大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成26年3月11日(火)8:41 ~ 8:58  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議では、当省に関係する案件として、鳥獣保護法の改正案を閣議決定しました。知床では、世界遺産に登録されたことを機に、エゾシカの管理が先駆的に行われている。またその食肉をも供給するような体制が整っている。シカの管理が一番うまくいっているであろうといわれる所を拝見してきましたが、実態はまだまだシカの数が多い。さらには地元の方々からも陳情を受けたのですが、シカの食害によって植生も壊されて、道路の法面の木が欠落し、土砂崩れ等が発生するという話でした。本法律案は、日本全国でそのようなものにどう対処していくかということで、シカ、イノシシの管理を推進するものです。捕獲を強化することが非常に重要である。私も囲いわなを見ましたが、1年目にはたくさん、100というオーダーで捕まるそうですが、その後は学習効果が出て、数匹になってしまうという話も伺いました。また猟友会等に狩猟のほうではお願いしていますが、捕獲の担い手の育成を図っていかなければならない。知床では、そういうエキスパートの方の捕獲の様子をビデオで拝見しました。抜本的な対策を講じ、長い時間がかかるかもしれませんが、やはり自然界の摂理に合った個体数がどのくらいなのか、しっかりと見ていかなければならないと思っています。今国会で御審議の上、成立をさせていただきたいと考えています。

2点目ですが、今日は3月11日です。発災から丸3年。国立劇場では、3周年の式典が挙行されます。出席される皆様とともに、犠牲となられた方々に対して、改めて、哀悼の誠を尽くしたいと思っています。ここ数日の地元の方々のインタビュー等を新聞、テレビ等で拝見していますが、やはり風化のことをおっしゃる方が多いような気がします。3月11日のこの日に、私たち一人一人が、改めて3年前のあの日に起きたこと、あの日に感じたことを思い起こして、被災地、まだ20数万人の方が仮設にお住まいであるということを鑑みて、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っています。環境省に関連する除染、あるいは中間貯蔵施設。これらの復興に向けた仕事もまだ道半ばです。道のりは平坦ではありませんが、1日も早い復興に向けて歩みを進めていくよう、引き続き省をあげて全力で取り組んでいきたいと考えています。また、明日の12日ですが、岩手・宮城での災害廃棄物の処理完了にメドが立ったことから、今回の教訓を共有するためのシンポジウムを芝のプリンスホテルで開催します。国会日程の調整が付きましたら、私も出席したいと思っています。私からの報告は2点です。

2.質疑応答

(問)日経新聞の浅沼です。よろしくお願いします。冒頭大臣から御発言ありましたが、今日で震災3年を迎えます。エネルギー政策の明確な将来像が見通せないような状況がまだ続いております。昨日から温暖化の次期枠組みに関する国際交渉も始まりましたが、20年以降の温室効果ガス削減の目標を決める上での、再エネの導入を最大限加速することが重要課題と思っています。改めまして、大臣の20年以降の削減目標に関する考え方と、あと、先日自民党の専門会議の方で、再エネ比率を35%に引き上げることが可能という試算が示されたのですが、この試算に関する大臣のお考えを教えて下さい。
(答)昨日も予算委員会でエネルギー等の集中審議があり、この点は議論になりました。総理のほうからエネルギーのベストミックスを、3年以内に明らかにしていくと、それに関連して原発の再稼働、またベースロード電源、これについても経済産業大臣から色々話がありました。ここのところはまだFIXされていないことは、事実だと思います。そして御質問にありました、ADP。これは審議官クラスでボンで行われていますが、12月のCOP20、リマに向けて、2020年以降の気候変動国際枠組みにどういうエレメントがあるのかといったような事や、COP19、ワルシャワで決まったように、来年早々に、各国が約束案を示す際にどんな情報、インフォメーションを併せて出すのかということが議論されているところです。後段の御質問ですが、2020年以降の我が国の削減目標、エネルギー政策の検討状況等を踏まえつつ、私どもも来年の第1四半期までにしっかりと――COP19では原発が1基も動いていない段階での野心的な目標、すなわち、効率を2割上げるといったようなことを表明させていただいたのですが――検討を進めていかなければならないと考えています。3番目の御質問は、これは自民党の政調のエネルギーの会議だったと聞いています。私も報道ベースでしか聞いていませんが、2030年の再生可能エネルギーの比率を35%。あくまで試算ですので、こういう試算は前提が付いているものだと思っています。私も再三再四申していますが、地球温暖化対策の観点から、再生可能エネルギーの最大限の導入ということは、環境省としても同じ考えです。与党で検討されているこの野心的な目標についても、しっかりと積み上げていただいて、その実現を、口で言うのは簡単ですが、どういう根拠に基づいてこの数字を成し得るのか、しっかりと言っていただくことは大変心強いことだと思っています。

(問)西日本新聞の重川と申します。先週、水俣病認定の運用指針が出されました。この留意点として、過去の棄却分の再審査は必要ないと記されています。事務方によると、これまでも総合検討をしてきたので必要ないというようなことだったのですけれども、実際にその検証作業が行われたわけではなく、この一文の関係を十分に御説明いただけなかったと感じています。細かい点で大変恐縮ですが、大事なことですので大臣の御見解があればよろしくお願いします。
(答)今回の通知はそもそも何なのかということを是非理解いただきたいと思います。最高裁の判決の趣旨に沿って、認定審査を実施させていくことができるように総合的な検討のあり方、これはずっと宿題になっておりましたが、これを具体化したものです。この通知に基づいて、もちろんこれは県としっかりと――二人三脚という言葉を私は使っていますが――協力して、丁寧に認定審査を行い、真摯に水俣病の対策というものに取り組んでいきたい。こういう環境省の考え方を示したものです。これは国会でもよく議論になりますが、最高裁の判決をどう読むのかによって、受け止めが変わってくる。私どもが、あくまでも認定基準は否定されていないのだと理解していることは、国会等でも申しておりますので、そのようになっていると認識をしているところです。
(問)重ねてで恐縮です。認定基準が否定されていないと、私もそう思っています。ただ、過去の棄却分についてどうこうであると。つまり、これまでも総合検討してきたかということは、最高裁は触れていないと思うのですけれども、触れていない以上、通知の中で言及するということは踏み込みすぎではないのかと感じるのですが。細かい点で恐縮です。
(答)ですから、最高裁の判決の理解、要旨というものは共有しておりますが、裁量に対しての受け止めはやはりかなり幅広いものがあるのだと思います。そこは私も認めております。そういうことを検討して、今、御指摘のあったようなことが必要ないのではないかということが現在の当省としての考え方です。

(問)朝日新聞の川原と申します。昨日の予算委員会で大臣が中間貯蔵の30年後の汚染土の使用方法について公共用地への活用法があるということを言及されておりますけれども、そちらのほうは何か根拠がありましておっしゃられたことなのかその真意についてお伺いしたいのですが。
(答)これは、30年経っていませんので、そのときどうであるかは断定的に申すことはできない。可能性として、放射線の値は減衰しますので、それを公共事業等に活用することは十分可能ではないか。また、そういうことがない限り今予想されている二千万立米をまた新たにただ単に埋めることでは意味がないのではないかという考えです。

(問)共同通信の角と申します。1点は今日、震災原発事故から3年なのですけれども、原子力規制委員会のほうの原発の審査が進んでおりまして、新聞等でですね再稼働の話が少しずつ出てきていると思います。安倍首相も原発再稼働の必要性を何度か指示されていると思うのですけれども、特に福島の被災者の皆さんの話を伺っていると、先ほど石原大臣がおっしゃられたように除染、中間貯蔵の話も道半ばということで原発再稼働の話が進んでいることに違和感を感じている方が多いように感じます。除染、中間貯蔵の話を担当されている環境大臣として思いがあれば一言お願いします。
(答)国会で答弁していることの繰り返しになり大変恐縮ですが、原子力規制委員会をなぜ三条委員会として、環境省の外局にしたか。すなわち利用と規制をしっかり分けていくということです。規制委員会が環境省の外局にある以上、原子力の利用についてのコメントを公にするということは、そもそもの趣旨を逸脱することになる。三条委員会という大変権威のあるものを外局と抱えている所管官庁の大臣として、その件についてコメントすることは、これまでも控えておりますし、これからも控えていきたいと思います。

(問)熊本日日新聞の高橋と申します。先ほどの水俣病に関してなのですが、識者や被害者団体の間では新たな指針について、客観的資料をできるだけ求めるというような一文があって、救済の幅を狭めるのではないのかという懸念を言われる人たちが多くいます。最高裁で逆転で認定された方も非常に客観的な資料が乏しいなかで、いわゆる司法上の総合的検討で認められた例になるのですが、これらの意見について大臣の受け止めをお願いします。
(答)これも行政を預かるものの立場として、基本は法律に基づく法治主義、ここに最大のウェートを置かざるを得ません。行政が認定の判断をする以上、法治主義、法律の中で公正を確保することは、根幹をなすわけです。その公正さを確保するためには、できる限り客観的な資料を専門家によって確認する、これは道理なのだと思います。その点を御理解いただき、いろいろな御懸念があることは承知していますが、公正公平に行政として判断をしていかなければならない問題だと思っています。