大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成27年12月4日(金)10:52 ~ 11:07 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、閣議に関しては、特に環境省に関連する発言はございません。皆さま方に3点ご報告がございます。
 本日午後に、福島県を訪問し、内堀知事、宮本富岡町長及び松本楢葉町長に面会いたします。管理型処分場を活用した埋立処分事業につきましては、6月に当該処分場の国有化を含めた国の考え方をお示しし、それに対して、8月に福島県並びに富岡町及び楢葉町より申入れをいただきました。その後、11月に、申入れ等を踏まえた国の考え方を改めてお示しし、富岡町及び楢葉町の両町議会において説明を行ったところです。本日は、県及び両町から、それらを踏まえたご判断をお示しいただけると伺っております。時間や場所等については、こちらの紙で配布させていただきましたのでご覧いただければと思います。
 2点目です。11月30日よりフランス・パリでCOP21が開催されておりますが、この閣僚級セッションに、日本政府団の代表として参加させていただきます。今回のこのCOP21は、地球の未来を決めるに等しい会議だという思いで臨んでまいります。地球益と国益を考慮し、全ての国が参加する公平かつ実効的な新たな国際枠組みの構築に向けて尽力してまいります。さらに、今後の交渉上重要なパートナーとなる各国大臣とバイ会談を行い、COP21の成功に向け、政府一丸となって積極的に議論に貢献してまいります。
 温泉地保護利用推進室の設置について、お知らせいたします。温泉行政では、これまで温泉法に基づく温泉の保護や利用の適正等を進めてきましたが、近年、飛躍的に増加している訪日観光客の温泉地への誘導などによる地域活性化や、我が国の豊かな自然と温泉資源を活かした国民の皆様の健康増進といった観点での取組の強化を図るため、本日、自然環境局に新たに「温泉地保護利用推進室」を設置いたします。
 室長は女性レンジャーです。より多くの方々に温泉に親しんでいただくため、レンジャーの行動力や女性ならではの視点も活かしていただければという思いでございます。省を上げて我が国の温泉地の魅力向上に取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の小坪です。幹事社から2点よろしくお願いいたします。1点目ですが、福島の管理型処分場の活用計画について、昨日、県と地元2町から受け入れの表明がありました。本日は面会ということですが、これまでの経緯などを振り返った上で大臣の現在の率直な受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)福島県と富岡町、楢葉町の協議の結果については報道を通して国の計画を容認するという考えをお持ちになったということで伺っているところでございます。本日、現地でお会いして直接お伺いをするわけですが、ここに至るまで本当に調整の過程においては県、両町、関係者の皆様に大変なご尽力とご協力、またご理解をいただきました。このことについて心から御礼を申し上げたいと思います。
(問)もう1点COPの関連です。予想されていたこととはいえ、対立が残る論点があったり、そもそも交渉自体が遅いのではないかという指摘もございます。大臣が行かれてからも厳しい場面があるかと思いますが、改めての意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)厳しい交渉になるだろうということはそもそも予想されておりましたので、ややペースは遅いようですけれども、明日5日の午前中にADPでの交渉を終えて、閣僚級交渉ベースのテキストになるものが出てくるという話でございます。このテキストがきちんと煮詰まったものになるように、できるだけ事務方の方の交渉をきちんとやっていただけるようにという指示はしているところです。やはり最後まで全ての国が参加するためにどういう仕掛けをしていくのかという駆け引きがあろうかと思います。これまでの反省に立てば、そこのところは皆が譲れないと思いながら、一方で最後まで自分たちの国益も考えなければいけない、というぎりぎりの選択がお互いに続いていくと思いますので、決してばらけないように、私たちも自分たちの国益と地球益が叶うような線で維持していけるように努力していきたいと思います。

(問)日本テレビの杜です。福島のエコテックに関連してなのですが、昨日、県と両町が受け入れを表明されました。今日、面会される時にもおそらく正式に受け入れたということを表明されると思いますが、まず受け入れを表明したことについての受け止めを改めてお願いします。
(答)具体的に今日お話を伺って、初めて受け入れたということを確認させていただくということになりますが、福島県が一番指定廃棄物の量が多いわけでありまして、福島県で調整が進むということが全体にとって良い影響が出るということが大変望ましいなという思いを持っています。
(問)福島で8割以上まで調整が進んだとしても、他の5県はなかなか進みが難しい部分もある中で、大臣が先頭に立ってリーダーシップをという声も地元からあります。そのあたり今回、大臣が福島に行かれるわけですが、他の5県に対する大臣のこれからの取組方についてお聞かせください。
(答)私ということに限らず、井上副大臣もしばしば現地に行っていただき、また連絡をとっていただいて、まずご理解をいただくというところの壁を乗り越えていくというのが私たちが一番最初にやるべきことだなと。調査をしなければ良いも悪いもわかりませんので、まず調査をすることの必要性についてご理解をいただかなければ話は始まらないと思っております。ですので、それに向かって努力をこれからも続けていきます。

(問)熊本日日新聞の高橋と申します。先日、環境省が水俣病の認定に関する新たな指針を設けて以降、熊本県で初めての認定者が出ました。鹿児島県を含めるとこれで2例目になります。来年、公式確認以降60年経っていますが、未だに認定されるような被害者がいるということにこちらも驚いたのですが、環境大臣としての受け止めを教えてください。
(答)今回、認定者が出たことについては、審査会において丁寧に審査が行われ、総合的検討がなされた結果であると受け止めています。引き続き、私たちの立場からは公健法の適切な運用を積み重ねていくことが重要であると認識しており、今後も、関係県・市と二人三脚で、水俣病対策に取り組んでまいりたいと考えています。
(問)県の発表の中で各メディアが書いているのですが、今回、居住履歴や年齢、性別、全ての個人データが全く公表されませんでした。後日になって被害者団体の方から、その方の了解を得た上である程度の情報を出されました。環境省の認定の運用が正しいであるとか、新指針がこういうふうに運用されているというのを検証するためにも、ある程度の情報は提供すべきだという意見もありますが、環境大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
(事務方)今回、熊本県の発表の中で詳細な情報が入っていなかったということですけれども、個人の特定に繋がる情報がかなり含まれているというところで配慮がされているものだと考えています。審査の内容につきましては、これまでの国の方で出しております通知に基づいて総合的な検討がなされているということでございますけれども、詳細な中身の公表につきましては行ってきていなかったところであります。この部分が注目されているところは理解しますが、、審査の混乱を引き起こさないという観点でも、詳細な部分の公表については難しいと考えております。
(問)確かに個人を特定するような情報は、こちらとしても知った上だとしても控えていると思うのですが、その後に被害者団体の方から、個人の了解を得た上である程度の情報を出されていると思います。今の説明を受けた上で大臣の受け止めをお願いします。
(答)審査を適切なものに維持していくためには、やはり公開すべき情報を制限するというのは適切な方法だと思っています。加えて被害者団体の方が自らの意思を前提にしてお出しになるというのは、それはそちらのご判断です。私たちはあくまで審査をしていただく仕組みを作っている、あるいは土台を作っている側でございますので、これについては公開をしない方が望ましいと思っております。

(問)環境新聞の福原と申します。COP21でバイ会談を予定されているかと思いますが、これについては調整中ということですけれども、現状でどういった国と検討してらっしゃるのかというところお聞かせください。サイドイベントに関しても調整中ということですが、9日以降のご予定や、8日に関しては2件入っていますけれども、どのくらいどちらにいらっしゃるのかなどの予定を分かる範囲で教えてください。
(事務方)現地の日程のついては不確定な要素がまだございます。バイ会談、サイドイベントへの出席につきましても、基本的には交渉に大臣に出ていただくということを優先的にするというのは各国同様でございます。ただ、バイ会談、サイドイベントの出席につきましては、確定し次第、現地の報道関係者の皆さまには、事務方からお知らせし、適切なご取材の機会を設けたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいいたします。

(問)朝日新聞の小坪です。もう一問お願いいたします。温泉地保護利用推進室の設置ということなのですが、これに対する大臣の期待のようなものがあれば一言お願いします。
(答)訪日観光客の方が増えております。どうしてもゴールデンルートに偏りがち等の傾向がございますので、日本全国津々浦々、すばらしい温泉がありますので、より地域の活性化や地方創生につながるような道を開いていきたいと思っております。

(問)朝日新聞の桜井です。COP21の出張に関して期待しておりますけれども、パリの合意についてですが、先ほど、全員参加で公平で実効的なものとおっしゃっていましたが、具体的にどのようなものを想定されていらっしゃるのか、大臣のお考えを改めてお聞かせください。
(答)少なくとも法的拘束力を持つということについては、各国ほぼ同意をしているものと理解をしております。加えて、5年毎に見直していくサイクルについてもほぼ共有されている意識であると思います。サイクルで何をどこまで踏み込んでチェックをするのか、何を公開し、透明性を高めていくのかについては、これからの交渉に大きく委ねられるところだろうと思っています。少なくともこの2点については既にある程度の土俵が出来ていると思いますので、この上に乗ったものという考えです。
(問)公平という意味ではどのようなイメージをお考えか教えてください。
(答)できれば私たちの立場からすれば、責任の負い方については、先進国と途上国の差はなく責任を負っていくものという認識です。この先2100年頃に向かって気候変動を考えていくには先進国だけの努力では到達できないものがございますので、途上国の皆さまにもしっかりと参加をしていただける枠組みにしていくことが重要だと思っております。