大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年7月29日(金)11:45~11:58 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議では環境省としての発言はございません。

2.質疑応答

(問)TBSの阿部です。鹿児島県の川内原発に関してお伺いいたします。昨日、三反園知事が来月にも九電に対し川内原発一時停止を申し出る考えを明らかにしました。また、併せて避難計画の妥当性を検証することや、モニタリングポストを増やす方針だと目標にされましたが、担当大臣として受け止めと、今後の対応内容についてお聞かせください。
(答)避難計画の見直しについては、我々もPDCAサイクルを回す中で随時行っていることでありまして、常に改定をするということを念頭に置いて、訓練の反省等を活かして、また精査をして我々も検討しているところですので、知事の具体的な問題意識を是非お伺いをして、しっかり協議をさせていただきたいと思っております。

(問)福島民報社の鈴木です。福島第一原発事故関連でお伺いいたします。原発事故に伴いまして空間放射線量、除染の基準値になります0.23マイクロシーベルト/hを下回った道路、側溝の汚泥に関しまして、国費での除去を求める地元の市町村からの声が多数上がっております。こういった中で、井上副大臣が先日、前向きに取り組むというような意向をお示しになりました。この件につきまして大臣のご所感と、それから地元から搬入先を中間貯蔵施設にするように求める声が挙がっておりまして、これについてのお考えもお聞かせください。
(答)井上副大臣も何とか協力をしていきたいとおっしゃった中で、特に復興庁と是非調整を進めていきたいということをおっしゃいました。私もそのとおりだと思ってまして、復興庁としっかり調整をしながら進めていきたいと思っております。その上で、私たちの立場としては除染の対象というのは、つまり空間線量0.23マイクロシーベルト/hを越えるというものでありまして、そうでないものは道路管理者がやっていただくのは基本だと思っております。国道であれば当然国がやります。環境省から財政措置をするということについてはこれは除染の対象のものということになりますので、そこの基本線は基本線として守っていただくべきなのかなと思っております。一方で、処理先に大変お困りだということは認識をしておりますので、これは福島県とも相談をしながら、我々としてもできることなど取り組んでいきたいと思っております。
(問)重ねての質問で申し訳ありません。今、道路管理者実施していただくというふうにおっしゃったのですが、そうしますと市町村道路であれば市町村がこれはやるべきということになる中で、環境省として復興庁と連携して対応されるということにつきまして、財源が環境省ではないという中であれば、これはどういった財源をどういうふうに確保されるべきとお考えでしょうか。
(答)その点自治体のご意見をよく伺いながら復興庁と調整をさせていただきたいと思っております。

(問)NHKの橋本です。今日の午後に開かれます長期低炭素ビジョンの小委員会についてお伺いしたいのですが、カーボンプライシングについて、昨年度の大臣の私的懇談会ではカーボンプライシングは有効だという結論が出ていたのですが、今回始まる小委員会の中ではどのような議論を期待されるのか教えてください。
(答)私どもの方でも、第1回小委員会を本日開催させていただくわけですが、長期低炭素ビジョンを議論する中では、特に我々は社会構造のイノベーションや、あるいはライフスタイルの変革というところに特に我々の責任分担があり、また重視するべき点があると思います。技術的な開発が地球温暖化対策に有効なのはもちろんなのですが、それと同時に今申し上げた分野についてはより幅広く我々が機会を持って検討させていただきたいと思ってます。その中で、カーボンプライシングというものを位置づけていくにはどういうあり方があるのか、というのを議論するのがこの場所になるのかなという思いを持っております。カーボンプライシングについては、プラットフォームを先だって開催した時に、やはり局長レベルでの対話というのはこれからも続けていきたいというような意見もありましたし、今後も、この世界的な地球温暖化対策の議論の中で非常に重要な一つの議論のテーマになると思いますので、そうした動向も注視しながら、私たちの国で導入する場合にはどんな姿があるのかということは是非議論をさせていただきたいです。
(問)重ねてもう一点お伺いします。原発の位置付けについてどこまで議論するのかという点なのですが、2030年以降のエネルギーミックスがまだ決まってない中で、原発の新増設をどうするのかということは、削減幅にも大きく関わってくるかと思いますけれども、今回の小委員会でこの辺りは議論の対象となるのかどうか教えてください。
(答)エネルギーについて議論するというのは、おそらくそのエネルギーミックスを議論する場というのがメインになるかと思います。2030年の姿のまだその先を、我々はこの長期低炭素ビジョンで描いていって、そのバックキャストということになるのですかね、終着点というかより先の未来の姿を描くことから、逆算をしていくとどうなるのかねということを想像していくプロセスを生むのだと思っています。一方で、エネルギー基本計画の見直しは早ければ来年の3月・4月なのかなと想像するわけですが、その時点でどういう議論になるかというのはちょっと今ここで予断を持って申し上げられないので、少なくとも私たちが長期低炭素ビジョンの議論をするときにはより先の未来の姿、これを描いていくと思っています。

(問)下野新聞の小野と申します。指定廃棄物についてなのですが、栃木県の塩谷町が処分場の候補地に選定されてちょうど2年経ちますけれども、道筋がついていないというか、進んでいないという現状について大臣の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)これまで塩谷町の皆様方に、私どもが廃棄物について安全に、また皆様に安心していただけるように管理をするには、どういう手段、方法が望ましいかということで、ずっとご議論をし、また議論のプロセスやその結論についても説明をさせていただいたところです。まだ残念ながら十分に説明をさせていただく機会を持てていないということもありまして、是非ともこれからもより住民の皆様に近いところで、より直接的に我々から説明をさせていただく機会をまず持たせていただきたいというお願いをしていきたいと思ってます。

(問)環境新聞の小峰です。先ほどのNHKさんの質問の関連です。丸川大臣の2月の懇談会の提言は、国内外で環境をてこに経済社会システムの構造改革ということで、マルノミクスとして評価の声も聞きます。先ほどのNHKさんの話と同じですけれども、本日午後に小委員会が開かれますけれども、いわゆるマルノミクスの具体化を検討することではないかということですので、改めてこの考え方をお伺いします。
(答)いわゆると言っていただいたのですが、おそらくいわゆるではないと思います。総理が施政方針演説で、地球温暖化対策は新しいイノベーションを生み出すチャンスとおっしゃっておられますので、アベノミクスの一端だと思っております。加えて、このイノベーションという言葉は、技術的な確信はもちろんですが、やはり技術革新以上に大きな変革をもたらす、社会構造のイノベーション、ライフスタイルのイノベーションを包含するものだと思っております。これは、大きな新しい需要を生み出す、まさに私たちがこれからの社会で目指すべき市場の創造だと思っておりますので、是非そうしたものにつながる希望ある議論、そして、我々が今抱えている経済社会の課題を解決することに結びつく議論が、我々の長期低炭素ビジョンを通じて示されることを望んでおります。
(問)それに関連してもう一つ、提言の中に環境金融の重要さを強調していましたけれども、日経新聞の日曜日の記事の中で、GPIFの選別投資を今年度にも始める方向で検討しているということでしたけれども、ある意味では、丸川大臣の提言が具体化されたと思うのですが、それに対する受け止めをお願いします。
(答)GPIFの方と最近直接お会いしたわけではありませんので、どのような方針でやられるのか確認したわけではありませんが、一般的にいって、短期より中期、中期より長期、長期より超長期ということで、よりリスクの少ない投資ということに重点を置かれる傾向があるのではなかろうかと推察をいたします。超長期という主に年金だと思いますけれども、機関投資家の皆様にとってはやはり、社会全体地球全体が、持続可能であるかどうかという観点を持って投資されることには、合理性があると思いますので、私たちはそうした機関投資家の皆様に十分応えうるだけの、我々がどういう未来を描こうとしているのかという情報を、しっかり政府として、またビジョンをお示しをしなければならないと思ってます。
(問)関連して、石炭火力の提言の中には、座礁資産という言葉を使っていましたけれども、また一方で、事故を起こしたときに甚大なる環境被害を及ぼす原子力については、ESG投資に入るのでしょうか。
(答)これは、投資家の皆さまがまず一義的には自分たちでどう投資するかを判断されることですので、私どもが何か申し上げるべきことではないと思います。