大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年3月15日(火)9:07 ~9:30  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 今日は、地球温暖化対策推進本部がございまして、「地球温暖化対策計画」と「政府実行計画の骨子」について、パブリックコメントにかける案を取りまとめました。地球温暖化対策計画案については、「2030年に26%削減する」との中期目標の達成に向けた道筋を明らかにすることができたこと、長期的な目標として、2050年までに80%削減を目指すことを基本的方向として位置付け、我が国がパリ協定を踏まえて、気候変動問題の解決に貢献していく決意を示すことができたことは、大変意義があると思います。政府実行計画の骨子案では、2030年度に政府全体として40%削減という目標を掲げました。対策としてはLEDの率先導入が大きな柱になると考えています。環境省のフロアで、LEDに全て取り換えたフロアと、換えていないフロアを実測したところ、省エネ効果は約60%という実測値が出ていますので、私からも各大臣にLED化を率先して導入していただくようにお願いを申し上げました。地球温暖化対策計画と政府実行計画についてはパブリックコメントを踏まえてとりまとめて、5月上旬頃の閣議決定を目指してまいりたいと考えております。加えて国民運動を強化するための推進体制についてもご了解をいただきました。環境大臣の私がチーム長となりまして、経済界などをメンバーとして効果的な普及啓発を行うための「COOL CHOICE推進チーム」と、関係省庁の連携強化を図るための連絡調整チームを設置いたしまして、環境省として普及啓発の実施計画を策定することとなりました。これにより民生部門4割削減の達成に向けて普及啓発を強化していきます。2030年の目標、それから2050年までの長期的な目標に向けては、国民の皆様の意識をいかに変えていくかということが重要でございますので、長期戦略懇談会からご提言いただいた未来の絵姿というものと同時に地球温暖化に対する危機感を共有していただけるように、しっかりと国民運動を展開してまいりたいと思います。

2.質疑応答

(問)日経新聞の川口です。原子力防災についてお伺いしたいのですけど、昨日、朝日新聞でモニタリングポストの話が出ていたのですけれども、京都についてなのですが、本来、整備しなければいけない箇所があったのにも関わらず、未整備のまま再稼働してしまった、そういう記載があるのですが、まずこの事実関係がどうなっているのですか。
(事務方)京都の整備状況ですけれども、まず現在の設置状況としてはPAZ圏内に低線量の検出器が2台、高線量の検出器が2台、そしてUPZ(5kmから30km圏内)に低線量検出器が14台、高線量検出器が14台、そして27年度、3月中ということですけれども、さらに増強予定のものがUPZ圏内に高線量検出器が27台増強予定となっております。
(答)避難計画の緊急時対応を作る時点において必要な、最低限人の住んでいる所、学区ごとの中でも、大体地域の絆ができているところに対して、モニタリングポスト一つという考え方でやっておりますけれども、現状置いてある測定機器のデータを使えば、避難の指示が出せる体制が整っているという理解です。
(問)朝日新聞のこの記事では2月末時点で、27カ所で66%が未設置だったと、これは事実なのですか。
(事務方)27台は現在増強中でございます。
(問)増強中かどうかではなく、高浜原発が再稼働した時に未設置だったのですか。
(事務方)そうでございます。
(問)事実なんですか。
(事務方)はい。
(問)その上でお聞きしたいのが、そういう取り決めがあるわけですよね。規制庁の5㎞間隔程度の目安に基づき、という。それを前に再稼働してしまう。ちゃんと調べもしないで、ということになっていると思うのですが、これは原子力防災の立場として、今後自治体任せにしないで国としてきちんと調査した上で、それで再稼働するというような形にするべきだと思うのですが、その辺はどうですか。
(答)自治体との連携は非常に重要だという認識は持っておりますので、今後ももちろんやっていきますけれども、改めて我々が歩みを共にしてきちんと進めているかということは今後とも確認をしてまいります。
(問)これから再稼働するということも多いと思うのですけれども、その場合も国としてこういったモニタリングポストがきちんと整備されているかどうかというのはきちんとしなければならない、そういうことでしょうか。
(答)ご承知かもしれませんが、固定型以外に可搬型がありますので、今回の場合は可搬型でカバーができるという前提に立って大丈夫だという判断を我々がしたのですが、もちろんこれから随時更新をしていく中でカバーがきちんとできているかということは常に確認して前に進んでまいります。
(問)国としてやるんですか。
(答)もちろん国としてやっていきます。

(問)朝日新聞の小坪です。大臣にご紹介いただいたLED化したフロアとそうでないフロアで60%、これは照明に係る分が60%なのか、消費電力全体の60%なのか、その辺を教えてください。
(事務方)照明の消費電力だけ分けて測定しています。照明の消費電力の部分で6割削減ということでございます。
(問)全体だと、どのくらいというのはわかるのですか。
(事務方)大まかに言いますと、照明の消費電力が全体の消費電力の約3分の1でございますので、3分の1の部分の6割削減でございますから、全体で言うと、2割くらいかと思います。
(問)LEDに換えると大変効果があると思うのですけれども、大臣のお宅のLED化率とか、その辺はあるのでしょうか。
(答)LED化率まではちょっと計算したことがないのですが、うちは順次LEDに取り換えをしておりまして、率と言われると100%かどうかは全部調べたことはありませんが、ほぼLEDに換えております。業務用のビルというのは家庭みたいにバルブを換えるだけでは駄目なところもありまして、まずLED化ができるかどうかというチェックをして、それから上のソケットの部分も含めて取り換えをしなければならないので、順次その作業をやらせていただこうと思っております。

(問)共同通信の川口です。温対計画の関係で3点お伺いしたいと思います。民生部門で4割削減という話なのですけれども、LEDにしても省エネ機器にしても、それを入れるためには国民の皆さんが入れようというようなインセンティブが働かないとなかなか難しいのではないかと思うのですが、そこは呼びかけるだけではなくて入れたくなるような、例えばエコポイントのようなものもこの先考えていかれるのかどうか、今後の施策の展開についてもう少し教えてください。
(答)エコポイントということになりますと、かつてのエコポイントでご記憶にあるかと思いますが、相当大がかりな仕組みを取り入れなければなりませんので、より取り入れやすい形で、そうした取組ができるようにするにはどうすれば良いかということは、今議論をしている最中でございます。
(事務方)買い換えるとお得な家電製品というのはたくさんございます。LEDも電球型は1年以内で元が取れます。ご家庭であまり蛍光灯をLEDにされている方は少ないかもしれませんけれども、蛍光灯もおそらく少し時間はかかりますけれども、何年か経てば元が取れるようになっておりますので、どれくらいで元が取れるかという経済的メリットをわかりやすい形でPRしていきたいと思います。それも国からだけだと皆様に届かない可能性がありますので、販売店ですとか、それを供給するメーカーさんなどのルートとも共同してわかりやすい形で伝えていこうと思っています。大臣からは最近はe-ビジネス、インターネットビジネス通販などもありますので、そういったところとも連携しなさいというご指示をいただいておりますので、そういったところも含めてもうちょっとエッジの利いた、動きやすいやり方というのをいろいろと工夫していきたいと考えております。
(問)家庭・オフィスの削減の関係でもう1点なのですけれども、LEDですとか省エネの機器ですとか、それも重要なのですが、電力の多くはどんな電気を使っているか、どんな物でどんな排出をするもので電気をつくっているかということに多く関係してくる部分もあろうかと思いますけれども、環境省として低炭素の電源を選ぼうという視点は、今後政策を考えていくご予定はありますか。
(答)この前、経済産業省に基準を変えていただく中の一つの取組として、電源を公開するということを望ましいことだと言っていただくというふうにしておりますが、我々としては自由化の状況も見つつ、そういう気運を高めていけるようなメッセージを発信できたらいいなと思っております。
(問)何らかのメッセージを発することを考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
(答)まだ私の段階ですけれども、できれば良いなと思っております。
(問)30年目標の関係でもう1点お伺いしたいのですが、この前の高浜の差し止めなんかもあって、30年時点で原子力発電がエネルギーミックスの想定どおりに動かないようなことも、あらかじめの準備として考えておくことも、頭の体操として必要なのではないかと思います。そこで、原子力が想定どおり動かなくて、再生可能エネルギーも全てそこの足りない部分を充当するところまでは伸びなくて、火力発電を炊き増ししなければならないような事態に備えて、どんなことをあらかじめ環境省内で検討しなければならないというふうに大臣はお考えでいらっしゃいますか。
(答)少なくとも2050年の長期戦略の中でCCSということが出てきていて、まだ実証の段階でございますけれども、相当これには力を入れていかなければいけないのではないかと思っております。ご指摘のような事態は、一つの想定としてあり得るかもしれませんが、我々としては2050年に向かって今までの取組の延長ではいけないということをずっと申し上げておりますけれども、それについて検討するのが早まるということかと思います。2050年80%の削減目標に向けては環境省として長期ビジョンを策定したいと考えておりまして、今後その作業を進めてまいりますけれども、そうした作業の中でよく検討していきたいと思っております。

(問)30年26%の話を今お伺いしているので、50年というのは更にその先の話で、26%でも難しいのに更に80%というのは相当思い切ったことをしないと難しいと思うのですが、どんなことを考えていかなければいけないと大臣はお考えでいらっしゃるのか、大型炭素税なのか排出量取引なのか、今おっしゃっていただいたCCSなのか、どんな対策が必要だと考えていらっしゃいますか。
(答)排出量取引についても最終的に手段として最初から捨ててしまうのではなくて、そういうことも念頭に置きながらあらゆる手段の内の一つとして、慎重にではありますけれども検討すべきだと考えております。ただそれが2050年までのタイムスパンの中で検討していくのか、それともエネルギーミックスが今後またもし見直しということになると大議論になろうかと思いますけれども、そういうものの中で思っていたよりも早くいろいろな事を考えなければいけなくなるのかというのは今後の状況次第かと思いますので、そういうことがあるとも無いとも言えない中で検討だけはしておくということは重要だと思っております。
(問)炭素税に関してはいかがでしょうか。
(答)炭素税に関しても、国民の皆様にご理解いただくということが重要だと思いますので、そのベースとしても国民運動をしっかりとやっておかなければいけないと思います。議論はドラスティックに変えていかなければいけないという時に我々としても持ち出すタイミングがあるかもしれないと思いますが、まず先におそらく長期戦略懇談会でも言っていただいておりますけれども、エネルギーを全て電気由来のものに変えていくということだったり、更なる省エネということだったり、あるいは今、業務部門で特にビル・建築物についての省エネ化を進めていただくことで国土交通省が段々と規制とステップアップさせていきますけれども、そういうものとの見合いの中でどうなっていくかということをしっかり見ていきたいと思っております。

(問)下野新聞の須藤です。指定廃棄物についてなのですが、11日に塩谷町議会の方から大臣宛に個別訪問に関する抗議文が届いていると思うのですが、これへの受け止めと今後のご対応方針について伺えますか、
(答)抗議文、受け取らせていただいておりまして、内容も拝見いたしました。不安と混乱に陥れるだけだというご指摘は真摯に受け止めたいと思います。その上で、昨年の夏以降に各行政区の区長さん、あるいは団体の役員の皆様のところには訪問させていただいておりました。直接ご意見をお伺いするというのは重要だと、改めてご訪問を通じて感じていたところでしたので、是非他の住民の方にも、という思いでしたが、強い反発、また不安の声もいただいて、抗議文も含めて、よく我々の中でも受け止めさせていただいて、しばらくの間延期をさせていただくことにいたしました。今後どうするかということについては、県そして町のご意向をしっかりと伺って、また地元の皆様のお気持ちもよく踏まえた上で、検討していきたいと考えています。

(問)フジテレビの加藤です。環境省とは全く関係ないのですが、民主党が新しい党名に変わる、民進党に変わるということですけれども、この名称について何かご意見があればお伺いしたいのですけれども。
(答)特にありません。

(問)北日本新聞の北崎です。今日で2か月前になりますG7富山環境大臣会合についてですが、先ほど示された地球温暖化対策計画は5月上旬メドということで、COP21を踏まえて策定されて、今パブリックコメントをかける段階だと思いますが、会合の中で気候変動等が議題になれば温対計画案に基づいて示せるということですか。
(答)我が国の取組としてご紹介することはあるかと思います。
(問)会合まで2か月ということで、議長国として議題の選定や地元の県では多めに見て大体200人規模を想定しているそうなんですけれども、G7とEU以外の国、例えば、G20のアジアの国に召集をかける等の準備状況はいかがでしょうか。
(答)議題についてはまだ調整中のところもございますが、パリ協定あるいは昨年の国連での「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、こうしたものを踏まえた、主要国のリーダーと議論するにふさわしい未来の環境政策を議論したいと考えております。
(問)都内でも「G7富山環境大臣会合に向けて」とサブタイトルのついたセミナー等が何度か開催されていますけれども、気候変動以外にも3Rとかいろいろなテーマで開催しておりますが、温暖化以外のテーマは諦め切れていないんでしょうか。
(答)各国、大変興味がありまして、3Rももちろんですが、まだ具体的に申し上げられない部分もあるんですが。
(事務方)補足させていただきます。ご指摘の3Rに関しましては、昨年にドイツで開催されましたG7エルマウサミットにおきまして、資源効率性ということで取り上げられております。G7としての継続性を考えますとこういったものについても射程に入ってくることはありえると思ってます。議題については、依然申し訳ありませんが、各国との調整をさせていただいておりまして、決まりましたらいち早く皆様にお伝えしたいと思います。
(問)例えば、G7・EUとアジア数か国ぐらいの想定という表現がいいんでしょうか。現段階では難しいでしょうか。数か国は参加するということでよろしいでしょうか。
(事務方)G7の各閣僚会合につきましては、それぞれの議題に応じてあるいはそれぞれのお考えに応じてG7・EC以外の国を呼ぶということがあると認識をしております。ただ一方で、G7環境大臣会合につきましては2009年にイタリアで開催されて以来、開催されておらず、できればG7各国の閣僚間での議論を深めたいという意向をお持ちの国が多数ございます。このため、招聘については、現在、どのようなところが本当に閣僚の皆様のご議論に資するのかという観点で、ご相談をしているところでございます。これにつきましては、決まりましたらいち早く皆様にお伝えができるのではないかと思います。
(問)最後にしますが、イタイイタイ病を克服して乗り越えてきたっていう歴史がありますが、大臣ご自身の富山へのご関心はありますでしょうか。
(答)イタイイタイ病を乗り越えた富山の歴史については、私はこの間富山を訪問した時にイタイイタイ病資料館を訪れ、ずっとイタイイタイ病と向き合ってこられた被害者の会の団体の長の方にお会いして、お話を伺うにつき、国際社会の皆様に知っていただきたいと思っております。加えて、富山の素晴らしい自然、特に県・市それぞれに特に富山県の方は森を守るための様々な努力をしていただいております。富山市はコンパクトシティとして世界的にも大変有名でありますので、今の日本の環境に対する取組を見ていただく上では非常にいいショーケースだと思いますので、期待をしております。