大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成29年1月13日(金)10:23~10:42  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から2点発言させていただきたいと思います。1点目は、1月12日、フィリピン共和国で、安倍内閣総理大臣とドゥテルテ・フィリピン共和国大統領立会いのもと、石川駐フィリピン大使とロペス環境天然資源大臣との間で、二国間クレジット制度いわゆるJCMに関する二国間文書の署名が行われました。17番目のJCMの署名になります。我が国としては、フィリピンとのJCMを通して、フィリピン国内の温室効果ガス排出削減に協力することにより、地球規模での温暖化防止を推進してまいります。
 2点目は、リサイクルメダルについて、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の入賞メダルについて発言させていただきます。携帯電話をはじめとする小型家電から抽出されるリサイクル金属を活用するため、組織委員会が公募を行い、現在、事業者から提案のあった企画を審査中であると承知しております。我が国のリサイクルの取組を国際的にアピールするとともに、現在、埋立てられている小型家電をリサイクルする制度の普及や回収率の向上につなげる上で、大変に有意義だと考えます。組織委員会の審査を経て選定された事業者が自治体とも連携することにより、日本全国の全ての国民の参加を得て、使われなくなった小型家電がリサイクルメダルとなり、オリンピック後も循環型社会として定着する“レガシー”となるよう、環境省としても全力で協力してまいります。

2.質疑応答

(問)読売新聞の野崎です。2点質問がありまして、1点目は先ほどご発言にありましたJCMについて、制度は17か国で始まっているということでございますが、クレジット発行においてはまだ数件だったと思います。大臣の現状の認識と、今の進捗具合は目標だったり大臣の中で描いた姿になっているのかお伺いできますでしょうか。
(答)JCMについて、我が国はすでに17か国とJCMの実施関係を構築する等、積極的に取り組んできております。また、現在、JCMとして実施を見込まれているプロジェクトは100件を上回っており、プロジェクトの数も着実に増えております。2017年度以降も新規案件の形成を推進することにより、2030年度までの累積削減量は約5千万トンに達する見込みであります。さらに、公的ファイナンス、いわゆるJBIC等を活用した民間ベースの案件も形成することで、1億トンの削減を目指してまいりたいと思っております。
(問)2点目は温暖化関係なのですが、11日にアメリカのティラーソン次期国務長官が上院の公聴会の質疑で地球温暖化対策について述べておりまして、気候変動のリスクが存在してその結果は深刻であると発言しております。一方で安全保障に影響を及ぼすかという話については差し迫ったおそれとして見ていないと述べております。この件について大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)米国時間の11日、トランプ次期大統領の記者会見、ティラーソン国務長官候補の上院における公聴会が開催されたことは承知しています。ティラーソン氏からは、気候変動問題への対応に関して前向きな姿勢を示唆する発言もあったようですが、いずれにせよ、まだ新政権の政策は明らかではないことから、現時点で予断を持つべきではないとの認識は変わりません。引き続き、政権移行後の米国の気候変動政策に対する動きを注視していきたいと思います。

(問)毎日新聞の日野です。1月5日に汚染土の再利用に関して、議事録が元の素案から削除されていたと報道していたのですが、その翌日に環境大臣がこのように述べられています。「会議概要を作成するにおいては所要の要約が行われることになる」と、「ご指摘の発言については、要約作業の中で会議に必要なポイントなどの観点から処理したものと聞いております」と、これについてもう少し具体的に要約作業というのはどういうことを意味するのか教えていただきたいのですが、大臣の見解としてお伺いしたいと思います。
(答)会議概要の素案を作成する段階で、各人の発言のポイントのみ記載することにより、全般的に要約が行われていると、更に素案を確認する過程で今後の進め方等に関する事務局の発言部分を削除、遮へい措置に関する発言の修正等が行われていると思っております。要約された事項の例でございます。
(問)これは環境省の方で行った要約ということで考えてよろしいわけですね。
(事務方)環境省において会議運営上必要なポイント等の観点から整理をして行った要約でございます。
(問)大臣にお伺いしたいのですが、要約作業によって削ったということですが、情報公開法上の扱いで管理簿という情報公開のどのような件があってどのような作業をされたのか整理した書類があったと思うのですが、これも情報公開請求で入手してまして、ここには全部開示ということが取扱いで書かれているのですが、全部開示と要約作業というのは矛盾していると思うのですが、これはどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
(事務方)説明をいたします。全部開示という意味は、請求された資料について非開示の部分のないということで開示をしたということでございます。その際の開示請求の内容ですが、ワーキンググループの「議事録(議事メモ)」を請求をされたものに対して、全部開示をしたということでございまして、開示した文書そのものが「議事録(議事メモ)」を出したということで、要するに全文の議事録を出したということではなくて、議事メモを出したということで、それを全部だしたという整理でございます。

(問)毎日新聞の久野です。リサイクルメダルの関係でお尋ねしたいのですが、回収率の向上につながればということで先ほど伺ったのですが、この間も回収率の問題が会見でも出ていたと思うのですが、回収率が低いというのは制度にも課題があるというのも言えるのではないかと、啓発が足りないだけではなくてそういう意味でオリンピックだからといっても一過性のものになってしまうのではないかと懸念があります。オリンピックだから皆さん出してくださいねと言って、そしてたくさん集まっても、制度もきちんと皆がリサイクルに関われるものを作っていく必要があると思うのですが、今回オリンピックということで、それを契機にして何か本当に回収率を上げること含めて制度を見直していくという議論になっていく可能性とかをお考えになっているのか教えていただけますでしょうか。
(答)ご指摘はよくわかります。ただ、私は回収率を上げていくために、やはりオリンピック・パラリンピックは素晴らしい契機になるイベントだと思っております。やはり国民の関心が高いということに関してオリンピック・パラリンピックに勝るものはないと思っておりますので、皆様に廃家電がこのような使い方されますよと、2日ほど前に日本テレビが夕方報道されたかと思いますが、ああやって報道されることによって我々が提出した廃家電がこういうふうに使われていて、メダルになるのだということが段々と分かってきて、そういうことを積み重ねていくことによってある意味で回収率の向上につながっていくのだろうと思っております。前にもここでお話したかと思いますが、あまりにも回収率が低い、都市鉱山という言葉がひょっとしたら悪いのかもしれないと思ったりすることもあるのです。都市鉱山という言葉ゆえにひょっとしたら皆さんが自分とは遠い存在みたいに思っていらっしゃるかもしれないと思ってみたりします。そういう意味においては、今回のオリンピックでこういうふうに使われるのですよということを具体的にお目にされるようになっていったら、それから以降のことに関して言えばかなり期待が持てるのではないかと私は思っているのです。一つのきっかけとして、きっかけが大事だと思いますし、オリンピックはそれに勝るものはないと思っております。
(問)持続的な制度にしていくために、もう一度制度自体に見直しをしたり、もう少し使い勝手のいいものにしていこうという議論をするという考えはないのでしょうか。
(答)それも大事なことだと思います。ただ法令を作ったらたちまちそれに効果を発揮するかといったらそうではないというのが長年の経験で何となく分かってきていましたので、今のようなきっかけがあったら、きっかけを一つの契機としてご指摘のあったようなことも含めて、検討していく価値はあると思います。そうしなければいけないと思います。
(問)オリンピックの関係でいうと、IOCは環境をもう一つの大きな柱に据えていまして、非常に環境問題について本当にメダルだけではなくて、日本の環境対策を知ってもらういい機会になるのではないかと思うのですけれども、これまでも五輪での環境問題をどう位置付けるかということについて議論が始まっているのですけれども、環境省としてそういうことについての発言といいますか、情報発信というのが少しまだないのかなというふうに感じています。それで環境省としてオリンピックにどういうふうに関わって臨んでいこうとしているのか、あるいはオリンピックを通じてどういったことを目指していくのかということを少し教えていただけますでしょうか。
(答)基本的にオリンピックというのは、東京都と組織委員会が主導権をもって進めていかれる世界ですから、そこに環境省が不用意に介入するということはあってはならないことだろうと思いますけれども、ご指摘のように環境を誘致の段階でかなり標榜していらっしゃったことを承知をいたしておりますから、今後おそらくご相談があるだろうと思っております。そういう中で環境省として何ができるのか、その一つがメダルの話になるのですけれども、環境省としても是非進めていきたいと考えており、応援団のつもりで今回のメダルの件で動きを発表したわけです。今後例えば輸送手段について環境省どう思うかという話もあるかもしれないですし、分からないですけれども環境省が持っている技術であるとか、知見であるとかいうものが活かせる場面というのが出てくるだろうと期待をしております。基本的には東京都がおやりになる話ですけれども、小池さんも環境大臣を経験されていた方でございますから、環境省の使い道は多分お分かりになっていると思うので。
(問)これから積極的になるということでしょうか。
(答)はい。

(問)環境新聞の小峰です。2点簡単に申し上げます。今の毎日新聞の質問に関連して、オリパラに関連する環境省の協力として、2人の環境大臣経験者、小池百合子さん、それから前大臣の丸川珠代五輪相にお会いになる予定、または既にお会いになったのでしょうか。
(答)今のところまだ会っておりません。丸川大臣は現職の閣僚ですからお会いすることは多々ありますけども、小池先生は知事就任後、まだお会いしておりません。
(問)先週の金曜日の大臣の閣議後会見で、カーボンプライシングを本格的に検討する場として私的な懇談会を設けることについて、大臣は法学や経済学の有識者だけではなくて、文学系のロマンチストも選任したい意向を個人的見解として漏らされました。文学系のロマンチストだけではなく、国内にとどまらず、海外にも視野を向けてみる気はありませんでしょうか。
(答)ちょっと海外までは考えつかなかったのですけど、これはあくまでも個人的な考えとして聞いていただきたい。とにかく2050年80%、これを政府が約束しているわけです。とんでもない数字です、脱炭素社会。2050年、多分、小峰さんも私も生きていないけれども、だからといって放置してはならないと思っているわけであります。これは日本国の姿勢を示す話なので、そういうときに、テクニックの話じゃないと思うのです。だから、2050年の80%削減なんてとんでもない数字を、とにかく日本という国はこうやって守るんですよという姿勢を私は示していく必要がある。そのためにロマンチストという言葉を使ったのですけども、そういう将来的な、いわゆる今だけ大事という姿勢ではなくて、将来日本という国はかくあってもらいたいと言える人が出てもらったらいいと。だから、海外とまではちょっと考えていません。
(問)海外に関しては、昨年のちょうど今ごろから3月にかけて首相官邸にノーベル経済学者スティグリッツとかを呼んで、社会福祉財源の財源補填、大型炭素税の導入等をスティグリッツ等の米仏ノーベル経済学者が言っています。その時、大臣はちょうど自民党の地球環境問題調査会長で十分に存じ上げていると思いますが、こういう方をメンバーにしなくても、大臣の私的懇談会の方でお呼びになるつもりはありますでしょうか。
(答)検討させていただきたいと思いますけども、要するにこれは私が海外の情報を無視するという話じゃないのです。海外の情報はこれからも収集をしていきたいと思うし、何よりもこのカーボンプライシングの世界からいくと、日本はちょっと出遅れ気味なので、もう既にやっておられる海外のいろいろな国があり、その辺のいいところ、悪いところをやっぱり一番収集しやすい立場にあると思います。そういう意味において海外の情報というのはこれからも収集をしていきたいとは思っております。