大臣談話・大臣記者会見要旨

北村副大臣記者会見録(平成27年3月12日(木)14:00 ~ 14:22  於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)先般お知らせしておりますが、来週16日月曜日に、鹿児島県の離島である甑島(こしきしま)を新たに国定公園に指定する予定です。国定公園の新規指定は平成19年の丹後天橋立大江山国定公園以来、8年ぶり、57箇所となります。甑島には、随所に高さ100~200mにも及ぶ美しい断崖や奇岩が見られ、約8,000万年前から2,300万年前までの地層から成り、太古の地球を感じることができます。また、夏には、地元の薩摩川内市の市の花に制定されているカノコユリが咲き乱れるなど、豊かな自然を有する地域です。国民の皆様にも是非訪れていただき、新しい国定公園の素晴らしい自然を楽しんでいただければと思っております。
 次に環境政策を軸にした地方創生プロジェクトについて御報告申し上げます。お手元の資料の2ページ目、3ページ目を御覧下さい。人口減少時代を迎えた我が国にとって、「地方創生」は安倍政権の重要なテーマです。先日、総理の所信演説では「熱意ある地方の創意工夫を全力で応援する。」と述べられております。一方、地域の側から見ると、私の地元の石川県の方々がよくおっしゃっていますが、人口減少、鳥獣の生息域の拡大、外来種の侵入による自然環境への影響などが今、大きな問題となっています。環境をテーマとした創意工夫により、地方創生に積極的に取り組みたいと、私が考えているのも地元にもそういう背景があるからであります。地方には、豊かな自然環境や再生可能エネルギーなど多様な地域資源があります。これを地域の活性化につなげていくためには、地域の状況を踏まえつつ、環境省が部局を越えてこれを支援していくことが必要であると考えております。このため、望月大臣の指示のもと、私を本部長とする「環境省地方創生プロジェクトチーム」を本日立ち上げたところです。既に30を超える自治体から環境省のコンシェルジュに対する支援の要請をいただいているところです。4ページ目から6ページ目に地方創生のビジョンのスタート素案を付してあります。5ページは自然生態系に着目した例であり、6ページは再エネ・省エネに着目した例であります。今後、順次内容を充実していくイメージです。先進的・積極的に取り組む地方自治体を集中的に応援して、「環境政策を軸にした地方創生」に取り組み、地域の環境の好循環を生み出し、ひいては地域の活性化につなげていこうと考えております。7ページ目から10ページ目には、地方創生を環境省として後押しする個別プロジェクトのスタート素案を示しております。これも今後、順次追加していくイメージです。8ページ目は「取り戻そう!日本の生き物プロジェクト」です。外来種対策の更なる強化のため、関係者との連携強化、国民運動の展開、対策困難外来種の新たな対策を行っていきたいと考えております。9ページ目は狩猟者、いわゆる「狩人育成プロジェクト」です。狩猟の魅力を発信するイベントや地域関係者との車座トーク等を通じ、鳥獣の捕獲の担い手となる「狩人」を育成していきたいと考えております。10ページ目は「水素で拓く未来、推進技術の振興」です。水素ステーションの整備などの取組をアピールするために、民間企業や研究所の取組の視察、関係企業のトップと意見交換、実証現場の視察や意見交換を通じて、水素技術の振興に積極的に取り組んでいきたいと考えております。本日は、本プロジェクトのキックオフでありまして、お示しした資料はスタートのものであります。今後内容を充実追加して、地方創生に貢献してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の奥村です。今月幹事をしております。地方創生のチームについて、お尋ねします。これは環境省の中でということですけれども、他省庁にこのような例があるのかということと、それから沢山事例を挙げていただきましたけれども、どれもお勧めなのでしょうけれども、スケジュールをあげていただいている中で、こんなものに特に注目してほしい、もしくは近々こんなことができますというような具体的な例がありましたらお願いします。それからこれは繰り返しになりますが、もう一度この意味合いというか意気込みたいなものを教えていただけますか。
(副大臣)実は、常々、この地方創生に環境省としても取り組んでいかなくてはならないということを考えているわけでありますが、環境行政の中で何が果たせるかという中で、実は私の地元のことを考えますと、先程言いましたように人口減少という側面に対応する地方創生なのですが、その側面から言えば、日本海側で唯一、平成16年までは石川県だけが人口増加県でした。僅かですけれども。我々が30年程前に県議会にいた頃は115万県民といったのですが、一時118万県民と言われる時代がありましたが、それが今や3万人近く減少しまして、また115万県民と言われる時代を迎えております。従って、この人口減少に対応する地域活性化、地方創生ということは最も緊急な課題であり、積極的に取り組まなくてはいけないと考えているのはもちろん私一人ではないと思います。環境省に席を置くものとして、環境的側面からこれを強化していきたいと思っているのはもちろんであります。もう一つは、例えば鳥獣被害などでも、いつかこちらで申し上げたかもしれませんが、白山麓を中心に、カモ、サル等の野生鳥獣がいて、我々の能登半島まではと、よその地域の話かと思っていましたけれども、最近はもうイノシシを中心に大変な被害が県下全域に及んでいるという状況でありまして、地方自治体を担う人、あるいは農業や日頃耕作に携わっている人達からは大変な苦情が出ています。早く対応してほしいという声が非常に多く出ております。また外来種の問題でも、これも石川県の話で恐縮ですが、閉鎖性水域と言われる、邑知潟、柴山潟、河北郡の河北潟という3つの大きな閉鎖性水域を持っていますが、貴重な財産と言える反面、そういった外来種に生態系が脅かされているという実態がありまして、これがまた環境行政に対する期待と一体となって、不満が要望になって強い声があることは間違いありません。こういったことを含めて、ひいては地方創生のために我々の意図する政策として作り上げていくことが、私は単に地元のことだけを申し上げましたけれども、全国的にそういう例はどこにでも見られる実態ではないかと考えておりまして、しっかりやっていきたいと思います。
(事務方)他省庁の事例に関してお答えします。この地方創生の関連で年末に総合戦略ができて、これからいよいよ動き出すという局面にあると思います。補正予算などもついておりますけれども、一部、例えばコンシェルジュという仕組みが動き出したということもございますが、今回のように何らかのプロジェクトを始めるというのは、特に今の段階では他省庁の状況は承知しておりません。何ができたというのは聞いておりません。
(問)役所全体としての取組としては初めてというように書いてもいいですか。うちやっているのですが、というものがあると後でまたお知らせいただけますか。幹事社からは以上です。

(問)読売新聞の江村と申しますが、地方創生プロジェクトの関係で、今、森里川海プロジェクトでも議論を重ねていることだと思うのですけれども、財源的な手当というものはどういうふうにしていくべきかとか、エネ庁の方でも自然共生対策ということで、COPの後とかにある程度方向性をつけるということになっていますが、副大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(事務方)ちょっと補足させていただくと、まず環境省の関係予算ではいわゆるエネルギー特会の予算、そういったもので地域の省エネとか、あるいは地域の、例えばバイオマスのようなエネルギーを活用した再エネとか、そういったものは進めておりますし、今後とも進めていきたいと思います。そういったプロジェクトはこの北村副大臣のPTの中で進めていきたいというように思っています。それから自然保護関係については、今のところ新しい財源というのは想定して行動しているわけではありませんが、別途昨年の税調でつかいました、森里川海で検討するようなこともございますが、そういったものを念頭において、これから取り組んでいきたいという感じです。
(副大臣)今、説明があった通りですけれども、新たな予算規模がどれだけ増えるかということは、これから全体の計画を、それぞれ地方と一体となって立てながら、それに見合う国の支援はどんなことができるのか、ということをこれから検討していくことになるので、どれが増額になるのかということは今ここで申し上げることはできないと思います。

(問)時事通信の斉藤と申します。地方創生のプロジェクトのことなのですが、このプロジェクトチーム自体はもう設置したことになるのか、改めて会議が開かれるのか、そして下にぶら下がっている生き物プロジェクトと狩人育成プロジェクトはいつから動き出すのか教えてください。
(副大臣)望月大臣の指示のもとにこれまで準備してきましたが、今朝、正式に第一回目のプロジェクトチームがスタートしたということです。順次、回を重ねて、さらには現在地方からの提案等も30あまりと申しましたが、さらに出てくるものと思っております。それらをコンシェルジュで受け止め、さらに各部局で検討してプロジェクトチームの会合につなげて、適宜開催をしていきたいと思っております。
 外来種対策等の話がありましたが、国民の理解や、地域での参加型の防除などが強く求められる外来種としては、「アカミミガメ」等が挙げられます。私自身、地元の方から大きくなったアカミミガメを見せてもらい、大変、驚いた経験がございます。アカミミガメは、生態系のみならず、農作物への被害もあることから、地域にとって重要な問題と認識しています。既に複数の自治体や市民団体がアカミミガメの対策を進めていますが、地域レベルの活動に留まっているのが現状です。プロジェクトでは、国としての具体的な取組を検討していきたいと思います。
(問)今日からこのプロジェクトも動き出したと思ってよろしいでしょうか。
(事務官)個別のプロジェクトも今日から動き出したということです。
(副大臣)狩人の件ですけれども、鳥獣の捕獲の担い手となる狩猟者を育成する目的は変わりありませんがいくつかの提案をしていきたいと考えております。まず第一に狩猟者は単なる野生鳥獣の捕獲者ではなく地域の自然環境を熟知して、さらには自然の恵みを享受し、生きものの命に感謝して、自らの糧とし、地域に根を下ろす、古くて、新しい粋なライフスタイルである、それを「狩人」として、若い方にもこのイベントを通じて、その魅力を訴えていきたいと考えています。第二に地域の実情に寄り添って、被害対策やジビエ利用のような地域の取組に結びつけていけるように、「狩人」を目指す地域関係者とも意見交換を重ねていきたいと考えています。第三に狩猟免許を取得しても実際どのように使っていけば良いのか、十分に利用できないという方もいるということでありますので、より実践的なフィールドを交えたイベント等も考えております。

(問)日経の浅沼です。プロジェクトチームについて何点か伺います。一つ目はとりまとめの時期については来年度予算を見越してということなのでしょうか。夏ぐらいまでを見越してまとめるような形になるのでしょうか。
(副大臣)時間を区切ってということは現在のところ考えておりません。これから息の長い取組をしなければなりませんので、もちろんまとまったという段階が迎えられるものがあれば直ちにそれを政策として実行していきたいと考えております。いつまでにという時期を区切って実施しようというような考えではありません。
(問)二点目なのですが、具体例としてプロジェクト案がいくつか出ておりますが、既存の外来種対策、あるいは鳥獣被害対策、低炭素の施策等と、何が一番大きな違いなのかを改めてお教えください。
(事務方)外来種対策について、これまで検討してまいりました行動計画とリストをそれぞれ決定し公表した機会をとらえ、新しい施策の展開、国民への浸透に取り組んでいきたいと考えております。狩人プロジェクトについては副大臣からも御説明いただきましたが、新しいライフスタイルというものをこれから少し強調して取り組んでいきたい。これまではみなさんどうぞやりませんかというような形でイベントを展開してまいりましたが、新しいライフスタイルとして格好の良いものであることを強調していきたいということと、地域で活動している方々と対話を重ねながら何が出来ることを考えていきたいと思っています。
(事務方)水素につきましては来年度予算で水素の新規の予算としておるところでございます。水素は使うところでは二酸化炭素は出ないのですけれども、作ったり運んだりするところは二酸化炭素が出ますので、それをいかに低炭素かするかという点が重要でございます。その実証等を進めていこうと考えておりますが、副大臣に水素に関連する企業のトップの方と意見交換をしていただくとか、視察をしていただくことなどを通じて、水素社会の実現の加速化をしていきたいと考えております。

(問)共同通信の川口です。新聞記事では、いつまでに何をどういうふうに変化させる、どのぐらい導入するとか、どのくら減らすとか、データが必要となってくるのですけれども、何か数値として示していただけるものというのはあるのでしょうか。例えば狩人の数を今の何倍にするとか、外来種の数をどのくらいに減らしていくとか、何か目標として今の段階であるのでしょうか。
(副大臣)今の段階で言うと、今日がスタートですので、全てここに網羅しているわけではありませんし、いつまでにとか、どの程度までとか、どの数字までというようなことは、今の段階では申し上げる状況にはありませんが、一定の目標を持つべきだという意見については、当然それはそうですけれども、それは今日の段階ではどの数字をいつまでにと言うことを申し上げる段階にはないと思います。しっかり腰を据えて取り組んでいきたいと考えております。