大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年8月28日(金)9:00 ~ 9:27 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、袖ヶ浦火力発電所の計画段階環境配慮書について、環境大臣意見を経済産業大臣に提出しました。意見の内容といたしましては、「自主的枠組みに詰めるべき課題がある状況に鑑みれば、国の目標・計画との整合性を判断できず、現段階において是認することはできないため、早急に具体的な仕組みやルールづくり等が必要不可欠である。経済産業省においては、電力業界及び事業者に対して、自主的枠組みの具体的な仕組みやルールづくり等に早急に取り組むよう促す必要がある」としています。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の渡邊です。今のアセスの意見で今回、経済産業省に対する意見が追加されたかと思いますが、その理由をお聞かせください。
(答)自主的枠組みに課題がある状況に鑑みれば、早急に具体的な仕組みやルールづくり等が必要不可欠であることから、経済産業省に対しても、意見を述べさせていただいたということです。
(問)大規模の石炭火力に関してはここのところ3件続いてアセスの意見が出ておりますけれども、一方でアセス対象外の小規模なものの建設計画も相次いでいると思います。そちらへの対応はどのようにお考えかお聞かせください。
(答)近年、設置計画が増加している環境アセスメントの規模要件以下の小規模な火力発電所による環境影響については、現在検討会において議論をしております。委員からは対策の必要性が多数指摘されていると聞いております。検討会では、これらの環境保全対策について様々な観点から総合的に検討を行っていくこととしており、その議論を踏まえ、対応を検討してまいります。

(問)日経新聞の川口です。アセスに関して業界に求めている枠組みに関して、どのくらいを目途に出す予定でしょうか。
(答)実効性のある電力業界全体の枠組みを、国の地球温暖化対策計画の中に位置づけることとされているところです。ただし、発電所の立地は、大規模な投資案件であり、中長期に計画的に投資判断がされるものですので、できる限り早くから対策を行う必要があります。このため、COP21が開催されることも念頭に、電力業界には早急な対応を求めますし、事務方にも、業界の検討への協力を指示しています。
(問)COP21の前までには出してほしいという理解でよろしいでしょうか。
(答)まだ詰めているわけではありませんけれども、節目節目のことがございます。そういったことを考えると、COP21も大きな節目のひとつかと考えております。それまでに出せとか出さなくてはいけないとかいうことではなくて、今はそういったところに焦点を置いているところでございますけれども、まだまだこのことについては打ち合わせをしていかなくてはならないと思っております。まず早急に実効的な枠組みにしてもらいたいと思っております。
(問)実効的な枠組みが仮に出てこなかった、出てきても実効的なものになってはいないとなるとアセスで止め続けるのか、その先はどのようにお考えでしょうか。
(答)現在出したばかりですから、出来る、出来ないということはお答えするには早いのかなと思っております。少なくとも26%削減という国の大目標を決めておりますのと、その中で電力業界がエネルギーの4割を担っているということでありますので、重要に考えております。今日、初めて経産大臣にその枠組みをしっかりとやるように書かせていただきましたが、経産大臣の方で受けていただいて、我々も期待をしております。答えとしてはそれが出来るか、出来ないかということは早急だと思いますけれども、しっかりと注視をして連携を取って進んでいきたいと思っております。

(問)NHKの大井です。宮城の指定廃の調査の件でお伺いします。先ほど指定廃の調査に向かわれて、町や住民の方からの反対を受けて一度引き返されたとお聞きしております。まず、その現状の受け止めと今日の見通しについて、また調査に行かれることがあるのかをお伺います。
(答)宮城県の詳細調査候補地3カ所において、今朝から現地での調査を実施する予定でしたが、加美町の候補地において、地元の住民の方が多くお集まりであり、作業の安全が確保できないと判断し、混乱を招くと大変なことでございますので、調査の実施を見合わせているという状況です。これまでも、加美町に対しては、3市町・県・国による関係者会議、町からいただいた質問書への回答、住民説明会の開催の打診など、丁寧な説明を行う努力を積み重ねてきております。今回の現地調査の実施についても、事前に3市町にお知らせするなど、丁寧な対応を心がけてきましたが、このような状況になり残念です。引き続き、粘り強く地方自治体のお話を伺い、環境省としての考えを丁寧に説明し、できる限り早期に現地調査を実施したいと考えております。
(問)今日は見合せということでよろしいでしょうか。
(答)現地調査の再開ということですけれども、先ほどということもあり、細かく分析もしておりませんので、現地からの状況も踏まえて検討しているところです。

(問)環境新聞です。先ほどの袖ヶ浦火力発電所の件なのですが、望月大臣は今回の意見で早急な実効性のある枠組みを求めるということですが、前回も前々回も同じ事をおっしゃってましたけれども、早急な実効性のある枠組みといっても、一体環境省はどのような実効性のある枠組みを求めているのかということが電力業界もわからないだろうし、一体早急な実効的な枠組みを求めると言いながら、環境省としての案が無かったら国民も環境省は一体何を言っているんだと思います。例えば、税の分野で対応するとかCO2のクレジット制度を求めるとか、そういうことをなぜ言わないのか、どういう案があるかとなぜ言わないのか、またあるのだったらそういう案があるのかお聞かせください。
(答)この問題につきましては、先ほど少しお話しましたけれども、少なくともCOP21で26%削減の目標を決めさせていただいて、そこで新たな枠組みができるという重大な世界規模での方向が出てくると思います。我が国もそれを約束していくような形になりますので、そしてまたエネルギーの4割を占める電力業界のしっかりとした枠組みを作ってもらいたいと、それを我々も我が国の約束草案で達成を目指していきたいということになっていくと思います。ただその枠組みが出てくる前にこういうことで税を決めますよとかそういうことは、まだ業界が話し合いをしている段階の中でそれを今打ち出すということはちょっと性急でありまして、今日お話をしましたように経産省から業界をしっかりとまとめていただきたいと、これは業界全体の問題になってくると思います。前にお話しましたように、それを守るためにはしっかりと決めていただくこと、それからまたフリーライダーを出さないで自由化の中でしっかりと決めてもらいたいと、ですから我々は全体としてその枠組みの中でエネルギーミックスが出来るという形になれば、それで結構ですということになりますけれども、これがまだ話し合いをしている最中だということで、経済産業省もそういうことをしっかりと今打ち出し始めておりますので、この推移を見守って早急に出していただきたいということになると思います。まだ出来る出来ないからと言って、そのことについて結論を出すというものでも無いし、これから我々はしっかりと注視をして、その話し合いをまとめていただきたいと思っております。
(問)この袖ヶ浦の火力は、東京ガス、出光興産、九州電力の3社の出資会社なのですが、これの環境配慮書を出した段階に記者発表も無かったという事実があります。地元の千葉の新聞に広告を出したきりで、NOX、SOXならそれでいいかもしれませんが、CO2というのは我が国の国民に影響することですから、この記者発表をしなかったということは大臣どのようにお考えですか。
(答)これは我々も今始めて聞きましたので、我々としてもそういったことを認識していかなければいけないなと思いますけれども、それはその会社の経営上とかどういうことかわかりませんけれども、そういう形にしたということは、我々としては今まで出てきた中では最大の火力発電所でありますから、そういった意味ではそう簡単にOKですということを出さないで、今までと変わらず厳しい、これからまだ二回目もあると思いますけれども、一回目としてはこれではというような文章を出させていただいたということです。

(問)日本テレビの杜です。指定廃棄物で2点お尋ねなのですが、今後の再開はまだこれからということがございましたが、明日、明後日以降改めて調査に訪れることはあるのかということと、あともう一点、大臣は常に丁寧に説明する努力を積み重ねているということをおっしゃっていますが、どこかで努力はもうしたという判断を大臣としてするお考えはあるのか、この2点をお聞かせください。
(答)我々は今努力を積み重ねている状況でありまして、まだ今日入ってそういう反対の人たちがバリケードをしていたという、先ほど聞いたところによると数百人と車も100台近くいたという、そういう方々に、我々も真摯な気持ちで必要性というものをしっかりと住民の皆さんに説明にいくとともに、また県全体の問題でもあります。県全体にこういった指定廃棄物が散らばっているということが本当に良いかどうかということも、まだまだ説明が足りないのかなという我々の反省もございますけれども、現場の皆さんも日夜そういう説明をさせていただきたいという形でやっている最中でございますので、これを期限を区切って来週だとか来月までとかいうような段階ではまだ無いと思っております。それは完全に100%というのはなかなか難しいことですけれども、一人でも多くの皆さんにこのことをご理解いただいてトラブルの無いように進めていきたいという気持ちでいっぱいです。
(問)明日、明後日の調査というのは今のところは。
(答)このことについては事務方によく伺ってください。

(問)河北新報の門田です。先ほどのNHKさんの質問の中で大臣が混乱を招くことは大変なことになるとおっしゃっていましたけれども、結果として混乱を招いてしまっています。この現状についてはどのようにお考えでしょうか。今回の判断は正しかったと、適切だったとお考えでしょうか。
(答)我々は前々からできる限り丁寧な説明をして、そして混乱を招かないようにという形ですけれども、こういうような形になったということは非常に残念なことでございます。ただ今までのここまで来る間に、市町村長会議だとか県の方とも話し合いをして、こういう形でやりましょうというような形で決めました。その間にまた住民の皆さんにも詳細調査をさせていただくための丁寧な努力を積み重ねてまいりまして、ただ日程的には期間というのは雪が降るような状況になってくると、また出来なくなってしまうということもございますので、今までのある意味での集大成と考えて、調査に入ろうかなとことです。ただし、またこういうことが起きたということ、これは真摯に受け止めて我々は努力を積み重ねていくと、これに尽きるのではないかと思います。
(問)努力の方向性についてなのですが、住民の理解を得るという点ではどうもうまくいっていないような気がするのですが、努力の仕方に関してもう一度検証し直すとか考え直すとか方法を変えるとかそういうお考えはありますか。
(答)こういったことを踏まえて、新たに話し合いの場とか説明をさせていただくというようなことを分析をしていきたいと思っております。ただそれは皆さんご存じのように、こういったことが明日、明後日ですぐ出来るというようなものでは無いということは是非一つご理解いただきたいし、我々も決して強行するということが決して得策では無いということで進めているということでございまして、できる限り努力を積み重ねるということは大切なことですので、こういった形で現在は進めております。

(問)フジテレビの加藤です。重ねて指定廃なのですけれども、度々質問されているかとは思いますが、1年間ずっと同じ状況が続いて、今日の詳細調査は強行ではないとおっしゃていますが、強行であると住民が思っているかもしれないのですけれども、県に一カ所選定して進めていくことが、どこも進んでないことをみると、厳しいそれが住民の理解が得られない状況なのではないかと、その根本的な考え方を変える考えの検討を進めることはないのでしょうか。
(答)今までの経過からして方針を変えるということはございません。詳細調査を行っている3カ所ですけれども、我々が調査をしなければ分からない面もございますので、今まで資料を積み重ねて候補地を決めさせていただきましたので、現実に調査に入ってなるほど間違いがなかったという形まで進めていかなくてはいけないということで、基本的な路線を今のところ変えてはおりません。そういったことで進めていきたいと思っております。

(問)朝日新聞の小坪です。まとめて2問お伺いいたします。1点目はフクシマエコテックに関連してですが、地元からまた新たな要望が出されました。その受け止めと、いつまでに返事をするかということが1点。もう1点は、ここ数日で人工飼育のライチョウが二羽死んでいますけれども、これの受け止めと事業を今後どのように進めて行くのか、この2点をお願いします。
(答)エコテックの問題につきましては、先日も私が福島のほうに伺いまして、知事を始め両町長と話をして地元の皆さんのご要望等もお伺いしてまいりました。やはり地元の皆さんのご希望といいますか、予算的なものだとか色々な道路の問題だとか、それから更なるエコテックの安全性だとかそういったものも出されました。内容についてはおそらくお知らせしてあると思いますが、そういうことを伺いましたので我々はそれを持ち帰って真摯に内容を検討してお返しをしたいです。ただ我々が有り難かったのはエコテックについては国で最終的に管理をするような形としまして、非常に評価をしていただきまして、これについては知事を始め両町長からも住民の皆様と話をして評価をさせていただきたいと、ただし風評被害を始め様々な問題があるので更なる努力を積み重ねていただきたいというご要望をいただきましたので、それについては真摯に受け止めてご返事をさせていただきたいと思っております。それから二羽のライチョウが立て続けに死亡したということがございました。これは我々にとっても非常に残念なことだと思います。死因は不明でございまして、環境省としては残りの6羽が無事に育つことを期待させていただいておりますし、引き続き日本動物園水族館協会と連携をしてライチョウの保護と増殖の事業を進めてまいりたいと思います。国民の皆さんに非常に心配をしていただいているという情報も伺っております。我々も全力を挙げて協力をして見守っていきたいと思っております。