大臣談話・大臣記者会見要旨

北村副大臣記者会見録(平成27年3月26日(木)17:10 ~ 17:24 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)私の方からは外来種対策に関する計画及びリストの公表について御報告を申し上げます。愛知目標達成のため、「外来種被害防止行動計画」を農林水産省、国土交通省と、「生態系被害防止外来種リスト」を農林水産省とともに取りまとめました。行動計画は、外来種対策に関する基本的な考え方や2020年までに進めていくべき対策、各主体の役割などを記載したものです。リストは、外来種の対策の緊急性等によるカテゴリ区分をし、国内由来の外来種も含むリストとして、初めて整理したものです。これらに関連し、具体的に進めていくプロジェクトとして、日本動物園水族館協会と連携した普及啓発及びアカミミガメ対策を考えています。まず日動水と連携した普及啓発についてですが、外来種に対する認識について環境省が調査を行った結果、30代、40代のいわゆる子育て世代の認識が低く、子供たちに伝わりにくい状況と考えられます。こうしたことから、親子の世代を中心に、行動計画にある考え方を広めていくため、日動水と連携し、外来種に関する普及啓発イベントを来年度以降、積極的に開催していきます。次にアカミミガメ対策についてですが、生態系被害防止外来種リストでは、これまでも課題とされてきたアカミミガメを緊急対策外来種に位置付けています。アカミミガメはミドリガメとしても馴染み深いカメですが、寿命が長く、大きくなるため、終生飼育が難しい生き物です。また、野外では全国的に広く定着し、生態系に悪影響を及ぼしており、全国的な対策を展開することが重要です。環境省では、対策が困難な外来種であるアカミミガメについて、全国で対策を行うための具体的な検討を進めていきたいと考えています。これらのプロジェクトや、今も進めているマングースなどの侵略的な外来種の対策を推進するとともに、農林水産省や国土交通省などの関係省庁、地方自治体、専門家、市民団体と協力し、愛知目標達成に向けて対策を強化していきたいと考えています。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の香取です。外来種対策で新しく出たアカミミガメプロジェクトについて伺いたいのですが、かねてから問題を言われておりますが、指定したところで既に飼っているものはどうするのか、捨てられてしまうのではないか、ペット業界との調整などについてどのように処理していくのでしょうか。
(副大臣)アカミミガメは、北海道から沖縄まで、全国の河川、里地里山、都市も含めた平野部など、様々な環境に定着しており、生態系、農業など悪影響も広範に及んでいると想定されております。そのため、アカミミガメの対策を進め、本来の生態系を取り戻すことは、地域の魅力の向上につながるものと考えており、各団体とも連携していくことが重要と考えています。また、一度に規制をすることで持ちこたえられないといって放出してしまい、かえって混乱をきたすようなことになってはいけないということもありまして、弊害が生じないよう段階的な規制の導入も視野に、検討を進めていきたいと考えているということであります。まずは、防除手法や必要な体制の検討について、力を入れていきたいと考えております。
(問)夏までに対策の方向性を示すとなっていますが、協議体などを作って検討していくのか環境省内部で検討して示すのか、どのような形になるのでしょうか。
(事務方)今のところ、いきなり捨てられてしまうと困るので、段階的な規制をかけていきましょうというところは方針として持っているのですが、具体的にどのようにすればよいのかという検討はこれからしなければなりません。その検討をベースに、防除も同時に進めなければなりません。その体制作りをどのように進めていくのか、おおまかな対策の方向性を夏までにまとめ、公表していくということを考えております。
(問)それは事務方で行うのでしょうか。オープンな場で行うのでしょうか。
(副大臣)そのやり方もいろいろな人と対応するのか、いろいろあり得るとは思いますが、日動水のような関係者との話合いというものもありますし、専門家と対話するというのもあるとは思いますし、その辺りはこれから考えたいと思います。

(問)朝日新聞の奥村と申します。今日御発表いただきましたが、小笠原でのアホウドリの繁殖が初めて確認されたそうで、環境省としての意味合いや喜びの声を聞かせて下さい。
(副大臣)アホウドリは伊豆諸島の鳥島での繁殖に効果をあげていると聞いておりますし、小笠原諸島の方でも生息が可能だということのようですので、非常に領域が広がった、可能性は大きくなったということについてはうれしく思います。
(事務方)事実関係を申し上げますと、山階鳥類研究所が中心になって環境省と東京都がサポートする形で、伊豆諸島の鳥島だけの繁殖地だったものを、もうひとつ新しい繁殖地を作ろうという事業をやってきています。ひなを小笠原諸島の聟島(むこじま)で育てて巣立ちをさせるという事業を行い、飛び立ったひなが伊豆諸島の鳥島ではなくて小笠原諸島の聟島の方に戻ってきて新しい繁殖地になることを目指したわけであります。いよいよひな達が戻ってくる時期差し掛かっていまして、去年、一昨年ぐらいから戻ってきてはいましたが、繁殖がうまくはいかず、去年は媒島(なこうどじま)でひなだけが見つかり、それが聟島から持ってきたひなの子供なのかどうかというのは分からず、今年初めてそれが確認されたということであります。東京都の方でモニタリング調査をずっとやってきておりまして、発見されたということです。
(問)可能性が大きくなって、私としてもとてもうれしいことだというお話でしたけれども、アホウドリの可能性と思ってよろしいでしょうか。
(副大臣)絶滅するといわれていたアホウドリの生息地がいくつか増えてくれればより可能性は高くなるということです。

(問)時事通信の斉藤です。外来種対策についてですが、今回関係してくるところが国とか自治体だけではなくて民間団体や国民も主体的に行動すると含まれておりますが、どのように関わっていけばよいのかお言葉をいただけますか。
(副大臣)考え方としては動物園であるとか、専門的な知見を持っておられる方であるとか、NPOであるとか各種団体と連携をして、外来種対策の目標を実現するため、成果をあげていくためにはどのようにしていくかということですから、多くの専門家や団体などの関係者と協力して行っていくのは当然であると思っております。幅広い知見を集めて成果をあげていくのが大切であると考えております。

(問)侵略的外来種リストとそれに合わせた行動計画という一緒の発表なのですけれども、特に後者の部分については専門家の皆さんはもちろん広く一般に呼びかけている部分もありまして、国民のみなさんにもPRをお願いしたいのですけれども、リストが出来て行動もはっきりしたということは意義深いことだと考えてよろしいでしょうか。
(副大臣)専門家や動物園などの関係者だけが外来種との関わりをもっているわけではなく、国民に広がっている問題である。したがって規制の一辺倒ではなく、多くの国民の理解と共感を得なければいけないと思っております。国民の皆さまにはリストを作成したこと、計画を作成したことを理解していただけるよう、広報活動をしっかり行っていかなければいけないと考えております。その組立てはこれから検討させていただきます。
(問)その前提として専門家に限らず、広く呼びかけることが重要だと考えているということでよろしいでしょうか。
(副大臣)もちろんです。

(問)日本農業新聞の山里と申します。リストの関係で、今回産業管理外来種という新しい概念が出来ましたが、農家の方も牧草などを使っているものが対象になるので、啓発なり周知なりに力を入れていかなければならないと思いますが、どのように考えているのか教えてください。
(副大臣)当然のことですが、農業関係者、あるいはそれに関わる農業団体をはじめあらゆる方々にこの計画の意図と思いを理解していただけるように広報を行い、関係省庁とも連携していきたいと思っております。