大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年4月9日(火)9:10~9:25  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 私のほうから御紹介したい点が1点あります。
 御案内のとおり、中国の大気汚染に関する協力については、2月22日の課長レベルによる中国環境保護部との意見交換を含めて、日中間でこれまで調整していました。その後の両国間での調整の一つの成果として、今般、4月18日の木曜日に、中国・北京において、日中友好環境保全センター、地球環境戦略研究機関及び国際協力機構(JICA)の主催により、日中大気汚染セミナーを開催することとなりました。
 日中の政府関係者、公害を克服した自治体の関係者、また研究者、日本の企業も参加して、大気汚染防止に係る政策、大気汚染物質の観測・分析、そして東京都、川崎市、四日市市、北九州市といった地方自治体のこれまでの取組また現在の取組、民間企業が持っている対策技術などをテーマに、我が国が公害を克服してきた経験を中国側と共有できるようにする予定です。
 日中両国は、戦略的互恵関係にのっとって、幅広い分野で協力を進めていますが、環境分野はその一つの大きな柱ではないかと思っています。今般のセミナーを契機として、今後の更なる日中間の具体的な協力の検討につなげてまいりたいと考えています。

2.質疑応答

(問)今月幹事の朝日新聞の小林です。よろしくお願いします。昨日井上副大臣が楢葉町長と会いまして、楢葉町で本格的なボーリング調査が近く始まることが決まりました。これについて大臣の受け止めと、あともう1点、保管庫ですね、町長の方は保管庫を前提にした調査を受け入れるという条件だそうですけれど、あくまでその保管庫を建設するための調査なのかどうか大臣の御認識をお願いします。
(答)昨日、井上副大臣と楢葉の松本町長との会談の結果、先方から調査の受入れ表明がありました。今日からボーリングをする予定地等を歩いて調査するために、町へ職員を派遣します。御指摘については、町長が昨年4月の選挙のときに、こういう言い方をされているわけですが、私どもの基本的な考えは、保管庫と中間貯蔵施設は、構造、安全性、選定の考え方については全く同じですので、やるべきことを進めていくという事に尽きるのだと思います。
(問)もう1点、中国との環境協力で、5月に環境大臣会議、日中韓の大臣会合があると思うのですが、中国からその要人の往来が途絶えているかと思うのですが、環境保護部長ですか。予定どおり来られるのですか。
(答)我が省の南川次官が北京、上海を訪ねて戻ってまいりまして、これが次官級では尖閣問題の後、初めての訪中だと思います。5月開催予定の日中韓環境大臣会合についても、今のところ実施をするということで準備が進んでいると承知しています。

(問)共同通信の太田です。今の中間貯蔵施設の関係で確認なのですけれども、楢葉の町長は、施設について受け入れるものの対象として、楢葉町で発生した土壌であるとか、10万ベクレル以下のものを対象にすることも条件にあげております。環境省が考えている中間貯蔵施設だと10万ベクレルを超えるものも受け入れることになりますし、施設の構造としても変わってくる部分があると思うのですけど、その違いについては大臣はどうお考えでしょうか。
(答)前の楢葉の町長さんのときに自分の町に中間貯蔵施設がくるという話が出て、そんな中で昨年4月に、今の町長さんが選挙を戦われたと。そういう経緯というものも、しっかりと認識しながら、町民の皆さんや町長さんとの信頼関係を構築していく、その中で今御質問のあった問題の解決を図る、ということに尽きるのだと思います。
 ともかく今日から職員を派遣してボーリングの予定地等を歩いて詳しくみる。第一歩がスタートした。それから先のことはこれからです。
(問)町長としては、そういった条件を設けて、その条件を環境省側も理解したので調査を受け入れているという考えではないかと、お話を聞いている範囲では感じるのですけれども、場合によっては、そういった条件を飲んでいたということなのに、別の施設を作るということに最終的になると、だまし討ちで調査をしたのではないかと感じる町民の方がいるかもしれないのですが、その先にどんなものを作っていくかという議論と今の調査はまったく別物だと。現時点では別物として考えているということですか。
(答)先ほどもお話させていただきましたとおり、何と呼ぶかは別として、安全性、構造はほぼ同じものです。したがって、私たちはこれまでの考えどおり、話を進めますが、そうは言っても相手があることですし、選挙の結果ということ、こういうものもしっかりと認識をして、双方が納得できる結論に導いていくということが、政治家としての責任ではないかと考えています。
(事務方)今回、あくまでも調査でございまして、地盤の堅さですとか、あるいは施設自体ができるかできないかという調査でございますので、全く、調査の内容は、保管庫であろうが中間貯蔵施設であろうが同じだと言うことでございます。
(答)結局、今の話は、調査の受け入れであって、建設の受入れを町が認めているという話ではないということですから、構造、安全性を調べるということについては、同じだということが、私どもの考えです。

(問)共同通信の斉藤といいます。中国で鳥インフルエンザの人感染が問題になっておりますけれども、環境省でも野鳥の感染、ウイルス保有調査等をされていると思うのですが、中国のこの度の問題を受けて、何か新たな対応等をお考えでしたら教えてください。
(答)結論から申しますと、現時点では野鳥での感染というのは報告されていません。中国での鳥類から人間への感染経路、また、それが野生の鳥であったのか、飼育をされている鳥であったのかは、不明です。そして鳥インフルエンザウイルスを保有しているというガンカモ類ですが、今の時期に南の中国から日本に渡ってくる可能性は低い。今日本でも北の方にいて、これからもっとロシアのほうに飛んで行きます。何かありましたら、すぐに対応しますし、今まで同様、モニタリング調査はずっとしてまいりたいと思います。糞とか死体ですとか、仮に鳥が死んでいたら、その分析をします。この間もオオハクチョウの事例が新潟県でありまして、結論としては陽性ではありませんでした。

(問)栃木県の下野新聞の山崎といいます。指定廃棄物について2点お伺いしたいと思います。1点目は先週末、栃木県内で初めての市町村長会議が開かれました。その中で、改めて特措法に基づく基本方針について、一部の首長さんから方針を見直しをして欲しいといった声が上がっていたのですが、その点について大臣どのようにお考えになるか、ということと、2点目は、処分場を建設する際に、風評被害について懸念する声が多々上がっていました。風評被害の払拭と、または補償などについてどのように対応されていく考えなのかお願いします。
(答)1点目の御質問は、就任以来同じような質問が出ているのですが、全く真っ白な状態であれば、多分、市町村長さんから出された意見のように色々な施策を考えることができると思います。しかし、時間的経過と、政府としての決定があることもまた事実ですし、福島の方々が、他県のそういうものを引き受けるという声は、残念ながら聞こえてまいりません。こういう現在の日本国がおかれている現状を考えると、環境省としては、各県で発生している指定廃棄物を他県に持ち込むのは、現実的には難しいのではないかと私は思います。輸送の長さも当然長くなります。それを考えるとそれぞれの地域の問題として、各県単位で処分することが現実的ではないか、と私は考えます。これが第一点です。これについて、栃木県の福田知事も、会議の中、あるいはその後の記者会見等で、栃木県内に最終処分場を設置する必要性について、言及されたという話も聞いています。2点目の風評被害ですが、風評被害というのは事実と違う、危ないよ、危ないよということが伝播することによって巻き起こされることであって、科学的には危険ではないものです。ですから、正確な情報を示して、そもそもこういう風評がたたないようにする。これはもうメディアの皆さん方の御協力がなければならないことだと思いますが、安全性、何で安全なのかを、――我々が安全だ、安全だといっても、それはなかなか信用してもえらえませんが――、専門家が、こういう科学的見地で安全なんですよ、ということを示してそれをできるだけ多くの方々が、意識を共有していただければ、風評被害は起こらないのだと考えます。