大臣談話・大臣記者会見要旨

北村副大臣記者会見録(平成27年7月2日(木)10:03 ~ 10:24 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)本日は、水問題について、3点申し上げます。
 まず1点目は、国際的な水リスクと企業を巡る動きです。世界では、水に関する危機意識が年々高まっております。例えば、世界経済フォーラムが本年1月に発行した「グローバルリスクレポート2015」では、最も影響が大きいと思われるリスクとして「感染症」、「大量破壊兵器」、「地域間紛争」、「気候変動への適応失敗」といったリスクを上回り「水リスク」が1位とされています。この背景には、欧米を中心に、投資家が投資先企業の事業活動の継続性や持続的成長という視点で、水資源の利用状況等を重視し、企業に対して、下請けや子会社、あるいは仕入れから流通までを含めた水リスクの評価や対策、情報開示を求める動きが活発になっていることが挙げられます。また、英国のNGO「CDP」が、世界の主要企業に対し、気候変動等の質問項目に加えて、水リスクの認識やパフォーマンスに関する質問書を送付し、その回答結果を全世界に公表しており、世界の機関投資家が投資判断などに活用していることも影響しています。日本企業に対しても、2014年より水に関する質問書が150社を対象に送付されています。今後、日本企業においても事業活動における取水量、水の消費量、排水などに関するデータを把握し、自社や下請けを含めた水リスクに対応していくことがより一層求められていくことになるだろうと予想されます。こうした動きにあわせて、環境省では10月に、国内の水環境保全の促進を目的としてCDP、国連大学との共催により「水リスクに関する報告会」を開催する予定です。
 2点目は、日本の水環境を巡る課題です。この時期、各地で集中豪雨など相次いでいますが、急激な降雨は、地表を流れ、河川から海に流れ出てしまいます。すなわち、我々が利用する地下水を生み出すための地下浸透がなされてない場合が多いのです。我が国は世界と比べて、国土が小さく、河川も短いため、地下に貯水される量が限られるほか、国民一人あたりの年間降水量では、世界平均の3分の1程度とされています。昨年施行された水循環基本法は、こうした背景を踏まえ、我が国の健全な水循環の維持・回復を目的とした法律であり、環境省においても水環境保全の視点から、企業や国民の理解を促しながら、取組を進めていきたいと考えています。
 3点目は、私たち一人ひとりに期待されるアクションです。水循環の維持には、豊かな自然は当然ですが、企業、国、地方公共団体、そして私たち一人ひとりの理解と行動が不可欠です。まず、私たち一人ひとりが、水に関する正しい情報を改めて知る必要があります。先月12日に大臣より、環境省が民間企業などと共に進める水との新しい向き合い方「Water Style」を提案しました。また、今週火曜日6月30日に環境省では、水循環基本法に定める8月1日「水の日」を、広く国民に知っていただき、水への関心を高めていただくために「Water Day」というアクションを提案しました。是非この日は、大切な人へ水に関連するプレゼントを贈り、贈った人も、贈られた人も水について考えてみてください。
 7月は「熱中症予防強化月間」でもあります。これから暑さの本番を迎えるにあたり、体調管理のための水分補給は欠かすことが出来ません。同時に、水の重要性や水循環について考えるよい機会でもあります。環境省では、水を「守り育て、贈り使い、大切に還す」我が国の水循環を官民で支えていく「JAPAN Water Style」の推進に、省をあげて取り組んで参ります。

2.質疑応答

(問)日経新聞の川口です。今朝、一部の報道機関で電力業界が温室効果ガスの35%の削減目標を出してきておりますが、それに関して御見解をいただけますでしょうか。
(副大臣)その事実は承知しておりません。発電分野の温暖化対策については、かねてより望月大臣はじめ環境省として申し上げているとおり、我が国の温室効果ガス削減目標とエネルギーミックスの達成を確実なものとする実効的な枠組みを早期に構築する必要があります。電力業界の枠組みの案についても、我が国の温室効果ガス削減目標とエネルギーミックスの達成を確実なものとする実効的な枠組みになっているのか、しっかりと確認し、調整したいと考えています。

(問)35%の削減というのを実効性があると評価するのでしょうか。
(副大臣)これから十分検討させていただきます。詳しいことは承知しておりませんので状況を確認させていただきます。

(問)自民党の議員の方が報道規制に関して発言されておりますが、北村議員としてのどのようにお考えになりますか。
(副大臣)私は当日は出席しておりませんので、報道を見た限りでの認識ですが、政府の一員として答える立場にはないということと、我が党は報道の自由は十分尊重するという立場を貫いていることは前提として御記憶いただきたいと思います。自民党の一員として、個人的にも何かを左右するであるとか、圧力を加えるということは正しくはないと考えております。

(問)大西議員の発言は正しくはないとお考えですか。
(副大臣)正しくはないと思っております。

(問)朝日新聞の香取です。先日、温暖化問題の関係で最大排出国の中国が約束草案の提出を行いましたが、GDPあたり60%~65%の削減という目標で2030年までにピークアウトする目標なのですが、出されたということについての評価と数値に対しての評価を伺わせてください。
(副大臣)中国・韓国が約束草案を提出したこと自体は、本年末のCOP21における新たな国際枠組みの議論の促進につながるものとして、歓迎したいと思います。我が国の約束草案については、パブリックコメント等の必要な手続きを経て、7月中下旬頃にも国連に提出したいと考えており、COP21に向けてしっかりと取り組んでいきます。中国・韓国の目標の中身については各国内の議論を経て決定されたものと認識しておりますので、詳細を現段階では承知していないので、評価は差し控えたいと思います。

(問)今の発言の中で韓国の話がありましたが、韓国はパブリックコメントで4つほどの選択肢を挙げてその選択肢より深掘りしたものを出しておりますが、日本のパブリックコメントは今日が締切りだと思いますが、これ以上深掘りするような可能性はあるのでしょうか。
(事務方)パブリックコメントの結果を見てから、考えていくことであろうかと思います。

(問)共同通信の川口です。2つお伺いしたいのですが、1つ目は電力業界の枠組みについて、枠組みが実行的なものであるかどうかしっかりと確認したいというご発言があったのですが、どのように確認を進めていきたいと考えていらっしゃいますか。環境省の有識者の会合も今までに2回ありましたけれども、そのような場所に電力業界の方をお呼びして話を聞くようなこともお考えなのか、どうやって確認したいのかということをお願いします。
(副大臣)基本的にはまだ十分な掌握が行われていないという前提で申し上げております。細かい具体的なことについては事務方からどうぞ。
(事務方)まず電力業界の件については、大臣から発言いただいたように、いくつかのチェックポイントがございます。そのチェックポイントについて、しっかり見させていただくということであろうと思います。それではどういう形で見るかについては、今のところ未定です。

(問)2つ目なのですが、中国の約束草案の提出に関して、これであらかた大排出国のインドやブラジルなどが残っていますが、堤出したり、日本のように堤出する目処がついているという状況で、年末のCOP21に向けて、何かしら結果は得られそうだなという明るい材料が出てきているのかなと思うのですが、そこは副大臣はどのようにお考えでしょうか。
(副大臣)中国の約束草案は15番目に提出されたものであり、これで世界全体の排出量の約6割が提出してきているというわけですから、実効的な枠組みで最終的結論が得られるような方向にだんだん近づいているのではないかという期待は持っているところです。

(問)ではその中身が、各国が今できることということで、言わば各国が自由に、自分たちの出来る事として目標をそれぞれ出しているので、それをおそらく足し合わせても、各国が合意している2℃以内に抑えようという目標にはおそらく届かないと思うのですが、そこはどのように見ていらっしゃるかということと、届かないのならじゃあこの先どうしていかなければいけないかなというようにお考えでしょうか。
(副大臣)現時点でそこまで先読みは出来ないのですが。
(事務方)2℃とのギャップがあるのではないかということはこれまでも指摘されております。今まさに各国が約束草案を出しつつあります。副大臣が先ほど言われたように、全体のエネルギー起源CO2排出量の約6割が提出をしたという状況ですので、これから更に提出が増えていくにしたがって約束草案を足し上げ、評価する作業が世界各地で進むと認識しております。日本としても、それに取り組んでいくということになると思います。その上で、先ほどのギャップを埋めていくということに関しましては、国際的な枠組みを構築する議論の中で、堤出した目標を更に野心を上げていくような新しい枠組みを作っていくべきだという議論ですとか、そのフレームワーク自体を見直していくということの必要性が指摘されております。そういった国際枠組みの議論に日本としても貢献していくということだと思います。

(問)朝日新聞の小坪です。よろしくお願いします。最初にご説明いただいた水の関係で、何か取り組んでおられる良い事例があったらお伺いしたいということと、水に関するプレゼントを推奨しておられましたが、今の段階で副大臣は何かそのような計画があるかという2点をお願いします。
(副大臣)水環境への取組という事例でいうと、グローバル展開を図る企業などが積極的な取組を進めていると伺っています。例えば、コカ・コーラ・エンタープライズ、本社が米国のアトランタにあるという例のコカ・コーラですが、製造の際の水使用量の削減に取り組み、積極的な情報開示をしているほか、水リスクに関してはライバル企業とも協力関係を構築していると伺っています。またH&Mでは、仕入れから販売までの持続可能な水利用を目指し、消費者にサステナブル・ブランドとして認知してもらうため、顧客やステークホルダーと協働して、ウォーター・スチュワードシップ、水管理者の責任意識と言うんだそうですがこれを高めているようです。また、国内においては、本年2月の「環境コミュ二ケーション大賞」において、キリンホールディングス、キリンビールの親会社でありますが、水環境を含めた取組で環境大臣賞を受賞しているなどの事例があると伺っております。

(問)プレゼントの件はいかがでしょうか。
(副大臣)石川は白山の良い水が取れるということで名を馳せていると思いますが、そのおかげで日本酒も非常に美味しいお酒が「手取川」を始めありまして、それを楽しむことを生き甲斐としております。

(問)読売新聞の野崎です。今の質問に関連して、国内の水環境や水資源の現状というか、課題などはありますか。
(副大臣)平成25年度の公共用水域の測定結果では、人の健康の保護に関する環境基準については、ほぼ全ての地点で環境基準を達成しています。また、生活環境の保全に関する環境基準については、河川においてはほとんどの水域で環境基準を達成している一方、湖沼などの閉鎖生水域では環境基準を達成しているのは半分程度の水域となっております。環境省としては、環境基準の達成に向け、水質汚濁防止法などの各種法律や、水循環基本法に基づき、現在政府において策定中の水循環基本計画などを踏まえ、水環境の保全に関する総合的な施策を講じていきたいと考えています。

(問)今年度や来年度でも結構なのですが、具体的な新しい取組はありますか。
(事務方)今、直接的な規制というわけではないのですが、現在新しい生活環境項目、環境基準の策定に向けて取り組んでいるところでございます。そういった新しい基準、具体的に言いますと、低層の溶存酸素量、また沿岸の透明度、そのような新しいわかりやすい基準を策定することによって、より一層環境に関する取組が進んでいくと期待しているところでございます。

(問)読売新聞の大野と申しますが、先日資産報告書の訂正がなされましたが、その経緯と見解を教えていただければと思います。
(副大臣)私の地元の友人が、30年以上前の話ですけれども、私どもは地滑り地帯なものですから、ボーリング会社を作ったんです。その時に、友人として出資してくれないかと言って、1000万円の会社を作ったときに50万円ほどでしたか、5%ほどの出資をした経緯があります。ところが、もうずっと時間も経っておりまして、その出資をしていることが分からなかったのですが、株主に対して今年初めて会社として利益が出たということで配当があったのです。それをそのまま申告したんです。そしたら申告したことと、株を持っていること、もちろん未公開の従業員10人未満の小さな会社です。そのような30年以上経っている会社なものですから、株を持っている記憶が無くて、配当があったということで配当の申告はしたのですが、株を保有している記述をしなかったと。もちろん、国会議員としての申告は株上場会社の株を保有している者は申告しなさいとなっているわけですから、結局持っていることの記憶もあまり無かったですし、そのようなことは思わなかったので、この度修正をいたしました。