大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年12月9日(金)9:34~9:48  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私の方から1件ご報告させていただきたいと思います。本日、閣議前に第8回原子力防災会議が開催されました。本年11月22日に地域原子力防災協議会で確認を行った「玄海地域の緊急時対応」について報告し、これを了承していただきました。また、緊急時対応の取りまとめにご協力いただいた関係省庁に御礼を申し上げるとともに、引き続きのご協力をお願いいたしました。総理からは、関係自治体や事業者と一層緊密に連携し、実動部隊を含めた実際の訓練を通じ、「緊急時対応」を継続的に検証、改善する旨のご発言がありましたので、しっかりと取り組んでまいります。詳細については、別途事務方から説明をいたします。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の久野です。玄海原発の避難計画に関して、離島避難の難しさが課題のままであると思いますけれども、これからどういうふうに対処なさるのかということをお伺いできますでしょうか。またヨウ素剤の配布も離島地域、医師のいないところは本当にきちんと配布できるのか課題はありますけれども、これについてはどういうふうに対応されるのか、再稼働のスケジュールもあると思うのですけれども、その辺はどういうふうに進めていかれるのか教えてください。
(答)おっしゃる通り、今回、玄海地域のいわゆる30km圏内には有人の離島が20ございます。人口の多いところもあれば極めて少ないところもあるわけでございますけど、これら離島においては、島内における屋内退避を行うほか、一時移転が必要となった場合は海路等により一時移転等を実施することとしております。また、悪天候等により海路避難等ができない場合は、避難の準備が整うまで屋内退避を継続いたします。陸路避難ができる、橋がかかった島も四つほどあると思いますけれども、そういうところはまたそれなりのことができるわけですけども、陸路避難ができない島については島民全員が退避できる放射線防護対策施設を整備して、住民にとって安心して屋内退避ができるような対策を講じることといたしております。いずれにいたしましても、こういう避難計画等々に完璧はございませんので、今後も関係自治体等と一層緊密に連携して、訓練等を通じて避難計画の更なる充実強化に継続的に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、安定ヨウ素剤の配布体制ということでございますけども、陸路による避難ができない16の離島においては、島内の住民に対する安定ヨウ素剤の緊急配布に備えて、全ての離島に安定ヨウ素剤の備蓄を行っており、飛島という島については年内に備蓄をする予定でございます。これら離島における一時移転等に伴う安定ヨウ素剤の緊急配備についても、原子力災害対策指針等に基づきその体制を構築してまいります。具体的には、島内に医師等がいる島においては当該医師等が対応して、島内に医師等がいない島においては事前配布、又は島外から海路等により自治体職員が赴いて対応することといたしております。ちなみに医師等がいらっしゃる島は11あります。それから、島内に医師等がいない島というのが5島あります。そういう体制になっています。いずれにせよ、離島における安定ヨウ素剤の緊急配布がしっかり行えるよう、関係自治体と連携をしてまいりたいと思っております。
(問)屋内退避ができるような施設の整備は、再稼働前には全部きちんとできるように進めていくのでしょうか。
(答)既に多くの島で整備済み、又は整備中でございます。陸路避難ができない16島のうち、14島については整備済み、又は整備中ということになっております。放射線防護施設の整備のための予算を今年度の2次補正予算で措置をいたしているところでございまして、まだ整備を行っていない島について、地元関係自治体からの申請を受けているところであり、当該補正予算の活用も視野に入れて早期に整備をしていきたいというふうに思っております。陸路で避難できない2島、これは長崎県の壱岐市である、長島と原島については昨日12月8日に交付申請を受け付け済みでございます。従いまして、早速これに取りかかってまいりたいと思っております。今後とも離島における屋内退避も含め、住民の避難等がしっかり行えるよう関係自治体と一体となって取り組んでまいりたいと思っております。
(問)別の質問になりますけれども、日露の首脳会談が予定されていますが、環境分野でどのような進展がありそうかということをお伺いできればと思います。自然遺産の知床の北方領土への拡大にロシアの担当者が前向きな姿勢を示しているようなのですが、環境省としてどのような見解をお持ちか教えていただけますでしょうか。

(答)報道は承知しておりますけれども、外交に関する事柄ですから、環境省としてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、報道にありましたように、わが国の廃棄物処理の技術がロシア政府に高く評価されているということでございますので、そういうことであれば、協力の要請があれば協力をしていきたいと思っております。モスクワの方で日本の廃棄物発電をやっているところも既にありますので、かなり高い評価をいただいていると聞いておりますので、ご協力の要請があれば考えていきたいと思っております。知床の話でございますけども、一言で申し上げて、これは容易な話ではないと、そのように申し上げておきたいと思っております。

(問)日本経済新聞の川口です。帰還困難区域の除染について、除染の負担を国が負担すると弊社も含めて報道されていますが、仮に国の負担になる場合、汚染者負担の原則をかなり転換する話になると思いますが、大臣のご見解をお願いします。
(答)報道されていることは承知をいたしておりますけども、私どもとしては、今のところまだ全て検討中ということにさせていただきたいと思います。
(問)そうすると、東京電力に負担させる原則は変わりないということでよろしいでしょうか。
(答)原則としてはそういうことだと思います。
(問)ただ例外もあるということですか。
(答)それは大いに考えられると思います。
(問)それは納得できるのでしょうかね。原則をひっくり返すのはかなりの説得と理屈付けが必要だと思うのですけれども。
(答)基本的に財源については、環境省の立場からはなかなか申し上げることは難しいんですけども、経産省の方でいろいろお考えになっている世界だと思っております。やっぱり財源というのは必要な話ですから、私どもの立場から言いますと、現時点においてはあくまでも原則として東京電力に求償をするということに変わりはないのだろうと思ってはおります。
(事務方)少しだけ補足させていただきますけども、帰還困難区域の扱いについては8月の段階で一体的、合理的に整備するという考え方が出されておりますので、その考え方を踏まえて今、具体的な事業の進め方とか費用負担の在り方について検討しているというところでございます。

(問)共同通信の津川です。IR法案に関して伺います。北海道の釧路市長が阿寒湖周辺にIRの誘致を目指す方針を示しております。阿寒湖周辺は阿寒国立公園の一部でありますし、今、満喫プロジェクトの対象にもなっていますけれども、現時点で受け止めと何かお考え等があればお願いします。
(答)IR法案そのものが今まだ審議中でございますので、仮定の話にお答えすることは難しいかと思っております。IR法案が成立をして、そして実施法が成立をした時点において、いろんな考え方が出てくるんだろうと私は思っています。

(問)共同通信の井口です。アメリカの環境保護局の長官にスコット・プルイットさんが充てられるという発表があったようですけれども、アメリカの環境政策も先行き非常に心配されるところだと思うのですけれども、受け止めをお願いします。
(答)かなり正式な話になってきたようでございまして、政策について等々は、今現時点では明らかにされておりません。予断をするようなコメントは差し控えたいと思いますが、プルイットさんが今までどういうご発言、また活動をされていたかは重々承知をいたしております。従いまして、私どもとしましては、今後のアメリカのトランプ政権の環境政策がどのようなことになっていくのかを、情報収集していきたいと思っております。そういう点においては、もう名前を言っていいんだろうと思いますが、来週からわが方の森下審議官以下をアメリカへ出張させて、情報収集に当たらせたいと思っております。
(問)それはどういった相手と話をされるのでしょうか。
(答)そこまでは承知してません。
(問)どれぐらいの期間、どんなところに。
(答)期間は5、6日ぐらいの予定で、とにかくどういうことになっているのかさっぱり分からない状況ですので、当然現地の大使館も情報収集をしていただけるのでしょうけれども、環境省としてもやっぱり独自に情報収集するのが筋だと思いますので、早速行ってもらうように対応しました。
(問)ざっくりで結構ですが、どんなことについて情報収集をされたいかということ教えてください。
(事務方)お答えします。期間は先ほど大臣がおっしゃった通り、来週1週間程度と考えておりますけど、主にアメリカのシンクタンク、いろいろ政策的な動向についてよく知っておられるようなシンクタンクについて、いろいろ訪問しまして情報収集する予定でございます。
(問)それは政権移行チームとか、新政権に非常に近い、あるいはその中の方ともお会いするような感じなのでしょうか。
(事務方)そういったところも含めて行く方向で、今調整しています。
(問)大臣が行かれましたCOP22でも非常に話題になっていましたけれども、途上国支援のための資金、IPCCへの拠出、そういったものを含めて非常に引き上げられてしまうのではないかという危惧があって、そうすると穴埋めはどの国がやるのだということがかなり話題になっていましたけれども、日本にそういった期待が集まることも今後考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)いずれにしても今の時点では分かりませんし、今までのプルイットさんが訴訟まで起こしていらっしゃるようなことも聞いておりますので、今言われたようなパリ協定そのものについてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、これもよく分かりません。いずれにしても現段階では情報収集に徹していこうと思っています。
(問)いずれかの時点でカウンターパートであるプルイットさんに大臣自身が面会されるとか、会談をされるといった考えはあるのか。
(答)トランプ政権が発足して一つの流れができてきたときには、そういう機会もあろうかとは思っています。