大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年2月19日(金)9:52~10:15  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 閣議に関して一つご報告がございます。
 本日の閣議において、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」を決定をいたしました。この政令は、現在134種の国内希少野生動植物種に、ケナガネズミ等41種を追加指定するものです。2020年までに、国内希少野生動植物種を300種程度追加するという目標の達成に向けて、引き続き、残り210種程度の追加に取り組んでまいりたいと存じます。

2.質疑応答

(問)共同通信の阿部です。今日の井上副大臣の出張の件についてお伺いいたします。今日予定が入ってました、大熊町と双葉町の全員協議会に出席されるということなんですけれども、どのようなことをご説明されるのですか。
(答)本日、井上副大臣には、大熊町と双葉町の全員協議会に出席をしていただいて、平成28年度を中心とした中間貯蔵施設の事業の方針をご説明させていただく予定です。方針の具体的な内容については、大変恐縮ですが、大熊町と双葉町の両町の皆様に直接ご説明させていただいた後で、現地で、井上副大臣から皆様に公表させていただきたいと思っております。引き続き、きちんと地元の皆様と協議をしながら、中間貯蔵施設については全力で進めてまいりたいと考えております。
(問)平成28年度を中心としたというおっしゃり方をしていましたけれども、どのぐらいのスパンでの計画になるんでしょうか。
(答)まず、中間貯蔵施設事業の全体の見通しといった時に、どのくらいの時間軸かというご質問だと思いますが、今のパイロット輸送や用地取得の状況を踏まえて、28年度、あるいはその先どうなるかということ、具体的には年度内をめどに皆様にお示しをできればと思っていますけれども、ちょっと時間軸については今ここでは申し上げられませんのでご了承いただけたらと思います。

(問)下野新聞の須藤です。指定廃棄物についてお伺いしたいのですけれども、宮城県の再測定で、実際に測ってみたら、1月末で計算上では8,000ベクレルを下回るものが3割弱だったのが、実際に測ってみたら7割弱という形でかなり大幅に違っていたと思います。今回のことは、なるべく高いところで測ってしまったかもしれないというところが、ミスの理由に挙げられていましたけれども、この問題だけではなくて、GISデータの時も原典に突き当たっていなかったりとか、塩谷町の冠水の話も実際現地に入ってみたら冠水が分かったとか、調べれば分かるというのに、調べずに基礎的条件が間違っていたというようなことが多いようですが、それはなぜなのでしょうか。
(事務方)本来、放射性物質というのは、物理法則によって半減期が全て決まっております。これについては、物理法則ですので、特に実際の濃度は調べる必要はないと今まで考えておりました。つまり、指定申請時に測定された濃度でもって指定申請されているという前提ですので、その数値が分かっておりますので、あとは物理減衰の法則式に当てはめれば現在の濃度が誰にでも分かると、こういう状況にあるというふうに考えておりました。このため、今まで測定をしていなかったということでございます。
(問)こうやって3件続いてしまっていると、全ての基礎的条件とかプロセスを疑問視される声が多く挙がってくるのも仕方ないことだと思うんですけれども。
(事務方)先に挙げていただいたGISデータの部分については、本当に私どもの手落ちでございます。それについては、きちんと精査するということが行われていなかったためということで、当時きちんと検証をしてその再発防止するということを取らせていただいたということでございます。今回のものは、何かが誤っていたということではなくて、先ほど申し上げましたように、本来であれば当然、物理法則でもって誰でも今の値が予測できるという、そういう状態であったということから、これまでは測っていなかった。ただ、これを私どもで、覚えてらっしゃると思いますけれども、再測定を開始するということを去年の夏秋ぐらいのことだと思うんですけれども、一応それを確かめてみようということで、私どもが始めたという経過でございます。そういう意味で繰り返しになりますけれども、GISデータのような誤りとは性格が違うものだと私どもも思っております。
(問)もう一回ちょっと再測定の話に戻しますけれども、本来よりも高いベクレルの指定廃棄物が置かれているということで、そういうことがより風評被害を強めていた可能性もあると思いますけれども、その点についてはどのように受け止めていらっしゃるんでしょうか。
(事務方)今回は、本来より低い結果がたくさん出ていたと思うのですが、おっしゃられているのは可能性という話でしょうか。
(問)測ってみて低くなっていれば、測る前はより高いものがあると認識されていて、より危ないものだと思われていた可能性があると、実際それよりも低いはずなので。
(事務方)それは繰り返しになりますけれども、その指定申請時の値というのは、私どもも公表しているわけで、その値は、物理法則によって減衰して低い値だろうとみんなが思っているところで、当然指定申請時の値というのはそれよりも高い値で皆さん認識していたと思います。
(答)実際にそうであったかどうかについては、証明のしようがないことでありまして、最初の申請されるときに、ガイドラインが徹底されていなかったのではないかという有識者のご指摘もございますので、その当時のこともきちんと検証しながら、今後、再測定値をどのように理解し、また受け止めていくかということについての県と市町村の協議をしっかりと見守りながら、支援できることは支援していきたいと思います。

(問)河北新報の門田です。井上副大臣の宮城県の指定廃棄物についてなのですけれども、井上副大臣が宮城県に訪問に行って3分の1に減っているということを説明された翌日に、また専門家の分析として指定廃棄物が2年後には7%に減少するという報道があり、地元では非常に混乱しているのですけれども、その件についてご説明いただけますでしょうか。

(答)その推計値は我々が出したものではありませんので、確認をまずきちんとするということだと思います。
(事務方)詳細については不明でございますが、私どもが今現在どなたがその計算をしたのかを調べておりますが、恐らく環境省が今回の再測定結果を分析・考察を行っていただいていたどなたかが、その際に提供したデータに基づいて試算したのだろうと考えております。
(問)もう1点指定廃棄物の関係なのですが、再測定で1,000トン程度まで減少したというふうに宮城県に伝えられましたが、それってこれまで説明していた最終処分場の規模では過大投資になると思うのですけれども、その点については今後どのように進めるとお考えでしょうか。
(事務方)宮城県の長期管理施設の選定におきましては、必要面積をあらかじめ計算しておりますが、それについては市町村長会議において、やり方についても公表しておりますけれども、その際の必要面積についての計算におきましては、宮城県における8,000ベクレルにいかないような放射性物質を含むような稲わらとかも、それを焼却して、それを全て長期管理施設に入れるということで必要面積を計算させていただいております。ということですので、一部の指定廃棄物が、3分の2ということですけれども、減衰しているからと言って、結局その稲わらを焼きまして長期管理施設に入れるということですと、必要面積は変わらないということになります。
(問)そうすると指定されていないものというのは、そもそも長期管理施設に入れる必要がないものだと思うのですけれども、そうすると面積的にもちょっと過大投資になるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
(事務方)宮城県の場合、稲わらという種類の指定廃棄物が非常に多くございます。それは指定廃棄物ではない8,000ベクレル以下のものでも稲わらが結構ございます。それについては有機物質でございますので、腐敗したり、あるいはハエ、蚊が発生したり、濡れることによって、より腐敗しやすくなったりと、安定しておりません。ですから、私どもは焼却をするということが、今までの有識者会合の専門家からのご助言でも一番適当であると、中間処理としては適当であると考えておりましたものですから、そういう意味で8,000ベクレルにいかないものについても、あるいは指定廃棄物であるものが8,000ベクレルを下回ったとしてもいずれにしても焼却をする、それで焼却をしますと放射性物質の濃度が10倍程度に上がると私どもは考えておりますので、例えば、今8,000にいかないものについても、私どもの方で焼かせていただいた場合は、当然ながら6,000ベクレルであれば60,000ベクレルくらいになるということになります。2,000ベクレルであれば20,000ベクレルくらいになるということで、いずれにしましても、今指定廃棄物でないものについても、基本的には長期管理施設に入れるべきものになっていくということを、4回やらせていただきました市町村長会議の場で、その計算方法等も全て明らかにして、必要面積はこれだけであるとご説明をして、長期管理施設の詳細候補地を選定させていただいたという経緯でございます。
(問)そうすると指定廃棄物の最終処分場を造ると決めた地域以外の所というのは、損というかそういうのはどのように整理されているんでしょうか。例えば、岩手だと施設を造らずに一般のごみに混ぜて焼却して処理をしている。それはオッケーで、宮城県の場合はそうはいかないというのは、県によって変わってくるというのは処理の仕方が変わってくるのは。
(事務方)もともと一番最初の時点で、指定廃棄物が発生している都県が12ございますけれども、その中で、国が1カ所集約で長期管理施設を造るということをご提案いたしました。その中でご希望のあった5県について、現在も引き続きそうすべく努力をしてきたという経過がございます。ですから、ある意味指定廃棄物というものは、国が処理責任を負っているという点では12都県共通でございますけれども、発生後しばらくしてから、繰り返しになりますけれども、各県の方に、国の方で1カ所長期管理施設というのものを造りたいのですがということをお聞きして、その方式でお願いしますと、国の方で造ってくださいとおっしゃった5県について、これまでそうすべく努力をしてきたと、そういう経緯がございます。

(問)共同通信の川口です。大臣の松本市での講演について、3点お伺いしたいと思います。一つ目なんですけれども、大臣は国会の方で唯一無二のエビデンスが無いとお話されたんですけれども、ご存じのとおり、放射線防護の話は唯一無二のエビデンスが無い中で、安全基準を作ってデータを集めて検証していくというのが、それこそが科学的な態度ではないかというふうに私は思います。そこで100から20だとしても、20から1だとしても、科学的根拠が無いという発言は、やはり間違いだったのではないかと私は思うのですけれども、改めて大臣のご認識を教えてください。
(答)科学的に構築された考え方、理論、モデルから導き出される答えということと、科学的なエビデンスを持って科学的に証明できること、というのは違うというのがまず私の基本認識です。その上で、ICRPの考え方というのは、科学的な理論、モデルに基づいて導き出される政策的な答えのための参考レベルを設定しているという理解です。一方、政策的目標として設定したものが科学的根拠を伴った、科学的に証明されたことというふうに誤解されることによって、科学的に言えることの理解も十分に進まないという状況、あるいは科学的根拠に基づいているという誤解によって、様々な課題が生じているということをいろいろな場面でお伺いし、またそういう認識を持つに至っていますので、この点を、仮に科学的に言えることとしてご理解をいただいた上で、政策判断がなされているという理解がきちんと普及して、なおかつそれが科学的に言える中で、それがどういう政策的判断だったのかということまで伝わっていれば、事態はいろいろとまた状況が変わったかもしれないという仮想・仮定はできますけれども、今課題となっているのは、私は科学的根拠に基づいているという誤解が招いていることについて、今後、復興・創生期間がございますので、乗り越えていけるような環境をつくっていきたいというふうに思っております。

(問)ちょっとよくわからなかったのですけれども、そうすると科学的根拠が無いという発言は誤りだったんですか、誤りじゃなかったんですか。
(答)現実的に撤回させていただいたので、撤回したということに尽きるわけですが、科学的に言えることと科学的根拠があるということは違うので、科学的に言えることという理解をきちんと拡げていくことが大事だと思っています。
(問)二つ目なのですが、昨日、衆議院予算委員会の質疑でも出ていましたけれども、住専問題の、テレビ朝日のお勤めだったときのコラムに書かれた内容と、先日の講演でお話しのあった内容が少し違う内容なのかなというように感じたのですが、昨日の答弁で大臣が、私が書いていることは当時の世論をよく反映しているというふうにお答えになられております。ただ、テレビ朝日の社員であろうが自民党の議員であろうが大臣であろうが、そこは自分の信念というのはあるべきもので、自分の言葉というのは重いものだと思うのですけれども、そのあたり大臣のご認識はいかがでしょうか。
(答)事実関係としてまず、テレビ朝日の社員の時に書いたものであるということを申し上げました。かつ、当時のアナウンサーの所属している部署は、自分で何か文章を発表するときは必ず上司に一度その内容を確認していただいてから、発表するという手続についても申し上げた次第です。一方、私がニュースステーションを始めとするメディアで住専問題を取り上げているときに、メディアの中で公的資金を投入することについて、反対するという世論が形成されていったという過程を見ておりました。私もテレビ朝日のアナウンサーとして、その流れに同調しておりました。しかし、その後の我が国の経済不況が続いていく中で、私を含めた当時のメディアのあり方というものについて、自分自身で疑問を抱くようになりました。私としてはここでした批判の質問、内容も含めてですけれども、やはり自分は、自らの言葉で政策でそれを解決していく立場を目指そうと決断するに至りました。私はテレビ朝日は古巣でございますし、愛着が無いわけではないです。ですので、大変今回の発言については、古巣の皆さんいろいろな思いを持っておられるだろうと思いますけれども、一方で、政治家という立場になった中で、昔お世話になったから何も言えないというのは、むしろ問題だと思いますので、むしろ政治家としてきちんと良いことは良い、悪いことは悪いと、過去の反省に立って、その反省を政策に活かしていくという姿勢が今の私には大切なのだろうというふうに思っております。
(問)そうすると、過去のテレビ朝日の社員さんだった時の発言は誤りだったと、ご自身でお考えになったからこそ、今別のことをおっしゃっているということでよろしいでしょうか。
(答)あの時の発言が誤りだったというのは、あの時はあの時でそう考えていたということで、私は今そう申し上げたのですが、誤りだったというのは発言したこと自体が誤りだったというんですか。あの時に発言したことが世論にどれだけ影響を与えたかということについては、正直、私が今何か申し上げることは無いのですけれども、私が2月7日に申し上げたのは、当時、住専問題の当初の一番最初の平成8年頃だったと思うのですけれども、あの時の世論の形成の時点で、どのようにマスメディアが影響を与えたかということについて申し上げたのです。
(問) 最後にしますけれども、環境省の皆さんについて大臣の発言の中で、「今まではエコだなんだと言っていれば良かった」というところ、この部分については国会のご答弁の方で、環境省の皆さんに直接話したいというご答弁をされていました。今、直接環境省の皆さんに何かお話というのはされていらっしゃるのでしょうか。
(答)日々、皆様と触れ合う中で、私の真意というか、環境省の皆様がいかに努力されているかということは私はきちんと思っているけれども、言葉が至らなくて大変申し訳なかったということは日々申し上げております。

(問)テレビ朝日の陣内です。先ほどの共同通信の川口さんの質問のお答えの中で、住専問題を取り上げているときに、世論が反対する過程を見ていたと、それに同調していたというふうにおっしゃいましたけれども、私たちはメディアに所属していますけれども、決して世論に同調して報道しているつもりは全くないのですけれども、その辺に関して真意をお聞かせ願いますでしょうか。
(答)すいません。もし、今の私の言ったことが上手く伝わってなかったら、申し訳ありませんが、世論に同調していたのではなくて、自分の局の報道姿勢に同調していたという意味でございます。
(問)そうしますと、テレビ朝日が世論に同調していたというように聞こえるんですけれども。
(答)同調していたというのは、私が報道姿勢に同調していたのであって、結果的にその報道が世論を形成するのに大きな影響を与えたと思っております。