大臣談話・大臣記者会見要旨

COP21閣僚級セッション 丸川環境大臣ステートメント

写真:COP21閣僚級セッション 丸川環境大臣ステートメント

まず、この度の非道・卑劣極まりないテロ行為により、命を落とされた方、負傷された皆様に心よりお悔やみを申し上げます。またこうしてCOP21を開催し、リーダーシップを発揮しておられる議長国フランスの努力に心より敬意を表し、会議の成功に向け日本も全力で取り組んでまいります。

気候変動問題は、地球と人類の未来を左右する喫緊の課題です。世界の排出量の95%以上をカバーする約束草案が提出されていることは、世界全体の取組の前進に向けた力強いサインです。

一方で、2℃目標の達成には約束を超える更なる削減努力が必要であることが指摘されています。世界の排出削減の観点から、全ての国が参加する法的合意を、できる限り実効性あるものとすることが必要です。

パリ合意においては、①長期目標の設定、②各国が5年ごとに排出削減目標を提出・見直す共通サイクル、③各国の取組の状況に関する共通だが柔軟な報告・レビューの仕組みなどを位置づけ、継続的に削減に向けた野心を向上させていく仕組みとすることが必要です。また、世界全体としての状況確認を法的合意に位置付けることを支持します。その結果を各国の将来の取組の検討に活かしていくことが重要です。

我が国は、これまで国内外に示してきた長期的な目標を踏まえた排出削減への取組を着実に実行していきます。 我が国は、2030年度に26%削減という約束草案を提出しました。この約束草案を着実に実施していきます。COP21の合意の状況を踏まえ、できるだけ早期に地球温暖化対策計画を策定します。その先には、環境基本計画に位置づけた2050年の長期目標があります。今後、経済・社会システムやライフスタイルの変革を含め、取り組んでいきます。

また、2012年から施行している「地球温暖化対策のための税」を財源に、省エネルギー対策及び再生可能エネルギーの促進を全国的に進めるほか、LEDに続く革新的な低炭素製品・技術の開発・普及に挑戦します。

対策の効果は現れはじめています。我が国の温室効果ガス排出量は、震災前後から増加基調にありましたが2014年度の総排出量は前年度比マイナス3%と減少に転じました。今後、更に積極的に温暖化対策を進めてまいります。

我が国でも巨大な台風の襲来など、かつてない異常気象による被害が相次いでいます。温暖化の悪影響は先進国、途上国の区別なく全ての国に顕在化しています。我が国でも、詳細な影響評価を踏まえ適応計画を決定したところであり、今後、本計画に基づき具体的な対策を実行していきます。

安倍総理は、首脳会合において、「美しい星への行動」(「アクションズ・フォー・クール・アース2.0(ACE2.0)」を表明しました。我が国として、気候変動対策に取り組む途上国を支援するため、2020年までに、現在の1.3倍、官民あわせて年間約1兆3千億円の気候変動関連の途上国支援を行います。また、革新的技術開発を強化していくことで、気候変動に係る国際社会の取組を力強く下支えしていきます。

これまで16か国と構築した二国間クレジット制度(JCM)は、インドネシアにおけるセメント工場への省エネ設備導入やベトナムにおける送電の高効率化など50件のプロジェクトを実施しています。

我が国の優れた低炭素技術、温暖化対策をはじめ環境対策に関する知見と人材をフルに活用し、都市間連携や人材育成に関する地に足のついた協力を推進します。

我が国の適応計画の策定に関する経験を活かし、途上国の適応計画策定や気候変動影響評価への支援を行うとともに、各地域の知見を共有する世界適応ネットワーク(GAN)など、地域での情報や経験を共有するための知見共有ネットワークの強化の取組を進め、気候変動に強靭な社会づくりに貢献します。

このCOP21は、気候変動問題に世界が一致して立ち向かう出発点です。この会合を必ず成功させるとの世界の首脳の意思に応えるべく、私も最大限貢献することをお約束します。

ありがとうございました。

(パリ時間2015年12月7日)

添付資料