大臣談話・大臣記者会見要旨

中川大臣記者会見録(平成29年12月15日(金)10:49~11:08  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私から、本日、第193回通常国会で可決・成立した「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律」に関係する政令二つを閣議決定いたしました。一つは、同法の規定の一部について施行期日を定めるもの、もう一つは、廃止措置実施方針に係る制度の適用範囲を定める等の所要の規定の整備を行うものであります。詳しくは、御手元の紙を御覧いただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)時事通信の市原と申します。今週、パリで気候変動サミットが開かれて、パリ協定を推進することの重要性を確認して閉幕しました。この結果についての受け止めと、アメリカについては、参加したとはいえ、非常に関与の度合いが薄かったわけですけども、今後、アメリカに対してパリ協定への関与を深めさせるための取組について、改めてお伺いできますでしょうか。
(答)パリ協定採択2周年の節目に、12日にパリで「ワン・プラネット・サミット」、気候変動サミットが開かれました。国際社会が一致してパリ協定の着実な実施に対する決意を表明したということは、とても有意義であったと評価をしています。本会合では、特に気候資金をどのように動員していくかに焦点が当てられましたが、日本としても、金融市場の活用だけでなく、企業との連携や技術力も活用して、気候資金のスケールアップを図る積極的な姿勢を示したところでございます。また、サミットに合わせて開催されました関連会合においては、とかしき副大臣から、日本が持つ優れた技術等により世界の気候変動対策に貢献していく旨を発信し、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」による貢献の実績などについて、高い評価を受けたところでございます。アメリカは、在フランス大使館から出席をされました。気候変動問題は、言うまでもなく世界全体で取り組むべき課題でありまして、全ての国が大きな関心を持って取組を進めていくことが重要であります。我が国のこうした考えについては、気候変動サミットや各国とのバイ会談においてもお伝えしております。特に、とかしき副大臣がブレント・ハルト在仏米国臨時代理大使とバイ会談を行いまして、日米両国が技術開発やイノベーションを含め、気候変動対策を実施していくことの重要性を確認したというように報告を受けております。今後とも、様々な機会を捉えて、米国との対話を行っていく必要があると考えております。

(問)共同通信の深谷です。パリの気候変動サミットに関連して、大手の保険会社のアクサは、化石燃料への投資をやめると表明したり、各いろいろな機関が化石燃料からの関与を撤退するということを表明している中、環境NGOが発表したリポートの中で、日本の企業が、東南アジアで、直接、石炭火力発電所の建設に関与している企業ですとか、間接的に、銀行ですとか機関投資家が、そういった石炭火力発電所の建設に関与している企業にお金を融資しているというような、日本の多くの大きな銀行がそういったことに関与しているというリポートが発表されまして、国際的に日本がまだ化石燃料に深く関わっているということで批判されていまして。一方で、東南アジア、インドネシアなどの地元では、石炭火力発電所建設による環境破壊の懸念から反対運動ですとか訴訟が起きています。このような現状について、改めて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)石炭火力発電というのは、最新鋭技術でもCO2排出係数が天然ガス火力の約2倍ということであります。世界が石炭火力発電を抑制する流れにあるということは、疑いがないことでありまして、私としては、厳しい姿勢で臨むべきだと考えております。途上国においては、再生可能エネルギーなど、温室効果ガスの排出量の少ない電源の導入を進めることがまず重要であると考えておりまして、その支援を積極的に進めているところでございます。エネルギー供給の確保の観点から、当面、石炭火力を選択せざるを得ない場合には、他より高効率な我が国の石炭火力発電設備を導入した方が地球温暖化対策に資する場合もあり得るという考え方もありますけれども、環境省としては、石炭火力の輸出を積極的に進めるということは考えておりません。

(問)読売新聞の中根と申します。日本海沿岸に漂着している木造船の解体処分費用の補助について伺いたいのですけれども、先日、菅官房長官が記者会見で、財政が厳しい自治体から、費用を国費で全額負担してほしいとの声が出ていることに対して、基本的に答えていきたい、という発言をされたのですけれども、現在のところは環境省では補助事業をされていたりとか、あるいは特別交付税の措置で、自治体の負担分というのは実質2%~6%になっているということなのですけれども、環境省ではこれを更に、補助分を上乗せするとか、財政が厳しい自治体への補助をするとか、そういった方向性というのは議論されているのでしょうか。
(答)今おっしゃったように、海岸漂着物等地域対策推進事業に対する補助金というのは、これは離島、過疎地等地域の状況に応じて、補助率が7/10から9/10でございます。さらに、残りの地方負担分の8割について特別交付税措置がございまして、実質的な自治体の負担は数%程度、2%~6%、というようになっております。一隻の処理費用が100万円だと仮定しますと、2万円~6万円というような数字になるわけでございます。それで、自治体が、廃木造船の処理の費用に対する補助金は事前に海岸漂着物等地域対策推進事業に対する補助金という形で交付しておりまして、足りなくなっているというような所につきましては、環境省の方でプールしている補助金を追加で配布をするということを既にしておりますけれども、さらに自治体の御意向を聞いて対応していかなければならないというように思っておりまして、補正予算におきましても、この金額はしっかり確保をしたいというように考えております。まずは、その自治体がどういうふうに困っておられるのか、また自治体の御要望、御意向というものがどこにあるのかということを、まずしっかりとお聞きをしていくということをまずやりたいと。こういうふうに思っております。

(問)毎日新聞の五十嵐です。先ほどの石炭火力の件で、補足でお尋ねしますが、当面、石炭を選択せざるを得ないのであれば高効率の石炭火力という考え方もあるが、環境省としては輸出を積極的に進めることは考えておりません、という先ほどの御答弁でしたけれども、これは具体的にいうと、例えば経済界だったり、具体的に言っていいかどうか分かりませんが、経済産業省の方が、基本的には石炭火力の輸出という方向性を打ち出していると思うのですけれども、それに対して環境省としては異を唱えるということなのでしょうか。
(答)経済産業省が積極的に輸出をしようとしているというふうには考えておりません。ケース・バイ・ケースで、エネルギー安全保障、あるいは途上国の国民の方の中には、エネルギーに全くアクセスできない方もおられる。そういうところに、当該途上国が非常に安いコストで、とにかく発電所をつくって、エネルギーにアクセスできる方を増やしていこうと、途上国がそういう意味で石炭火力発電所を建設しようとしているときに、我が国が、その場合に、途上国が建設するより高効率の石炭火力発電所をつくることに協力をするということであれば、その限りにおいて、CO2の排出量は減ると。こういう考え方は否定はできないと思うんですね。ですから、政府全体として総合判断をして、そういうことを認めるということは、これは政府全体としての判断ということであれば、それは環境省も従わざるを得ないと思いますが、環境省の方からそういったことを推進したいというようなことは全くございません。あくまで環境省としては、石炭火力に対する世の中の厳しい潮流というものを十分に理解して、そうした輸出というものに対しては、環境省としては否定的に考えていきたいというように考えております。

(問)共同通信の藤井です。原子力防災の関連でお伺いします。伊方原発の運転差し止めを命令する13日の広島高裁決定で、原発から100キロ離れた広島市の方にも原発事故の被害が及ぶ危険があると認められました。火山噴火を考慮した避難ルートの再検討ですとか、30キロ圏より外の自治体の避難計画の策定の在り方に影響が出るのではないかという指摘もあります。この緊急時対応の見直しについて、大臣としてどのようにお考えかお伺いします。
(答)まず、判決については、コメントすることは差し控えます。いずれにいたしましても、原子力防災担当大臣としては、関係自治体等と一層緊密に連携し、原子力防災体制の充実・強化に継続的に取り組んでまいりたいと考えております。
(事務方)今般の高裁の判決におきましても、裁判所の判断として、現在、30キロまでの避難計画を立てるということにしている原子力災害対策指針の考え方、それについては合理的であるということで判断はなされておりますので、そういった点は補足させていただきます。

(問)共同通信の藤原です。話題は替わりますけれども、今日第四次安倍内閣の資産公開が行われる予定です。大臣について公開された御自分、そして御家族の資産に対する感想と、資産公開制度に対する関する感想評価、そして大臣規範についてお考えがあればお話しください。
(答)今回公開いたしました資産は、前回公表いたしましたときから変更点はございません。私も家内も、公開いたしました資産は、基本的に相続財産ということでございまして、そういう意味では、親の遺志に応えて、しっかりと国家・国民のために職責を果たしていきたいというふうに考えております。資産公開制度の在り方、あるいは意義についてということでございますが、資産公開という制度は、公職にある者としての透明性を保持し、政治への国民の信頼を確保するという観点から必要なことと考えております。大臣規範についてでございますけれども、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するために必要なものであるというように考えております。