは違法輸出の温床につながりかねないのではないかという指摘があったのですけれども、この件について大臣の所感を教えていただけますか。
(答)トラフィックが日本の国内象牙市場について調査を実施されて、「日本の国内象牙市場が違法輸出の温床となっており、ワシントン条約で閉鎖が勧告される市場に該当する」と指摘をし、政府に対して緊急に対応を求める旨の報告書を公表したということは承知しております。それで、現在の日本の象牙の市場につきましてですが、これは既に流通管理の強化を図っておりまして、必要な国内措置は採っているという状況でございまして、現在のところ違法輸出の温床となっているというような認識はないわけでございます。現実に、そういった中国の方が日本に来て象牙を購入してそれを持ち帰るということは、しっかりと管理をされている中でそういう事案が把握されているということは事実でございますが、この状況についてしっかりと注視をして、さらにこの象牙取扱事業者の管理強化ということが必要であれば、また更なる措置を採っていきたいと思いますし、いずれにしても、適切に国内市場を管理するという方針でこれからもやっていきたいというように思っております。