大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年3月3日(火)8:55 ~ 9:12  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 御報告が一つございます。本日3月3日は、野生生物の保護の取組を強化することを目的に、国連が定めた「世界野生生物の日」です。環境省では、平成25年に「種の保存法」を改正し罰則の強化を図り、これは最高1億円ということですが、ネットオークションにおけるヒョウの毛皮の違法取引の摘発などに成果を挙げています。一方、最近では、平成25年にワシントン条約の附属書Ⅱに掲載された、こちらの写真でございますけれども、我が国固有のヤエヤマイシガメ等の海外への輸出が多くあることが分かりました。全体では個体が3万匹くらいいるのですが、平成25年6月以降だけで6千匹くらいが輸出されたということで、我が国の陸上動物としては初めてとなりますが、ワシントン条約に基づく輸出規制も視野に入れた対策が必要と考えており、年度内にも方向性を出すよう事務方に指示を出しました。なお、今週いっぱい、経済産業省本館1階で、希少野生動植物の取引のルールに関するパネル展示をしておりますので、ぜひ御覧いただきたいと思います。以上です。

2.質疑応答

(問)今月幹事社の朝日新聞香取です。よろしくお願いします。2点あります。1点目は温暖化対策の約束草案の関係なのですが、先週金曜日ですか、スイスが約束草案を国連事務局に提出する第1号の国となりました。2030年に90年比50%という数値に関して大臣はどのように評価されるかということと、それに合わせて、先進国と主要排出国に求められている3月末までに提出するというような約束草案の期限が迫ってきていますが、日本の検討の現状、今後の見通しなどを教えて下さい。
(答)スイスが約束草案を出したことは、COP21で合意する新たな国際枠組みの議論の促進につながるものとして、歓迎したいと思っております。我が国としても、新しい削減目標と具体的な行動計画をできるだけ早期に策定し、COP21に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思っております。50%という数値の評価という話もございましたが、私も参加したCOP20では、厳しい状況の中で最終的にあのようなまとまり方をしましたが、事情が各国によっていろいろ異なりますので、それぞれの国がそれぞれの国で約束草案を出すということになっております。今回の約束草案はスイスの国内で議論を深めて決定されたものでして、その経過とか詳細については、我々は知りませんので、約束の内容については発言は控えさせていただきたいと思いますが、日本は日本の事情をしっかりと勘案しながら決めることになっていくと思っております。先程、約束草案はいつ頃というお話もございましたが、COPの決定、あるいは各国の動向-このスイスも一つの動向ですが、EUも40%くらいというような話も聞き及んでいますが-や、将来枠組みに係る議論の状況、我が国のエネルギー政策やエネルギーミックスに係る検討状況等を踏まえて、できるだけ早く、加速をしながら取りまとめていきたいと思っております。
(問)もう1点、別件なのですが、大臣の政治資金のお話です。先日の記者会見で大臣は13年に鈴与から140万円について違法性は無いと認識しているが道義的な観点から返金するとおっしゃいました。その後、11年にも鈴与が環境省から一般社団法人を通して補助金を受けていて、その後530万円の政治資金を大臣のほうに出しているということが分かりました。この530万円についての取扱いについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)これはエコリースの補助金のことだと思いますが、私は予算委員会でも申し上げましたが、この補助金は間接補助金という形で法律的に規定されておりまして、政治資金規制法第22条の3の国の交付決定を受けた補助金には該当しないということでして、違法性は無いものと私は認識しております。
(問)そうすると先日140万を道義的に返金されたというのと、今回の530万円とは同じ性質のものでは無いというお考えですか。
(答)法律的に、直接補助金と間接補助金は状況が違うということです。国土交通省所管の公域物資拠点施設整備補助金は国の直接交付を受けた補助金であり、性質上利益を伴わない補助金として、政治資金規正法の寄付制限の対象外になる可能性もありますが、寄付制限に該当するおそれもあることから、これは道義的責任ということで、26日に140万を返還いたしました。エコリースの補助金は間接補助金でありまして、国の決定を受けた補助金には該当しないということです。

(問)共同通信の川口です。冒頭の質問にありましたスイスの約束草案の関係ですが、数字の評価はしないというお話ありましたが、2030年までに50%、EUも2030年までに40%とそれぞれ基準年は違いますけれども、先進国としては2度目標を達成するためには相当な踏み込みや削減が求められると思うのですけれども、日本はどの程度といいますか、それ相応の貢献が求められると思うのですが、大臣のお考えをお聞かせください
(答)それぞれの国の内容や決め方については、COP20でもそれぞれの国が出来る形で作り、出しなさいという形になりましたので、評価というものはその国の事情がありますから、我々としてもどのような決め方でここまできたのかは把握出来ておりませんので、数字の評価というものは中々難しいと思います。スイスの野心的な50%という数字は歓迎したいということでございまして、評価とは違いますが歓迎させていただきました。我が国としてもまさにそのようなことを勘案しながらということになりますが、中環審や産構審で審議を行っていただいておりますが、我が国の事情がございます。エネルギーミックスの議論も進んでくると思いますが、そういった国内の事情を踏まえまして、数字を出していきたいと思っております。私もCOP20でバイ会談を行い、それぞれの国から日本については期待をしていますし、しっかりと数字を出していただきたいと話もありましたので、そういった期待に応えなくてはならないと思っております。
(問)もう一問、先週に大臣からご指示があった石炭火力について伺いたいのですが、次々と新しい計画が出てきて中国電力が広島に計画をしているというプレスリリースがなされ、Jパワーも山口で新たな石炭火力のお話があります。エネルギーミックスがまだ決まらない段階から、いろいろな計画が雨後のたけのこのように出てしまっている状況なのですが、大臣こちらはどのようにお受け止めになられ、指示をどのように加速化させていきたいとお考えでしょうか。
(答)先般の会見で申し上げたとおり、石炭火力は非常に多くの二酸化炭素を排出するため、その立地計画が相次いでいることに懸念を持っております。中国電力や山口宇部パワーの石炭火力発電所の立地計画についても、事務方から報告を受けましたが、改めて、石炭火力には環境保全上の懸念があります。このため、電力業界全体としてCO2排出削減に取り組むための枠組みについて、業界に構築を促すだけではなく、今回環境省としても積極的に検討するように指示を出したところであり、引き続き、しっかりと検討させることにしております。また、御指摘の立地計画を含めて、発電所の新増設に対しては、環境影響評価において適正に審査していきたいと思っております。
(問)今後環境省としても積極的に関与していくということですが、従来の環境影響評価にとどまらず、もっと踏み込んで、石炭火力を規制していくというお考えも検討の材料としてはあるのでしょうか。
(答)規制していくというところまでは、まだこれから議論をしていくことになりますから、そういった中でどういった形が最もよいか、それらも含めて検討するようにということです。規制という形にならなくてもよいのは、今まで自主的枠組みなどいろいろありましたが、そういったことで済むのか、我々としては懸念をもっておりますので、環境省としてしっかりと議論を深めなさいと、そして様々な発信が出来るようにしていきたいと思っております。

(問)長くなって恐縮ですが、先程の政治資金の質問に対するお答えの中で、確認をさせてください。26日に道義的な責任から寄付金をお返しになった要因となっていた国土交通省所管の補助金と、大臣が説明されている環境省所管の間接補助金は、性質が違うというお考えでよろしかったでしょうか。これは明確でなかったのでお願いします。加えて、エコリースの補助金については間接補助金のため、返還しないというお考えということでよろしいでしょうか。それについては国土交通省のものとは違って道義的な責任もないということでよろしいでしょうか。
(答)これはまさに法律の構成要件といったものが違うと思っております。まず、第一の法律は、140万のほうについては、直接交付を受けた補助金であって、これについては法律的には知り得なかったという形の中でございます。ただし、先程申し上げたように、政治資金規正法の給付制限の対象外になる可能性もありますけれども、給付制限の補助金に該当するおそれがあることから、道義的な立場で26日に140万円を鈴与に返還させていただきました。それからエコリースのことでございますけれども、これも先程から申し上げているように、政治資金規正法の寄付制限の対象外の補助金であるということが明らかですので、そういった意味では状況が異なるものと我々は認識しております。それから先程の話ですけれども、間接補助金に関しては政治資金規正法の疑いは全くありませんので、寄付を返還する必要はないと思っております。