大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年10月6日(火)10:13 ~ 10:30 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、第5回原子力防災会議が開催されました。私からは、本年8月26日に地域原子力防災協議会で確認を行った、伊方地域の緊急時対応について報告し、これを了承いただきました。また、緊急時対応のとりまとめにご協力いただいた関係省庁に御礼を申し上げるとともに、引き続きのご協力をお願いいたしました。また、小里副大臣から、平成27年度の原子力総合防災訓練を、11月上旬に、四国電力伊方発電所を対象に実施することを報告しました。総理からは、訓練結果から教訓事項を抽出し、伊方地域の緊急時対応の経続的な改善や充実に取り組むよう指示がありました。

2.質疑応答

(問)NHKの大井です。宮城の指定廃棄物の件で1点お伺いします。今日これから加美町の方に調査に向かうということだと思うのですが、今日というタイミングで改めて調査に向かわれる理由と、まだ加美町の方も態度は変わっていないと思うのですが、今日調査ができなかった場合、今後どういう対応を取られるかについて教えてください。
(答)宮城県でございますけれども、3カ所の詳細調査候補地においては、昨年の10月及び今年の8月に、現地での調査を試みてきたところです。これまでの場合には、加美町の田代岳において、多くの方が詳細調査候補地に至る路上に集まられたために、安全上の理由から、調査の実施を見合わせてきたところです。聞いたところによると、今回も多くの方々が集まっているとのことで、作業の安全が確保出来ないと判断された場合には、調査の実施を見合わせることも考えております。また、タイミングでありますけれども、年内に詳細調査を完了するためには、冬期の降雪を考慮すると、早期に現地での調査を実施しなければならないと考えまして、判断したものであります。
(問)質問は変わりますが、明日、内閣改造が行われるということで、改めて一年余りの大臣としての業務についてのご所感をお願いできますでしょうか。
(答)ちょうど400日という日にちだったと思いますが、前々から何回かお話しておりますけれども、総理から「福島の復興なくして日本の再生なし」「全員が復興大臣になったつもりで取り組むように」と。そういった被害に遭った皆様方に思いを馳せるということ、これが我々としてはとても大切だと、総理から言われたことを今まさにまざまざと思い出すわけであります。
 中間貯蔵施設でありますが、当時の佐藤福島県知事に建設受け入れについて苦渋の決断をいただきました。これは大変大きな決断だったと思います。そしてその上で、私からお願いをして、現在の内堀福島県知事、渡辺大熊町長・伊澤双葉町長に苦渋の決断をいただき、今年3月に搬入を開始することができました。その間に国会のほうでは、JESCO法を始め、様々な法案が国会を通していただいたということは大変良かったと思っております。そういったことで、知事、両町長はじめ、関係各位の御理解、ご努力に、大変感謝しております。今後、用地交渉をやり始めたといってもまだまだ全てが決まったわけではございません。まだ第一歩だというお話を以前させていただきましたけれども、今後も引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
 また指定廃棄物については、今年4月に千葉県の詳細調査候補地を公表するとともに、宮城県、栃木県等も含め、長期管理施設の設置に向けた努力を行ってまいりました。前進していない、との厳しいご意見があることは承知しておりますが、これは一朝一夕には解決しない難しい問題であるということも承知しております。引き続き、環境省としての考えを信頼関係を醸成するということで、丁寧に説明する努力を積み重ねていく必要があると思います。
 また、そもそも環境省の成り立ちを考えたときに、前身の環境庁の時に公害国会というものが開かれたわけでして、水俣病、新潟水俣病、富山のイタイイタイ病、四日市ぜんそくという、環境行政の原点である四大公害病の発生地を訪れ、患者の方々と意見交換をさせていただきました。そうした中で、こういった皆さんとお話をして長い間大変辛い苦しい思いをしてきたということを見ると、こんな悲惨な歴史を繰り返してはならないという思いを新たにしたところであります。これも記憶に残ることの一つです。これは、環境省がこれからもずっと責任を持って、しっかりとやっていかなくてはいけないと思いました。環境大臣としてこうした原点を確認することは大切なことだと、時代がいくら変わっても、このことは大切なことで、現地を訪問させていただいたことは良かったと思いました。
 地球温暖化対策については、東京電力福島第一原発事故以降の状況を踏まえつつも、国際的に遜色のないレベルの約束草案を作ることができるかどうかが大変重要な問題だったと思います。様々なご意見の中で、20%もいかないのではないかとか、もっと大きな数字を出さなくてはいけないのではないか、という様々なご意見もありましたけれども、2013年度比26%削減、2005年度比でも25.4%減という約束草案をとりまとめることができました。今後、この削減約束が達成できるよう取り組むとともに、パリのCOP21が今年の暮れに開かれることになります。全ての主要国が参加する公平で実効的な国際枠組みが構築されるよう、取り組んでいく必要があると思います。140カ国以上、排出量で90%以上の国が数字を出したということで、世界の国々の指導者や首脳などの皆様が力をあわせてこの地球を守っていかなければならないという熱意を非常に感じられた、この1年間だったと思います。特にペルーでのCOP20での会合に行ったときには、マスコミの皆さんも一緒に行っていただいて、しっかりとやるようにというご意見もいただいたりしました。ちょうど私の選挙の期間にあちらに行ったということを考えますと、非常に印象的でした。マスコミの皆様には本当にお世話になりまして、こういったことが日本にとって大切だという報道をたくさんしていただいたということは良かったとつくづく感じております。
 原子力防災についても、昨年9月に鹿児島県川内地域の地域防災計画・避難計画を含む緊急時対応を了承するとともに、本日、愛媛県伊方地域の地域防災計画・避難計画を含む緊急時対応を了承するなど、各地域の体制充実に取り組んでまいりました。ご承知のとおり、核燃料がそこにある限り、地域住民の安全のため万が一の場合に備えることが重要です。引き続きしっかりと取り組んでいく必要があると思います。
 その他、インターネットの不正アクセス問題などの、トラブルが生じた場合の情報開示も重要であり、皆さんに速やかに情報伝達をしていかなくてはいけないと、環境省の職員には厳しく指示してまいりました。今まで環境省はどちらかというと単なる正義の味方ということで言葉を発するのではなくて、各省庁の中心的な役割を果たしていくというような省庁になっていかなくてはならないと、つくづくこの1年を通して感じさせていただきました。環境省の職員は非常に優秀な職員もたくさんいるということを、一緒に仕事をしてきて感じましたので、今後しっかりと国民のために働いてもらえると誇りを持ってやっていただきたいと思います。内閣改造のちょうど前の日ということで、皆様には厚く御礼申し上げたいと思っております。

(問)テレビ朝日の吉野です。お疲れ様でしたというのは、まだ早いので控えさせていただきますが、指定廃棄物問題についてお伺いします。一部には警察を導入してでも詳細調査をやってしまえという強硬な意見が、一部自治体などにもあったようですが、大変恥ずかしいことだと私は個人的に思いますが、大臣は地元の理解を得るため、そのような強行手段に出ることはなく、訴えかけを続けてまいりました。これは今後も環境省の方針として引き継がれていくと考えてよいでしょうか。
(答)大変難しい問題ではありますが、指定廃棄物が各所に散らばっているということを考えると、一日も早く各県一カ所に集約させて、しっかりとした所に安定的に置かせていただき、台風や、この間も水害や災害もございましたので、そういった時にも安心出来るような監視体制もしっかりしていきたいということで進めてきました。決して簡単な話ではなく、どの方も自分のところへどうぞという状況ではないと思います。ですからこそ、そういった皆さまによくお話をして、各県一カ所にまとめて、管理を行っていきたいと考えております。なぜいつまでも、そんなことをしているのかという方もいらっしゃいます。いろいろな考え方があると思います。環境省としては信頼関係というものが非常に大切でございまして、今後も出来る限り、皆さまにご理解していただける努力を積み重ねてまいりたいと思っております。

(問)日経新聞の川口です。昨日、TPPの交渉が大筋で合意したと思うのですが、まず大臣の所感をいただけますでしょうか。
(答)TPP協定の交渉が大筋合意に至ったことは、喜ばしいと考えております。本協定の環境の章(チャプター)でございますが、(TPPには)30の章があるのですけれどもそのうちの1つが環境の関係であるということで、環境に関する多数国間条約における約束の確認及び更なる協力のための規律、野生動植物の違法な捕獲等に対処するための規律等について規定しています。これらにより、各締約国の環境保護の水準が全体として底上げされ、貿易・投資の促進とともに環境保護も同時に図られるものと考えております。
(問)今後、環境省の案件について具体的な立場で予算措置を採るとか、法律の改正ですとか、もしくは新たな法律を作るとか、そういった動きはどうなりますでしょうか。
(答)環境省では、特にTPP協定を受けた予算要求や制度改正は今のところは予定していませんが、現在の施策を充実させていくことが大切ではないかと思っておりまして、TPP協定の環境の章の求める内容には、十分対応できるものと考えております。

(問)共同通信の川口です。地球温暖化の関係でお尋ねします。昨日、気候変動条約の事務局が新しい共同議長のペーパーを出してきましたけれども、こちらが20ページと大分短縮されたものになっていて、こちらの評価と年末への期待について、改めて教えてください。
(答)2020年以降の枠組みを交渉する特別作業部会(ADP)の共同議長による新たな交渉文書が提示されました。内容については精査する必要がありますが、今回の文書は、前回8月に行われた交渉会合の議論を基にしつつ、内容を更に絞り込んだものであると聞いています。21ページが9ページになったと聞いておりますが、今後、今月19日から開催される交渉会合に向けて、早急に本文書の分析を進めていきたいと思います。