大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成28年2月9日(火)10:09~10:47  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 閣議の決定についてとそれ以外について二つお話しさせていただきます。
本日、「独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案」を閣議決定いたしました。この法律案は、環境保全に関する研究及び技術開発を効率的・効果的に推進するため、環境省で行っている環境研究総合推進費の配分業務を移管するというものです。
 次に、電気事業分野における地球温暖化対策の取組の実効性をどのように確保するか、林経済産業大臣とご相談した結果について、ご報告いたします。詳細はお手元にお配りした発言要旨のとおりですが、ポイントをご紹介いたしますと、まず、経済産業省は、電力業界に対し、電力業界の自主的枠組みについて、引き続き実効性・透明性の向上に取り組むこと等を促していきます。そして、政策的な対応として、経済産業省は、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法に基づく基準の強化や新設を行い、これらを指導・助言、勧告・命令を含めて適切に運用することによって、エネルギーミックスの達成に向けて責任をもって取り組んでいきます。さらに、私からの要請を踏まえた対応として、エネルギー供給構造高度化法に基づく小売電気事業者の取組を環境省に連絡をする、電気事業法に基づく小売営業ガイドラインにおいて、CO2排出係数の開示を「望ましい行為」として規定をする、新規参入者を含むすべての小売電気事業者に対して、CO2排出係数の実績報告への協力を要請することとします。また、環境省による進捗状況の評価の検討に資するため、毎年度、経済産業省から資料を受け取ることにします。当面、以上により取り組んでいくことによって、電力業界全体の取組の実効性を確保することといたしますが、2030年度の削減目標やエネルギーミックスと整合する2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWhという目標を確実に達成していくためには、これらの取組が継続的に実効を上げているか、毎年度、その進捗状況をレビューしていくことが必要です。電気事業分野からの排出量や排出係数等の状況を評価して、0.37kg-CO2/kWhの達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等について検討いたします。地球温暖化対策に責任を持つ環境省として、経済産業省と連携をしつつ、取り組んでまいりたいと思います。
 3点目として、本日閣議決定されました「再生可能エネルギー電気調達特別措置法の一部改正法案」に関して、経済産業省に対する要請を行いましたので、ご報告をさせていただきます。この法律案は、我が国の温暖化ガス削減の成否にかかわる重要な施策の一つである再エネ電気の固定価格買取制度について、CO2排出ゼロである再エネの持続的な導入拡大を進めるために、再エネ電源を偏りなく拡大をし、そしてコスト効率性を高める対策を講じるものです。経済産業省においては、温室効果ガス削減目標・エネルギーミックスにおける再エネの導入見通し、これは22~24%ですけれども、これを実現するように、制度の詳細な設計及び実施に当たって、適切に対処していただくことが重要と考えております。このため、本法律案の閣議決定に当たって、環境省から、経済産業省に対して、再エネ発電事業の予見可能性や事業参入の意欲を減退させることがないよう、また、社会的な理解が得られるよう、例えば、入札制度について、市場での健全な競争を活性化させ、再エネ発電の導入を一層促進するよう運用すること、入札制度の対象については、地域の再エネ事業の発展を阻害しないよう、施行時点は大規模な事業用太陽光発電に限定をして、入札の対象にならない規模の太陽光や他の再エネに入札を導入するかどうかについては、入札の実施状況等を見極めて慎重に判断すること等について要請しているところです。環境省としても、自然環境や地元にも配慮しながら再生可能エネルギーの導入を促進していけるように、より一層、積極的に協力をしていく方針です。

2.質疑応答

(問)共同通信の高田です。冒頭の報告事項と関連してなんですが、石炭火力発電所のアセスメントについて、昨年6月以降、是認し難いということになっているんですけど、今後の対応について、どのようにされるのか教えてください。
(答)前大臣の時に、アセスメントの場面で温暖化対策についての判断を一つ示したわけですけれども、今回、引き続き環境アセスのCO2に関する意見審査は、最良技術が採用されているかということ、それから国の計画・目標と整合的であるかどうかということについて行うということは同じです。国の計画・目標との整合性について、今回の両省の合意では、電力業界の枠組みに加えて、省エネ法それから高度化法の措置に取り組んでいくという形になりました。これを2030年度の削減目標の達成を確実にするため、しっかり運用していくと、お互いに取り組んで協力していくというような話をしたわけですが、これを踏まえて、当面アセスの個別案件のCO2審査においては、国の計画・目標との整合性についての状況を確認するということになります。加えて、先ほども申し上げたBATの採用がされているかどうかということ、それから国の計画、大気汚染等の環境評価というのもやっておりますけれども、こちらの方も引き続きやっていくということになります。

(問)信濃毎日新聞のトウジョウと申します。7日に大臣が松本で行った講演についてなんですが、先ほど予算委員会で質疑を行われたことですが、もう一度ここで、7日に特にその1ミリシーベルトについて、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めたという発言をされたというのを信濃毎日の記者が現場にいて、それを聞いて報道したわけですけれども、その発言をどのように記憶されているのかということと、その発言の趣旨についてご説明いただけますか。
(答)大変恐縮なんですが、私、記録をきちんと取ってなかったので、自分の曖昧な記憶を頼りにしかお話しできないことを大変申し訳なく思います。これからきちんと自分が発言するときは、こうしたときに皆様のご発言に、質問に答えられるように対応しようということを考えておりますが、今回の件に関しては、そういう言い回しを使ったかどうかということについて、大変申し訳ございませんが、自分の記憶にはそういう言葉が無かったものですから、もし聞いておられた方がおられて、そういうふうにおっしゃるのであれば、やや私が伝えようと思った趣旨を上手く伝えきれていなかったのだなということを感じまして、その点については、大変言葉足らずであったということを申し訳なく思っております。
 私のお伝えしたかった趣旨というのは、1ミリシーベルトという数字自体の科学的根拠とかICRPの参考値で、これを示している参考レベルとして、1から20の間で長期的な目標としてそれを位置づけているということについては、皆さんご承知のとおりでありますし、100ミリシーベルト以下の線量被ばくについて、いろんな考え方がある中で、それが見解の一致を見るようなエビデンス、絶対にここなんだということを誰もが言い切れるようなエビデンスというのが一方ではないということは、皆さんご承知だと思います。それを踏まえた上で、1ミリシーベルトということを前政権の時にお決めになったわけでございますけれども、これに対して、数字が意味すること、1ミリシーベルトというのは一体どういう目標なのかということについて、十分に国民に伝わるような説明があったかどうかという点、あるいはこの1ミリシーベルトというのは、私たちも未だに言われてそれはそうではなくてという説明をして歩いているのは、除染だけでこれを達成するということを思っておられる方がおられるんですが、皆さんよくご承知だと思うんですが、除染だけで1ミリシーベルトを目指すという目標ではなくて、除染もやる、それから例えば、食べ物のリスクを管理する、それから場所によって線量の高いところ、ホットスポットと言われるところ、これをフォローアップ除染を今、一生懸命やっているわけですけれども、そういうところをその除染が終わるまでは避けるというような行動様式、こういうことを総合して1ミリシーベルトという目標を掲げているわけで、しかも長期的な目標ですが、そういう性質のものであるという、ある種のリスクコミュニケーション、あるいは説明が十分でないままであってきたということ、結局それが未だに私たちもその作業を積み重ねることになっているということをご指摘申し上げました。1ミリシーベルトという目標を掲げることはこれは、福島の皆様と当時の環境大臣がお話になって、結果的にお決めになったことですので、これについては、福島の皆様のご不安にお答えするということですから大事なことだと思っております。
(問)その時の発言をはっきりと記憶されてないということなんですけれども、取材した記者によると、反放射能派というと変ですけれども、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいるんです、そういう人たちがわーわー騒いだ中で何の科学的根拠も無く、その時の細野さんという環境大臣が1ミリシーベルトまで下げますというふうに言ったんですと、何も相談しないで、何の根拠も無く、そう言った結果帰れるはずなのに未だに帰れない人が出てきていると、そういう発言をされたということなんですけれども、これを聞きますと、国として1ミリシーベルトという長期目標について、まだ長期目標はしっかり堅持していると思うのですが、そういう中で、それについて科学的根拠が無いというふうに責任者が指摘してしまったというふうに受け取れるんですが、それはどうでしょうか。
(答)聞いておられた方がそういうふうに受け止められたとするなら、私の言葉足らずだったと思うのですが、1ミリシーベルトというのを決めたことに対して問題があるということではないということは、ご理解いただけると思います。1ミリシーベルトという目標は、福島の皆様が望んでお決めになったと最終的に細野大臣が当時お決めになったというものは私も理解をしておりますので、今後とも1ミリシーベルトが長期的な目標で、かつこれが除染だけではなくて、全体的な、総合的に長期的な目標として、除染以外のことも含めて決めていくということは変わりはありません。
(問)そうすると確認ですが、1ミリシーベルトというのは当然変わらない。
(答)そうです。
(問)というのは前提の上で、発言については誤解を与えたというような。
(答)そういうふうにお聞きになっていたのであれば、私の発言が誤解を与えたものだと思って、大変申し訳なく思います。

(問)読売新聞の江村と申します。電力分野の対策について3点ほどお伺いします。1点目は、関係局長取りまとめからもう2年半ぐらい経って、やっと何かしらの枠組みができたことについて、少し時間がかかったことに関するご所感をお願いします。2点目は、パリ協定では、エネルギーミックスというのを深掘りしていくと、2020年とか、2025年とか定期的に求められていますけれども、今回はその深堀りについて言及が特にないんですけど、その点について、環境省として答えていただくことは何かございますでしょうか。
(答)局長取りまとめから今までかかったことについては、電力業界の中でお取りまとめいただくのに大変時間がかかったという理解をしております。
(問)その点について、環境省として少し時間がかかったことについてどのように考えていますか。
(答)時間がかかったものの、一方で最終的には私どももいろいろとご要望させていただいた結果、透明性・実効性が確保される枠組みに経済産業省も乗り出して決まった。これは、業所管官庁が乗り出して決まったということは、一歩前進だというふうに理解しております。これはどういう運用していくかにかかっておりますので、その点も経済産業大臣と昨日お話をさせていただいたところですけれども、今日、おそらく経済産業大臣からご発言があろうかと思いますけれども、その点について、これからも環境省としても見させていただきます。それから深堀りという点についてですけれども、これはこれから温暖化対策計画を決めさせていただく中で、この枠組みの中に今回の取り決め、あるいは取組についても入れ込んでいきますし、長期的な目標ということも、一方で入れさせていただきたいと思って、今調整をしているところですけれども、その中のプロセスで進めていこうかと思っています。
(問)最後の質問なんですけれども、長期的目標として2050年の目標についてなんですけれども、環境省で議論している長期目標に関して、やはり石炭火力に今投資するというのは、2050年のことを考えると投資のリスクがあると専門家の方々ははっきりと指摘していらっしゃるんですけども、今回2030年のことが中心になっていて、2050年との接続についてはあまり言及されてないように見えますが、その点について、環境省としてはどう思うでしょうか。
(答)2050年に向かっての目標というのは、我々はしっかりと閣議で決まったものですので、これを堅持し、また示していきたいと思っているところですが、一方で、そこの間にですね、大変な更なる努力が必要で、なおかつ技術開発ということが大変重要になってこようかと思います。ご指摘をいただいた局長級取りまとめでも、CCSの実用化に向けた技術開発等に取り組むということが記載をされておりますが、このCCSを始めとして、技術、イノベーションに関しては、これから2030年以降のことを考えると、早急に取り組んでいかなければならない課題だという認識です。
(問)すいませんもう1点なのですが、国によってはCCSready、もうすでに今から火力を新設するためには、CCSを付けれるための土地の確保とかですね、余裕を持った計画を立てなきゃいけないとしている国がありますけども、日本としては、そこまでは考えていないというご理解でよろしいでしょうか。
(答)今まさに実証の事業をやっているところですよね、北海道だったと思いましたけど。まずそこからスタートかと思います。それぞれの国土であったり、どういう望ましい土地があるのかということについてまだ模索をしている段階でもありますので、そういうことも踏まえて、今後検討していくべきかということかと思います。

(問)日経新聞の川口です。今の話に関連して、0.37が達成されない場合は施策の見直しについて、検討していくというふうにおっしゃっていましたけれども、大臣としては見直す場合に、念頭に置いている制度とかをどういうふうにお考えですか。どういったものを入れるべきだと思いますか。
(答) いろいろな意見が既に出ているところでありまして、予断を持たずに、この前の川口先生を始め、やっていただいた気候変動長期戦略懇談会のアドバイスも念頭に置きながら考えていきたいと思っております。
(問)そうするとやっぱり税とか、そういったことも念頭ということになりますか。
(答) 最終的に、そういう手段も排除をしないで考えたいと思います。
(問)今、読売新聞さんの質問じゃないですけれども、2050年80%を考えた場合に、実はこれだと30年の暫定的な話にしかならないのではないかと思うんですね。そうすると、あくまでこれは短期的というか本当に直近の話しかできないわけで、今後、経産省、国としてどういうふうな議論の進め方をしていくのか、石炭火力の全ての要請に関してどういうふうにお考えですか。
(答) 2050年目標を、我々環境省の立場として、堅持するという思いである一方、必ずしもそれが確実に実現できるかどうかについて、いろいろな意見をお持ちの方が実際にいるという認識も持っています。ですので、2030年までのことを確実に進めながら、その先のことを議論する時には、常にそういう色々な考え方がある方と意見交換をしながら、我々が先頭に立って、その後のことについて早めに議論が始められるような努力を進めていきたいと思っています。

(問)日テレの杜です。よろしくお願いします。二つあるのですが、一つは石炭火力、電力業界の件ですが、排出係数の開示を望ましい行為というふうにしているんですけども、望ましい行為ということだけでいいのか、もう少し強制力を持たせる必要があるんじゃないか、というところを透明性の確保という部分に繋がってくるんですが、この透明性の確保という点でも、既にある程度確保されていると、大臣受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)透明性の確保の点からお願いした結果、ガイドラインの方に望ましい行為として書いていただくことに両省の間で協議した結果、落ち着いたわけですが、同時に毎年進捗状況を確認させていただくという作業は、経済産業省もおやりになるし、我々もさせていただくということになります。何年かごとではなくて毎年、まさに今、日経新聞の川口さんが質問でおっしゃったように、決して時間的に余裕があるわけではないので、毎年確認していくと、この進捗状況の確認作業が非常に重要になっていくかと思います。この中で、もし、透明性において不十分な点があれば、それは私どもがまた申し上げていきますし、ご協力を得られるような努力をしていきたいと思っております。
(問)もう1点の質問で、信濃毎日さんの質問でちょっと関連するんですけれども、昨日の大臣のぶら下がりの時には、大臣は「そのような発言をした記憶はない」というふうにおっしゃってましたけれども、先ほどのやりとりを聞いて、結局大臣としてはおっしゃったのかおっしゃらなかったのか、あるいは本当に記憶がないのか、その辺りはいかがなんでしょうか。
(答)正直言って、紙に全部原稿を書いていたわけではないので、自分がどういう言い回しで言ったか、自分の印象に残っている部分もあるのですが、細かい言葉遣いは記者の方がメモを取られていたのか、それとも記憶の中でおっしゃっているのか、ちょっとよく分からないので申し上げられないですが、私の記憶の中ではちょっと曖昧ですということをお伝えしたものです。
(問)曖昧ということは、言っていないということではないということですか。
(答)自分の感覚としては、そういう言い方だったかどうかというのは、ちょっと正直そうですとかそうじゃないとかと言い切れる自信がないということです。

(問)朝日新聞の小坪です。今の件に関連して、もう1点教えてください。信濃毎日新聞さんの報道の中では、大臣が反放射能派という言葉使いをされたという指摘もあるのですが、この言葉についてのご記憶はいかがでしょうか。
(答)普段から、そういう言い方をいつもしているわけではないのですが、自分の記憶の中に、一番鮮明に残っていることの一つに、あの事故が起きた後に全く真逆の、皆様もそういう学者の方にもしかしたらお会いになったことがあるかもしれませんが、むしろ低線量被爆は良いんだとおっしゃる方が大挙して押しかけて来られまして、世の中にはプロとアンチがあるとするならば、プロ低線量被ばくというグループの方がいらっしゃるんだと、私はその時、大変な衝撃を持って受け止めたんです。そのプロとアンチというのが、いつも最初に印象付けをされてしまったものですから、そういうカテゴライズの中で言うと、むしろ普通に考えるとアンチ低線量被ばくだと思うのですが、そういうものがあるという理解の中で、申し上げたという認識がございます。
(問)私は福島で取材をして、放射能に反対している方にお会いしても、自分が住んでいる所で放射能を肯定していらっしゃる方というのは、少なくともどんなに低くてもいらっしゃらなかったので、そのへんは誤解を招く発言ではないかと思いますので。
(答)気をつけたいと思います。ありがとうございます。おっしゃるとおりです。

(問)朝日新聞の香取です。石炭火力の関係で、今までいろいろと環境アセスで異議を唱えてきて、ここに来て経産省と電力業界が作った枠組みについて、実効性があると判断して、アセスについても容認するという形になると思うのですが、一番の決め手というのはどこなんでしょうか。
(答)告示を変え、またガイドラインにもいろいろ透明化について対応していただくと、本当に我々がお願いしたことを一つ一つ取り入れていただいて、最後の最後に省エネ法を運用するに当たって、今までの運用にはなかったことという認識なんですが、助言、勧告、指導、公表、ここまでのことについて、経済産業大臣が今日発言でお触れになっていると思います。運用をきちんとやっていきますということを大臣自らおっしゃった、お決めになったということをもって、私は実効性を経済産業省が我々と一緒になって、担保してくださるという理解をいたしました。
(問)もう一つ、先ほどから話が出ていますが、今回はあくまで2030年までの目標で、2050年80%削減、あとはパリ協定で言っているような今世紀末の実質ゼロを目指すのであれば、今建てたものは、今後40年以上動くこともあるわけで、非常に投資としてリスクになるということがあると思うのですが、その点を踏まえて、環境省が容認したということになると、割とネガティブなメッセージというか、石炭火力をじゃあ建てていいんだというように、勘違いされる方もいると思いますが、その辺についてもどう思いますか。
(答)私たちが経済産業省にお話して、結果的に経済産業省が出された、告示のエネルギー効率は、2030年のエネルギーミックスを個社で達成していくださいという内容です。これは何を意味するかというと、石炭火力だけやっていてもこれは達成できませんと。まさに、エネルギーミックスと整合の取れた電源を自ら各社が達成していないと、クリアできない目標になります。これは正直、一定の非常に明確な目標だと思いますので、まずここからやっていただくということになろうかと思います。
(問)そうすると、石炭火力は建てられないということなんですか。
(答)これは実際では、これから自由化市場になってきますので、経営の判断の中でなさることですから、経営者が判断することですから、あくまで我々が、掲げさせていただいたというか、結果的に経済産業省が掲げてくださったエネルギー効率というのは、個社でそれをクリアしていくことを考えた時には、当然、自分たちがどういう電源構成を持たなければいけないかということについて、最終的に、しかも2030年にはそれを持っていなければいけないわけですから、それなりにお考えにならなければならないはずです。

(問)共同通信の川口です。今の朝日新聞さんの質問に関連するのですが、これまでの質問にもありますが、2030年までに目標を達成できるという話と、今閣議決定をしている、そして、温対計画の中にも書き込みたいとお考えでいらっしゃる50年までに80%の話というのは連続していると思うのですね。ただ、30年の目標を仮に達成できても、石炭火力発電所が建ってしまっていると、長期に他の電源と比べればCO2が多い状態にあると。そうすると、80%の足かせになる条件があらかじめロックインされてしまうことになると思うのですけれども、そこはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
(答)恐らくエネルギー効率を守るということと、新しい石炭火力を建てるということを同時に行った場合に、エネルギー効率を達成しようと思ったら、その発電所を建ててもフルには稼働できないということになろうかと思います。稼働率を落とさないと、そのエネルギー効率は達成できないということになろうかと思います。というふうに数字上、私は理解しておりまして、そうなったときに稼働せざるを得ないものを持ったまま、経営をそれを資産としてやり続けるかどうか、要は利益を生み出さないものを持ったまま経営をされるのかどうかということは、ましてや他社と競争していく中で、そういう物を持ったままでいるかどうかというのは、これは経営判断ですけれども、私はなかなか難しいことだと理解しております。
(問)レビューなのですが、これは経済産業省、環境省合同でやるのか、それぞれ単独でやるのか、毎年どういう形でやるのかということを想定していらっしゃるのでしょうか。
(答)それぞれにやらせていただきます。
(問)仮に、環境省の方が不十分だと判断して、経産省の方がそうでもないというようなことになった場合は、どのように施策の見直しをやっていくのか、その辺りをお願いします。
(答)これは毎年恐らく、協議をさせていただくことになろうかと思います。一次的には業の所管である経済産業省が、判断をするということになろうかと思いますけれども、仮に不十分な状況が重なる、あるいは我々として、それではいけないとなった場合は、どのような次の手があるかということについて、経済産業省とまた議論させてもらうことになるかと思います。
(問)最後に施策の見直しについてなのですが、これは毎年見直しをするということですけれども、いつ施策の見直しをするのか、両省どういうタイミングでするのか、合意している部分はありますか。
(答)それについては合意はしていません。いついつに必ず見直しをしますという形では合意はしておりません。今後どのように運用されていくのかということ、あるいは、電気事業者の皆様がどのような努力をされていかれるかということを見ながら、お互い毎年進捗状況を確認して議論をするべきものだと思っております。

(問)ブルームバーグの渡辺です。先ほどの石炭の件で、今後、最良技術を採用しているかというのと、国の目標との整合性があるかということを見ていくということですけれども、逆に確認なのですが、それに合っていれば今後は、石炭火力も容認される可能性があるという理解で正しいのかということと、最良の技術と言っているのは、今の場合ですとUSC以上であれば良いということなのか、ご見解をお願いします。
(事務方)事務的な質問なので、事務方からお答えします。環境大臣が意見を言うという観点は、大臣がおっしゃったみたいにBAT、最良技術と国の計画・目標とも整合的かどうかという観点から、環境大臣意見として必要な意見を述べていくということになります。BATにつきましては、局長取りまとめの中で、それぞれBAT表というのが出来ておりまして、ABCの順に効率が良くなるわけですけれども、そういった効率についてのあらかじめ表ができておりますので、そういったもので事業者さんにもなるべく効率の良いものを採用していただくように、そういう観点から調整をしていきたいと考えております。
(問)共同通信の阿部です。戻って申し訳ないのですが、信濃毎日新聞さんの記事に関連して改めてなのですが、1ミリシーベルトというものの、長期目標の意味を環境大臣として今お答えいただけますか。
(答)先ほども申し上げましたけれども、国際的、科学的な知見で放射性による発がんリスクが、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくについて、明らかな増加を証明すること、発がんリスクが明らかに増加するということを証明するのは、今のところエビデンスが充分ではない、難しいということは皆様もよくご承知のとおりだと思います。その上で、国際放射線防護委員会、ICRPの考え方を踏まえて、福島の方々の安全安心のためにより高い目標として、年間1ミリシーベルト、しかもこれは除染だけではなくて、モニタリング、食品の安全管理、リスクコミュニケーション等の総合的な施策を通じて、長期目標として年間1ミリシーベルト以下になることを目指すということを設定してあるという理解でございます。

(問)エネルギーと環境という専門誌の清水と言います。2点ほど伺いたいのですが、一つは経産省との合意の石炭火力の件なのですが、2030年の排出原単位を目標にいろいろな今回合意をしたとなっていますが、問題はやはり15年先ではなくて5年先、10年先にどれだけ石炭からの排出量を抑えられるか、まさに今石炭火力についてはそれを是認するかどうかというのは歴史的な転換点にあると思うのですね。だから、大臣の意思決定というのは非常に大事だと思うのですが、やはり国民が省エネとか温度とかクールビズとかで必死になって汗をかいているのに、一方で、30年も40年も膨大な石炭火力が排出ガスを出すのを容認するというのはおかしいじゃないかと、そういうことからいくと15年先だけではなくて5年、10年の電力業界の排出総量はどれだけに抑え込むかという、そこを環境省は示さなければいけないのではないかということが一点です。それをどう思いますか。
 もう一つは、今度の措置は、経産省の措置だけが大半になっていますけれども、環境省としての措置というのはほとんど何も無い、この点はおかしいのではないかと思うんですがどうですか。
(答)大変重要なご指摘をいただいたと思います。環境省の今回の電力部門に対する応援をいただいたという認識を持ちました。毎年進捗状況を確認するという作業の中で、業所管である経済産業省としっかりと情報共有しながら、先々の2030年までの道行きを議論させていただくということ、この作業の積み重ねが非常に重要だと思っております。加えて、今おっしゃっていただいたような、その時点で、電力部門がどのくらい出すんだということについて、数字を掲げるべきだというご指摘ですけれども、そういう考え方もありましたし、そういう議論もいたしました。今後、実際に電力が完全に自由化されていく中で、議論を重ねていく中で、そういうものの必要性についてまた議論する場面が出てくるだろうと思っています。環境省の取組としては、環境アセスメントによる個別の発電所の審査については、引き続き、国の計画あるいは目標との整合についてきちんと判断してまいりますので、まずこれは我々の仕事です。小売電気事業者の排出係数の公表といった透明化の措置、あるいはエネルギー供給構造高度化法の経産省との連携の中で、我々が数字を把握し、状況を把握し、経済産業省に投げかけをしていく、働きかけをしていくということが、次に我々がやることです。