大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年3月21日(火)9:26~9:34 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から1件御報告いたします。電気事業分野の地球温暖化対策に関する進捗状況の評価について、お手元の方に資料が行っているかと思いますけれども、本年度の評価結果を取りまとめましたので、本日、公表します。この評価は、昨年2月の環境・経産両大臣合意に基づき、毎年度行うこととしているもので、今回は初めての評価となります。評価結果では、先日の蘇我石炭火力発電所の新設計画に対する環境大臣意見と同様、石炭火力発電は環境保全面から極めて高い事業リスクを伴うとの認識の下、現時点において既に2030年度の石炭火力発電からの発電量やCO2排出量を上回る状況にある中、石炭火力発電所の新増設計画が多数存在し、仮にこれらの計画が全て実行され、稼働すると、2030年度目標の達成が危うくなること、電力業界の自主的枠組みである「電気事業低炭素社会協議会」の取組について、PDCAの具体的な実施方法等が今後の検討課題とされていること、今後、国全体で2030年度の削減目標の達成に向けた道筋を明確化する必要があること、などを指摘しています。電気事業分野においては、今後、今回の評価結果に基づき、地球温暖化対策に係る国内外の状況を踏まえた更なる取組が進められることを期待します。

2.質疑応答

(問)時事通信の今泉です。東電の福島第1原発事故を巡って、前橋地裁が先週、国の賠償責任を認めた判決を言い渡しました。原子力規制庁や原子力防災を担当する大臣の所感をお聞かせください。
(答)規制機関の審査に関する事柄でございまして、判決についてはコメントを差し控えさせていただければと思います。
(問)次の質問ですが、先ほど御発言いただいた電気事業分野における温暖化対策の進捗のこととも関係するのですけれども、先般、小規模石炭火力の自主アセスについて環境省としてのガイドラインを発表されました。これから運用されていくものと思いますが、あくまで事業者の自主的な取組ですから、それがうまくいかなかった場合に法規制など、さらなる手段を取るお考えはありますでしょうか。
(答)今のところ法規制等々は考えておりませんけども、実務集を出したばかりでございまして、適切な環境への配慮や関係者のコミュニケーションを促していく必要があると考えております。あくまでも自主的な環境アセスの実務集ということでございますが、今後、事業者や地方公共団体への配布や研修の場を通じて周知徹底を図るとともに、自主的な環境アセスメントの実施状況などについてフォローアップを行ってまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、このようなものを小規模火力発電所に対しても環境省が出したということを重く受け止めてもらいたいと思っております。従いまして、小規模火力発電所が今日までいろいろなところで住民説明会を怠っていたり、いろいろなことがあったと聞いております。そういうこと等を含めて、小規模火力発電といえども丁寧な過程を踏まなければいけませんということだけはこの実務集で悟っていただきたいと思っているのです。

(問)朝日新聞の小堀です。小規模火力とか今日出されたものの進捗状況にも関わるのですが、温暖化の対策でG20の財務相と中央銀行の総裁会議が開かれて、昨年は温暖化対策の文言が声明に入っていたのですが、今年は削られてしまったということでした。アメリカに配慮したのではないかと言われていますが、大臣はどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)コメントそのものは差し控えさせていただきたいと思いますけど、いつも申し上げます通り、アメリカがどのような動きになろうとも、私どもいつもおっしゃっていますとおり、日本は日本のやるべきことをやっていくということに尽きるのだろうと思っております。気候変動の問題があったり、保護政策であったり、今、国際間がいろいろな意味で悩んでいると思いますが、どういう状況になろうとも、私どもはやるべきことをやっていくということに尽きるのだろうと思います。

(問)NHKの橋本です。今日発表されました温暖化対策の進捗状況の評価について、今回が初めての評価だということなのですけれども、2030年の目標に向けてなかなか道筋が見えないというふうな評価だと思いますが、これまでの進捗状況の大臣の率直な感想を教えていただきますでしょうか。
(答)いろいろな意味において2030年の26%削減という国際約束は大変厳しいものになっていると言わざるを得ません。これを作った当時のエネルギー計画そのものも変わってきておりますし、従いましてよほどの覚悟を持って2030年に向けての対策はやっていかなければいけないということを改めて私は感じております。進捗状況を問われますと、ハードルの高さのみが頭に浮かんでまいりまして、やるべきことはやらなければ、とてもじゃないけど、26%削減という約束は守れないというのが率直な感想です。
(問)経産大臣との合意が守れなかった場合、今後、政策の見直しとかも検討するということになっていますけれども、仮にそういった状況になった場合、どういった手段とか、あるいは環境省としてはどういった対応が考えられるのでしょうか。
(答)この間から蘇我火力のときの環境大臣意見を御覧になってもお分かりのとおり、我々は基本的には2030年の国際約束を守るために日々頑張っているわけでございまして、さらに大きなハードルになり得る可能性のあるものに対しては、我々は警鐘を鳴らし続けていく必要があろうかと思っています。事あるごとに警鐘を鳴らしていく、何度も申し上げますけど、2030年の国際約束を守ることによって、日本という国の国際舞台での地位というのはある意味ででき上がっていくのだろうと思っておりますから、とにかく一生懸命頑張らなければいけないということであります。