大臣談話・大臣記者会見要旨

山本大臣記者会見録(平成28年10月4日(火)8:52~9:07於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 私からは1件報告をいたします。国立公園満喫プロジェクトの一環として、昨日、国立公園インスタグラムを開設しましたので、ご報告します。全国33の国立公園の現場で活躍するレンジャーが、業務の中で日々接する四季折々の自然や食、温泉、文化など、国立公園の様々な魅力を、「感動」をテーマに、順次、写真で全世界に発信いたします。紅葉や初雪、桜の開花といった季節の移ろいをリレーするなど、全国で勤務するレンジャーならではの企画を展開してまいりたいと思いますので、多くの皆様にフォローしていただけると幸いでございます。
 今、訪日される外国人のお客様が、事前に日本国内の様々な情報を自らが探知をされまして、日本人もなかなか行かないようなところにも行っていらっしゃるということを聞いておりまして、今回のこの企画を大いに応援をしていきたいというふうに思っております。外国人の方が目に付くような写真や文章等々を作成して、是非出していくよう指示をしております。

2.質疑応答

(問)幹事社のテレビ朝日です。パリ協定についてなのですけれども、2日にインドが批准しまして、EUも間もなく批准する見通しと、来月にも発効する見通しとなってきました。大臣の受け止めが1件と、日本がそこに入れていないところの認識を改めてお願いいたします。
(答)毎回申し上げておりますけれども、非常に焦りをもって動きを注視しております。今ご指摘のように、EUが予想以上に早いスピードでこの問題の態度を決めてまいりましたので、我が国としても急いでやらないといけないということに一層思いを強くいたしております。ご承知だろうと思いますけれども、たぶん今週中には与党内の党内手続が終わるような雰囲気でございます。それを受けましての閣議決定ということになるかと思いますので、閣議決定をして国会に提案をされますと、当然のごとくさまざまな動きが出てくるだろうと、そこで私自身も前にも申し上げましたように、より一層汗をかいていきたいというふうに思っております。

(問)共同通信の津川です。象牙の取引についてお伺いいたします。南アフリカで開催中のワシントン条約締約国会議の委員会で、象牙の国内市場の閉鎖を各国に求める決議案が採択されました。内容としては、密猟又は違法取引の原因となるような国内市場の閉鎖が対象となっております。アフリカの国々とかNGOから、日本も市場閉鎖の対象にすべきではないのかという意見もありますが、改めて大臣の見解を伺えますでしょうか。
(答)前回も申し上げましたとおり、私どもは国内市場は違法取引若しくは密猟による国内市場だというふうには思っておりませんし、当然そういうことはありません。そういう認識でございますから、今回のワシントン条約締約国会議の決議案というものに対しては、評価はしていきたいというふうに思っております。何回も申し上げますけれども、日本には日本独特の文化もあり、それを守るためには当然のごとくこのような決議に違反をしたようなことがないように、これから努めていきたいと思います。そうしなければ、日本の文化が失われていくという危機感を一方では持っておりますので、この決議に添った国内市場取引の形成というか維持といいますか、これからもやっていきたいと思っております。

(問)朝日新聞の小堀です。国立公園の指定の話で一件お伺いします。昨日、鹿児島で奄美群島での地権者の方が会見を開かれまして、その懸案になっていた土地の買収について大筋で合意したような内容だとおっしゃっていたんですが、環境省としては、奄美大島、徳之島と国立公園の指定について、どう今考えているのでしょうか。
(答)ご指摘のように、地元との調整が整ったということでございますので、早ければ今週中にパブリックコメントを開始する予定であります。また、来年春頃の国立公園指定を目指して作業を進めてまいりたいと思っております。
(問)奄美群島とサンゴ礁が広がる沿岸地域ということでよろしいでしょうか。
(答)そこまで把握をいたしておりませんけれども、奄美群島といったときに陸地だけになるのか、沿岸部や海域も含めたものになるのでしょうか。
(事務方)調整がほぼ終了いたしました奄美大島、それから徳之島、喜界島、与論島、沖永良部島の5島の陸域と一部海域を含めたエリアでございます。詳しくは、パブリックコメントの時に図面をもって、範囲や面積等を発表させていただきたいと思っております。

(問)毎日新聞の久野です。パリ協定の関係なのですが、先週の閣議後会見で、COP22が始まります11月7日までに日本が間に合うのが少し難しいかもしれないというようなお話がありましたけれども、今現在の大臣のご認識について何か変わったことがあれば教えてください。
(答)COP22が11月7日から始まるわけですけれども、その時点で発効に足るような55%、55か国の条件を満たしているのか、おそらく条件を満たしているだろうと言われているのですが、その時に我が国が入れないかもしれないということをずっと懸念しておりました。御社の記事では悲観的だというような表現がありましたが、悲観的には思っていないのですが、私自身が11月15日から国会の日程がうまく合えばマラケシュの方に出張したいと思っておりますので、その時には胸を張ってこの問題に言えるようなことになっていればいいと思っておりますので、先ほど申し上げましたように、国会で提案されましたら当然のごとく汗をかいていきたいというふうに思っております。

(問)NHKの松田です。パリ協定についてなのですが、先ほどの大臣のお言葉にも焦りを感じているというような言葉がありました。焦りということなのですが、もし発効の際に日本が締結をしていない、マラケシュでのCOPの時に日本が締結をしていないという場合にどういった不利益が日本にあるとお考えでしょうか。
(答)今度のパリ協定を受けてのこれからの作業というのは、当然のごとく様々なガイドラインが協議をされる世界になるだろうと思っております。そういう中で、今日までの提案に向けての各国の提出を見ますと、意外とガイドラインの策定も京都議定書と違ってスピード感を持ってでき上がっていくんではないかと、そういう時に最初から日本という国はセンターテーブルで議論の中心にいるようにあってもらいたいと常々思っておりますので、そういうことを含めて私はこの問題に対処できればなというふうに今でも思っております。
(問)締結していないとセンターテーブルにいられないということですか。
(答)最前線で頑張ってくれている諸君らの話を聞くと、この場では肩身が広いか狭いかというのがやはりあるようですから、肩身広く会議の場に最前線の事務方が臨めるようにしてあげたいというふうに思っております。
(問)話が変わりまして象牙のお話になるのですが、日本の市場は違法取引につながっていないというような認識だと思うのですが、環境団体などからは厳しい目が向けられていると、先ほども国内取引の維持のために適正な取引をいうようなことだったのですが、環境省としてこれから取り組んでいかれることが何かあれば教えてください。
(答)基本的にはいわゆる輸出入に関わるお話でございますから、関係省庁と関係機関と連携を取りながら立入検査の強化であったり、国内取引の管理の徹底であったり、水際の取締りの強化であったり、情報発信の強化などの取組を関係省庁、関係機関と連携を密にして取り組んでいくのだろうと思っております。

(問)読売新聞の野崎です。今のNHKの質問とかぶるところもあるのですが、象牙の話で、海外のNGOとかの指摘は、日本の国内市場は未登録のものが横行していたり、不備が大変あって、密輸、密猟の温床になり得るというような主張なんですが、これに対しては大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)温床になり得るというような見方はちょっと間違っているのではないかと思います。私が感じる限り、この種のことで国内的な規制を強くしていけるのは、日本がたぶんナンバーワンだろうと思っております。今までのようなご指摘に対して、さっきも申し上げましたように、環境省だけでは何ともならない世界だろうと思っておりますので、関係省庁と相談をしながら、今のご指摘のようなご懸念に対して対処していく、その旗振りはやはりあくまでも環境省になっていくのだろうと思っております。

(問)日経新聞の川口です。またパリ協定のことに戻りますが、結局、昨年55%という要件を提案したのは日本なんです。その中に自分たちは入れないかもしれません。国会日程等々あるとは思いますが、山本大臣にお聞きしたいのは、仮に11月7日までに批准できないということになった場合、国際的な問題として、日本の内閣としてどういうふうな責任の取り方をするのかお聞きしたいのですが。どういう認識でいらっしゃるのでしょうか。
(答)内閣としての責任ということは、今まで考えたことはなかったんですけれども、少なくともいろいろな世界の動きが報道されて、皆さんがお知りになる状況がここ1~2週間だったろうと思います。この1~2週間で、予算委員会の質疑等々を聞きながら、与党のみならず野党の諸君もこの問題に非常に関心を持っておられて、早くしろよ、何とかしろよというようなお声がありました。ああいうことを受けていきますと、内閣の責任という表現がいいのかどうか分かりませんけども、やはり政府として、この問題は通常の条約とは違って、ある種、国会審議の場において荒技があってもいいんじゃないかと個人的には思っておりますので、さっき汗をかくと申し上げましたのは、まさに荒技の世界で、できるのかできないのか、私の立場で国会筋と折衝していきたいなというふうに思っております。ですから、内閣の責任と申し上げますより、私自身が責任を一番感じる立場かもしれませんし、外務委員会のマターですので、条約ですので外務省とも協議をしながら、とにかくちょっと荒技が必要かなと思います。通常の国会審議日程に乗せていくということとは若干違うような気がするぐらい、今、反響が出てきておりますので、本当に汗をかいてやってみたいなと思っております。それだけのマターだろうと思っております。