山本大臣記者会見録(平成29年3月10日(金)8:56~9:26  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から5件御報告させていただきます。本日の閣議において、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案」、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案」、「地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件」の3件が閣議決定されました。内容については、お手元の資料を御覧ください。
 次に、明日3月11日に、東日本大震災の発生からちょうど6年が経過いたします。改めて、震災で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表すとともに、大きな被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。震災発生以降、環境省においては、災害廃棄物の処理に始まり、福島原発事故に伴い放出された放射性物質による環境汚染からの回復に向け、省を挙げて取り組んでまいりました。中でも、除染は大きな節目を迎えます。環境省が手がけてまいりました帰還困難区域を除く除染特別地域の面的除染について、政府目標である平成28年度内に終了できる見込みとなりました。また、市町村除染地域についても、市町村の御尽力をいただき、日々の生活の場における除染作業が概ね完了する見込みです。除染の終了とともに、避難指示の解除も進んできています。除染事業を進めるに当たり、地権者の方、福島県、各市町村を始め多くの関係者の御理解・御協力をいただき、心より感謝申し上げたいと思います。これからも、フォローアップ除染や仮置場の安全確保など、地元の皆様の御意見をよく伺いながら対応を継続してまいります。また、福島の復興に向けて、中間貯蔵施設の整備や除染土壌等の安全かつ確実な輸送が益々重要となってまいります。中間貯蔵施設については、保管場への輸送に加え、昨年、土壌貯蔵施設等の本格的な施設の整備に着手したところですが、本年秋頃から貯蔵を開始できるよう整備を加速するとともに、更なる用地の確保や輸送についても安全・着実に進めていきます。放射性物質に汚染された廃棄物の処理についても、地元とよく相談させていただきながら引き続き丁寧な説明に努め、各県それぞれの実情に応じた取組を進めてまいります。また、放射線に係る住民の健康管理・健康不安対策については、「県民健康調査」への財政的・技術的支援や、「リスクコミュニケーション事業」など、引き続き、必要な対策の推進に努めてまいります。環境省としては、こうした取組を通じて、被災地の一日も早い復興と地域の創生に向け、改めて気を引き締め、信頼関係を大事にしながら、引き続き総力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、本日、蘇我石炭火力発電所の新設計画の配慮書について、環境影響評価法に基づく環境大臣意見を経済産業大臣に対し提出しました。今回の大臣意見は、パリ協定発効後初めてのものであり、意見の中では、パリ協定に基づき中長期的には世界全体でより一層の温室効果ガスの排出削減が求められ、脱炭素社会の構築に向けた世界の潮流の中で石炭火力発電を抑制していく流れがある状況、我が国においては、現時点において既に長期エネルギー需給見通しに基づく2030年度の石炭火力発電量や二酸化炭素排出量を上回り、かつ、今後も増加するおそれがある状況の下で、地球温暖化対策が不十分な石炭火力発電は是認できなくなるおそれがあることから、事業者に対して、石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて自覚し、事業実施を再検討することを含め、事業の実施についてあらゆる選択肢を勘案して検討することを求めています。常々申していることでございますが、本件事業者に限らず各電気事業者には、地球温暖化対策に係る国内外の状況を踏まえ、長期的に大幅削減が求められていることをしっかりと認識し取り組んでいただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)時事通信の今泉です。まず、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の話なのですけれども、間もなく発生からそれぞれ6年になります。環境省としては除染で出た汚染土で8,000ベクレル以下については道路の基盤材に使うなど、再生利用について昨年基本的な考え方を取りまとめたと思いますけれども、南相馬市でその実証事業について開始する計画だったかと思いますけれども、予定より遅れていると聞いております。現状、今どうなっているのかお聞かせください。
(答)再生利用実証事業の進捗についてのお尋ねだろうと思いますけれども、南相馬市における除去土壌の再生利用実証事業については、昨年12月に着手しておりますが、実証用地の造成や実証設備の準備を慎重に進めている段階です。天候に左右される面もありますが、4月中にも再生資材化実証試験を開始できればと考えております。
(問)2点目なのですけれども、福島地方環境事務所の格上げの閣議決定についてなのですけれども、今までは東北地方環境事務所の中の一部局であったものを格上げすることによって、今後復興のステージに入っていくにあたってどのような効果があるとお考えでしょうか。
(答)福島環境再生事務所の職員が逮捕されたことがございまして、極めて残念な事態でございますけれども、改めて綱紀粛正、適正な業務執行に取り組んで信頼回復に努めてまいりたいと思います。地方支分部局への格上げは、本省の体制強化、廃棄物・リサイクル対策部と水・大気環境局や放射性物質汚染対処技術統括官などの震災関係部署の統合と、一体的に進めてまいります。ここで一体化を進めて、意思の疎通の徹底、迅速化を図るものでございます。その中で、先ほど申し上げました綱紀の保持、公務員倫理の徹底についても一層高めていきたいと思っております。
(問)最後なのですけれども、蘇我火力発電所に関する環境アセスの意見なのですが、大臣は常々石炭火力について抑制的であるべきという意見をおっしゃっていますけれども、今回のこの意見書に「再検討を含め」など非常に厳しい言葉が入っていますけれども、確認ですが、一応、2016年2月に経済産業大臣と合意した条件付きでの合意という、厳しい意見ですが、合意という理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。

(問)読売新聞の野崎です。除染と中間貯蔵について大臣の認識を伺っておきたいのですが、除染についてなのですけれども、面的除染はほぼ終わる見通しとおっしゃっておりましたが、市町村の除染で一部道路とか森林の除染で遅れているところがあります。実施主体は市町村かもしれませんが、環境省、国としてどのようにフォロー、支援していくかお伺します。
(答)今、市町村におきましては鋭意努力をしていただいて、今月中といいますか、今年度中にできる限り仕上げていただくよう努力をしていただいているわけでございまして、私どもはそれをフォローしているという段階であると思っております。常々連絡は取り合っておりますから、改めて何かということはないと思いますけども、環境省がお役に立つことがあれば一緒になってやっていくこともあると思います。
(問)今年度中までに終えるのが難しいというところもあるみたいなのですけれども、新年度までずれ込んだ場合、何か具体策とかはありますでしょうか。
(答)いずれにしましても、一生懸命やっていただいておりますので、たとえ1日、2日遅れたとか1週間遅れたといってもそんなに影響はないと思っています。
(問)2点目、中間貯蔵についてですが、今現在、用地の取得が2月末現在で21%だったかと思います。昨年、環境省が公表した5年の見通しには沿った進捗率だとは思うのですけれども、これについて大臣はどのように評価されているのでしょうか。
(答)昨年、就任以来、いわゆる土地の確保が飛躍的に上がってきたという報告を受けております。あのときに思いましたことは、大変失礼な言い方ですが、一度弾みがつけばどんどん土地の確保ができてくると思っておりますので、今後もそういう意味において、加速度的に土地の確保ができていくと期待しております。
(問)今は2割ぐらいの契約があるにしても、皆さん多分快諾してとかではないですし
(答)あくまでも、両省のトップが合意した事項でございますので、尊重していきたいとは思っております。
(問)尊重していくけれども、今後例えば多分6月に予定されている武豊火力の準備書があると思うのですけれども、これは是認しがたいということが今続いている状態なのですが、これに関しても、そのまま是認しがたいというのか、それとも合意に基づいて若干認めるということになるのか、今後だと思いますけれども大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)昨年2月の合意でございまして、それ以降、約1年経って初めていわゆるレビューをしているような段階でございます。それを踏まえて、次なるものがまた、今回もそうですけども、私がこの任にある限りにおいて、私の考えにおいて意見書は作るものだと思っています。冒頭申し上げましたように、両大臣合意を全く無視したものではないということだけはお分かりいただきたいと思います。
(問)ここはっきりしてもらいたいのですけれども、今後も合意は破棄しないと、そういうことでよろしいでしょうか。
(答)はい。

(問)NHKの野津原です。除染等中間貯蔵施設の工事契約の変更についてなのですけれども、特に中間貯蔵施設では当初の契約の2倍ですとか3倍ですとか5倍ですとか、大幅な契約変更が続いているのですけれども、それについての情報公開が福島市の事務所に行かないと見られないという状況が続いております。増額が相次いでいることと、情報公開がなかなかアクセスしづらい環境にあることについて、今後どう対応していくかお聞かせください。
(事務方)変更契約の情報公開の関係でございますけれども、法令上の規定としましては、閲覧所を設けて閲覧する方法、それからインターネットを利用する方法、どちらかの対応を取るということが規定でございまして、今まで変更契約については、閲覧所を設けて閲覧するという方法で対応してきております。今回ご指摘をいただきまして、今後については、ホームページの掲載についても検討してまいりたいと考えております。
(問)対応が変わるということだと思うのですけれども、これまで福島市まで行かないと情報にアクセスできなかった、そのことについての評価と言いますか、そしてどうして変更することになったのか、いつぐらいにホームページ公開になるかを教えてください。
(事務方)時期はこれから検討してまいります。今までの対応ということでは、法令の範囲内での対応をしておりましたので、情報公開の対応としては適切だったと考えておりますけれども、よりアクセスを良くするということも考えていく必要があるということを認識して、今後の対応を検討したいと思っております。

(問)朝日新聞の小堀です。除染が3月に終了するということで、だいぶ線量も下がったというふうに発表がありましたけれども、一方で各種世論調査を見ていますと、除染は進んだけれども、もといた所に戻りたいと考えている方の割合が少ないようですけれども、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)基本的には、環境省の役割というのは除染作業をやるということでございまして、そのことについては、これからも一生懸命やっていくということです。今お尋ねの件につきまして、これは個人的な意見として考えていただきたいと思います。帰りたい方、帰りたくない方、帰れない方、いろいろご事情があろうと思うのです。ただ、それぞれのご事情がある中で、私どもとしては、帰りやすい環境を作っていく、これがまず役割だろうと思います。第一義には、除染という作業を完了させること、それから安心して住める場所を御提供するというか、お戻しするということが環境省の役割なんだろうというふうに思っております。それぞれの方の御事情があるということは重々分かるわけでございますけども、できるならば、昔の町の姿に戻ってもらいたいと、そういう思いで今、作業を進めているわけでございますので、できるだけそういう作業を今後も一生懸命やっていきたいと思います。
(問)石炭火力で確認ですが、あらゆる選択肢、事業の実証・再検討というのは、端的に言うと事業の中断とか事業の中止・撤回も含めてということでしょうか。
(答)これは立場によっていろいろ違うと思いますけど、それぞれのお取りようがあろうかと、解釈のしようがあろうかと思います。

(問)共同通信の井口です。蘇我の石炭火力の件ですが、今回のアセスに付けられた意見は、一義的には蘇我の石炭火力に対してのものだと思いますけれども、今日これから、電力事業者の取組に関する評価を環境省の方から出して専門家の意見を聞く会が開かれると思いますが、そこに対しても同じような考え方を出していきたいとお考えでしょうか。
(答)私に意見を求められたら、そういうようなことになろうかと思います。
(問)アセスメントの意見の中に、事業リスクが高いこと、それから2030年以降を見据えた取組の道筋をちゃんと描いてもらうということが書かれています。もし今、電力事業者がやっている取組がうまくいかない場合は、規制あるいは法をもって対応するということが将来的にはあり得るということでしょうか。
(答)いずれにしましても、先ほどご質問もありましたけれども、昨年2月の両省合意、これはただ石炭火力云々ということを無条件にしたわけではないので、当然、条件があるわけでございまして、その条件に合致するような事業を電気事業者の方々が展開していらっしゃるのか、それが初めて今回レビューという形で報告がこちらに上がってきております。この分析等々も含めて、これからのありようというのは当然出てくるだろうと思います。だから、今回私が出した意見書というのは、いろんな取り方があろうかと思うのですけども、いずれにしましても、石炭火力発電というのは、高い事業リスクを持つことだけは間違いない、それを自覚していただいて、それぞれの事業計画を作ってくださいと、リスクは高いですよと。
(問)そのリスクというのは、将来的に例えば法的あるいは制度的な枠組みが課されて、本来想定したような稼働率が確保できないと、それで作ったものの収益が上がらないと、そういうようなことをイメージすればいいのでしょうか。
(答)いわゆる事業面でのリスクもあろうかと思いますけども、石炭火力発電に対する世界的な潮流がどっちの方向へ向かっているかということは御承知だろうと思います。そういう中で石炭火力発電をおやりになるわけでございますから、国際的にいろんな見方もあろうし、また国内的にも2030年に26%の国際約束をしているわけでございますから、それに対しての影響度というのは、国家、国内の世論もまた違ってくる可能性もある。その辺を含めて、もろもろのことを含めて事業リスクが極めて高いということなのだろうと思っております。

(問)栃木の下野新聞の小野です。震災6年に関連してなのですが、栃木県など福島県近隣の県などでは、福島のような健康管理がされておらず不安の声が根強いのですが、国として今後対策を取られるようなお考えはありますでしょうか。
(答)原発事故に係る住民の健康管理につきましては、福島県外の近隣県では有識者会議などにおいて、特別な健康調査は必要ないという見解が出ております。また、世界保健機関や国連科学委員会の報告書においても、福島県外での健康調査の必要性は指摘されておりません。しかし、平成26年の環境省の専門家会議の中間取りまとめでは、福島県外での甲状腺検査について、施策として一律に実施することについては慎重になるべきという意見が多かったとされる一方で、健康相談やリスクコミュニケーション事業等を通じた丁寧な説明の重要性が指摘をされております。環境省としては、この中間取りまとめの内容を踏まえて、福島近隣県におけるがんなどの発生動向の把握を進めるとともに、リスクコミュニケーション事業の継続、充実を図って、健康不安を抱えた方々に対する丁寧な説明を進めてまいりたいと思っております。

(問)環境新聞の小峰です。来週の3月16日木曜日に、中環審の長期ビジョン検討小委員会が開かれます。そこではノーベル経済学賞を受賞して、昨年、首相官邸で消費税延期の布石として開かれたと言われる、国際金融分析会合で意見を述べられたスティグリッツ米教授がいます。スティグリッツ教授は、大臣よくご存じのとおり、自民党の温対調査会長の時のことですからご存じだと思いますけれども、社会保障財源として税収を増やしたいなら、化石燃料の消費に課税する炭素税を導入すれば、企業や家庭の省エネを促すという発言を首相官邸でしておりますけれども、それを含めて大臣はお呼びになったのだと私は推測しますけれども、今回、スティグリッツ教授を呼んだ大臣の腹をお聞かせください。
(答)いわゆるパリ協定を受けまして、世界が脱炭素社会に向けて動き始めている今、スティグリッツ教授からは気候変動問題と経済的・社会的課題をどうすれば同時解決できるかについて、お話を大所高所から伺いたいという思いでございます。要するに、気候変動問題と経済的、社会的課題を同時解決するというのがわれわれの今の大きな目標でございますので、その辺のことについて教授から大所高所から御意見を伺いたいという思いでございます。
(問)大所高所からの考えということは、大型炭素税もスティグリッツ教授が言うことを念頭に置いていると捉えてもよろしいでしょうか。
(答)今はこの立場でそこまで踏み込むといろいろと波紋が広がりますので、申し上げませんけども、いろんな方々の御意見を伺って一つの方向性を出していきたい。御指摘のように、彼の今までの主張等々を考えていくときに、私どもが非常に難しいという思いを抱きながら、それでも取り組んでいきたいという、気候変動問題と経済的・社会的問題の同時解決の道筋の示唆が得ることができるのではないかと。非常に難しい問題だと思っていますけど、われわれは同時解決の方向に今、向かっております。

(以上)

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