大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成26年11月4日(火)9:12 ~ 9:32  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日は御報告する事項がございますので、そちらの方からお願いしたいと思います。
 原子力防災訓練についてですでけれども、11月2日、3日の二日間にわたり、石川県の志賀原子力発電所において事故が発生した想定の下、原子力総合防災訓練を実施し、私も参加いたしました。今回の訓練では、政府の関係機関や石川県、富山県、志賀町を始めとする関係自治体、事業者等に加え、一般の市民の方々にも御参加いただき、事故の初動対応から住民避難や屋内退避まで、実際の原子力事故を想定した対応を実施いたしました。連休中にもかかわらず、訓練に参加していただいた皆様に感謝を申し上げたいと思います。避難計画などの緊急時の対応については、継続的に充実・強化に努めていくことが重要であります。今回のような訓練から得られる教訓を活かし、自治体と一体となった取組を今後とも推進してまいりたいと思います。
 続きましてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の関係ですが、10月27日から31日までコペンハーゲンで開催されたIPCC総会において、気候変動に関する最新の科学的知見をまとめた「第5次評価報告書 統合報告書」が採択され、2日、日曜日に公表されました。報告書では、気候変動の影響がますます深刻になること、産業革命からの気温上昇を2℃以内に抑制するための道筋が複数あること、そのためには今後数十年にわたり大幅に排出を削減し21世紀末までに排出をほぼゼロにすることが必要であること、適応と緩和の選択肢は単一の選択肢だけで十分というものではなく、統合的に行うことで効果的に実施できること、などが示されております。私は報告書を温暖化の危機への警鐘と受け止めており、我が国は、2020年以降の全ての国が参加する実効的な枠組みの構築に、積極的に貢献してまいりたいと思います。また、我が国が誇る優れた低炭素技術を活かし、再生可能エネルギーの最大限の導入と、徹底した省エネルギーの推進に取り組んでまいりたいと思います。さらに、気候変動の影響に対処するため、来年夏を目処に、政府全体の適応計画を閣議決定すべく、全力で取り組んでまいります。
 それから二国間クレジット制度(JCM)についてですが、先週末、我が国が進めている二国間クレジット制度(JCM)の下で、第一号となるプロジェクトの登録が日本とインドネシアの間で承認されました。インドネシアの繊維工場において、空調等を省エネルギー化するプロジェクトです。我が国としては、引き続きJCMを着実に実施することで、優れた低炭素技術を活用した地球規模での温暖化防止を推進していきたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)日経新聞の浅沼と申します。よろしくお願いします。まず1点です。大臣の政治資金の収支報告書に関連してなのですが、先週の環境委員会でもやりとりがあったかと思います。これまでに十分に説明責任を果たしたと言えるのか大臣のお考えをお願いします。また、小里副大臣についても親族からの寄付を自民党支部からとして記載されていたことが明らかになりました。これについても受け止めをお願いします。
(答)これは何分にも古い話でして、既に保存期間が過ぎていることから領収書などが残っておりませんけれども、そういう中で最大限の確認を行ったところです。政治家として襟を正して説明責任を果たしていかなければならないのは当然のことですので、引き続き今後とも努力をして国民の信頼を得られるように努めてまいりたいと思います。小里副大臣のことについてはちょっと詳細が分かりませんので、この場では控えさせていただきたいと思います。
(問)2点目ですが、冒頭にございましたように、2日にIPCCの第5次評価報告書 統合報告書が公表されました。地球温暖化の影響の大きさと対策の厳しさを改めて警鐘した内容だと思いますが、先程大臣から適応策と緩和策についていろいろな政策について御紹介がありましたけれども、特に2020年以降の目標についてどう取り組むのか改めてお考えをお願いします。
(答)今年の夏も台風18号や19号が上陸するなど、多くの気象の災害がありました。近年の猛暑や豪雨等の異常気象というものが、これまで我々が経験したことがないようなものであり、その多くは気候変動の影響である可能性が指摘されているわけでありまして、IPCC第5次評価報告書によれば、今後、気候変動が進むと、大雨の頻度や強度、それから降水量の増加が予想されております。今後、報告書の内容を分かりやすく解説することが必要で、そのための情報発信に努めていきたい、これを事務方に指示を出しました。事務方からは、世界各地からIPCCの各作業部会報告書の共同議長等を招聘して、12月から3月まで、全国8カ所で100人から300人規模のシンポジウムを行うと報告を受けております。緩和策については、10月24日に第1回の合同専門家会合を開催して議論を開始したところでございまして、次回は11月12日に開催され、廃棄物やフロン対策、産業界の取組について議論すると聞いております。また、12月には省エネ対策や温暖化対策のための国民運動について、議論が行われる予定です。できるだけそういったものをまとめあげて、早期に約束草案を提出するとの方針のもと、とりまとめに向けて活発な議論をお願いしたいと思っております。

(問)栃木県の下野新聞社です。よろしくお願いします。塩谷町の指定廃棄物についてですが、先週末に町は審議会を経まして、湧水条例に基づく保全地域を指定しまして、その域内には指定廃棄物最終処分場の詳細調査候補地も含まれました。開発には町の許可を要するなど、規制がかかった形ですけれども、事業を進める上でどのような影響があるとお考えでしょうか。
(答)地域の皆様が地域のことを心配していろんなことを考えていらっしゃるということでございますが、我々としてはやはり指定廃棄物をしっかりと処分して、処分場を作って行くということは大変大切なことでございまして、この点については地域の様々な皆様に丁寧な説明をしてまいりたいと思っております。
(問)関連なのですけれども、事業に対して、遅れとか、要は開発規制がかかったことというのはあるのでしょうか。
(答)これはあくまでも様々な面で理解をしていただかなくてはならない面がございます。地域にとっても将来に向けて様々な問題を考えていると思います。我々はそういう皆様の気持ちをよく忖度しながら、私たちも説明をしっかりとしながら、それも分かりやすく説明をして、ことを進めていきたいと思っております。

(問)共同通信の川口です。2点お伺いしたいのですが、1点目はIPCCの関係で統合報告書では、温室効果ガスを出せる部分は残り1兆トンしかないと具体的な数字が出て、今世紀末までに排出量はゼロにしなければいけないと、具体的にかなり踏み込んだ内容が出たのですが、その数値を見て大臣は率直にどのようにお感じになられたのか、御感想をお願いします。
(答)先ほど私もお話させていただきましたが、IPCCのこういったものが出て、報告書は温暖化の危機への警鐘だとしっかり我々も受け止めていかなければいけないと思っております。ですからこそ、我が国が2020年以降全ての国が参加する実効的な枠組みの構築に積極的に参加をしていかなければいけない。やはり先進国だけであるとか、途上国がどうではなく、全ての国が参加するということ、これが今回の大きな課題だと思いますので、それについて我々は積極的に貢献していきたいと思っております。
(問)2点目なんですけれども、冒頭の説明があったJCM、2国間クレジットなんですが、今回インドネシアの工場の省エネに努めるということで、どのくらいCO2が削減される見込みなのかということと、今後第一号を皮切りして、もっとたくさんの協定が結ばれていくのでしょうか。
(事務方)数値につきまして若干細かくありますが、毎年概ね100tCO2強でございまして、2020年までの合計として799tCO2を見込んでございます。
(答)今後の予定について教えてください。
(事務方)今回は25年に採択したものでございますけれども、例えば26年に採択いたしましたインドネシアのセメント工場の排熱利用プロジェクトというものがございます。こちらになりますと年間で12万tCO2ほどの削減量を見込んでおります。
(問)それに対して大臣の御所見をお伺いできれば有り難いですけれども、そのように途上国に技術を提供して我が国の削減分としてカウントすると、こういった技術と制度をどのように使っていきたいかという考えをお聞かせください。
(答)我が国の優れたテクノロジーは世界最先端だと思います。この間もベトナムの政府の方々など、様々な皆様がいらして我が国のそういったテクノロジーを使わせていただきたいという話がございました。2国間クレジットによって、相手国のCO2削減が相当減るという形、そのようなことを通して、我々は貢献をしっかり進めていきたいと、それが日本の強みでもあると、そしてこの制度は今日初めてインドネシアの案件が承認されたわけでありますが、まだ相当たくさんのプロジェクトを進めておりまして、これにより貢献をさせていただきたいと思っております。

(問)共同通信の角です。よろしくお願いします。2点伺います。1点は先日福島県の中間貯蔵施設の問題ですけれども、地元視察の方で経産の副大臣が地元での発言として、来年1月としてきた仮置場からの搬入開始は極めて難しいと、来春以降になるであろうと、さもありなんという内容ですけれども、環境省の公式見解とは違う内容を出されておりますけども、これについて大臣の考えを教えてください。
(答)中間貯蔵施設の来年1月からの搬入開始とありますけれども、大変厳しくなっているのは事実でありますが、政府として来年1月の搬入開始を目指して最大限の努力をしていくというスタンスには変わりありません。高木副大臣の話が出ましたが、発言内容の詳細については承知をしておりませんけれども、副大臣としても、政府として来年1月の搬入に向けて最大限努力していくという認識はお持ちだと思っております。
(問)あと1点ですけれども、先日宮沢経産大臣が鹿児島県に行かれまして、川内原発の再稼働について理解を求めるお話をされました。これについて、原子力防災担当大臣として、近く鹿児島県で地元の方に会うとか、議会の首長さんに御説明されるお考えはありますでしょうか。
(答)鹿児島県の要請を受けて県が29日に開催した住民説明会に、内閣府の担当参事官が出席をいたしました。県の職員とともに川内地域の緊急対応について、住民のみなさんに説明をさせていただきました。川内地域について、既に内閣府の原子力防災担当の職員を派遣をしているところでありまして、その状況や県の考えを踏まえて、私自身が現地を訪問するかどうかを検討していきたいと思っております。

(問)TBSの阿部です。温暖化対策の一環として11月からウォームビズが始まりましたが、その必要性について改めて大臣の口からお声をお願いしたいのと、既に大臣が取り組んでいらっしゃることがあれば教えて下さい。
(答)ウォームビズの前はクールビズでございましたが、クールビズで、数字は今、手元に細かいものはもっていませんが、電力の消費が相当減ったという話を伺っております。環境省では毎年、地球温暖化対策の一つとして過度な暖房使用を控え、20度の室温で快適に過ごすことのできるライフスタイル、ウォームビズの実践を広く呼び掛けております。ちょうど今年が10年目というような節目となるということで、11月1日から3月31までウォームビズの期間としております。2日に気候変動に関する最新の知見をとりまとめた報告書が公表されましたけれども、これを踏まえ、企業や国民の皆様に地球温暖化対策への御協力を是非お願いしたい。私としては今日ちょっとチョッキを着させていただきました。着ているものがセンスが無いと言われると困るのですけれども、あるもので大変申し訳ないのですけれども、こうやって少しでも部屋の電気、電力の使用量を減らすと、率先してこういうことをしながら、やはり国民の皆様、全ての皆様がそれに賛同していただければ、相当な電力の消費を抑えることができると、そこから始めさせていただきたいと思っております。

(問)テレビ朝日吉野でございます。この場でお答えがいただけなくても、次に持ち越しでも結構なのですけれども、原子力防災担当大臣としての大臣にお伺いしたのですけれども、私はこの訓練に参加して実際に見てきたのですが、ERCですね、緊急時対応センターの映像については、今回公表されたのですけれども、ぼやっとした映像ですね。ところが音声については全くNGになってしまったのです。この内容については再三公開を求めてきたのですけれども、今回非公開とする理由が全く思いあたらずですね。それともう一つ言わせていただければ、これは国家機密の範囲、範疇ではないという内閣の見解も出ております。これを今後も非公開としていくのか、といったことも含めてお伺いしたいのですが、お願いします。
(事務方)内閣府の地域防災訓練担当参事官の杉本といいます。ERCの公開の件については、原子力規制庁のほうに今のお話についてはお伝えしていきたいと思っております。いずれにしても公開できる範囲での公開をしていると聞いておりますが、原子力規制庁の方には今の御指摘については伝えておきます。