大臣談話・大臣記者会見要旨

井上副大臣・牧原大臣政務官記者会見録(平成26年3月6日(木)10:35 ~10:59 於:合同庁舎5号館25階会見室)

1.発言要旨

(副大臣)今日は少し項目多いのですが、6項目、私と政務官からまずは御報告をさせていただきます。先週、「アジア太平洋3R推進フォーラム第5回会合」に参加するため、インドネシアに出張いたしました。本会合には33カ国から約500人が参加し、日本からも自治体、民間企業、研究者、NGOなど多くの関係者の参加があり、関心の高さを改めて感じました。引き続き、我が国が有する世界最先端の環境技術などを活用し、重層的に協力していきたいと考えております。また、インドネシア環境大臣との会談におきましても、日本の都市との連携推進への期待を感じました。今週3日、4日には、ジャカルタにおいて、ジャカルタと東京による連携強化のワークショップも開催されたところです。関連して、ちょうど本日官邸で行われます「経協インフラ戦略会議」でも、地方自治体による都市間連携がテーマであります。我が国の有する高い低炭素技術や廃棄物処理・リサイクル技術について都市間連携を通じて積極的に海外展開していく方針を表明したいと思います。環境省として、引き続き、こういった都市間連携の推進に協力していきたいと考えております。
 続きまして、大雪です。2月14日からの大雪により、ふだん降雪量の少ない地域を中心に、甚大な被害が生じております。環境省としては、市町村が行う、農業用ハウスなどの撤去を含む一連の処理につきまして、「災害等廃棄物処理事業費補助金」を活用することとして、先日3日に、支援策を公表したところです。今回の大雪により発生した災害廃棄物の処理については、被害の実態に合わせた支援が必要と考えております。このため、明日、私が、政府調査団の一員として、東京都と山梨県の被災現場の調査などを行うこととしております。また、来週10日には牧原政務官が埼玉県の被災現場の調査などを行います。
 PMです。PM2.5による大気汚染につきましては、皆様に大変御心配をおかけしております。去る2月25日から27日にかけては、日本海側を中心に広域的にPM2.5濃度の上昇が確認されました。今般の事例を受けて、PM2.5濃度の広域的かつ継続的な濃度上昇が確認された場合には、その都度、PM2.5濃度の状況や高濃度の発生要因等について、国立環境研究所の専門家と協力して解析を行い、その結果を速やかに公表する体制を整備をいたしました。今般の事例については既に環境省ホームページに掲載しております。
 それから、原子力防災ですが、これは内閣府の原子力防災担当としての私からの報告になります。平成25年度補正予算に計上された、原子力災害対策施設整備費補助金について、本日、原発周辺の16道府県に対して、計200億円を交付決定いたします。この補助金は、即時避難が難しい高齢者や入院患者等への放射線影響を低減するため、建物の気密性を高めたり、フィルター付き空調システムの導入などを支援するものです。避難計画の実効性を確保していく上で、このような弱者に配慮した対策は極めて重要であります。一方、こうした取組は、昨年度補正で初めて着手して以来、今回で2度目の予算措置であり、今後も、自治体の要望等を踏まえ、住民の安全・安心を確保することができるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。私からは以上です。

(政務官)では私のほうから2点。現在、環境省ではESDの推進に力を入れておりますが、その一環として、先月の22日、丸ビルホールで開催された「ESD KIDS FES!!!」発表大会に参加をさせていただきました。北海道から沖縄までの全国から応募があって、選考された10団体が発表し、素晴らしい発表で、将来に向けてこういう取組は大変重要だなと改めて感じたところであります。また先月の24日には、ESDを積極的に実践している多摩市立多摩第一小学校を視察をさせていただきました。自分たちの小学校でイネを作り、こうした米作りの問題を生きた体験としても得ながら、またそれに関連した調べ学習やディスカッションを行って、問題解決能力を高めていくという姿に大変感心をしたところであります。豊かな地球を次世代に引き継いでいくために、こうした環境問題を始めとする様々な問題について学んで、解決をしていく。こういう行動力を身に付けられるESDの視点を取り入れた環境教育というのは極めて重要だというふうに思っていますので、一層推進にも力を入れてまいりたいと思っております。
 先日3月4日に東京スカイツリー地区地域冷暖房施設の視察を行わせていただきました。特に地中熱というものをここは代表的に先進的に取り組んでいると、取り入れているということで、行った次第でございます。この地中熱の利用というのは、設備の導入主体である東武エネルギーマネジメントの方もおっしゃっておりましたが、天候や地域に左右されない極めて安定しているものであるし、また、高い省エネルギー性能によってCO2の排出量も削減する。スカイツリーの地中熱利用を含め全体の冷暖房施設だけで、あそこが所在する墨田区全部に森林を植えて、さらにもっと広い森林分のCO2を削減してしまう。こういう話でありましたから、素晴らしいものだというふうに思っておりますし、また都市特有のヒートアイランド現象というものを緩和するということも期待されておりますので、環境省として、この技術はとにかく普及をしていきたい。こういうふうに思っております。以上です。

2.質疑応答

(問)今月幹事社の日経新聞の浅沼です。よろしくお願いします。井上副大臣にお伺いします。まず、インドネシアにお伺いされた件なのですけれども、新興国の廃棄物の現状を見られて、また向こうの環境大臣ともお話されたとのことなのですが、今後日本政府として具体的にどういった取組ができるかということを教えて下さい。
(副大臣)私、昨年に引き続いてですけれども、この3R推進フォーラムに出席をさせていただきました。やはりですね、アジア、島嶼国はまだまだ廃棄物処理ということに関して非常に進んでいない面があるものですから、それを日本の持てる高い技術を活用してしっかり協力を進めていきたいということを改めて感じました。インドネシアの環境大臣からも、個別の案件はたくさんあるのですけれども協力の要請もいただきましたので、これを積極的にやっていくというふうに考えております。併せて、冒頭で申し上げましたように政府と政府の協力だけではなくて都市間連携ということで自治体間の協力を推進していくと、これは政府としても下支えをしながらやっていくというふうに考えています。
(問)あと、もう1点お願いします。来週で原発事故から3年を迎えることになると思うのですけれども、岩手、宮城のがれき処理とか進捗が進んでいる事業もありますけれども、一方で国直轄の除染、あるいは中間貯蔵施設、あるいは最終処分場等、なかなか道半ばの事業もあるかと思うのですけれども、この辺りの現在の御所感と、また来年度に向けてどういった気持ちで取り組まれていくか、その辺りを教えて下さい。
(副大臣)そうですね、来週で3年目を迎えるということでありますけれども、そういう意味では本当に、避難が長引いてしまっていること、被災地の方々に多大なる御負担をおかけしていることについては申し訳なく思っております。なお一層この復旧復興を加速化させていかなければならないと思っております。他方で今御質問のありました、例えば災害廃棄物の処理に関しましては宮城、岩手は予定通り今年度には終了させることができるということもありますし、あるいは中間貯蔵とか除染、また指定廃棄物の問題などまだまだこれからやっていかなければならないことについては、全力を挙げてしっかり取り組んでいきます。もう本当に3年経っていますから、国民、被災者の方達に目に見える形でしっかりそういう実績を積み上げていって、復旧復興ということが近い将来本当の意味で実現できるのだという希望が持てるような、そんな実績を積み上げていきたいと考えています。

(問)NHKの横井と申します。先ほど御説明のあった自治体連携の廃棄物分野の都市間連携の話なのですけれども、冒頭で御発言のあったジャカルタと東京の間でも今後連携強化をしていくということなのですけれども、具体的にどのような廃棄物分野の取組を進めていかれるのかということと、先ほど御説明された経協インフラの会議でも今後都市間連携の強化を表明するということなのですけれども、既に環境省が何か支援に取り組んでいる具体的な事例がありましたら教えて下さい。
(副大臣)東京、ジャカルタ間の話といたしましては、この経緯としては昨年私が会談をしたインドネシアの環境大臣が来日をされて、そして東京二十三区の清掃一部事務組合の焼却施設を見学されて、その時に大臣が大変感銘を受けて、協力要請、支援要請があったということが経緯になっております。先日のワークショップの共催ということに繋がっていったということであります。いろいろと処理施設の運営とか改善、こういったジャカルタの持つ廃棄物の問題の解決への取り組みの議論をしたということで、これから具体的な支援を進めていきたいと考えております。都市間連携の具体的な事例としてはですね、例えば私が先日行ったインドネシアのスラバヤ市ですね、このスラバヤ市は北九州市と連携をして既に都市間連携をいろいろやっております。二国間のクレジット制度、そういったものも用いてごみの中間処理、ごみ発電、省エネ、こういったプロジェクトの実現可能性調査、こういったことも行っているところです。そういった意味でしっかりこの都市間連携というものをいろいろな観点から、そして様々な手法を使って推進していきたいと思っています。

(問)(共同通信)井上副大臣に2点お伺いします。ペーパーをいただきました補正予算の原子力災害対策施設整備費補助金なのですけれども、これは交付決定を行うとありますけれども交付決定したというふうに受け取って良いのか、それとも。
(事務方)今日これから本日中にやります。
(問)例えば新聞に書くときに決定したという。
(事務方)本日決定したというふうに。今副大臣から御発言のありましたとおりです。
(問)もう1つ関連してなのですけれども、原発の再稼働に向けて規制委員会のほうで審査が進んでいると思うのですけれども、実際に再稼働をする際にですね、地元の避難計画が条件ではないと田中委員長がおっしゃられていたと思うのですけれども、実際に立地自治体なんかにアンケートをしますと皆さん避難計画が必要だと言って、ちゃんと政府の説明をしてほしいという意見が多かったのですけれども、石原大臣や井上副大臣が政府を代表して地元と話をされるような流れになるのでしょうか。
(副大臣)それは田中委員長がおっしゃられるとおりで、基本的に避難計画の作成というものと原発再稼働というものは関係はしておりません。むしろ避難計画というのはですね、再稼働するしないに関わらずやはり原発がそこに存在する以上、これは自治体に作ってもらわなければならない計画だという理解です。私も内閣府の原子力防災担当としてはですね、その自治体が避難計画を策定していくに当たって、支援をしていくという立場になります。この補助金にしても、これも政府の支援でですね、しっかりこういうことをやって、それを避難計画に活かしてもらいたいということになります。
(問)直接的な条件ではないのかもしれませんけれども、いわゆる立地協定があるので実際に再稼働するためにはですね、立地自治体との同意というか、合意が必要となると思うのですけれども、その中でどうしても避難計画を作ってもらう、あるいはそれに対して政府がきちんと説明するというプロセスが必要になってくると思うのですけれども、実際にはですね。そういうときに、政府側としては石原大臣か井上副大臣が行かれることになるのでしょうか。
(副大臣)一義的にはですね、地方自治体が作成をするということですが、地方自治体が自らの避難計画についてもそこは説明をし、あるいは住民の方々の理解をいただくようにやっていただくようになると思います。ただ、我々は再稼働とは直接関係なく避難計画の作成そのものについてですね、自治体からいろいろ御相談があればそれに応えていく、そういう意味での支援は我々の責任だと思っています。

(問)読売新聞の稲村と申します。井上副大臣に聞きます。中間貯蔵施設なのですが、県から2町集約の再配置案の検討を要請されて、地域振興策、地元の生活再建の要請されていて、まだ政府としては返答をしていないと思うのですが、今の進捗状況、3.11が来週になりますし、けれどもそれまでに県に投げ返せるのか、それとももう少し時間がかかるのか、今の状況を教えてください。
(副大臣)我々が12月にですね政府としてベストと思う案をお示しをして要請をしました。それに対するいわば修正案ですから、非常に大きなことだと思ってます。しかし、他方で地元の総意ですから重く受け止めなければいけないということで、今鋭意検討をしています。そういうことで、どうしても一定の時間がかかってしまうということは理解してもらいたいと思います。3月11日から3年ということもあるのですが、併せて2月12日に知事からいただいてますから、もう1月近くになるのでこれは早急にお返事をしたいと思っています。
(問)一方で2町集約はともかくとして、地域振興策、生活再建については一定の財源、お金が必要になってくると、そうすると、財源も必要であるし、他省庁との連携も必要になってくると時間もかかると思います。ここまで全部県の要望を100%回答を示すのを待つのか、それとも、2町集約を優先して地元に返すのかその辺の方向をどうお考えでしょうか。
(副大臣)私の考えでは、基本的には2町集約ということが大きなポイントだと思っています。地域振興策の話については、12月の要請の時からお話をしていますので、今回の回答に伴って、何か新しいことを言う必要というのはあまり考えていません。むしろ、2町集約案に対する政府としての答え、これをしっかり出すことが大事だと思っています。地域振興策については、当然ずっと前から地元から要望のあることですので、これは別途なるべく詰めていくということで、直接リンクさせて考えているわけではありません。
(問)一方で、地元は政府が開きたいという住民説明会を開くには、ある一定の地域振興策の方向性とかがないと住民に説明する内容がないというか、説明会を開いたとしても住民がなかなか納得しないのではないかという声も上がっていますが、その辺についてどうお考えでしょうか。
(副大臣)その御心配はもっともだと思います。まず我々としては、地元に対して2町集約案の政府としての回答を出させていただいて、おそらくその後、住民説明会を開催して欲しいという話になると思いますので、それまでには地域振興策に対しても一定の考え方を示さなければいけないと、そういう理解です。

(問)栃木県の下野新聞の山崎と申します。指定廃棄物についてなのですけれども、栃木県内で詳細候補地の選定というのが進んでいると思うのですけれども、なかなか言いにくいことなのかもしれませんが、進捗ですとか提示の時期の見通しというのを教えていただければと思います。
(副大臣)栃木では12月に市町村長会議を開催させていただいて、そこで選定方法については確定させてもらいましたので、具体的な選定ということで今我々のほうでそれを検証しているところです。ただですね、なかなか検討することも多いものですから、どうしても時間がかかってしまっているということになります。そうはいっても、仮置きの状況も逼迫しておりますので、なるべく早く答えを出していきたいと思います。答えの出し方といいますか、市町村長会議をもう一度開くのか、あるいは別の方法でやるのか、これも含めて、県とも相談をさせてもらっていますので、それが決まり次第お知らせをしていきたいと思っています。
(問)副大臣、以前、数ヶ月という言い方で提示までの期間をお話してくださったかと思うのですけれども、それからちょっと時間が経ちまして、例えば年度内の中で提示があるのかどうかというのはいかがでしょうか。
(副大臣)以前報道で年度内というのが出ましたけれども、我々は年度内と言ったことはありません。もちろん早いに越したことはありませんが、特段年度内にこだわってはおりません。
(問)もう1点、住宅除染に関してなのですけれども、福島県内で認められている高線量の申請の除染メニューの費用補助なのですが、県境をまたいで栃木県内では認められていないという状況がありまして、これについては県や地元自治体から要望が出ていると思うのですけれども、昨年12月の宇都宮での市町村長会議の際に副大臣は改めて検討するというお話をされていたと思うのですけれども、それから時期が経ちまして、検討の進捗というのはどうなっているのでしょうか。
(副大臣)あの時の要請を踏まえて現在検討をしております。環境省の除染のメニューだけではなく、総務省の交付税措置も含めて今検討をしていますので、これはもうなるべく早い段階でお答えできると思っていますので、もう少しお時間をいただければと思います。