大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年1月20日(金)10:17~10:31  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から2点ご報告いたします。1点目は世界自然遺産への推薦についてでございます。本日の閣議において、林野庁と共同で「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に必要な推薦書をユネスコへ提出することについて、了解を得ました。世界遺産の推薦にあたっては、国内の法律で保護を担保する必要があることから、本地域が世界遺産候補地に選定された平成15年以降、環境省では本地域の国立公園の指定等について、丁寧に調整してまいりました。今後は、本年2月1日の提出締切日までに、ユネスコ世界遺産センターに対して推薦書を提出いたします。環境省としては、本推薦地の世界遺産への早期登録に向け、引き続き関係省庁や地元自治体と連携して取り組んでまいります。
 本日の閣議において、今国会に内閣から提出を予定している法律案等の件名・要旨が配布されました。お手元の資料にあるとおり、環境省としては6本の法案の提出を予定しています。まず、1つめの原子力安全対策関連法改正法案です。これは、国際原子力機関の勧告等を踏まえまして、原子力事業者等に対する検査制度の見直し等の措置を講ずるものであります。次に、2つめのカルタヘナ法改正法案と、3つめの種の保存法改正法案です。この2本は、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」を国内担保するための措置や希少野生動植物種の適切な保存を図るための措置を講ずるものであります。4つめは土壌汚染対策法改正法案です。これは、汚染土壌の適切なリスク管理を推進するため、所要の措置を講ずるものであります。5つめの廃棄物処理法改正法案と、6つめのバーゼル法改正法案です。この2本は、廃棄物の不適正な処理や特定有害廃棄物等の不適正な輸出に関する対策の強化等の措置を講ずるものです。なお、このほかに、資料にはありませんが、環境省が厚生労働省、経済産業省と共管する「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案」の提出について、経済産業省が手続を行う予定です。また、「生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書」の提出について、外務省が手続を行う予定であります。以上の法律案等について、今国会での成立に向けて全力で努力してまいります。

2.質疑応答

(問)読売新聞の野崎です。3点質問がございまして、今大臣からご発言のあった通常国会の関係で、日本が批准できていない名古屋議定書の関係なのですが、先ほどおっしゃったように今国会で承認を目指すということで、そのために国内制度の整備というのをどのように行うのかというのをお伺いしたいのですが。
(答)名古屋議定書の締結に必要な国内担保措置は、遺伝資源の利用に関わる様々な産業や学術研究において、国外から遺伝資源を取得する際の手続や利益配分のあり方に深く関係することから、その利用実態に即した措置とする上で、丁寧な調整・検討を要しました。このため、国内関係者の要望を十分踏まえつつ、環境省が中心となり関係省庁間で検討を進めてきたところ、今般、国内担保措置案として「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」、いわゆるABS指針を取りまとめたことから、本日からパブリックコメントを実施します。この後、資料をお配りしますので、詳細は事務方にお尋ねいただきたいと思います。
(問)2点目はカーボンプライシングの件についてお伺いしたいのですが、有識者会合が今月開かれる予定と聞いておりましたが、日程についてどうなっているのかというのと、それと併せて、昨日、大臣も出席された長期ビジョンの小委員会でもカーボンプライシングについて話し合われていたのですが、それは今年度終わって、有識者会合を続けるということでしたが、カーボンプライシングの検討についてどういう形で行っていくかという整理、改めて整理の仕方を教えていただけますでしょうか。
(答)カーボンプライシングについては、昨日の長期ビジョン小委員会でも、主要な議題の一つとして御議論いただいたところです。今後の中長期的なCO2排出の大幅削減と新たな経済成長のための有効な手段の一つと考えられることから、今後も、開かれた場で有識者の皆様に幅広く御議論をいただき、検討を進めたいと考えています。まずは、昨日の議論も踏まえまして、第一線の実務家・専門家からご意見を伺うため、来週27日に意見交換会を開催する予定であります。この後、開催についてのお知らせをお配りいたします。また、これらの議論の結果や長期ビジョン小委員会の取りまとめを受けて、春頃からは、有識者による検討会を立ち上げ、本格的な議論を開始したいと考えています。今後の中長期の大幅削減に向け、実効性のある施策の在り方は何か、予断を持たず、検討してまいりたいと思います。
(問)確認なのですが、27日の会合というのは記者会見でも話題になっているのですが、各界いろいろな分野の先生を呼ぶとか予定しておりましたけれども、27日の会合はそこまで幅広な人選ではなくて、よく中環審とかでいらっしゃるような先生とかが中心になるのでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、いわゆる詳しい学識者、詳しい実務家を中心として第一線の実務的、専門的知識のある方々にお集まりをいただく予定です。詳しい方です。
(問)そうしたら春から行う検討会はまた別という考えでよろしいですか。
(答)そういうことです。
(問)3点目は別件で、文部科学省の天下りのあっせん問題について、先ほど文部科学省の事務次官の辞任が決まりました。この問題について大臣のご所感を伺いたいのと、環境省がこの問題を受けて何か対応をするのか、しているのかお聞かせください。
(答)御社の記事も拝見しました。環境省の再就職規制については、いわゆる制度が変わった時などの機会を捉えて、メール等を用いて注意喚起を行っているわけです。制度が変わった時に行っています。環境省については年間の退職者数が多くないことから、再就職規制について環境省独自の研修会を開催しておりませんが、内閣人事局が各省向けに開催する講習会等を活用させていただいております。
(問)この問題全体について、大臣どのように感じていますか。
(答)公務員の再就職に関しましては、国民の疑念を招くことのないように、法に基づいて府省庁にあっせん行為等を禁止しているわけでございますから、その辺については是非守っていただきたいと思います。また、環境省については私も気になっておりましたので、事務方の方に問い合わせたところ、そのような事実は環境省においてはありません。

(問)NHKの橋本です。先ほどの文部科学省の再就職あっせん問題に関して、内閣人事局が文部科学省以外の省庁すべてについても過去の再就職についてどうだったかということを調査する方向で検討しているというようなのですが、これに対して環境省としても対応について、例えば調査にどう協力していくのか、それの対応について教えてください。
(答)今も申し上げましたように、私も環境省とは長い付き合いですけれども、この種の話については胸を張って堂々と調査に応じてもらいたいということを言っております。

(問)共同通信の井口です。世界遺産の登録に向けてですけれども、改めて登録に向けた意気込みをお伺いできますでしょうか。
(答)今回、登録に向けて推薦をしたわけでございますけれども、やっぱりあの地域、奄美大島、徳之島、沖縄島北部、そして西表島ですが、これは世界の中で本当に希少な動植物が存在をしております。そういうこと等々を踏まえて、世界遺産としてのを価値が十分にあるというように思いますので、環境省としては本当に思いを込めて推薦をしたところでございます。
(問)米軍の北部訓練場が返還された跡地について、国立公園にまず指定した上でまた世界遺産に追加登録するという考え方があるようなのですけれども、また地元でも要望があるようですが、これも環境省としてはどういう思いでいらっしゃいますでしょうか。
(答)今おっしゃられましたように地元のご要望というものは承知しております。一方で、返還地については防衛省による土地の引き渡しに向けた作業等がなされると認識していますので、環境省としては、そのような作業等が進められていく中で、地元や関係機関とも丁寧に調整しながら、地元の要望に応えられるよう、まずは早期のやんばる国立公園への編入に努力していきたいと思っております。
(問)一つその返還地の周辺に依然として訓練場が残っておりまして、ヘリパッドがあればオスプレイも飛んでいるという状況があり、これが登録のネックになるのではないかとご指摘があるのですが、これについていかがでしょうか。
(答)世界遺産としての顕著な普遍的価値を有しているか否か、また、その価値を将来にわたり保全するための措置が講じられているかどうか等が、世界遺産委員会の定める基準に基づいて、個別具体的に判断されると承知しています。環境省としては、現行の推薦内容で世界遺産としての価値を十分に説明できるものと認識しており、今後、その価値や管理状況について丁寧に説明を行い、早期の世界遺産登録の実現を目指したいと思っています。
(問)話変わりますけれども、アメリカのトランプ政権が発足します。環境についていろいろと発言のあったトランプ氏ですけれども、改めて日本のスタンスと、それから考えられる影響懸念などあればご所感下さい。
(答)いずれにしても20日過ぎて、正式にトランプ政権が発足をしてどういう政策を取っていかれるか、それを注視していかざるを得ないと思います。選挙キャンペーン中にいろいろなことをおっしゃっていたことは承知をいたしておりますけれども、現実に政権発足されましたらEPA長官のこの間の公聴会の発言等々を見てもいろいろな変化が生じる可能性はあるのだと思っておりますから、いずれにしましても今後の政権のありようというのを注視してまいりたいと思っております。
(問)日本の温暖化対策に対する姿勢に関してはいかがでしょうか。
(答)日本はこれはいつも申し上げますように、世界の潮流は変わらないという認識を私ども強く思っておりますから、日本は日本としてやるべきことをきっちりやっていきたいと思います。