大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年9月1日(火)9:46 ~ 10:00 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議では、当省に特段関係のある案件はありませんでした。私から今日はご報告する案件はありません。

2.質疑応答

(問)本日幹事社の読売新聞です。よろしくお願いします。2点ありまして、まず宮城県の指定廃棄物についてですけれども、金曜日に引き続いて昨日も住民の抗議を受けて現地調査に入ることができませんでした。ほぼ1年たって状況があまり変わっていない結果となってしまったんですけれども、どの程度深刻に受けとめられているかということと、今後どのように進められるお考えであるのかお聞かせください。
(答)宮城県の詳細調査の候補地3カ所におきまして、8月28日(金)、31日(月)両日に、現地での調査を試みましたが、加美町の詳細調査候補地において、多くの方々が集まられたため、作業の安全が確保できないと判断をいたしまして、調査の実施を見合わせたところであります。これまでも、加美町に対しては、3市町・県・国による関係者会談、町からいただいた質問書への回答、住民説明会の開催の打診など、丁寧な説明を行う努力を積み重ねてきたところです。今回の現地調査の実施につきましても、事前に3市町にお知らせするなど、丁寧な対応を心がけてきましたが、このような状況になり我々としては非常に残念だと思っております。引き続き、地元のお話をこれからもお伺いいたしまして、環境省としての考えを丁寧に説明し、できるだけ早期に現地調査を実施したいと考えております。
(問)2点目なのですけれども、先週末、福島県の帰還困難区域でモミの木から形態変化が多数見つかるという研究結果が発表されまして、研究は環境省の調査と連動したものでもあるので、大臣としてこの結果に対する受けとめをお聞きしたいのと、前々から地元で根強い森林除染の要望についてのお考えを改めてお聞かせください。
(答)環境省では、東京電力福島第一原発事故により放出された放射線による野生動植物への影響について、平成23年度より継続的に調査を実施しております。今回発表された論文になりますけれども、環境省からの依頼により、国立研究開発法人放射線医学総合研究所がとりまとめたものとなっております。論文では、帰還困難区域内において、空間線量率が高い地域ほど、形態変化を示すモミ個体の頻度の増加が認められたこと、その頻度は、東京電力福島第一原発事故後から2013年まで増加し、2014年には減少に転じる傾向にあること等が記載されておりました。モミの形態変化は、放射線以外の要因でも普通に起こりうる事象であることが知られておりまして、本論文でも今回確認されたモミの形態変化と放射線との因果関係を明らかにするためには、更なる調査が必要であると述べられています。平成23年度より環境省が実施している調査では、これまで約80種類を対象として調査を実施してきておりまして、モミ以外でこのような形態変化は確認しておりませんが、引き続き、放射線医学総合研究所を始めとした研究機関等の関係者と連携を図り、放射線による野生動植物への影響の把握に努めてまいりたいと思っております。そして、森林除染につきましてですが、帰還困難区域の除染については、今後の取扱いを地元とよく調整しながら検討することとしております。帰還困難区域の森林については、これに加えて、今回発表されたモミの形態変化についての科学的な検証、それからモミ以外の生態系への影響、森林から生活圏への放射性物質の移動・流出、森林の持つ水源涵養機能や土壌流出防止などの多面的機能の考慮、様々な問題がありますけれども、多様な要素を総合的に勘案をしながら考えていかなければならない課題と認識をしております。まずは、モミの形態変化と放射線との因果関係についての今後の研究の動向を注視してまいりたいと思います。

(問)下野新聞の須藤です。昨日の放射性物質汚染対策特措法の検討会のことについて伺います。指定廃棄物部分については現行の法律や制度、基本的枠組みで尽力するべきだと、要は現制度を変えないということを打ち出したわけですが、一方で何も変えないということに対して既に塩谷町の方から反発も生まれているわけですが、大臣はこの辺りどのように受け止められていますでしょうか。
(答)検討委員会の問題でございますけれども、政府としては国会でも何度も答弁しておりますが、県内処分の原則を見直すという考えは基本的にございません。それから、事故により最も大きな被害を受け、復興・帰還に向けた懸命な努力を行っている福島県に対して、更なる負担を強いることは到底理解が得られることではないと我々は考えておりますし、仮に検討会の場でそのような意見をいただいた場合には、政府の考えを丁寧に説明していきます。
(問)先ほどの幹事社さんの質問で宮城の指定廃棄物のところで少し気になったのですが、今までは丁寧な努力を積み重ねることなく現地調査に入れないということから、丁寧な努力を積み重ねきたというふうに発言が変わってきたのかなと思います。その丁寧な努力については、三者会談とか質問書への回答、住民説明会の打診というところを要件にあげていらっしゃいましたけれども、この辺りはほぼ栃木県の塩谷町でも重なり合う部分だと思うのですが、塩谷町についても丁寧な努力を積み重ねてきたというような捉え方なのでしょうか。
(答)地元の皆さんにしてみれば様々な思いがありますから、もっともっとしっかりと説明をしてもらいたいということだと思いますが、我々としてもそういったことを考えて丁寧な説明をする努力をこれからも積み重ねていきたいと思っております。そういった努力をすることによって、こういうような話は少なくとも今日、明日、1日2日あるいは一週間、一ヶ月で、話が「はい、わかりました」ということはなかなか考えられないことです。地元の皆様の思いもありますので、我々はこれからもしっかりと粘り強く丁寧な説明の努力を積み重ねていきたいと思います。
(問)念押しみたいで恐縮ですが、まだ努力を積み重ねる余地があるということでしょうか。
(答)はい、もちろんあると思います。こういったことに関してはどこまでも地元の皆さんの気持ちを考えて説明を積み重ねていきたいと考えております。

(問)熊本日日新聞の山口です。水俣病特措法の関連でお尋ねします。熊本県が先日、救済対象となった人の地域の割合を公表したのですが、救済対象の人の内17%にあたる3800人がいわゆる救済の地域対象外だったということが明らかになりました。この数字に対する受け止めと、被害者団体が改めてこの被害の実態を反映していないのではないかと、線引きが、批判をしているわけなのですが、このことについての大臣の受け止めをお願いします。
(答)3000名を超える人が対象地域外に住んでいたと、そういうことでありますけれども対象地域につきましては、ノーモア・ミナマタ訴訟において裁判所が示した和解所見を基本に、訴訟をしなかった患者団体との協議も踏まえて定められたものです。対象地域外の方でも救済対象者がいるという点については、関係県が救済措置の方針に沿って丁寧に運用した結果だと考えております。

(問)河北新報の門田です。宮城の指定廃棄物について2点教えてください。加美町への回答書で示した県内の放射線物質濃度の再測定はいつごろできるのか、ということがまず1点目です。もう1点は加美町長が受け入れを表明した専門家を交えた意見交換は実施するということでよろしいでしょうか。
(答)加美町の猪俣町長ですけれども、専門家を交えて意見交換を行うことについては、どのような専門家を交えるのか、また双方の出席者、具体的な日時・場所について、今後、加美町の関係者とご相談させていただきたいと考えています。
(事務方)2点目の測定の件は私のほうからお答えさせていただきます。一時保管場所の現状把握のための測定というのを考えております。そのサンプリングをするやり方や場所、これは一時保管者のご協力が必要となってまいりますので、この辺を詰めているところでございます。いつまでにというのは明示できる状況ではございませんが、作業に取りかかりたいと考えております。
(問)そうすると意見交換に関しては、するという方向で今後加美町と話を詰めていくということでよろしいでしょうか。
(答)今お話しましたように関係者とよくご相談をさせていただきたいと、断定的にということではございませんけれども、その中で方向を見いだしていきたいと思います。