大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年9月10日(火)15:03 ~ 15:21  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

閣議が始まる前に、東京へのオリンピック招致が決まったということで、閣僚は拍手で安倍総理を迎えました。閣議では、環境省に関する案件はありませんでした。私から4点御報告をさせていただきます。
 1点目は、10日間ほど報告が遅れましたが、福島県の避難指示区域で、国が直轄で行っている、除染、がれき処理について、進捗状況の総点検を行いました。10日遅れましたが、いろいろ御要望のあったものについての対応策等々を入れて取りまとめました。基本的な考え方から話しますと、現在行われている計画については、これまで、政権交代はありましたが、現場の皆様方の努力により、計画達成のために全力をあげて取り組んできていただいたと思います。理想というものもあります。その理想を追求するあまり、必ずしも、実態に合わない部分も出てきている。現場で地元の方からの苦情もいただいているという報告も受けています。理想を絶えず追求することは大切ですが、一方では、地域の方々から現実を見据えて、「地に足のついた対策を」という御要望も多く出ていますので、そういう考え方に立っていくことが大切ではないかと思っています。従って、今回の総点検では、これまでと同様に県や市町村の皆様とよく相談をしながら、地域の現実的な要望にしっかりと合った方向性を示す形にしたいと考えています。
 除染の進捗状況については、これまでの除染の推進により、既に計画に基づく除染が完了した田村市を含めて、4つの市町村で今年度中に除染を完了できるというところまできています。これに向けて、引き続き全力で努力をしていきます。また、他の市町村については、それぞれ事情が違いますので、これまでの一律に2年間で除染するという従来の目標を改めたいと考えています。除染の加速化や円滑化を総動員しながら、復興の動きと連携した除染を推進したいと思っています。
 加速化対策については、10日間ほど公表が延期になった間、何点か現場レベル、あるいは他省庁と調整を進めたものがありますので、具体的に紹介いたします。
 南相馬市と飯舘村を結ぶ八木沢トンネル整備工事、さらには国道114号線の拡幅工事。これは浪江町のところで震災前からも行われていたものです。高速道路と同じように、インフラ整備と連携して除染を進めることとしました。あるいは線量が高い地域において、老朽化して除染が困難な雨どい。瓦のほうは雨できれいになるのですが、そこから流れたものが雨どいに溜まり、ここがまた高濃度になっている。これも地元の御要望の強かったものですが、除染ではなく交換という形にしたいと思います。また、井上副大臣が県庁に参り、月末にお話のありました防火水槽ですが、一定の要件に該当するものは除染を可能とする。具体例を何点かお示しいたしましたが、このような点で地元の皆様方、あるいは他省庁との間で話がまとまりましたので、こういうふうに取り仕切らせていただきたいと思っています。さらに、除染後の対応や森林の追加的対応についても、基本的な考え方を示しました。
 引き続きまして、がれきの処理について。当然、がれきが帰還の妨げとならないよう、速やかな撤去・仮置場への搬入を最優先として、これからも全力をあげていきたいと思っています。
 いずれにしても、今後とも、地に足をつけて、県や市町村の皆様方とよく相談をしながら、着実に事業を実施していくというまとめをしました。
 2点目です。これは今日御報告いたしました、富士山の登山者。中間的なまとめでは世界遺産登録もあり、増えるのではないかと予想していましたが、約311,000人の御来訪をいただきました。パーセンテージでいうと、対前年度比マイナス2.5%です。今後とも、この富士山の美しい姿を多くの方々に楽しんでいただき、また人類共通の宝として引き継いでいけるよう、国立公園内の保護管理の体制を強化して取り組んでいきたいと考えています。
 3点目。これも国立公園に関して、本年指定50周年を迎えました「山陰海岸国立公園」の海岸景観と海域の保全の強化を図るために、公園区域の拡張や規制強化の具体案を策定しました。場所は鳥取砂丘、あるいは京都の京丹後市といったような海岸線にいろいろな景観があるところです。案では、これまで海岸線から1kmの範囲だった国立公園区域を――慶良間の場合は島ですのでかなり大きく7kmとしましたが――5kmまで範囲を拡張します。同時に、各種開発行為を規制する「海域公園地区」。これも大幅に増やしていきたいと考えています。今67haですが、これを10,103ha。およそ150倍程度に拡大させたいと思います。本日より一ヶ月間、パブリックコメントを実施し、その後、中央環境審議会への諮問・答申を経て、今年度内に新しい公園計画を決定したいと考えています。詳細は国立公園課に聞いていただければと思います。
 あと1点。今日この後、横浜市にある水素化・脱水素技術実証プラントを視察します。エネルギーを水素に変えて保管し、その水素をまた取り出す世界で唯一の技術を持つ、プラントだということです。再エネと組み合わせることにより、今後、活用方法の広がりが期待されるこの水素の最新技術。これは自立分散型のエネルギーの、エネルギーを貯めるという分野に非常に資するのではないかということで、見せていただきます。以上です。

2.質疑応答

(問)読売新聞の寺垣と申します。よろしくお願いします。除染の見直しなのですけれども、今回7市町村については、新たな期限を示すまでに至らなかったという内容になっています。被災者の方からすれば、除染がいつ終わるのかということを少しでも早く知りたいところだと思うのですが、大臣が見直しに言及されたのは3月で、作業期間は半年あったと思います。この期限を明らかにするのが年内ということになったことについて、被災者の方にはどのように御説明されるのでしょうか。
(答)地域には地域の事情がありますので、4市町村は年内にできると。しかし、そうではないところもあると。今、事情が違うというお話をしましたが、対象範囲や必要な工程等々を踏まえて、市町村の状況に応じたスケジュールを地元の皆様方と相談の上、策定しなければならないと思っています。年内を目途に、変更する除染計画の中で反映させていきたいと考えています。

(問)朝日新聞の青木と申します。2点ほど、お伺いしたいと思います。特措法の基本方針に、除染の長期的な目標として追加被爆線量が年間1ミリシーベルト以下となることとあります。こちらのほうは堅持ということでよろしいのでしょうかというのが1点目。2点目は市町村からこの1ミリシーベルト以下、つまり0.23マイクロ/アワーまで除染で下げてほしいという要望がきております。これについてどう対処されるのかということを教えてください。
(答)これは先般の原子力災害対策本部でも確認いたしました。1ミリというのは、除染も含めて政府全体の長期的な目標ということで変更はありません。1ミリが政府全体の長期的な目標である。それ以外のことは原災本部でも決めていません。

(問)毎日新聞の袴田と申します。除染の見直しについてなのですけれども、発表が今日このタイミングになったということは東京五輪の招致の関係も考慮してということなのでしょうか。
(答)この間も御質問がありました。今日、4件ほど例を話しましたが、積み残してでも発表はできましたが、事務方からこの件について話を詰めきると言われたことに加え、御要望が新たにあった点ですので、(10日間ほど発表を延ばして)しっかりと対応したということです。

(問)共同通信の角です。今回の除染の見直しで、追加除染。いわゆる再除染について一部認められたと思うのですけれども、これについて線量の基準というのが明示されていないと思うのですけれども、そこについては今後どのように御判断されていくのでしょうか。
(答)フォローアップ除染を行うのか行わないのか。また、行う時に数値があるのかという御質問だと思います。これは多様な現場の状況を踏まえて、判断する必要があると思います。事後のモニタリングの結果を踏まえて、考え方を示す。効果の無いことは行うつもりはありませんし、効果があるものは行っていかなければならないと考えています。

(問)テレビ朝日の村山と申します。1点だけ質問なのですけれども。除染に関する補助金についてなのですけれども。例えば、一部の市町村のほうで、補助金の申請をして、断られるということが最近増えたのではないかということが一部の声として挙がっているのですけれども。補助金の基準は厳しくなっているのでしょうか。厳しくなっているとすれば、東京電力からの支払といった理由もあるのでしょうか。その点をお聞かせ下さい。
(答)具体性を欠いている質問で、どこの町のどこでどういうことが起こっているかという個々のことは承知していませんので、原局へ聞いていただければと思います。

(問)NHKの土居です。よろしくお願いします。今回の除染の工程表の見直しという形で、7市町村については当初の目標であった、平成26年3月には終えられないということについての大臣としての御所感と、復興の計画や将来の人生設計などいろいろとそれに関わってくる問題だと思うのですが、それについての福島の方々への御説明なり、御所感というのはどのようにお考えでしょうか。
(答)対象範囲や必要な工程。最初に決めた時に、十分に市町村の方々、あるいは住民の方々のリクエストに叶うか叶わないかがわからない中で見切り発車したという面が、当初あったと思います。やはり市町村の状況に応じて、地元の方々と相談してスケジュールを決めれば、線量も違いますし、地形も違い、集落の形態も違いますので、一律ということにはならなかったと思います。ですから、先ほどお話ししましたとおり、市町村と相談の上行っていく、という形に改めていきたいと考えています。