大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年12月13日(火)9:24~9:43 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私のほうから2点報告をいたしたいと思います。本日の閣議で、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」を決定いたしました。その主な内容は、国内希少野生動植物種にクメジマボタル等33種の追加を行うとともに、ワシントン条約における規制対象種が改正されたことを受けて、国際希少野生動植物種の改正を行うものであります。
 もう一点、既にご高承のとおり、高病原性鳥インフルエンザウイルス、いずれもH5N6亜型について、野鳥等において、昨日確認事例が50件を超えて、11道県で55例、家きんで2県で4例検出されております。特に野鳥においては、過去、11月以降最も速いペースで確認されており、過去の大発生時では年明け以降増加していることから、今後野鳥や家きん等の監視の強化がより一層必要な状況と考えています。環境省としては、これまで野鳥サーベイランスにおける全国の対応レベルを最高レベルの「対応レベル3」に引き上げ、各発見地の周辺の半径10kmを野鳥監視重点区域に設定し、野鳥緊急調査チームを派遣する等、野鳥の監視を強化しているところであります。さらに、本日、全都道府県に対して、監視のより一層の強化と情報の迅速な共有を要請する事務連絡を発出いたします。引き続き各都道府県や関係省庁と連携を図りつつ、緊張感を持って対応してまいりたいと思っております。なお、再度の周知ではありますが、鳥インフルエンザは、通常の生活では鳥からヒトに感染するものではないので、周辺の住民の方々におかれては、過剰に心配することのないよう冷静な行動をお願いするとともに、死亡野鳥に素手で触らないほか、野鳥のいる公園等に行った際は靴で糞を踏まないよう注意いただくようお願いしたいと思います。

2.質疑応答

(問)日本経済新聞の川口です。温暖化についてお聞きします。先日、環境省が出した速報値で13年度比で6%減っていますということですが、その説明の中でこのまま行けば2030年26%を達成できるのではないかという非常に楽観的な意見が出されたのですが、現実問題、原発再稼働ができません、省エネもこれ以上進むのかどうかも分かりません、再エネの導入もなかなか進んでいないと。大臣の考えとして、今後確実に2030年26%を達成するためには何が一番のポイントになるのか、そこをお聞きしたい。
(答)今、ご指摘のあった報道があったと承知いたしておりますけども、私もそう簡単なものではないですよということは、はっきり申し上げたいと思います。26%削減はいつも申し上げますように、ありとあらゆることを総動員して達成できる大変高いハードルだと私自身思っております。じゃあ、何をやっていけばいいのかというと、これはいつも申し上げますけども、やっぱり基本的には国民生活、ライフスタイルの変更ということを念頭に置いて、さまざまな取組をしていきたいと思っております。具体例として、「COOL CHOICE」、いわゆる賢い選択ですけども、この運動をできるだけ広げていきたい。例としていつも申し上げるのは、LEDなのですけども、結局、LEDが今一普及しない原因の一つに、価格が高いということが言われております。しかしながら、LEDは白熱電球に比べれば寿命も長いわけですし、当然、電気料金もそれだけ要らないということです。結果においては、まさに国民の皆さん方にとってお得な買い物になるということが分かっておりますので、できるだけLEDの普及を進めていきたい。それこそがまさに賢い選択だろうと思っておりまして、結果において私の生活は楽になりますよという、いわゆるライフスタイルの考え方の変更を、「COOL CHOICE」という運動を広げていくことが、私は一番だろうと思っております。
(問)その上でお聞きします。「COOL CHOICE」なのですが、今ひとつ浸透度があまりないですよね。環境省としては去年ぐらいからずっと「COOL CHOICE」、「COOL CHOICE」と言っているのですけれども、たぶんあまり浸透していないですよね。ほとんどの人が知らないと思います。今後、省としてどういうふうに「COOL CHOICE」運動、もしくは省エネ運動を広げていくのか、その具体策はどうお考えですか。
(答)みんなの知恵を結集しなくてはいけないので、また皆さん方の知恵もお借りしたいなと思うのですけれども、とにかく今言いましたように、やっぱり人間の行動というのは、基本のベースは得か損かで物事を判断いたします。あなたの判断は結果において得になるのですよと、今申し上げたような分かりやすい事例を提供することによって、こういうふうにやっていただければ、あなたの生活にとって得になるのですよ、それがひいては地球温暖化防止の一助になるのですよというような、分かりやすい論法で進めていくというのが私はいいのだろうと思っているので、ぜひまた皆さん方のお知恵もお借りしたいと思っております。

(問)テレビ朝日の吉野です。除染についていくつかお伺いします。経済産業省において除染費用を従来の2.5兆円から4兆円、中間貯蔵施設は1兆600億円から1.6兆円という試算が示されました。まずこの受け止めをお願いします。
(答)数字が随分大きなものが出てきて、私自身もびっくりといいますか、気持ちは持っておりますけども、いつも申し上げますように初めての事業でありますので、当然のごとく見積もり等々は変わってきても致し方ないんだろうということは認識いたしております。環境省の立場からいっても、そうとしか申し上げようがないと思います。
(問)スキームとして、原子力損害賠償・廃炉機構が持っている東京電力の株式を売却した利益の中から除染費用を充当するという従来の考え方を変えていないようですが、今、東京電力の時価総額は大体8300億円ぐらい、それで2.5兆円というのも夢のまた夢の中で、さらに4兆円ということでさらに1.5兆円が積み上がってしまったことについてどのようにお考えでしょうか。
(答)そういう東京電力の立場等々について、私の方からはなかなかお答えしにくいわけでございますけども、当初決められた世界において、私どもとしては作業を進めてきたわけでございます。これからも基本的なものはそういうことで仕事を進めていきたいと思っております。
(問)こうなると一番嫌なのは、言い方は悪いのですが取りっぱぐれという、事業は進めましたけれども、請求ができない、お金がなくなってしまった、では国で出しましょうというのが一番国民にとっては冗談じゃないという話になると思のですが、つまり、求償する具体的なシステムを考えていかなければいけないのではないかと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
(答)今、約6年経過した状況の中でございますので、そういうこと等々も含めてこれから大いに議論はされてくるのだろうと思います。現実に最初は株式ということで一つの財源を考えたのだろうと思いま。今後、これは経済産業省がお考えになっていく世界なのだろうと思いますが、東京電力の資産うんぬん等々もこれから議論が出てくるだろうということは想像がつくわけで、最初はあくまで株式だけというような話が出てくるのだろうと思います。
(問)東京電力に求償するという環境省の方針に変わりはございませんか。
(答)法律に基づいて求償するということになろうかと思います。

(問)共同通信の津川です。小型家電リサイクルについてお伺いいたします。昨日の審議会で出た話なのですが、昨年度の回収実績が6万6000トンで、制度が始まって3年たったのですが、年間目標14万トンというのがなかなか達成できませんでした。まずこれに対する受け止めと、その実績を上げるためにどういった取組が必要とお考えかお聞かせください。
(答)私も実は数字を聞いてびっくりしまして、14万トンに対する6万6000トンという考え方もあるのでしょうけれども、年間排出量65万トンのうちの6万6000トンですから、1割程度ということでございます。じゃあどうやって今後回収率を上げていくかということは、いろんな知恵を絞らなきゃいけないのだろうと思っております。ちょっと事務方とも相談していたのですけれども、家庭内で使わなくなった小型家電を持っておられるという状況らしいです。皆さん方も多分そうじゃないかと思うので、小型だから別に邪魔にもならないから、思い出の品としてどこかにしまっておられる方々が随分多いのだろうと思います。そういう方々に対してそれを処分というか、してもらうという方策というのをこれから考えていかなければいけないと思いますし、人口規模や清掃工場の規模など今までやってきた各地域の実情を踏まえて回収量の拡大方策の提案支援とか、そういうこともやっていかなきゃいけないと思いますし、小型家電リサイクル事業の費用対便益を簡易に計算できる、そういうツールも普及していく必要があるのだろうと思います。もう一つ、やっぱり一番大事なのは、効果的な広報や学校教育と連携した啓発だろうと思うのです。あなたのお持ちになっていらっしゃる使用済みといいますか、もうお使いにならない小型家電は、こういう形でまた世の中にリサイクルされていくのですよというようなことも学校教育等を通じて啓発していくことは必要だろうと思っております。
(問)認定事業者からすると、回収してもなかなか採算が取れないという話があって、昨日の審議会でもこのまま行くと制度が成り立たなくなる可能性もあると。現行法ではなかなか難しいのでそれを改正して、例えば財政措置ができるようにするとか、そういう意見も一部の委員から出ていたりしたのですが、こういった意見に対してどう思われるでしょうか。
(事務方)昨日の審議会の中でも、ご指摘のように鉄などの金属価格の低下の中で市町村、それからリサイクル事業者の採算性という問題の指摘もございました。そうした中で、例えばですけれども、回収品目の中で高品位の品目に対象を拡大することによって、市町村の回収したものの付加価値を高めているような実例も多くの市町村に見られるというような、そういった優良事業を環境省からも人を派遣して普及啓発したり、あるいは市町村の皆さんに丁寧に説明していくような、そういった助言もございましたので、引き続き経済産業省とも連携して取組を進めてまいりたいと考えております。
(問)現行法の中でどう対応できるか、ということですね。
(答)私の経験上、有価物と廃棄物と区別がつきにくい鉄くずなんかもあるのですけども、相場によっては、あっという間にあの山が消えていくという状況もあることを経験上見てきております。そういう相場というのもある種大きく影響してくるのだろうと思っておりますので、そういうこと等々も含めて、審議会のご意見を伺いながら、一番いい効果的な方法というのをこれからも模索していきたいと考えております。

(問)朝日新聞の小堀です。温暖化の26%削減目標についての関連なのですが、代替フロンの回収率が試算したら22%ということでした。これは30年度に目標として70%ということで、だいぶ開きがあります。今日検討会も立ち上げられますが、どういうふうに進めるのか改めてお考えをお伺いいたします。
(答)私も実を言うとフロンの回収率の数字を聞いてがっくりいたしております。27年度の廃棄時回収率が約38%、これは過去数年の水準を上回りましたという報告を受けたのですけども、一方で、温暖化対策の目標になっているいわゆるHFC、これは22%の世界なのです。つまり、まだまだHCFCとかCFCが回収の対象になっているということ等を含めて、今後いわゆるフロン排出抑制法の効果的な施行、フロン類の回収率向上へ向けた対策というのを強化していかなければいけない。その中でいつも申し上げますように、もし法律で云々ということがあるならば、法律というものをやっぱり考えていく必要があるのだろうと思っております。
 いずれにしても、経験上、フロンというのはいつも言いますけども、人畜無害、無味無臭の世界ですから、割と空中に放出することに抵抗を感じていらっしゃらない向きがまだまだ多いと思います。環境省としては、今後フロンの有害性というものを、あらゆる機会を通じてもう少し皆さま方に分かってもらえるような努力を、やっていくべきではないかと思っております。

(問)熊本日日新聞の内田と申します。先日、自民党で水俣病に関する小委員会が開かれました。水俣病に関する小委員会が開かれるのは2009年以来ということなのですが、久々に開かれたことについて大臣の受け止めと、今後期待されることなどがあればお聞かせください。
(答)この間、その小委員会が開かれたことは承知いたしております。党の北川調査会長とも話をして、北川さんというのはご承知のように、非常に水俣病に熱心な先生だと思っています。彼と話をする中で、自民党本体も水俣病というものに、風化という表現はちょっと極端かもしれませんけど、やっぱり関心を持つ若い議員さんをこれから作っておく必要があるということも話しておりました。そういう意味において、その小委員会が開かれて、期の高い先生方もいらっしゃいましたけど、随分若い1回生、2回生の議員さんが参加しておられました。そういう方々にもう一度水俣病というもの、今の状況というものを理解していただいて、今後の施策の進め方等々について協力者になってもらうような、運動をやっておかなければということであったと思っております。