大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年8月30日(金)10:10 ~ 10:20  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

おはようございます。本日の閣議では当方に関係するものはありませんでした。概算要求について、簡単に趣旨をお話しします。ポイントは3つあります。
 もちろん第一は福島の除染等々に代表されるような東北の復興・復旧。これをどのように加速していくか。中間貯蔵施設も作らなければなりません。また、廃棄物処理も推進していかなければなりません。福島県民の皆様方の健康管理、不安対策も強化していかなければならない。これが一点目です。
 第二点は、これも再三再四お話ししていますが、日本の優れた環境技術をどのように国際展開していくか。循環型社会という言葉は、今は少し忘れ去られていますが、島しょ国を含め、温暖化による海面水位の上昇によって、国土が著しく毀損される。そういう話が本当に多くの国々の友人から届いています。こういうことにもしっかりと我が国の技術を供与して、同時に成長戦略にも役立てていきたいと思います。
 三点目は、「地域主導による低炭素地域づくり」です。昨日も八丁原の地熱発電所を見てきましたが、「自立・分散型の低炭素エネルギー社会」の構築。あるいは環境ファイナンス。新しいものを作っています。こういうものを充実していくという点です。
 そして忘れてはならないのは、環境省の任務とは何かということだと思います。国民の健康と良好な環境を維持することにしっかりと向き合う。大気汚染、水質汚濁といった公害問題には、当たり前のことですが、厳しい規制をもって対処する。廃棄物処理や自然保護については規制と施設整備の両面で、確実に取り組んでいく。そういう基本的な認識を再確認して、概算要求でいろいろなものを求めていきたいと考えています。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社の毎日新聞の阿部と申します。よろしくお願いします。除染計画の見直しについてですが、今日30日の発表予定が10日ほど延期されると昨日アナウンスがありましたが、30日の予定については、27日の環境回復検討会の後も井上副大臣が30日に発表するというお話をされていましたけれども、この直前の予定変更はどのような経緯だったのか、またこの間大臣はおっしゃられていたとおり、長崎・大分に御出張されていらっしゃいましたけれども、事務方へはいつどのような御指示をなさったかお聞かせ下さい。
(答)一言で言うと、諸般の事情により新たな要求・要望のようなものも出てきている中で、それに対する対処方針が固まっていないという問題が1点。さらには、インフラの復旧との一体施工というものをずっと言ってきましたが、やはり省庁間をまたぐので、どちらでどのような形で責任を持ってやっていくのか。細かいところの詰めなのですが、まだできていないということが現状です。一つ例を出すと、これまで手をつけていなかったもの。例えば消防団の方が使う防火水槽がそのままになっています。帰還が行われていく中で、――そういうことがあってはならないのですが――万が一の時のことを考えて、これをどうするか、どうすれば一番良いのかということがまだ決まっていません。このような状態ですので、もう少し丁寧にやったほうが良いのではないかという声が挙がってきました。現場(環境省内部)がそのように言うのであれば、ということで延期させていただく、ということが事実関係です。その点については、(出張中に)電話でも相談がありました。(出張に)出発する前も、若干こういう問題が積み残しになっているので、積み残したまま発表するか、それとも積み残しをある程度整理した段階で発表するか、もう少し時間を下さい、という現場の声は聞いています。

(問)産経新聞、天野と申します。一昨日、大臣は対馬のほうへ行かれて、野生生物保護センターの御視察をされたと聞いておりますが、その時点でツシマヤマネコの生息地が競売入札にかけられていたという情報は入っていたのでしょうか。
(答)知っています。財部市長から、議会からの理解も得ているので、これを買いたいと思う、と伺いました。あの中に実は環境省の土地もあります。幹事長の時にもツシマヤマネコの話も伺っています。当日も財部市長からだいたい議会の了解を得たという報告も受けています。
(問)今日にもおそらく競売入札は中止されるというふうに伺っていますが、競売入札にかけられたということで、危うく素性の知れない人が買うというおそれがあったということで、その辺の受け止めと、今後生息地が売買されるという事態がおきた際の国としての対応というのは如何でしょうか。
(答)競売案件だということは承知していましたが、今言われたような、得体の知れない人が買うという話は伺ったことがありません。市場取引並びに競売入札の場合には、既存の企業体が破綻をした後の事案ですので、環境省の立場ではとやかく言えないと思います。今回の場合は、上島にツシマヤマネコの大多数が生息していて、特にその北部の森林が重要な生息地だということはわかっていますので、懸念していましたが、財部市長をはじめ、対馬市民の皆様方のツシマヤマネコに対する愛情の深さに敬服しました。
(問)市議会の状況を聞きますと、ツシマヤマネコは国の天然記念物であって、環境省のレッドデータブックに載っているものであるから、筋としては国が買うべきだという意見があったようですけれども、国が購入するというお考えはなかったのでしょうか。
(答)そうすると、佐渡島も国が全て買わなければならなくなってしまいます。もちろん、気持ちとしては理解できますが、なかなか現実問題として天然記念物が生息する地域を全て国が買うということは現実的ではないのではないでしょうか。
(問)御存じのように対馬というのは、韓国の土地買収が進んでいる土地であって、外国による土地の買収についての大臣の御見解というのは如何でしょうか。
(答)日本の法律にのっとり、外国の資本も、ビルを買うことも土地を買うこともできると認識しています。ただ、水資源といったようなものについては、私も水資源の議員連盟の会長をしていますが、しっかりと守っていかなければならないという認識を持っています。

(問)共同通信の角と申します。除染の計画見直しについてなのですけれども、副大臣が公の場でというか、福島県庁で30日に発表しますということをおっしゃっていて、10日ほどの延長と伺っているので、大勢に影響は無いと思うのですけれども、地元の方達には非常に大きな関心事だと思います。これについて最後の最後の詰めの部分で、延期ということになったことについて、地元の方にお詫びというか、どういうふうに御説明されるのでしょうか。
(答)先ほど申し上げたとおり、地元の方々の要望に対して、全力で取り組んできましたが、こういうものは期限を決めないと進みません。ですから、期限を決めて行ってきましたが、積み残したままいくか、積み残しをある程度解決するか。そういう選択で、現場がもう少し詰めさせてくれということなので、どのくらいかかるのか、一ヶ月、二ヶ月かかるようではだめだと考えたが、数日でなんとか詰めるという話だったので、それではそうしようという決断をしました。