大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成26年4月15日(火)8:49 ~ 8:58 於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議では、当省に特段関係のある案件はありませんでした。私から2点御報告します。

昨年11月にCOP19で速報値を発表した、京都議定書第一約束期間の温室効果ガスの排出量について、確定値が取りまとまりましたので御報告します。2008年から2012年度までの5カ年間の平均では、基準年比8.4%減。6%を大きく上回ることができました。東日本大震災があり、火力発電の増加など、温暖化対策に逆風が吹く中での達成は、国民の皆様方の省エネ努力があったからこそだと思いますので、深く感謝を申し上げたいと思います。今後とも省エネ、再エネの最大限の導入を進め、国際社会の模範となるように、積極的に温暖化対策を進めていきたいと考えています。

もう1点。先週の金曜日、11日に福岡市の動物園でツシマヤマネコが3頭産まれました。残念ながら1頭は産まれた時から衰弱をしており、死んでしまいましたが、残る2頭がこのまま順調に成育すると、平成21年以来、5年ぶりということになります。ツシマヤマネコの繁殖技術は、残念ながら専門家の方に聞いても十分に確立されていないとのことで、このように複数匹産まれると必ず1匹くらい死んでしまうということです。そうした中で、日本動物園水族館協会の協力を得て、昨年から福岡をはじめ全国9か所の飼育園の連携を強化して今日の成果になりました。この2匹の順調な成長を見守りたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の阿部です。よろしくお願いします。大臣の冒頭の御説明とも関係しますが、IPCCの第3作業部会が先日新しい報告書を公表しました。2℃目標を達成するためには、2050年までに温室効果ガス40~70%、2100年までにはほぼゼロかそれ以下に抑えなければならないという極めて厳しい内容かとは思うのですけれども、大臣の受け止めと、今後温暖化の交渉を日本政府としてどのように臨むのかお考えをお聞かせ下さい。
(答)今の御質問にあったとおり、示された数字は大変厳しいものです。だからこそ、IPCCが、横浜、ベルリンと2回に亘り、警鐘を鳴らしているのだと思っています。IPCCは純粋な学者の方がほとんどでして、その科学的知見を基に考えると、産業革命前に比べて2100年に気温の上昇を2℃未満に抑えるためには、2010年比で(温室効果ガス排出量を)2050年には4割から7割減、あるいは2100年という一つの人類の生存の分岐点といわれている時までにゼロか、更に深掘りしてマイナスにすることが必要と言われています。この2℃未満に抑えていくには、再生可能エネルギーや原子力などの低炭素エネルギーを先進国だけではなくて、全世界で現在の3倍から4倍にすることが必要だとされています。我が国は水力も含めた再生可能エネルギーの割合が大変低いので、この部分については2倍、3倍としっかりと目標を立てて大幅に拡大していくという努力をするとともに、冒頭で国民の皆様方に感謝を申し上げましたとおり省エネについて、既にぎりぎりに絞っていますが、更に省エネをライフスタイルの中でしっかりと確立していっていただく。こういうものを徹底していく以外に道はないのではないかと思っています。

(問)朝日新聞の香取です。熊本県で鳥インフルエンザが見つかりましたが、環境省の対応は今のところ、どういう体制になっているか教えて下さい。
(答)詳細は自然環境局にお聞きいただきたいと思いますが、環境省は野鳥保護の観点から、野鳥の鳥インフルエンザの保有状況調査を行っています。幸いにもこの冬にはそういう事例は検出されませんでした。今回、原因は特定されていませんが、発生周辺を野鳥監視重点区域に指定し、熊本県に対して野鳥の監視の強化を要請しました。私からも塚本(九州地方環境事務所)所長に対して、野鳥のほうで感染が予見されるような野鳥の死骸等がないか十分に調べるよう日曜日に指示を出しています。今日、環境省の野鳥緊急監視チームを現地に派遣して、熊本県と連携して現地の状況把握を行う予定となっています。環境省としても農林水産省等関係省庁と密に情報を共有し、連携し、対策を進めていきます。詳細については、担当課長からお聞きいただければと思います。

(問)河北新報の若林と申します。昨日、井上副大臣が福島にいらっしゃって、除染による線量目標のあり方を2、3か月以内に見直すという方針を表明されたようなのですけれども、改めての話になりますが、どのような場でどのような形で見直すのかということが1点と、これは今長期目標は1ミリシーベルトということになっていますが、これを見直すということなのか、それとも1ミリシーベルトは維持はするのだけれども推計方法と言ったら良いのでしょうか、そういうものを見直すということなのか、その辺、大臣のお考えがあればお伺いしたいのですが。
(答)どういう御要望があって、井上副大臣がどういう回答をしたかということは簡単な報告しか受けていませんので、是非、直接正確なところを取材していただきたいと思います。私が聞いている話としては、自治体から、年間追加被ばく1ミリシーベルトに該当する空間線量が毎時0.23マイクロシーベルトという従来の考え方と、自治体が実施した個人線量の測定結果の平均的な値に違いがあり、再検討してほしいという要望だったと報告を受けています。自治体や国がいろいろな数値や知見を持っていますので、これを共有して検討する場を設けることを提案しまして、自治体側からも賛同を得たと承知しています。