大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成26年7月18日(金)10:21 ~ 10:39 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議の前に、水循環政策本部の第1回会合が開催されましたので御説明します。先の国会で成立しました水循環基本法が7月1日に施行され、本日第1回目の会合が開催されました。私からは、環境省の役目としては、環境保全の立場からしっかりと水を守っていくということを発言しました。また、8月1日は法制化して初の記念日、「水の日」です。環境省としても国民の皆様方に対して水循環の重要性を広く周知するために、武内先生が副学長を務めていますが、国連大学と共催し、渋谷の国連大学の前の広場を借りてイベントを開催します。
 2点目ですが、閣僚懇において安倍総理から地方の創生と人口減少の克服に向けた取組についての御発言がありました。これを受けて、私からは、地方の創生を進めるためには、再生可能エネルギー、自然などの地域資源を生かして、その地域が極力環境負荷を抑える循環型の社会をその地域で実現すること。同時に、そういう新しい循環型社会を作ることによって投資と雇用を生み出す。ここに一つ環境としての取組があるのではないかという発言をしました。先般、低炭素、資源循環、自然共生を始めとする環境政策を総動員して、地域において環境と経済の好循環を実現する具体策について、私も総会に出席しました中央環境審議会の意見具申が取りまとめられました。このような意見に十分に対応していかなければならないと思っています。
また、いわゆる避難地域等々でイノシシやイノブタが家屋や作物を荒らしている、という地元の方々からの強い陳情を受け去年も行いましたが、今年は5月26日から1ヶ月強で109頭、ワナで捕獲することができました。しかし、現地でこの捕獲等に当たった職員に話を聞くとまだまだ十分ではないとのこと。引き続いてイノシシ、イノブタの被害を抑えて、住民の将来の帰還が円滑に進むよう取り組みたいと考えています。
来週の7月21日から8月20日までは「自然に親しむ運動」期間として、地方自治体や民間団体とともに、自然に親しむためのハイキングや自然観察会などの各種イベントを実施します。昨年御報告したとおり、本運動は昭和25年から行っています。自然とのふれあいは子どもたちの健やかな成長や感性を養う上でも重要ですし、夏休みもスタートしますので、より多くの国民の皆様方にイベントに参加していただきたいと考えています。今年は全国でおよそ660件のイベントが実施されます。平成28年から8月11日が祝日法の関係で「山の日」として祝日となることから、山に親しみ山の恵みに感謝する機会としても、今年はこの運動を盛り上げていきたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今月幹事をしております朝日新聞の奥村です。本日の閣議では環境省に特に関係すうことがなかったのかというのが1点と、大臣は原発の敷地外の防災計画なども担当されておられる原子力防災担当も兼務されておられますのでお尋ねいたしますが、先日規制委員会が川内原発の審査書を示したりとか、先日知事会議でも各自治体が決めることになっている避難計画への国への積極的な関与が求められたりとか、そういった国の防災計画が地方自治体に任されていることに対しての批判が多く出ていると思っています。それに対する大臣のお考えをお尋ねしたいということと、川内原発に関して言えば具体的な避難計画の中で決まっていないところが、例えば病院であるとか福祉施設であるとか、決まっていないところがあるように聞くのですが、そういったところが政府の再稼働の判断に影響するのかどうか教えて下さい。
(答)地域防災計画や避難計画は、災害対策基本法上、地域の実情に応じて地方自治体が策定すると明記されています。だからといって政府が何もしないということではないので、住民の皆様方の安心、安全の観点が非常に重要ですので、政府としても原子力防災会議を中心に関係省庁を挙げて支援をしてきました。この結果、一般住民の避難計画は、いわゆる30km圏内の135市町村のうち、昨年の10月くらいには40数カ所の市町村が作成していたのですが、こういう支援をすることによって倍増近くになっています。具体的にどういうことを行っているかということは、事務方から少し説明をして下さい。
(事務方)内閣府原子力防災担当の森下と申します。よろしくお願いします。自治体からの要望は各地域によって様々でした。その様々な個別の支援に対応するために、各13地域ごとにワーキングチームを設置し、その場に内閣府、厚生労働省、国土交通省、経済産業省等の関係省庁の関係者が全て集まり、個別具体的な避難に対する課題に対して、きめ細かく対応を行ってきました。まず、避難先が一つの県を超えてしまうので、他県との調整について国が働きかけをしてくれないかなどの課題に対応してきましたし、移送手段の確保でバス協会などに働きかけをするために地元だけでは苦しいので、国土交通省と内閣府で、国のほうでも要請を行うというかなりきめ細かな対応をした結果、今大臣がおっしゃったような倍増というところまできました。
(答)2番目の再稼働についての御質問ですが、原子力防災担当大臣としてはお答えする立場にないと思っています。また、環境相を兼務していますが、環境省の外局に規制を行う規制庁を抱えていますので、これは国会でも申していますとおり、コメントは差し控えます。いずれにしても地方の防災対策の充実には、政府を挙げて取り組んでいかなければならないという認識であるということは重ねて申し上げたいと思います。
(問)御丁寧にありがとうございました。2つだけ。原子力防災担当としては再稼働に関しては言わないということの理由を教えていただきたいのと、それから国の防災計画に対する関与が薄いのではないかという批判が、薄くないというふうな御判断だと思ってよろしいでしょうか。
(答)原子力規制委員会というものが、環境省の外局としてあって、その原子力規制委員会が世界でも高い水準にある規制基準に適合すると認められた場合はその判断を尊重して、その原子力発電所の再稼働を進めるという方針がありますが、再稼働について先程話しましたとおり私はそのコメントをする立場には無いと思っています。

(問)西日本新聞ですが、水俣病についてお尋ねします。先週の閣議後会見によりますと、今週中に臨水審の納会長とお会いになる予定であると。既にお会いになられたのかと、お会いになっているのであれば、要望書を超える内容があったのかどうかをお聞かせ下さい。
(答)納会長とは1時間くらい話をしました。長年、水俣病の問題に関わってきたからこそのこの間の御要望だったということも再確認できました。また、納先生は臨床医としてもかなりの方を診ていらっしゃる。鹿児島大学医学部の教授として、また病院の院長もされており、そのときの経験等の話も聞かせていただきました。「大臣が考えていらっしゃるようなことは非常に重要なことなので是非私からもそういうものを1つでも2つでも行っていくということはこの問題を克服していく上で重要である」というような話をいただきました。
(問)重ねて1点だけ、大臣は事務方に早急に検討するように指示されていますが、時期的にはいつ頃をお考えになるかということと、大臣が在任中に対応策を示したいという御意向をお持ちかどうかお聞かせ下さい。
(答)今日、明日中にできるということではありませんが、納先生からも是非にという話もいただいていますので、少し急いで検討するようにと再度指示をしたいと思います。
(問)在任中に出したいという御意向はお持ちでしょうか。
(答)私がどうというよりも、この問題は、納先生の話を聞かせていただくと、井形先生からも「ともかくお前がやれ」と言われて納先生御自身が行って、次の教授にも「君がこの問題の解決までやれ」と言っており、教授の間でも3代に亘って引き継がれている問題です。この指示を実現化したら全てが解決するという話ではありませんが、やはりこういう1つ1つの積み重ねが大事だということを納先生もおっしゃっています。納先生から現場の経験もある医学者としての話もありましたので、今日改めて具体的にどのくらいのことができるのかということを指示したいと思っています。

(問)共同通信の角です。原発の防災計画の件で教えて下さい。先日、規制委が審査書案を出ましたけれども、火山対策がいろいろ不十分ではないかという指摘があったかと思うのですが、火山対策については防災計画のほうでフォローされるということになるのでしょうか。
(事務方)川内原発の審査書で書かれている火山対策は破局的噴火という1万年に1回程度起こるというような相当な大規模な噴火となるものだと思います。一般のハザードについては、災害対策基本法で基本的には自治体が、地震や津波も含めて計画を作るということになっていますので、当然火山についても地域的には考慮されるということになっていると思いますが、いずれにせよ、通常自治体が作るということになっていますので、その中で対応されるものだと認識しています。
(答)もちろん先程説明があったように、地質学や火山学の話になってきますので、自治体で対応できない部分については内閣府防災において、地元からきた質問についてしっかりとお手伝いをしていかなければならないと思います。

(問)福島民友の菅野と申します。自民党の東日本大震災復興加速化本部の会合がありまして、その中で中間貯蔵施設についての議論になりました。そこで大島理森本部長がやはり1つの大きな課題が中間貯蔵地が想定されている土地の地権者が所有を継続したまま国の方針に協力できる方法はないか、こういう道を探るのが大事ではないかという指摘があって、その後にそういう点も含めて政府が今ぎりぎりの協議をしているという話がありました。以前から、大臣を含めやはり中間貯蔵施設の予定地は国が買い上げて所有すべきだという考えがありますけれども、いわゆる借地の考え方について現在協議中なのでしょうか、それとも何か方針が変わったのでしょうか。
(答)少し整理をして話をすると、6月23日に佐藤知事とお会いしたときに、知事のほうから、4つに問題を整理して話を聞かせてくれという要望がありました。1つは県外最終処分の法制化、2番目に土地の取扱い、3番目、4番目は生活再建策と地域振興策です。土地の取扱いについてはそういう要望がたいへん強い。一方で施設を安定的に30年間安全に管理していく、また、施設へ搬入も行っていかなければならない。そういうことを考えながら、今借地という話がありましたが、政府内で地上権ということも含めて検討しているところです。