大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年2月22日(金)10:42 ~ 10:59 於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 先般質問が出ましたPM2.5の関係で、中国への働きかけですが、先日もお話ししましたが、越境大気汚染問題については、これまで中国、ASEAN、2国間の関係、あるいは東アジア酸性雨モニタリングネットワークや、5月に予定されている日中韓の環境大臣会合など、環境省は、過去にも協力を図ってきました。今般のPM2.5の大気汚染についても、これらの枠組みの活用を強化するとともに、私たちも昭和30年代、40年代と、今起こっているようなことに近い、問題の蓄積があります。それを改善していくような環境技術を、是非中国の皆さんに対しても、技術や研究面での協力を申し述べているところです。昨日、今日と、中国側と協議するために、環境省、外務省、経産省の職員を、中国・北京に派遣しているところです。今日の午後には最後の会議が終わり、北京のほうで詳細について皆様方に発表できると思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社の読売新聞の吉良と申します。PM2.5の問題なのですけれども、先般大臣が、新たな予算措置ができないかどうか、総務大臣とお話をしていくということを前回お話しになれたのですけれども、その進み具合について教えていただけますか。
(答)この点も御質問がありましたが、あの後3日間、時間がありましたので、地方自治体の財政力の弱いところに対して援助できないか、どういうものが使えるか検討してきました。総務大臣にお願いしたところ、大臣間の合意を受けて、事務方が総務省と協議し、地域の元気づくりのための財源が補正予算、25年度予算、両方にあります。これを使ってPM2.5の測定器の整備に活用する資金を地方自治体のほうに援助するということを確認しました。これらの措置も活用しながら、地方自治体においてPM2.5の測定機器の整備を積極的に進めていただき、年度末までに600局、そして最終的には1,300局の整備目標が達成できるように、これからも環境省として支援・協力したいと考えています。

(問)朝日新聞の山岸です。よろしくお願いします。
 今日、日米首脳会談が予定されていますけれども、若干それと関係してくるのですけれども、オバマ大統領が先だっての一般教書演説の中で、温室効果ガスを排出しないエネルギー源への移行を促進するという考えを表明しました。今後、世界的にもそういった自然エネルギーへの移行というものが進んでいくのかなというふうにも思うわけですけれども、大臣、就任の段階から随分、温暖化に御関心を表明されていましたけれども、改めて、今後、世界的な動きも含めて、日本はどういう風に取り組んでいくべきなのか、所感があればお伺いいたします。
(答)オバマ大統領の演説は、気候変動のために、解決策を議会に是非つくってもらいたい。できないときは、自分がリーダーシップをとってやる、というような、一般教書もそうなのですが、環境問題に向けたオバマ大統領の決意みたいなものが伝わってきたと思います。その一方で、アメリカは日本よりも、環境対策は割と緩くなっている。そういうことで、オバマさんがそういうふうにハンドルを切ってくれたということは、私は大変心強く思っています。先般もパラオの旧知の大統領が、――1回辞められて、また大統領になられたのですが――、いらっしゃって、普通ですと、観光とかサンゴとか、そういう話が中心になるのですが、自然エネルギーを、自分たちの国ではこれからもっともっと取り入れていきたい。そのための援助をお願いしたいというお話をされました。それだけ島嶼諸国にとっては、私たちが感じるよりも地球温暖化の影響が顕著で、大変小さな国々ではありますが、特に油などを燃やしてエネルギーとしているので、自分たちも環境負荷の少ない自然エネルギーをもっと増やしていかなければならない、という話をしてくださいました。その点についても、JICAや様々な方策で、これからも援助したいという話をしました。我が国としてもやはり、オバマ大統領のように、安倍総理もこの点については大変関心を持っていて、これからは戦略的な環境外交を進めるべし。そのためにどうすればいいのか。また、25%削減という目標も見直す、と明確に言われています。石炭火力ばかりでいいのだというようなことには、所信表明でも私はならないと思います。オバマ大統領と同じように強いリーダーシップを持って、地球全体の問題として、日本の最先端の技術により世界の人類のために貢献する。そういう意味でも、安倍総理を奮い立たせるような演説だったのではないかと思っています。

(問)共同通信の太田といいます。大臣、昨日ラジオに出演されたときの御発言でちょっと確認なのですけれども、原発の周辺で線量が高い地域であったりとか、今後中間貯蔵施設の設置を要請していく地域で、住民の方で帰還できない人が出るのではないかという趣旨の御発言をされたと思うのですけれども、その辺りの進め方について、改めて現時点でどうお考えになっているか確認をしたいのですが。
(答)今、中間貯蔵施設の予定地とされているところの、調査をするための業者の選定が終わり、これから契約手続きを行い、いよいよ調査をさせていただくというところにきています。調査結果によってどこになるということが決まってくると思います。その地域では当然、適切な補償によって地権者の方々から国が土地を買わせていただくことになるので、もしそこに住居があれば、その地域が決まったときには、その結果として、その地域の方々はそこには住めなくなる。一般論として当然のことを申しました。調査の段階ですから、場所が決まるかどうか、今はまだ全く分かりません。
 施設の整備に当たっては、やはり地権者の方、地元の方々の理解を得るために丁寧に説明をしていかなければならないと思います。併せて、高線量地域の話もしたのですが、これも番組の中で御紹介したとおり、高線量地域については、除染のモデル事業を来年度から実施します。その結果どうなるのか。いろいろな専門の方からお話を聞いていますが、かなり高いところは、下げるにはかなり時間がかかるのではないかという話も聞いています。これもまだ世界的にもあまり例の無いことですので、モデル事業としてやってみて、どうなるかという結果をみなければなりません。従いまして、現時点で線量が下がる下がらないということは分かりませんので、帰還を断念していただくということは、実はよく聞いていただければ、言っておりません。
 趣旨はどういうことかというと、世論調査では「帰れないんじゃないか」とか「帰りたくない」という数字が高いです。これは理由は分かりませんけれども、やはり、「帰れないんじゃないか」という方もいらっしゃるし、御年配の方々の中には「私は老い先短いのだから、どんなことがあっても帰りたい」という方もいらっしゃるわけです。そうした意見、先日の福島での会議でも、いろいろな意見が出たと思います。発災直後とは受け止めが、大分、地域によって違ってきている。除染についても、「費用対効果をしっかり考えてほしい」という意見が出たり、あるいは中間貯蔵施設は、「国が強制的に、場所を決めて買い取って、福島全体のためにやるべきだ」など、いろいろな意見があると思います。ある意味では、これは迷惑施設ですから、耳をしっかり傾けて丁寧な対応をしていかなければ、そんな簡単な話ではありません。そういう捉え方をして、しっかりとこの問題、中間貯蔵施設をつくらないことには、いくら除染をやっても仮置場ばかりが多くなってしまう。誰もがこのままじゃいけないという問題意識、これは間違いなく県民の方々、持っていらっしゃいますので、丁寧に話を進めさせていただきたい。全部聞いていただければ、コメンテーターの方はちょっと私とは考え方が違いました。やはり無理なんじゃないんですか、というようなコメントでしたので、いや私としては、これからやるんですよと。やってみないと、科学的知見を持ってどうなるかという結果をみないことには何とも言えません。こういう話だったと思います。

(問)民主党政権時代の環境大臣や復興大臣も、その辺りについては、かなり慎重に発言をされてきていて、帰りたくないという人については、それはそれで支援をすると。一方帰りたいと思っている人については全力で帰れるような策を講じていくべきだということを言われてきていたと思うのですが、希望している方は全員帰すのだという旗を降ろしたわけではないということなのですか。
(答)結局、高濃度のところがどうなるかというのは誰も分かりません。来年度初めてモデル事業をやるわけです。ただ、そのことに関する専門家の方がいろいろなことを仰ってます。「10年、20年経てば下がるけれども、なかなか難しいよ」「ある程度は下がるんじゃないか」ですから、やはり、やってみないとこれは分からないのではないでしょうか。両方のお考えを持っている方がいらっしゃいますので、私たちは丁寧に進めたいと思います。また、忘れてはならないのは、町の復興です。線量が高いところが東側に偏っていますので、東側に町の中心があるところは、町の中心を動かさざるを得ないのではないか、ということを話してくださる町長さんもいらっしゃいます。また、もう既に帰還できるようになった広野町などは、大丈夫ではあるけれども、残念ながら、まだ千人しか町民の方が戻ってくださらない。そうしますと、これもある町長さんとお話をしたのですが、極端な話、千人からの町づくり、こういうことを考えているので、それを後押ししてもらいたい、というような話も伺っております。本当にケースバイケースだと思いますので、丁寧に対応していかざるを得ないと思います。

(問)福島民友新聞社の菅野と申します。今の御質問に関連してなのですけれども、確かに大臣のおっしゃる一般論というのはあるのですけれども、いわゆる中間貯蔵施設を巡って、そこに該当した、もしくはそこに建てられるところの人に対して、帰れないかもしれないよとおっしゃったのは大臣が初めてです。これについて、多分これから地元にも入られるでしょう。その時に必ず説明を求められます。どのように説明しますか。
(答)中間貯蔵施設がどこになるかは私も分かりません。調査がこれから始まるわけですから。中間貯蔵施設をつくらないと除染の問題は解決しません。かなりの場所になると思います。申し訳ございませんけれども、その場所の方々は中間貯蔵施設がある以上は帰ることはできないと思います。多くの自治体の方々から、中間貯蔵施設をとにかく国の責任でつくってくださいというお話を伺っています。もちろん丁寧に進めますけれども、その場所が決まったら、申し訳ありませんが、その場所に住んでらっしゃる方がいれば、どこかは分かりませんけれども、そこの中間貯蔵施設をつくる場所には、戻れないということは、物理的な問題として、致し方ない事だと私は思っております。
(問)大臣のお考えというか、それはある程度政府の考えとして受け止めてよろしいのでしょうか。
(答)今の話は物理的な話であります。極めて物理的な常識的な話であって、私の個人的な考えです。中間貯蔵施設を福島県の場所にお願いした以上は、その場所に住居があった方々は、その場所には帰れません。ただ、先ほども申したとおり、町を新たにつくっていこう、もうそちらの方に協力をしてくれという町長さんもいらっしゃいます。そんな中で、その問題に解答を求めていかなければなりません。もう一つ、復興会議でも出ましたとおり、福島の、お墓参り、これも必ず実現したい。全部はできないかもしれませんが、大熊町でもやらせていただくということを、根本大臣も言っていますし、私もやるべきだと考えています。これは東電側にも強く求めています。やはり、住民の皆さんの気持ちということを一番に考えていかなければなりません。また、中間貯蔵施設が無い限りは、野積みになったものは野積みのままという状態になってしまう。そこのところは、県民の皆様方も理解されていると思います。