大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年7月3日(金)9:04 ~ 9:24 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 2016年5月に開催される伊勢志摩サミットの関係閣僚会合の1つとして、G7環境大臣会合を富山県富山市内にて開催することとなりました。富山県・富山市等の関係自治体及び関係機関とも連携しつつ、本会合が円滑に実施されるよう、環境省内に近く準備室を設置する等、全力を尽くす所存です。なお、本会合の具体的な時期や内容については現在検討中であり、各国との調整も踏まえて、しかるべき時期にお伝えする予定です。
 明日7月4日土曜日に北海道斜里町で開催される知床国立公園50周年・世界自然遺産10周年記念式典に出席いたします。この式典は、国立公園であり、世界自然遺産でもある知床の価値や保全の意義を再認識するとともに、知床の魅力を広く発信し、未来へ向かって引き継いでいくために開催されるものです。10周年、50周年という非常に大きな節目の式典であることから、主催者である環境省を代表して私が出席するとともに、式典に先立ち、知床国立公園の管理状況を視察してまいります。

2.質疑応答

(問)日経新聞の川口です。電力業界が35%削減するという目標を策定してきましたが、その受け止めをお願いします。
(答)発電分野の温暖化対策については、我が国の温室効果ガス削減目標とエネルギーミックスの達成を確実なものとする実効的な枠組みを早期に構築する必要があります。現在、電力業界内で、枠組みの案を検討しているところと承知しています。電力業界の枠組み案がまとまれば、そのように実効的な枠組みになっているのか、しっかりと確認したいと考えています。

(問)実効的というものの判断基準について教えてください。
(答)事務方が伺った有識者のご意見を踏まえると、電力システム改革による適正な競争を通じた電源の低炭素化や高効率化が進むよう、電力業界全体の枠組みは、第一に、業界としての具体的目標が定められ、国の削減目標達成を確実なものとすること、第二に、全ての対象事業者が公平に参加し、経産省の問題になってはおりますが電力の自由化等がございますので、フリーライダーを出さないこと、第三に、2030年度に向けて着実にCO2削減が進むよう、PDCAで進捗管理がされること、といったポイントを満たす必要があると理解しています。電力業界に対しては、こうしたポイントを満たす実効的な枠組をできるだけ早く構築するよう期待します。

(問)北日本新聞の北崎と申します。G7環境大臣会合で富山が選ばれた理由の決め手と、以前、神戸で開催された時は地球温暖化や生物多様性などのテーマが議題になっておりましたが、どういう議題が想定されるのか、テロ対策などの課題はどういったことが考えられるのか教えてください。関連ではないのですが、乗鞍岳で採取された卵から富山市ファミリーパークで、日本ライチョウのひなが一羽生まれたということに関しても一言いただけますでしょうか。
(答)環境省として、気候変動枠組条約のCOPでも取り上げられ始めている地方自治体による取組、特に都市間連携等日本の強みを生かした施策事例を世界に発信したいと考えておりました。富山市は、2004年に国際連合環境計画の事務所が日本に初めて設置され、また2014年の国連気候サミットで都市主導による取組の先進事例として国内で唯一選定される等、世界的に認知されている環境保全都市です。加えて、エネルギー効率改善に向けて「富山市エネルギー効率改善計画」が2015年3月に策定される等、環境問題に積極的に取り組む地方自治体として、世界のショーケースになり得る実績を有しております。国土交通省でのコンパクトシティなど、高齢化社会による人口減少に対してLRTなども先導的に入れて、ヨーロッパの先進地域と同じような活動をしている、日本の中では数少ない場所でございます。これらも踏まえながら、立候補のあった都市を中心に会議場や交通アクセス等の様々な条件を官邸の主導で総合的に勘案して、G7環境大臣会合を富山県富山市内にて開催することとなりました。
 次に議題についてですが、先月開催されたG7エルマウ・サミットでは気候変動問題をはじめとして、様々な環境問題が取り上げられたと承知しております。来年のG7環境大臣会合の内容は現在検討中ですが、エルマウ・サミットの結果も考慮し、各国との調整も踏まえて、しかるべき時期にお伝えする予定です。
(事務方)富山市のファミリーパークでライチョウの卵がふ化いたしましたけれども、そのことは大変喜ばしいと考えております。ただふ化したひなはしばらくは状態が安定しないということですので、注意深く見守っていきたいと考えております。今後は将来的な野生復帰も目指して生息地の保全と合わせて、動物園と連携した取組を進めていきたいと考えております。
(事務方)閣僚会合の際のテロ対策については富山県におかれましては、知事政策局長が危機管理監を兼ねておられます。今後は知事政策局、県警と具体的な調整に入ることとしております。

(問)日本テレビの杜です。よろしくお願いします。削減目標の話なのですが、中国が削減目標を出しましたけれども、これに対しての環境省としての受け止めと、また大臣ご自身何かどういうふうに評価されるのかということがございましたら、何かお聞かせください。
(答)中国と韓国が約束草案を提出したこと自体は、今年のCOP21に向けて新たな国際枠組みの議論の促進に繋がるものであるということで、歓迎したいなと思います。中国のようなCO2排出量が世界の中でも上位にある国がこのような数字を出したということを我々は歓迎したいと思っております。
 それから、我が国の草案についてですが、パブリックコメント等の必要な手続きを経て、7月中下旬頃にも国連に提出したいと考えており、COP21に向けてしっかりと取り組んでいきます。

(問)共同通信の川口です。おはようございます。今の質問の関連なのですが、中国が出したことで、主要排出国がほぼ出揃ってきた形になってきたと、年末に向けて何かしらは合意が出来そうかとの期待も高まってきたのかなと思うのですが、そのあたり年末に向けての受け止めを大臣の方からお願いできますでしょうか。
(答)やはりなるべく早い時期にということでございまして、ここに来て、だいたい主な排出国の目処がついてきたかなと、そういうことで大いに歓迎したいなと思います。ただ各国のいろいろな意味で様々な数字が出ておりますけれども、各国の国の事情とか出来る範囲内で数字を出しなさいということで来ておりますので、そういう目標に対する評価については差し控えさせていただきたいと思います。我々も26%という数字に対して、パブリックコメントで国民の様々な皆様からの評価をいただいておりますので、そういう中で我々もしっかりと世界の中で、守れるようなものを出していきたいと思っております。

(問)もう一点追加で、今パブコメの話があったのですが、パブコメで国民の皆様から様々な意見を頂戴したものと存じます。その結果を受けて26%という結果を見直す考えはあるのかどうかということをお聞かせください。
(答)昨日までパブリックコメントを行ってきたということで、現在集計中ですけれども、昨日の午後9時の時点で約1,900件の意見が寄せられたということを聞いております。この意見の内容に若干触れさせていただきますと、森林保全の重要性を訴えるものだとか、数値目標について更に野心的なものを出すべきだという意見もございました。それから逆に厳しすぎるのではないかという意見もございました。様々な立場の皆様から、それぞれご意見があったということをご披露させていただきました。我々としては寄せられたパブコメの意見を参考にさせていただきながら、最終的には地球温暖化対策推進本部で約束草案をしっかりと決定をさせていただきたいと思っております。

(問)北海道新聞の山本です。知床の世界遺産が10年ということで、大臣の今後への期待と、地元では問題になっているのが、細かいのですがヒグマの餌やりが問題になっていて、観光客との共存というか、動物とのあり方について国としてどのように支援するべきかというお考えをお聞かせ下さい。
(答)50年と10年という大きな節目ですから、環境省としてはこういった日本の国の財産と言いますか、大切な資産でありますので、これをしっかりと守っていくということ、これは基本的なことだと思います。ただ国だけではなくて県だとか地元の市町村などの皆様ともしっかりと協力をしていかなくてはいけないと思います。地元でも積極的に様々な協力をしていただいているということがございますので、我々はそういったご意見を踏まえながら国で出来ることをしっかりとやっていきたいと思います。なかなか難しいところなのですが、私も今回行くということでいろいろと聞いてみたのですが、この中には車では入れない、道路などが無いということで、海を回らないとなかなか中の方は見れないと、それくらい厳しくして初めてこういった自然が守れるのかなと思うと、やはり人が来て観光するだけでは上手くいかないと、ただし観光客も増えますので、そうやった中に立ち入らなくてもしっかりと見えるというような施策も様々していると聞いておりますので、しっかりと見させていただいて、環境省でできるものはしっかりと応援していきたいと思っております。
(事務方)大臣ご自身からお話されたとおり、現地の地元の方を含めまして、いろいろと意見交換や、現地視察をしていただきますので、現地でも今の大臣の言葉を踏まえながら今後とも保護・管理に環境省として取り組んでいく所存でございます。

(問)産経新聞の田邉でございます。冒頭の質問で出ました、電力業界の自主的な目標の件なのですが、アセスメント以外にも国の温暖化対策実行計画にも盛り込まなくてはいけないような項目もあると思いますが、先ほどおっしゃっていたような三項目を満たすような目標をいつ頃までに電力業界に提出するように求められるのでしょうか。
(事務方)今ご質問がありましたように、国の温暖化対策の計画の中に盛り込むということになりますので、当然その策定のプロセスに間に合うように出していただくことになると考えております。