大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年6月25日(火)10:01 ~ 10:15  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議で当方に関係するものはありませんでした。私から3点御報告させていただきます。
今週28日金曜日の閣議で承認を得てのことですが、7月2日付で環境省の幹部職員を異動させたいと考えています。今回の異動は、環境省が直面する東日本大震災の被災地における廃棄物処理や除染の加速、中間貯蔵施設について道筋を早急につけるための体制の整備。また、今秋11月に開催されるCOP19までに、温暖化対策計画を策定することなどをにらんで、必要な布陣を整えるものです。
 具体的に申します。南川秀樹環境事務次官と伊藤哲夫自然環境局長の勇退を認めます。それぞれの後任には、次官に谷津龍太郎地球環境審議官。そして自然環境局長には審議官の星野一昭を充てます。谷津地球環境審議官の後任には、白石順一総合環境政策局長を、そして白石局長の後任には、清水康弘審議官を充てます。
 なお、南川環境事務次官につきましては、これまでも除染や中間貯蔵施設を進めるための先頭に立って努力いただきましたが、環境省の顧問に就任させた上で、新たに設置します福島中間貯蔵等連絡調整推進本部長。少し長いので変えるかもしれませんが、この本部長に就任いただきたいと考えています。引き続き、中間貯蔵施設等を推進するために、省内外、もちろん地元も含めて連絡調整に当たってもらうこととします。そして、三好信俊審議官に、同本部の担当として、喫緊の課題であります中間貯蔵等を担当してもらうことにしています。
 あわせて、他の部長・審議官級の人事についてもお伝えします。
佐藤敏信環境保健部長は厚生労働省に出向となり、その後任には、塚原太郎厚生労働省大臣官房付に御就任いただきます。清水大臣官房審議官の後任には、弥元伸也秘書課長を昇任させたいと考えています。星野大臣官房審議官の後任には、奥主喜美大臣官房審議官を充て、三好大臣官房審議官の後任には、田中聡志総務課長を大臣官房審議官に昇任させたいと考えています。くどいようですが、28日の閣議で承認を受けた上で7月2日付けで異動という計画です。これが1点目です。
 かねてから、お盆に向けて、福島の被災住民が、お墓参りに行けるようにしてほしい、
と渡辺大熊町長からも直々に要望されていました。帰還したくてもできない地域の方々から、お彼岸、今度のお盆に、先祖にお参りができないという悲痛な声が上がっているというお話も伺っています。
 これを受けて、復興庁と連携し、帰還困難区域内にある共同墓地において、除染と散乱した墓石の修復を一体的に行うこととしました。環境省が担当する除草作業等々は既に現地で始まっています。私自身も、近いうちに現場に赴きまして、激励並びにお手伝いをしたいと思っています。
 また、今年度行うこととしている「帰還困難区域における除染モデル事業」について、本日、双葉町と浪江町の一部地域を対象とし、実施事業者の募集公示を行ったところです。これは、100~150mSv/年といったような、高線量地域における除染による効果を把握するためのものでして、秋口には作業を開始し、年内を目途に結果をとりまとめたいと思っています。こういう1年で100から150mSvというところは、実は、これまでやっていませんので、どのようなやり方、またどのようなことで、どういう結果が出るかしっかりとさせていただきたいと思っています。
 3点目です。富士山の世界文化遺産への登録については、土曜日の段階で談話を出しているところです。世界遺産地域の99%程度が富士箱根伊豆国立公園内です。このため、環境省としても、国立公園の保全管理についてハードとソフトの両面から充実を図り、魅力の一層の向上を図って、訪れるビジターの方々のために資するようにしたいと思っています。具体的に何をするかということですが、施設の充実も私は必要だと思っています。これからこの山に大量に登山者が来ても、登れる人間というのは限られています。また富士山は、周りの景観と相まって、富士五湖もありますし、三保の松原も含めて太平洋側からの眺めも素晴らしい。そういうことですので、ビューポイントの展望施設も整備したいと思っています。また五合目周辺における日帰りコースの整備も重要になってくると思っています。かつては利用されていました富士吉田口の「御中道(おちゅうどう)」、あるいは御殿場側の須走口「小富士散策路」の整備などを考えているところです。環境配慮型で快適な山小屋のトイレへの支援も継続していかなければならない。いわゆるエコトイレです。
 第二に、今はハード面のお話をしましたが、ソフト面も充実させていかなければならない。今年は初年度でもあり、7月1日が山開きですので、レンジャーもその場で魅力を紹介したり、マナーの悪い方々に対してはしっかりと注意する、というようなこともやっていかなければなりません。また、世界遺産になると世界各国からお客様がいらっしゃいますので、ガイドブックやウェブサイトで富士山の魅力を情報発信していく。こんなお手伝いもしたいと思っています。
 第三に、今もお話をしましたが、保全管理体制の充実です。やはり世界遺産になると、訪れる方が格段に増えますので、それに対する対応。地域の皆様方と連携。こういうことをしっかりとできるような人材を充実させていきたいと思っています。私からは以上3点です。

2.質疑応答

(問)幹事社の産経新聞の徳光と申します。今3点目におっしゃった富士山についてなのですけれども、入山料の徴収を静岡県、山梨県で今夏から試験的に導入することを検討されているようですが、環境省としてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
(答)試行錯誤はあったようですが、両県共に試験的に導入をしたいと。アメリカの国立公園などでも10ドル程度取っています。環境保全の観点からは利用者の方々の環境に対する意識を高める上で、私は意義があることだと思っています。観光業などの事業者の実勢を踏まえて、地元で検討されることを歓迎しています。負担を求める際には、入山者を含めた幅広い関係者の理解が必要だと思います。入山料の目的や使途、徴収の対象者、金額など様々な課題を整理していくことが必要です。両県において試験的に導入される、その結果を見て十分にオープンな場で議論を深めていっていただくということが利用者の理解を得る上で不可欠なのではないかと考えています。国立公園の保護と適正な利用を確保するという観点から、試験的導入や今後の本格導入に向けた検討に環境事務所の人間がメンバーで入らせていただいています。環境省としての立場を述べるとともに、また色々ご相談を受けたらしっかりと対応をさせていただきたいと考えています。

(問)読売新聞の吉良と申します。よろしくお願いします。田村市の除染のことなのですけれども、そろそろもう除染の計画が終了するということなんですが、ただ実際モニタリングで測ってみると、あくまで空間線量なんですけれども1ミリを越えるようなところがあって、帰還に対して住民の中で不安に感じている方もいると思うのですけれども、こういう地域について大臣は今後このような対策を取っていかれるでしょうか。
(答)ご希望される方がいましたら、個人線量計というもので実態はどうなっているのかを把握していただくというようなことも検討しないと、なかなか空間線量の数字だけでは御理解を得られないではないか、きめ細かい配慮ということが必要ではないかと思いますし、今後は市や住民の皆様方で十分ご相談していくということが大切なのではないかと考えています。

(問)共同通信の角と申します。2点目でおっしゃられた高線量地区での除染のモデル事業の関係なのですけれども、これまで手をつけていらっしゃらなかった高線量地区での除染のモデル事業を実施される、その狙いというのを改めて教えて下さい。
(答)やはり戻りたいという方がいらっしゃる。現実に高線量で除染をするにしてもなかなか初めての経験ですので、これまでの蓄積等々を集積してどの程度のことが可能になってくるのか。これをやって今後に繋げていく。そういう意味があると認識しているところです。

(問)(朝日新聞の小林記者)富士山のハード面の整備でいつぐらいまでに予算はどれくらいをかけてというのを考えていますか。
(答)今年登録され、ビューポイントにしても十数カ所になると思いますが、全部いっぺんにやるのはなかなか難しいので、数年かけてやらせていただこうと思います。人材のほうもパーマネントにいる方は限られています。ただ初年度ですから人が大勢くると思いますので、それに対する対応をやはり最初の年にしっかりとしていかなければならないので、官房長に予算面も含めて検討を始めさせたところです。