大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年5月31日(火)10:30~10:48 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日は、こちらからたくさんお話することがありますけれども、お許しください。
 まず冒頭、閣議の件でございますが、本日の閣議において国会報告案件が3件、決定されました。まず「平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」でございます。こちらのポスターの絵が表紙になっております。今回の白書のテーマは「地球温暖化対策の新たなステージ」としております。COP21におけるパリ協定の採択など、国際的な地球温暖化対策が新たなステージに入ったということ、そしてまた私どもの地球温暖化対策計画にも、2050年80%削減という目標が書き込まれたことを踏まえ、国民が一丸となって取り組んでいく必要があることをこの白書の中でも、例えば地球温暖化対策に関する新たな国際枠組みであるパリ協定を解説する記事であるとか、あるいは我が国のこれまでの地球温暖化対策の経緯、そして今後の取組の方向性について詳しく紹介をさせていただきました。
 また、東日本大震災から5年が経過したということを踏まえて、環境の回復の状況や復興に関する取組を紹介しております。一段とこの地球温暖化対策、あるいは被災地の復興についての国民の理解が進む一助となることを期待しております。
 そして、原子力規制委員会の平成27年度の年次報告書と、いわゆる平成27年度の国会事故調フォローアップ報告書についても国会に報告されることになりました。
 それから、6月は環境月間です。環境月間では環境省の呼びかけの下で、関係府省又は地方公共団体などの参加・協力によって、全国各地で様々な環境関連行事が開催されます。その中心行事として環境省では6月の4日、5日の土曜日、日曜日に「エコライフフェア2016」を代々木公園で開催いたします。5日には私もトークショーに参加をする予定でございます。ぜひ、ご取材いただければと思います。
 それから「COOL CHOICE推進チーム」の設置についてお知らせいたします。以前から私がチーム長となって、国民のライフスタイルの転換や意識変革を促す国民啓発の運動を進める知恵袋という形でCOOL CHOICE推進チームを設置するというご案内をしておりましたが、本日、そのメンバーを発表させていただきますので、ご覧いただければと思います。第1回会合は、なるべく早く開催をしたいと思っておりますが、まだ日程調整の途中でございますので、決まり次第、お知らせをしたいと存じます。
 そしてG7伊勢志摩サミットを受けまして、一言申し上げますが、今回の首脳宣言には、環境分野で大変大きなテーマになっておりますパリ協定の実施、資源効率性、3R、2030アジェンダなど、我々の富山環境大臣会合での成果が多く活用されたという点において、非常に勇気をもらったと思っております。今後、こうしたサミットの首脳宣言も我々を後押しする力と思って活用していきたいと思っています。そして昨年のエルマウサミットと今回の伊勢志摩サミットの首脳宣言において示されました炭素市場プラットホームについて、6月の16日、17日の2日間、日本とドイツが共同議長となって、東京で第1回戦略対話を開催しますので、お知らせいたします。
 それからもう一点、5月末までに皆様にお伝えをしようと思っておりました、環境省のフロアのLED化の話と、それからPCB使用安定器入り蛍光灯のLED化、どこまでできるのかというお知らせでございます。今年3月にパナソニックの長榮会長がおいでになった時にその話を皆様にしたかと思うのですが、まず環境省のフロアのLED化の調査をいたしました結果です。執務室の移転等を行わなくても、全フロアのLED化工事が可能であるという調査が完了しましたので、早期に実現できるように予算の獲得を含めて具体的に作業を進めてまいります。また、PCB使用安定器入りの蛍光灯についてですが、全国でおよそ87,000個が使われていると推計されておりますので、これらが全てLED化されますと、10年間で65,000トンのCO2削減が可能になるということが明らかになりましたので、こうしたPCB使用安定器入りの蛍光灯を含めて、LED化を後押しするための方策について早急に検討するように指示をいたしました。長くなりましたが、こちらからは以上です。

2.質疑応答

(問)読売新聞の野崎です。幹事社から1点、今ご発言にありましたが、G7サミットの首脳宣言、この中にパリ協定の年内発効という目標が今回盛り込まれました。日本は議長国でもありますし、やっぱり早期国内手続を進める必要があるのではないかと思うのですが、その際に次の通常国会ではなくて臨時国会で手続を行わなければならないのではないかと思うのですけれども、そのあたりの見通し、大臣の考えをお願いします。
(答)何分にも国会でご審議をいただかなければなりませんので、今後、国会がどのようになっていくかという見通しは、我々は予断を持つことはできません。できる限りの努力は我々としてはしたいとは思いますけれども、こればっかりは今何とも申し上げられないです。首脳宣言には本年中のパリ協定の発効という目標がありますから、これを十分、念頭に置いて取り組みたいと思います。
(問)大臣として、その目標というのはお持ちですか。
(答)まず政府部内で、そのことについて前向きに理解をしていただくということだと思います。

(問)日本経済新聞の川口です。今のパリ協定の件に関してですが、先進国ではそのように首脳宣言をしました、目指しますと。一方で、中国、インド、こういう大量に排出している国がありますよね、これをどういうふうに年内に発効させるのかというのは結構キーになると思うのですが、日本として中国、インドとかにどういう働きかけをしていって、年内発効を目指させるのか、その辺どういうお考えでしょうか。
(答)秋のG20に向かってよく諸外国と連携していくことが重要だと思っています。私もできるだけこれまでも日中韓三カ国大臣会合ですとか、あるいはG7の環境大臣会合等の機会を利用して働きかけをしてきたところですが、早期発効も重要ですけれども、意義ある発効が重要だと思っています。それは主要な排出国が、しっかりと関わって参加をして発効をするということ、加えて、発効をした後、国内対策を着実に継続的に実施をし、そして目標を前進させるということ、ここまでの意識を共に共有していこうという働きかけをこれまでもやってまいりましたが、私自身が国会も間もなく終わりますので、機会をとらえて主要国に働きかけを行っていきたいと思います。

(問)NHKの橋本と申します。環境白書についてコメントをいただきたいのですが、地球温暖化対策が新たなステージに入ったということで、かなり例年になく温暖化対策を全面に打ち出したような内容かなと思いますけれども、これを受けて国民に対してどういうメッセージを出していきたいかという総論がまず1点伺いたいということと、あと各論で家庭に対するメッセージとして、排出係数が少ない電力会社を選択することが望ましいというような電力自由化の記載もありますけれども、各論に対して大臣からメッセージといいますか、大臣として伝えたいこと、2点お願いします。
(答)まず国民の皆様への発信ということでは、改めてこれを節目にこれまでの我が国の取組の歴史も思いを込めて白書に書かせていただきました。今度の目標は、ライフスタイルを変えるというと、なかなかわかるようでわからない話ですけれども、相当革命的な取組をしないと地球温暖化対策は次のステップに進まないということを国民の皆様と共有できるような発信をしていきたいと思っています。一日にして成る道ではないので、日々の取組の中でどういうことができるかというのをこれからCOOL CHOICE推進チームでより具体的に発信をしていきたいと思います。メンバーにも相当、国民の皆様にとって身近な発信ができる方や企画についてアイデアをお持ちの方にもお入りをいただきましたので、そうした方にもご尽力を、お知恵をいただいてやっていきたいと思っています。
 排出係数の低い電力を選ぶということについては、業務部門、家庭部門で40%削減していただくといううちの実に26%が電力の排出係数の改善によるものですから、改めてその点は少し分かりやすく、もうちょっと国民の皆様にお伝えしなければいけないと思いますし、これは我が省だけでできる話ではありません。経済産業省、また消費者庁とも連携をしなければならない話だと思いますので、よくそのあたりを私からも意思疎通を図って、働きかけをしていきたいと思っています。

(問)共同通信の川口です。G7のサミットの関係で1点、それから環境白書の関係で1点お伺いできればと思います。先ほどにもご質問に出ていた2016年中の発効という目標に関してですが、大臣から政府部内で前向きに理解してもらうというお話があって、一方で臨時国会がもしあるのであれば、いつという話もこの先見えてくると思いますが、大臣としてはいつ頃までに政府部内で方向性を示すべきだとお考えでいらっしゃいますか。
(答)方向性という意味で言えば、4月に署名式に参加したという時点でもう方向性は十分示されていると思いますし、私は個人的に、G7に関連する首脳会合等でおいでになった諸外国の大臣には、その旨はお伝えしておりまして、特にEUのようにこれからバードン・シェアリングをこれから発表するようなところもあって、皆意志はあってもそれぞれの手続は、それぞれ地域のあるいは国の必要な時間というものがあるということはお互いに理解した上で、お互いの意志は確認をしてまいりました。そのことはよく理解をされていると思いますので、我が国として意志を持っていることだけはしっかりと発信をし続けていきたいと思います。一方で、国会のことについてはできる限りの努力をしますが、やはり政府にとって限られた日程の中で、どのように審議をしていくかというのは別の課題でありますので、それはそれとして取り組んでいきたいと思います。
(問)追加ですみません。現実的に臨時国会でTPPと補正予算があることを考えると、かなり時間が限られると思うのですが、一方で今回サミットの中で2016年中の発効の目標をG7として打ち立てたということもあって、大臣としては臨時国会では厳しい時間の中でも、この次の通常国会までには必ずとか、どのくらいまでには確実に国内の手続を進めたいとお考えなのでしょうか。
(答)私の希望としては、少なくとも次の通常国会中にはお願いしたいと思っております。
(問)環境白書の関係なのですが、原子力についてIPCCの第4次報告書の指摘を引用する形で、原子力エネルギーは成熟した温室効果ガスのベースロード電源ではあるけれども、世界における発電割合は低下しているですとか、各種の障壁とリスクが存在するという指摘が今回の環境白書の中で書かれています。一方で、今回のG7サミットの文言を見ると、原子力は将来の温室効果ガス削減に大いに貢献し、ベースロード電源としても機能するという形で、多少表現に齟齬がある、具体的に申し上げると、発電割合の低下ですとか、リスクですとか、そうした観点のG7サミットのこちらのほうに入っていない気がするのですが、そのことに対して大臣どうお考えですか。
(答)この間、COP21からG7富山環境大臣会合まで、環境大臣のみならず、エネルギー担当大臣でかつ環境大臣を兼ねておられる方を含めて、様々な諸外国の特に主要国の大臣と交流する機会があって、腹を割って話すような機会もありました。そうした中で、それぞれの立場、また国において、どのように原子力発電をベースロード電源として地球温暖化に貢献するかしないかという視点を持って、あるいはどのようなリスクがあるか、それぞれの立場あるいは国のエネルギー安全保障の観点から捉えていることを感じ取ってまいりました。G7首脳宣言の考え方は、先進国として取りまとめた意見でありますけれども、我が国が個別の政策としてどう考えるのか、まさに我々が直面している現場現場の課題、あるいは国民の感情・思い、それから未来に向かってどういう技術を開発させていくかというようなことも深く関係していますので、そうしたことを踏まえて、決して今決まっているものが全てではないという思いで、その時その時の直面する課題を解決しながら、目標は一つでありますから、そこに向かっていくつかの描ける道筋をより具体的に描いていきたいと思います。
(問)何度も追加ですみません。大臣の個人のお考えとしては、原子力エネルギーは温室効果ガスの排出削減に貢献するかしないか、それからリスクがあるかないか、どう考えていらっしゃいますか。
(答)どのような発電にもリスクはあると思います。この点はリスクがどのような質のもので、どのような大きさのものか、ということをよく考える必要があると思いますが、いずれにしても、原子力発電については、大変恐縮ですけれども、今の私の立場からは具体的に何か思いを申し上げることはできないことを理解していただければと思います。

(問)新潟水俣病について、熊本日日新聞のオカと申します。昨日、最高裁判断を踏襲する形で7人を認定する判決が出ていますが、大臣のご所感と、認定基準を見直すお考えがあるのかどうかという点について教えてください。
(答)30日の新潟地裁の判決の詳細をまだ省内でも確認をしているところでございます。何より当事者が新潟市ですので、新潟市がまずどのようなご対応をお考えなのかということについて、よく見させていただいているところです。環境省としては、まず新潟市がどうお考えになるかということを踏まえて、理解をしたいと思います。

(問)産経新聞です。パリ協定の関係なのですが、先日アメリカの大統領選で共和党の候補者にほぼ内定したトランプ氏が、当選したあかつきには撤退すると宣言されましたが、大臣としてこの点についてどう捉えているでしょうかという点と、G7の各国の大統領がアメリカが脱退するかもしれないという可能性について、どのように捉えてらっしゃったというふうにご認識されていらっしゃるのかという点についてお聞きします。
(答)まだ大統領候補でありますので、発言の逐一を私が何かコメントすることは控えさせていただきたいと思います。環境大臣会合でのお互いの受け止めとしては、極めてパリ協定及びパリ協定を実施していくプロセスについては、皆様たいへん前向きな思いをお持ちでしたので、それだけはお伝えさせていただきたいと思います。加えて我が国としても、首脳宣言にもありますとおり、本年中のパリ協定の発効という目標を念頭において早期締結を目指していく方針には変わりはありません。

(問)共同通信の佐々木と申します。先ほどの新潟水俣病の判決についてなのですが、熊日さんの質問の中で、基準見直しについてご質問があったかと思います。お答えがなかったようなので。
(答)まず、判決の内容を精査させていただいて判断をしたいと思います。

(問)共同通信の津川です。安倍内閣の一員としてお伺いします。安倍総理が、自民党・公明党両党と会談したり麻生副総理との会談、今日の党内調整を踏まえて、明日にも消費増税について再延期するという会見をするようですが、この動きについて閣僚の一員として受け止めがあればお願いします。
(答)アベノミクスが、今日も完全失業率、また有効求人倍率等の発表をもって、たいへん雇用の面においては着実に成果を出しているということは、間違いがないと思っております。一方で、世界経済においても、特に新興国のリスクが高まっていることは皆様もご承知のとおりでありまして、そうした中でG7の議長国を務めて世界経済のけん引役の一つとして、どういう責任を果たしていくのかということは、日本政府にとっても大きな課題であると思います。それ以上のコメントは控えさせていただきます。