大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年8月14日(金) 16:00 ~ 16:22 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 国のCO2削減目標とエネルギーミックスを確実に達成するためには、一昨年の関係大臣会合で決まっているように、電力業界の実効ある温暖化対策の枠組みが構築される必要があります。先月17日に、関係各位の御努力の結果、電気事業者35社から2030年度のCO2削減目標を設定するとの発表がありました。ここで掲げられた目標は、国のCO2削減目標に整合する数値になっており、電気事業者の皆様の努力によるものと評価しております。その上で、肝心なことは、掲げられた目標を、如何にして確実に達成していただけるのかです。このため、発表された自主的枠組みが、盛り込まれた目標を実現するために実効的な内容となっているか、確認してまいりました。その結果、現時点で公表されている内容については、例えば、目標を達成するために、石炭火力のCO2排出量をどのようにして削減するのか、進捗管理(PDCA)をするなかで、全体のCO2排出が目標通りにおさまらない場合にどのように対応するのかなど、詰めるべき課題があると考えております。このため、本日発出した武豊火力発電所に対する環境大臣意見は、自主的枠組みに詰めるべき課題がある状況に鑑みれば、国の目標・計画と整合性を判断できず、現段階では是認することはできないため、早急に具体的な仕組みやルールづくり等が必要不可欠である、としています。環境省として、国際的に約束したCO2の削減目標とエネルギーミックスの確実な達成に向け、経済産業省と連携して電力業界の検討に最大限協力してまいりますが、電力業界においては、これらの課題をきちんと詰めるようにお願いしたいと考えています。事務方には、責任を持って、しっかりとその動きを注視し、政策的な対応についても検討するよう指示したところです。電力部門は、我が国の排出量の4割を占める大変重要な部門であり、CO2排出の多い石炭火力発電所の立地計画が相次いでいる中ですので、引き続き、しっかりと対策に取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)今月幹事社の毎日新聞の阿部です。詰めるべき課題のある現状では、今後も石炭火力のアセス案件を控えておりますが、同様の大臣意見にならざるを得ないという御認識かどうかお聞かせください。
(答)今後の火力発電所のアセス案件については、「自主的枠組み」についての業界の検討状況を踏まえ、また個別の状況をしっかりと伺ったうえで、意見を述べていきます。

(問)早急に具体的な仕組みやルールづくりが必要不可欠ということですが、いつまでにというタイムリミットについてはどうお考えでしょうか。
(答)発電所の立地は、大規模な投資案件であり、中長期に計画的に投資判断がされるものですので、2030年度に向けた対策は、できる限り早くから進めていく必要があると認識しています。このため、いつまでに期限を区切るのではなく、切れ目なく検討調整が進められるように、電力業界には早急な対応を求めますし、事務方にも、業界の検討への協力を指示しています。もちろん1か月後や3か月後というように区切るわけにはいきませんので、それぞれの案件も出てきておるところでありますので、その都度、しっかりとした対応をしていきたいと考えております。

(問)日本テレビの杜です。先日大臣にお尋ねしたときには、環境省としてはしっかりと検討して電力業界に働きかけるといったような回答があったのですが、環境省としてはあくまでも経産省と連携して最大限協力していくという書きぶりなのですが、例えば電力業界に早急にルールづくりを求めるとおっしゃってますけれども、あまりにも時間的に出してこない場合に環境省の方でイニシアチブを取ってルール提示をするとか、もう一歩踏み込んだ形で取り組むというお考えはありますでしょうか。
(答)2つほど考えがあるのですが、自主的枠組みは2年前から出すように我々からも働きかけておりまして、その間は出ておりません。そこで前回、厳しく言うべきことを言ったつもりでございます。これが厳しいか、甘いかは様々な意見があるとは思いますが、我が国の26%の削減にいかがなものかという形の中で、意見を述べさせていただいたつもりであります。出てきたものが早いか遅いかということではなく、26%削減のための枠組みというものが出てまいりました。厳しくいえばそれで環境省の役目は終わりということではなく、我が国全体の問題ですから、もう一歩踏み込んで、経済産業省も農水省も環境省も、縦割りではなく、協力して行っていかなくては、実効的なものになりません。我々としても言いっ放しにならないように、詰めていきたいと思います。意見を述べるのに、数字だけ出して、仕事は終わりましたということではなく、全てで協力していく枠組みがしっかりと出来るように進めていきます。

(問)産経新聞の田邉と申します。確認までですが、実効的で具体的な対策が出てくるまでは、石炭火力の新設は認められないと受け取ってよろしいでしょうか。
(答)基本的にはそのようになると思います。最大の目標は26%削減、電力が約4割を占めるというわけでありますので、CO2削減のための大変大きな部分を占めます。しっかりと注視していかなければなりません。26%の削減目標は世界に約束していることでございます。環境省や経済産業省だけの問題ではありませんので、達成するためにはしっかりと注視していきたいと思います。

(問)共同通信の川口です。先ほど大臣のほうから、時期を区切るのではなくできるだけ早くしていく必要があるというお言葉があったのですが、一方で国の実行計画もそうですけれども、電力業界の実行計画もこれから作っていかなくてはならないわけで、そう考えるとあまり時間的な猶予も無いのかなと。改めてですけれども、いつ頃までに実効的な枠組みになるように一緒に協力して考えていきたいとお考えでいらっしゃいますか。
(答)これはあくまでも、2030年の26%の削減という目標に向かってという期間の中で遅れすぎないようにということです。ただ様々な計画がこれからまだ出てくるような状態だと思います。それをいちいちスクラップ&ビルドで、確かなものになっているなとか、あるいはただ小さいからいいだろうと何十も何百も出てくるようになっても困ると、そのような様々な問題があると思います。そのようなものが出揃ってからでないとわからない面もありますけれども、時期を決めるということではなくて、しっかりと精査ができるような形をとっていきたいと思っております。

(問)経済産業省と連携して電力業界の検討に最大限協力していくということなのですが、これは電力業界の方で頑張られることだと思いますけれども、このままでは実効的な中身にならないのではないかという危惧がある場合には、経済産業省と連携して規制ということも視野に考えていくことになるのか、そのあたりのお考えをお聞かせください。
(答)まだ現在はその段階ではないと思います。これから自主的な枠組みの課題ですが、行政側の対応できる業界の努力の下支えをするということが大切なことだと思っておりまして、そういうことによって解決していくことができるものはないか、その場合はどのような対応をすれば良いのかを検討していきたいと思っております。

(問)朝日新聞の小坪です。大臣は常々3つのポイントというのを上げておられたと思うのですが、その意味では今回は枠組みに関して、その3つをどれも満たさなかったという評価になるのでしょうか。その辺を教えてください。
(答)3つのポイントというのは、具体的には、業界として具体的な目標が定められ、国の削減目標が達成できるもの、フリーライダーの問題であるとかとか、PDCAなど、そのような問題だと思います。私が以前より申し上げているように、枠組みが満たすべきと考える3つのポイントには、変更はありません。こうしたポイントにも照らし合わせたうえで、今回の自主枠組みについて、詰めるべき課題があると考えているものです。

(問)いずれも詰めるべき点があるので、いずれも満たしてはいないという考えでよろしいでしょうか。
(答)満たしていないというのは、完全かといったらそうではなく、なかなか難しいと思います。どこまで詰めるかということが大切であって、現在は満たしているとかいないとか、マルバツで判断するものではないのではないかと思います。これから我が国全体が、国民運動として努力していかなくてはならないものの一つでありますから、そういった意味で環境省の言いっ放しにならないように下支えをしていくことが大切だと思っております。

(問)朝日新聞の香取です。一つ前の質問と関連して、事務方には、責任を持って、しっかりとその動きを注視し、政策的な対応についても検討するように指示したいということがあったのですが、ここで言う政策的な対応というのは具体的にはどういったことを考えていらっしゃるのか教えていただきたいです。
(答)政策的な対応というのは行政側が対応で業界側の努力を下支えすることができると、そのようなものがあるのではないかと思っております。それによって解決できるものがないか、その場合どのような対応をするのかということを検討していくと、そのような趣旨で先ほど政策的対応ということをお話させていただいたつもりです。

(問)これを出すにあたって専門家からのヒアリングを受けて、提言も受けていると思うのですが、その中では電力業界にキャップを付けて、排出量取引をしたり、環境税を付けたりということがあったかと思うのですが、そのようなことも視野に入ってくるということでしょうか。
(答)専門家会議の問題については、様々な意見がありますので、事務方から後ほど皆さんに詳細についてはご報告させていただきたいと思います。

(問)NHKの橋本です。電力業界が来年以降、完全に電力が小売りが自由化される中で、なかなか電力業界が自主的に枠組みを作れないのではないかと、そのような危惧・指摘がある中で、大臣としてはあくまで下支えをすることで、自主的な枠組みは作れると期待されているということなのでしょうか。
(答)我々としては、電力業界がそういった自由化したと言いますか、そういう形の中、その前でしたらもう少し形というものがやりやすかったかもしれないのですが、業界もなかなか大変だと思います。自由化の中でこのような枠組みは出来てきたということですので、そういった面では評価をしてくことかと思います。ですから今後非常に大変な中、そういう意味では下支えしていかなくてはいけない面があるのではないかと思っております。

(問)ロイター通信の大林です。先ほどおっしゃったように、これは国の目標なので縦割りではなく全体でということだったと思うのですが、今の時点でアセスのやり取りをしている限りで、環境省と経産省との足並みというのは揃っているとお考えでしょうか。
(答)経産省とは様々な観点から議論をしてきたつもりです。大分寝ないで頑張ってきたという話も聞いておりますから、なかなか大変な仕事だと思います。我々の国の経済を見て、電力というものの重要性を話をする皆さんと、CO2の削減を我が国は約束をして世界的な規模でCOP21に向けて進めていかなくてはなりません。そのような中、はいわかりましたそうですかという形には、なかなかいかないと思います。両省とも我が国の将来の問題を考えて詰めているわけですから、お互いに力を合わせて乗り切っていかなくてはならないと思います。現時点で詰めるべき課題があるという認識は共有はしております。両省で連携してしっかりと対応していきたいと思います。

(問)下支えという言葉をおっしゃりましたが、下支えのイメージがいまひとつよく分からないのですが、例えばの形で教えていただければ助かります。
(答)下支えに関してはいろいろな考え方がありえまして、やり方について発言するとほかに波及するものがあると思います。ペナルティを与えるという発言などは、業界がこれから煮詰めていかなくてはならないものがありますので発言は出来ません。温暖化対策税などさまざまなやり方がございますが、今の時点はお互いにそれを詰めている段階であり、自主規制がどこまで出来るのかを考えると、指導していただいている学者の先生方もいらっしゃいますので、そういった方々の意見も参考にしながら今後のあり方について検討していくことが、下支えのひとつではないかと思っております。