大臣談話・大臣記者会見要旨

丸川大臣記者会見録(平成27年11月6日(金)10:41 ~ 10:53 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議において、環境省関係で5件の政令が決定されました。
 まず、「水銀に関する水俣条約」関係政令として、水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令、大気汚染防止法施行令等の一部を改正する政令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令など4件の政令につきましては、一昨年に我が国が議長国となって熊本、水俣で開催された外交会議において採択された「水銀に関する水俣条約」を国内で実施するためのものです。これらの政令においては、製造を禁止する製品の水銀含有量基準の深掘り・廃止期限の前倒しなど、条約上の規定よりも踏み込んだ措置も定めたところです。私たちの国としては、世界のどの地域でも水銀による深刻な環境汚染と健康被害を二度と繰り返さないよう、世界の水銀対策をリードしていくという思いを込めて政令を作らせていただきました。
 次に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令についてですが、現在130種の国内希少野生動植物種に、アマクササンショウウオ等4種のサンショウウオを追加指定するものでして、本年12月1日から施行いたします。2020年までに、国内希少野生動植物種を300種程度追加するとの目標の達成に向けて、引き続き努力をしてまいります。
 プレCOPの出張について、ご報告いたします。今日、予算委員会の理事懇が行われて、来週前半には予算委員会の閉会中審査の運びということで、その可能性を踏まえて、大変残念ではありますが、プレCOPには平口副大臣に出席していただく方向で調整を進めさせていただいております。私自身が臨みたいという思いではあったのですが国会がまず優先でございますので、そのような調整を現在行っているところでございます。

2.質疑応答

(問)時事通信の相京です。幹事社から2件お願いいたします。1点目はご発言のあったプレCOPに関して大臣が出席を見送られる方向ということですけれども、新枠組みの主要な論点も多くてなかなか煮詰まっていないという状況の中で、どのような議論を期待するかということをまずお願いいたします。
(答)途上国と先進国の間の立場の違いというのがなかなか埋まらないという認識であります。特に差異化を図るべきかどうかについて、私たちとしては出来る限り、それぞれの違いを認めるけれども、共通の土俵でという思いがありますので、こうした方向に議論を引っ張っていけるかどうかということも非常に重要な鍵になると考えています。プレCOPでなんとかもう一段階中身が煮詰まったところでCOPを迎えられるといいのですが、なかなか予断を許さない状況ではないかと思っております。
(問)2点目なのですが、先週の話になりますが、気候変動枠組条約事務局が各国の削減目標を合わせても2℃目標の達成には不十分であるという趣旨の報告書を公表しております。その内容の受け止めと、日本は2030年までに2013年度比で26%削減との目標を掲げていますが、より長期的な視点で温暖化対策にどのように取り組んでいくのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)今回発表された統合報告書で全世界の排出量の8割以上をカバーする約束草案が提出されたということは、国内対策の強化も含めて各国が取り組むということで歓迎をしたいと思います。ただ、ご指摘のあったとおり、約束草案を総計しても2℃目標を最小のコストで達成する経路には乗っていないわけでありまして、今世紀末、気温上昇を2℃以下に抑えることは可能ですけれども、追加の削減努力に加えて非常にコストがかかるということが示されております。この2℃目標をどうするのかということもCOPの一つの大きな論点になっているところでありますが、この約束草案の効果の総計をどう見るかということには、いろいろな議論がありまして、いろいろな研究結果があるということも承知をしておりますので、こういったものも丁寧に見ていきながら、COP21で目標の提出に加えて、見直しをきちんとサイクルとして行っていくことが重要であろうと思います。目標達成がきちんとプロセスが踏まれているかということと同時に、その野心をどうやって引き上げていくかという仕掛けが重要だと思っております。全ての国が参加するということが非常に肝だということと、公平で実効的な仕組みにするということが大事だと思っておりますので、その点をベースに議論を進めていきたいと思っております。

(問)共同通信の川口と申します。おはようございます。2点質問させていただけますと有り難いのですが、1点目は冒頭に発言のありましたプレCOPで大臣はご出席を見送られるということに関して、事実確認として予算委員会は来週の何日に入っていらっしゃるのでしょうか。大臣が出席されないということでCOPの本番まで閣僚として出席されるチャンスが無いわけですけれども、そのことに対して、大臣は個人的にどう考えるのかということをお教え下さい。2つ目はモントリオール議定書の締約国会議で、代替フロンという非常に温室効果が高いガスの一種について段階的な削減に向けて議論がスタートすることが決まりましたけれども、そちらの意義とCOP21に向けてそれが前向きなものとして評価できるのか、大臣のお考えをよろしくお願いいたします。
(事務方)予算委員会の日程はまだ確定的なものはないのですけれども、予算委員会の理事懇が本日開かれまして、決まっていく予定だということでございます。報道ベースでは10、11日という線が濃厚だと聞いております。
(問)10、11日で決まったというわけではまだないということでしょうか。
(事務方)今まさに予算委員会の理事懇が開かれている段階であると聞いております。
(問)わかりました。
(答)出来れば事前に閣僚の皆さまとお会いする機会があって、お互いの顔と名前がわかるような状況で臨みたいという思いはあったのですが、今のところそれが国会の関係でかなわないとするならば、就任した時にもお話を申し上げたように、これまでに、そうした交渉に当たってきた先輩方と非常によくコミニュケーションを取っておりますので、そうした先輩方から、どういう方と、特にバイで交渉すべきであるとか、どういうところに私たちのスタンスを張っていくべきか、ご指導を直接いただいているところですので、総合しながら実際のCOPに臨んでいきたいと思っています。
 モントリオール議定書の件ですけれども、議定書においてハイドロフルオロカーボンのことが議論のテーブルに乗せられたのが2009年と承知をしておりますので、6年を経てコンタクトグループが設置されたということは一歩前進をしたと評価をしたいと思います。私が聞いている限りではこのコンタクトグループで議論をしていくということですので、是非この議論を見ながら、資金面あるいは技術面で課題があるわけですので、どういった解決方法があるのかということをよく確認をしていきたいと思います。

(問)日本テレビの杜です。よろしくお願いします。プレCOPに関連してなんですけれども、大臣が行かれないということで、すでに平口副大臣に指示なさっていることがありましたらお聞かせ下さい。
(答)いえ、私から直接まだ具体的に何か申し上げているということではありません。

(問)それから、先進国と途上国の乖離が大きいということをお話なさっていましたけれども、そうした中で日本の果たしていく役割、あるいは果たした方が良い役割というところをもう少し具体的に、大臣がお考えになっていることがございましたらお聞かせ下さい。
(答)当然要求されるのは資金面、技術面ということになろうかと思いますけれども、先進国全体としてどういうことができるかという枠組みに広げていくのが一つ大事なことかなと思っております。加えて、立場が微妙な国というと変ですが、どちらに属するのかというところが微妙な国が、非常に存在感がありますので、この国をどう取り込んでいくかということが鍵だろうと思います。
(問)ちょっと今のに関連してなんですが、国連内部の中でも資金面、技術面というお話がありましたけれども、特に資金面の部分に関する懸念というところが大きいかと思われますけれども、資金面についてもう少し具体的にお考えになっていることはありますでしょうか。
(答)具体的に何かこういう方向でいくべきだということが出来ているわけではないのですが、先進国内でもそれぞれ立場が異なりますので、そこの間をどう調整しながら、先進国としてというスタンスがとれるかということが重要だと思っています。