大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年7月15日(金)11:17~11:29  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 閣議において環境省からの発言はございませんでした。
 明日、7月16日(土)から22日(金)の日程で、米国のワシントンDCとイエローストーン国立公園に出張いたします。ワシントンDCでは、米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)、米国環境保護庁(EPA)、米国原子力規制委員会(NRC)、米国エネルギー省(DOE)を訪問いたしまして、原子力防災における日米協力などについての意見交換をさせていただきます。今年の秋に北海道の泊の発電所で原子力総合防災訓練を予定しておりますけれども、そこに参加をお願いするとともに、今後の防災体制、また原子力規制委員会、規制庁の体制強化等について、意見交換を是非やらせていただきたいと思ってお伺いします。
 イエローストーン国立公園については、「国立公園満喫プロジェクト」に反映をさせていただきたいということで、今回、総理を議長とする観光ビジョン構想会議で目指すべき将来像ということで、国立公園の例えばこういう形という例示した中にイエローストーンが挙げられていまして、是非参考にしてくるようにということでございましたので、行ってまいります。公園管理事務所関係者と意見交換をするのと、ビジターセンターを何カ所か見せていただいて、特に民間活力の活用をどのようにしていらっしゃるのか見てまいります。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の小坪です。2点お伺いいたします。12日に南相馬市の大部分で避難指示が解除された件に関してでございます。指示が解除されましたけれども、農地や道路の除染が残っていて不安を持たれる方がおられたり、また復興を進めるためには除染後の汚染土壌の早期搬出が必要だと声がございます。こうした声に環境省としてどう応えていかれるのかまずお聞かせいただけますでしょうか。
(答)南相馬市の宅地は、除染ができる環境が整ったところについて、まず今年の3月までに除染をしたという状況になります。ご同意いただく必要がある場所等、まだ残っている状況でございます。その中で今、事後モニタリングをやったところについては進めておりまして、除染の効果があるということ、まだ続いているということは確認しております。ですので、まずは除染を行ったところについては事後モニタリングをしっかりやって、必要なところにはフォローアップ除染を実施してまいります。市としても住民説明会を5月に4回開いていただいて、住民の皆様にご理解の努力をしていただいていると伺っておりますが、私どもは除染をお引き受けしておる立場でございますので、農地などの面的除染については今年度末が期限でございますから、しっかりと完了できるように南相馬市と十分調整を図って進めていきたいと思います。また、土壌の運び出しについてですが、昨年度は1,000立方メートルでした。今年は、およそ5,000立方メートル程度搬出をすることになっています。今、仮置場に保管されている可燃物を、南相馬市内の仮焼却施設で焼却をさせていただけないかと、これで減容化を図らせていただけないかというご相談をしているところでございますので、引き続き南相馬市とよくご相談させていただいて、できる限り我々の作業が着実に進むようにしたいと思っています。
(問)もう1点は、冒頭に触れられた満喫プロジェクトに関して、現在までに国立公園を抱える自治体から、是非選んでほしいというような声も続いているやにお聞きしますが、この状況を大臣としてどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)プロジェクトに対して大変多くのご要望をいただいております。国立公園という枠組みでこのように高い関心を自治体の皆様が持っておられるのは、やはり地方創生の大きなきっかけにしたいという熱意をお持ちだということと受け止めております。私どもとしても、先ほどの申し上げた観光ビジョン構想会議の中で、三大都市圏以外の地域での外国人宿泊数、延べ数で2020年で7000万人泊、2030年で1億3000万人泊というのがございますが、この目標を達成する上においても私たちは非常に大きな役割を担っているという認識ですので、是非そうした地元の熱意もしっかり受け止めて、7月25日の有識者会議では事務局の案をお示ししたいと思っています。

(問)テレビ朝日の吉野です。原子力防災の関係で少しお聞きしたいのですが、NRCはどなたを今度の泊の防災訓練でお招きしたいとお考えですか。
(答)すみません。今はまだ調整中でございますので、できる限りハイレベルでおいでいただきたいと思っています。
(問)もう1点最後にしますけれど、日本の原子力規制委員会は、避難計画に関してはどちらかというと積極的にコミットメントしているとは言いづらい立場にいるわけですけれども、これはアメリカとの大きな違いだと思いますが、権限の拡大等についても拡大して米国並みにした方がいいのではないかと、つまり避難計画にも大きく参画していった方がいいのではないか、というような意見もいろいろなところから聞こえてくるのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これまでにもいろいろ私どもとしても情報収集をしたり、また関係の方々にお話を伺ってまいりました。その国その国のやり方があるということをまず相手国の方からも言われてまして、日本としてどうするのかということをよく検討すべきだと言われております。NRCはNRCの規模感があって、原発の数も違えば地域の大きさも国土の広さも全く違う中で体制を組んでおられます。我々はこの国土の中で防災対策を組む上において、地元自治体がきめ細やかに対応することの重要性というのは非常に強く感じているので、これが今の規制庁よりはNRCの体制で取って代われるようなものかというと結局、自治体が作ったものを誰かチェックするというと同じだけの人数が必要になります。こうしたことが現実的に可能かどうかということもよく検討しなければいけないと思いますが、いずれにしても、世界の中で計画を誰かが見るとかチェックするとかいう体制はそれぞれ皆様違いますので、私どもとして今、内閣で承認をするという形が問題があるのかないのかも含めてよくきちんと、我々はこれで問題ないと思っておりますけれど、勉強の意味でしっかりと話していきたいと思っています。

(問)共同通信の井口です。大きく二つ、お伺いします。ひとつは温室効果ガス削減の長期戦略作りの議論が始まっていまして、経済産業省のほうでは、すでに会合が一回開かれてます。そのときに産業界の委員からは、カーボンプライシングとか、あるいはバックキャスト的な手法に対して批判的な意見が出されたりしたと思うのですけれども、そのことの受け止めと、環境省としてどんなカラーを出していきたいか、これからの予定、それを伺えればと思います。
(答)私たちの方でもすでに気候変動での長期戦略懇で、大きい方向性は絵姿としてお示しをいただいておりまして、それを踏まえて私どもも対策計画を作ってきたわけでございますが、より具体的に道筋も選択肢も含めてご議論いただくというなかで、経済産業省も含めていろいろな見方でその道筋を思い描いてみる、あるいは議論してみることが重要だと思いますので、私たちは私たちの考え方を、その議論を通じてお示しができればと思っております。ぜひ7月中に最初の会をやりたいと思っております。
(問)議論のとりまとめの目途なのですけれども、経済産業省では年度内というふうに。
(答)私どものほうも年度内に一定のとりまとめを出したいと思っております。
(問)その後に関しては、政府としてとりまとめをしなければならないと思うのですけれども、これはどういう形が望ましいと思われますか。
(答)政府内でどのような議論を進めるかというところまでは、私どもお互いに道は描けていないと思うのですけれども、おそらく相当大きな議論になると思いますし、どういう道のりを描くかというのは、複数の選択肢があってしかるべきと思います。というのは、イノベーションによって大きく道が変わっていくと思いますので、イノベーションの目標地点をどこにするのかということも含めての道筋の描き方だと思います。
(問)G7では、2020年とされたその目標から前倒しができたらという意向が示されたと思いますけれども、いつ頃まとめるのが望ましいと思われますか。
(答)前倒しをしたいという希望はありますけれども、話を聞いているとそれぞれ地域あるいは国によって気持ちは持っているけれども、お互いに事情があるよねというのが漏れ聞こえてくるのは事実でございまして、やはり相当大きな変革を社会に迫ることになりますので、どのような打ち出し方をするのかというのは、国民側がどう受け止めるのかというのと、車の両輪だと思います。
(問)もうひとつ、代替フロンのことなのですが、製造、使用を減らすためのモントリオール議定書の改定に向けた作業部会がイギリスで開かれると思うのですが、どういう議論を期待されるか、どういった方針を望まれるかをお願いします。
(答)モントリオール議定書の改定については、私どもとしても賛意を示し、また、それを推し進めていきたいと思っているところです。我々としても今回の議論には経済産業省と我が省と、それから外務省とで交渉団を派遣しまして議論に参加をしていますが、非常に突っ込んだ議論が必要な部分があります。途上国への追加資金供与の部分であったり、スケジュール、まだまだ議論を深める段階にあると思っておりますので、もうしばらく我々の考え方、交渉の進み具合を見ながら主張をしていきたいというような段階です。

(問)時事通信の今泉です。環境省の施策とは少し違うのですが、先日から天皇陛下の生前退位について各社報道がありました。大臣の受け止めを何かお聞かせください。
(答)大臣という立場でもありますので、事柄の性質上コメントは差し控えさせていただきたいと思います。