大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年3月22日(火)9:19 ~ 9:42  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 まず、環境大臣室にLED照明をこの週末工事をして導入しましたので、お知らせいたします。地球温暖化対策の政府実行計画の柱として、LEDの導入ということを掲げさせていただいておりますが、環境省でも26階と3階で、導入したものとしていないものを比較した時に60%ほど削減できたということがございましたので、この連休中に大臣室にLED照明を導入いたしました。このLEDがたまたまパナソニック製でございましたので、本日パナソニックの長榮会長という方がこれまで入社以来、照明にも長く携わってこられた方ですので、長榮会長を大臣室にお招きしてお話をお伺いする予定です。詳細については、後ほど事務方からお知らせいたします。
 政府関係機関移転基本方針の決定について、お知らせいたします。本日開催されました「まち・ひと・しごと創生本部会合」において、「政府関係機関移転基本方針」が決定されました。環境省関係では、国立環境研究所の一部機能を滋賀県へ、環境調査研修所の一部機能を福岡県及び熊本県へ、それぞれ移転することが決まりました。環境省としては、昨年12月、具体的な検討を進めるとされた3県のご提案について、各県のご要望等を踏まえ検討を行いました。本機能移転を契機として、地元自治体等による地方創生の取組との連携を図るなど、今後も地方創生の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)日本テレビの杜です。1点目なのですが、先週末に大臣は四日市公害の現場を視察されたと思うのですが、視察の感想と四大公害病を始めとする、いわゆる公害問題に対する大臣の取組、それから心持ちについて改めてお聞かせください。

(答)私は四日市の街を初めてお邪魔させていただきました。ちょうど開館から1年を迎えようとしております「四日市公害と環境未来館」にお邪魔をして、その歴史を市長と館長と一緒に拝見させていただきまして、当時の歴史を生々しく残す資料がたくさん残されておりました。特に、被害者の方は非常に重い喘息をもたれている方がしゃべっておられる録音をヘッドフォンで聞ける装置があるのですが、大変苦しそうな息づかいが当時のままに残されておりまして、大変心に残りました。イタイイタイ病の資料館を視察した時もそうでしたが、今回も、訴訟の原告になられた方、あるいは被害者の家族の方と話をさせていただいて、本当にこれだけの重い被害と、そして戦いを背負っておられながらも、最後は被害を自分たちに与えた企業と一緒になって、環境の回復に取り組んだということを二つ共の場所で伺いまして、これだけの苦労をされた方の言葉だからこそ、今後の我々の社会というのは、この歴史を踏まえて事業などを始める場合には、そもそも環境を損なうことがないように、ひいては人の命を損なうことがないように、その事業を進めていくことが前提だ、と皆が考える社会をつくっていかなくてはいけないということを、改めてお話を伺って思いました。こうした悲惨な被害、犠牲を二度と繰り返してはいけないという思いを強くすると同時に、そうした地元の皆様方が我々の歴史を是非、世界に向かって発信して、また世界で同じ被害が繰り返されないように努力をしたいというお気持ちを強く持っていらっしゃることに心を強くしまして、私としても日本国内はもちろんですけれども、世界に向けてそうした被害が繰り返されることのないような取組を続けてまいりたいと思います。
(問)2点目なのですが、先週も少し話が出た原子力防災についてなのですが、事故が起きた場合のSPEEDIの利用に関してなのですが、原子力規制委員会は、かえって混乱をするという考えを示していまして、規制基準に関しては、政府は原子力規制委員会の方針を尊重するということになっているのですけれども、避難に関しては規制委員会は独立した一つの考え方であるということで、それとは若干違うような形で、原子力関係閣僚会議で方針を決めているところがあるのですが、その辺りに矛盾があるように思うのですが、大臣はいかがでしょうか。
(答)規制委員会が専門的、技術的観点から予測的手法を緊急時の防護措置に活用しないこととしているということは我々も承知をし、また専門家の意見として尊重されるべきと考えておりますが、一方で我々が国としての避難の指示を出した後、具体的に避難を、もちろん我々も一緒になってですけれども、住民の皆様方にお伝えし、また行動を共にされるのは地元の自治体の皆様でありまして、より住民や地域の皆様に近い自治体の判断も極めて重要であると考えておりますので、今後、予測的手法をどのように活かしていくのかということについては、地域の協議会で丁寧にお互い理解をして、議論を詰めてまいりたいと思います。

(問)テレビ朝日の吉野です。規制委員会は私は聞いているのでよくわかるのですが、重大な事故が起きた時に、設置されている線量計を基に避難指示を規制委員会委員長が判断することになると思うのですが、これはそういう方向性で、一旦国が決めたものを政府の閣僚会議で決めてしまったことが、そうではないと、地元がSPEEDIを使うことに関しては、止めないということなのですが、これは二律背反するんです。もし万が一、両方発動されてしまったら、地元の人は大混乱に陥るんです。これはどっちかを選択するしかないのですけれども、これについてはどうやってすり合わせるんですか。
(答)実際の現場でどのように避難を組み立てるかということについては、おそらく防災訓練で現場にいらっしゃっているので、よくおわかりになっていると思うのですが、県の災害対策本部と我々が常に訓練する時は、複合災害が起こって、同時に進行しているという前提で訓練をするわけですけれども、こうした中で、常に県の災害対策本部と通信施設を通じて常にすり合わせをしながら瞬時の判断をしております。ばらばらにそれぞれの判断が出されるということは、実際に訓練をやっている場面でも考えられないことですし、我々が持っている情報と、自治体としてこうしたいということを、計画の段階でもそうですけれども、現場でもすり合わせをしながら実際の避難を進めてまいります。そうしなければ、実動部隊を最終的に出させていただくことになる場面も出てくるわけですけれども、これは原子力防災のみならず、自然災害の方の防災対策本部を通じて、全体の調整をするわけですので、実際に県はこっちに逃げたいと言っています、国はこっちに逃げるべきだと言っています、ということを調整しないままでは絶対に実動部隊は出せませんから、その場できちんと議論するというのは当然やっていくことです。事前の段階でどうするのかということが、今の段階の議論での一歩であろうかと思いますけれども、それはまさにこれから地域原子力防災協議会でどのようにお使いになりたいのかということは、我々もまだ子細に聞いているわけではありませんので、どの場面でどの判断にお使いになりますかと、その時に我々の持っているデータはこういうデータになりますけれども、どの段階でどうすり合わせをするのが望ましいでしょうかということを含めて全部積み上げていきますので、実際に現場でこれを進めて行く上においては、むしろこれからの協議において、齟齬が出ないように協議をすることができると考えております。
(問)SPEEDIの使い方は事前にデータをインプットして、新潟県知事が言っていることは、放射線を浴びさせたくないから事前にデータをインプットして、ある程度避難させる方向性を決めるんだと、しかし規制委員会が今やろうとしているやり方というのは、実勢の線量に即して避難の指示をすると、つまり二律背反するんです。しかも時間にもずれが出てきますので、これをどう調整していくのか、というのが全くわからないのですけれども。
(事務方)自治体の方から、規制庁も含めなのですが、SPEEDIについては話を頂いておりましたので、私もこれまで何度も規制庁と一緒に説明に行ってまいりましたけれども、都道府県の理解の浸透には、まだばらつきがございまして、引き続き規制委員会の判断の考え方を、規制庁と共に説明していかなければいけないという実態はあると認識しております。それも含めて、関係閣僚会議でしっかり調整をしろという指示をいただきましたので、引き続き規制委員会の考え方をまず理解していただけるというのはやってまいります。
(問)要は説得していかなくては駄目なんです。大臣がおっしゃっているのは調整するとか、話し合うとか言っていても、考え方の問題というか、二律背反する避難指示の仕方なので、説得するという事務方の考え方が100%正しいんです。これは地元を説得するしかないですよ。調整しようが無いですよ。やり方は一つしかないので。

(問)河北新報の門田です。宮城の指定廃について、先週の市町村長会議の結果を踏まえて、県知事が候補地の返上の可能性を示唆し、詳細調査を延期の要請をするという発言がありましたけれども、今後の対応について教えていただけますでしょうか。
(答)今朝、村井県知事から井上副大臣の方に申入れを頂戴いたしておりまして、詳細調査を凍結していただくようにということで、お伺いをいたしました。私どもとしては、このご意向を最大限尊重してまいりたいと思っております。
(事務方)村井知事の方から凍結の申入れを今朝いただいたのは事実でございます。それに対しましては、県としての処理方針を国から当日説明しました処理方針を考えたいとそのために時間をいただきたいと、そういう意味だと受け取っております。
(問)今後の対応はどうなるんでしょうか。
(事務方)県の方でもお決めになるのに時間がかかる、次の市町村会議まで1か月ぐらいかかるというふうに聞いておりますので、それを待ちたいと思っております。
(問)つまり、地元のご意向を最大限尊重するというようなことでよろしいですか。
(答)そのとおりです。
(問)もう1点なのですが、宮城は指定廃に関しては一番進んでいると言われていた所だったんですけれども、茨城の方が先になってしまって、途中で候補地返上が出てきたりとか、混乱を来して地元の自治体が非常に困惑したんですけれども、この原因はどんなところにあると思いますでしょうか。
(答)今までの経緯の積み重ねもあるかと思いますが。
(事務方)決して混乱をしていたわけではなくて、国の方針としては、1か所に宮城県については長期管理施設を造らせていただきたいということで、詳細調査候補地に対して、詳細調査を行わさせてというふうに一貫した方針を持って当たっていたということだというふうに考えております。
(問)一貫されていたかもしれませんが、結局は地元では混乱が生じてしまったんですけれども、そのことについては大臣どのようにお考えでしょうか。
(答)もし、皆様方が混乱をしたということであれば、本当に申し訳ないことだと思います。私どもとしては、8,000ベクレルを上回るもので、減衰に時間がかかるものは引き続き1か所に各県で集約をしていただいて災害等に備えたきちんとした施設で保管をしていただきたいと考えております。それに向かって、私どもの方針を受け止めた上で、やはり県でご議論をされたいということでございますので、これについては調整のお時間というのはしっかり取っていただいてお考えを私どもとしてもよく伺ってまいりたいと思っております。
(問)もう1点なのですが、その中で知事は3候補地の返上の可能性も示唆したんですけれども、その辺に関しても、地元のご意向がそうなった場合には尊重するというような受け止めでよろしいでしょうか。
(答)知事が今回お話しになった件というのは、私どもとしてどう受け止めているのかというと、白紙撤回をしたわけではなくて、それ以外の選択肢を含めて、市町村長会議で再度協議をするということだと理解をしております。いずれにしても今後、市町村長会議の議論をまずしっかりと私どもが見守って、そしてその結論が出た際には、再度受け止めて議論させていただければなと思っております。

(問)福島民友の菅野です。今月中に中間貯蔵施設の整備方針がどんな形になるかはわかりませんけれども、出すというお話をされていましたけれども、月末に近づいてきましたけれども、いつ頃出されるご予定でしょうか。
(答)月末までに出す予定でございます。
(問)国会でも何度も審議になっていますけれども、内容としては今どのようなものを考えていますでしょうか。
(答)どのくらいの敷地面積を今後取得できていくかということに合わせて、段階的に施設を整備していくということをお示ししていきたいと思います。
(問)原子力防災の関係なんですけれども、実際に避難の現場を近くから見たものからすると、やはり一番重要なのは避難する方にどれだけ情報をあたえるかということだと思います。情報のない避難というのは、仮に合理的であっても、後々納得できない避難につながると思います。という意味でSPEEDIというのが活用と方法が今後議論されております。また、自治体の首長が実際に避難の責任を持つわけです。住民の健康、安全そいうものを全部責任を持って判断していかなきゃならない中で、やはり情報について国としてはどのように提供していくのでしょうか。
(答)福島の事故の反省を踏まえて、住民の方たちにどうやっていち早く情報を届けるかということについては、私どもも心を砕いてまいりました。エリアメール等でお伝えするということはもちろんですし、防災無線の強化、また伝達のための施設の整備ということについては、特段に力を入れてやってきたつもりですが、今、テレビ朝日の吉野記者からご質問のあった件については、地元の自治体の皆様によく理解をしていただいて、一緒にやっていただくということは極めて重要でございまして、なかなか私の立場から地元の自治体の皆様がどの程度ご理解をいただいているかということは申し上げにくいところでございます。いずれにしても当初の計画の段階からよく議論して、一体何のためにこの情報をお伝えするのか、それはどう活かすべきものなのか、そして我々が予測的手法を持っているけれども、この予測的手法はどこまでの限界があって、どういうふうに活かし得るものなのかということをまず共有していただくということが、その地域原子力防災協議会を始める上での前提でございまして、我々はその共有があって、そこからこの地域原子力防災協議会の議論をスタートして、計画を立てさせていただいております。

(問)環境新聞です。丸川大臣は環境政策史、環境政治史に残る大臣になるんじゃないかと思っております。というのも、今、消費増税の見送りの問題及び景気対策として補正予算の編成の話もちらほら出てきております。そういう中で、先月26日に大臣の長期戦略気候変動懇談会が大型炭素税の導入を提言している。一方、首総官邸で開かれた国際企業経済分析会合の初日で先週の火曜日にスティグリッツ教授が消費税を見送ると同時に景気対策としても環境投資を盛んにするための炭素税を導入するべきだというふうに言っております。スティグリッツ教授の提言はまさに丸川大臣の先月26日に行った提言で、我が意を得たりではないかなと思っておりますが、関連して先ほど提言の中でもLEDの普及は非常に提言の中で言われておりました。それで先ほども大臣室にLEDを付けたと、パナソニックの会長をお呼びしてお話を聞くと。これはまさに補正予算で環境省は音頭を取ってLEDの普及や、その他省エネ関係をやる機会なのではないでしょうか。
(答)16日の水曜日に行われました、国際金融経済分析会合でスティグリッツ教授が炭素税について本格的な炭素税の導入について言及されたことは承知をしております。以前からスティグリッツ教授はそうしたことをご主張いただいておりましたけれども、我が国において、しかも官邸の皆様の前でそういうことをご発言をいただいたというのは、大変我々にとって、心強いことでございます。今後2030年、また2050年目標に向かって、私たちが取り組んでいく中で、炭素税、また排出量取引制度というものは、経済的なインセンティブで社会を動かしていくという意味においては、非常に有効な政策手段であると私も思っておりまして、今後、様々な場面で機会を捉えて予断を持つことなく、こうしたものの導入の可能性について、社会がどう需要するか、そしてそれが我が国の経済においてどのように活かし得るかということについては、議論の機会があればと思っております。
(問)補正予算はどうでしょうか。
(答)補正予算があってもなくても、我々は、LED化に一生懸命取り組んでまいります。