大臣談話・大臣記者会見要旨

石原大臣記者会見録(平成25年1月29日(火)10:39~10:55 於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

  おはようございます。閣議に関係した当方からの発言はありません。

2.質疑応答

(問)今月幹事社のNHKの山野と申します。よろしくお願いいたします。1点ございます。水俣病特措法による救済策の対象者の確定が大幅に遅れるという報道があったのですけれども、秋頃になるのではないかと、これについての大臣の認識、受け止めをきかせて下さい。
(答)麻生政権の最後の頃、特措法を通して3年間の目途で救済する方の判定を行う作業が各自治体で進んでいると承知しています。4月末日に3年が経過するということですが、既に救済すべきと判定された方に対しては、救済の手立てがなされていますし、申請の期限が来るということで後半になり、急に申請をされた方々がいらっしゃる。その中にもちろん救済の対象になる方がいらっしゃるのであれば、しっかりと救済していかなければなりませんので、丁寧にやっていかなければならない。急ぐべき方は急いでやり、それ以外の方には、丁寧にあたるというのが私どもの基本的な考えで、これはこれまでも申したとおりです。

(問)朝日新聞の森です。昨日の安倍首相の所信表明演説の中に、温暖化とか気候変動に対する発言が無かったということについてですけれども、一方、アメリカではオバマ大統領が2期目の演説で、温暖化について取り組むような発言をされておられますが、こういう国際的に見ますと日本の気候変動対策がこれから後退していく、孤立化していくのではないかという危惧があると思うんですけれども、それについて大臣は再生エネルギーとか熱心にやられるという話でしたけれども、そういうことが盛り込まれなかったことについてどういう考えでしょうか?

(答)二つの考えがあると思います。所信表明は極めてコンパクトな内容で、経済再生と、福島の復興無くして東北の再生なしといわれるように、東日本大震災の2点に絞られていたということだと私は評価しています。また、今年は極めて異例な形ですけれども、施政方針演説が2月の終わりか3月に行われるのだと思います。そのときには、今、御指摘を頂いたように、地球温暖化に対して、日本の最先端の技術を、――これは、現場で使わない限りは後退していってしまいますので――世界の国々で役立ててもらい、環境先進国としての日本の立場というものをしっかりと世界に対して公にしていく。そういうことをやっていかなければなりませんので、施政方針演説の中では、オバマ大統領の演説の中にあったように、日本国としての取組をしっかり入れていただくように、これから総理にもお話をしたいと考えております。

(問)テレビ朝日の真鍋と申します。よろしくお願い致します。大臣は先週福島に行かれましたが、中間貯蔵施設に関して改めて伺いたいと思います。実際に取材をしていますと例えば大熊町ですが、住民の多くの方は、建設受入れに理解を示している印象を受けます。ただですね、国から補償や代替地の説明がないので疑心暗鬼になっているというところもあるようなのですが、そこで大臣に伺いますが、周辺住民への補償、それから町民の帰還に関して、現段階でどのようなお考えをお持ちかお聞かせいただけますでしょうか。お願い致します。
(答)大熊町では記憶が確かであれば、たぶん95%から97%ぐらいの方々が住む地域が帰還困難な地域に指定されております。どういうことかというと、放射線――空間放射線量――が非常に高い。その現状を、地元の方々は敏感に感じられて、どうなるんだという不安を持たれています。また、あの地域は双葉と大熊の間にちょうど東京電力福島第一原発サイトがありますので、この炉心の中がどうなっているかも今はわからない段階です。先般、4号機を拝見してきましたが、4号機の中には未使用のものも含めて、使用済核燃料が約1,500本貯蔵されている。そしてそれを取り出すための鉄製のやぐらを建てておりますが、やぐらが本体に接触することによって本体が崩落する可能性があるのでかなり強度の高いものを本体からほんの短い距離のところに建設している最中です。これも前回一緒に取材に行っていただいた方々が撮影をして、たぶん地元では放映されている。やぐらが完成するのは4号機で今年の終わり。それから1本1本これを取り出し、収納容器に入れて、しまう。そういう事が現実として起こっているということも、大熊町の方は承知されていますので、どれだけ時間がかかるんだという御不安をお持ちである。またこういう作業が行われる中で、放射線濃度が下がったと言っても、その地に戻りたい、あるいは戻れない、色々な気持ちが錯綜していると思います。そして、当然のことですが、西の方に行けば行くほど濃度というものは下がってくる。私が見せていただいた限りでは東の方が町の中心ですが、これを移転する考えを町の有力者の中にはお持ちの方々もいらっしゃる。しかし、それを後押しする枠組みがまだ残念ながらできていません。今日、復興推進会議があり、新しい体制を作りました。私どもはプランをお持ちの方々と、――プランと言っても、素人が簡単に作れるものではありません――町作りの専門家、あるいは原子力、放射線の専門家、こういう方々の英知を集めて、どこに作ることが可能か、可能じゃないのか。また、地域の方々がどんな町を多くのコンセンサスとして持たれているのかをトータルに議論をしないと、「そこに作ります」、だけでは理解は得られない。私は、現場を歩いて、そのように感じております。第2次安倍内閣は、今言ったことをパッケージでやっていかなければならないと考えています。
(問)具体的にですが、補償とか代替地のお話を急ぐというお考えはお持ちでしょうか。
(答)どの程度のことをやればどの地域でどのように生活ができるのかというのは、残念ながらあの地域ではまだ未確定です。先般も渡辺町長とお話をして、渡辺町長もいろいろなお考えをお持ちですので、お考えが実現可能か可能じゃないかということも、国を挙げて後押しをしてプランを立てるような体制を作りますというようなお話をしました。私も機会があれば町長と、町を見せていただきたいという話もさせていただいたところです。

(問)読売新聞の吉良と申します。安倍総理のほうから、温暖化の問題に関して、環境の外交を環境大臣が中心になって考えていくようにという御指示があったと思うのですけれども、それに環境外交を環境省で考える上に、どういうふうな体制で、石原大臣は臨まれるでしょうか。
(答)1つは先ほどの御質問の中でお答えしきましたが、日本の環境技術というのは世界一だと思っています。しかし、この世界一の技術を現場で活用して、応用を高めていかないと、技術というものは必ず抜かれてしまいます。ですから、技術をどのように海外の必要とされている方々に伝授していくのかというのが1つ重要なポイントだと思います。
 そしてもう1つは、原子力発電所の運転再開がどうなるかということによって、大きく変わりますが、現在の国としての25%削減は不可能と大多数の国民の方々が考えていますので、これに代わる目標を、COP19までに示していくことです。そして、重要なことはやはり日本の地政学的な位置。地球温暖化によりまして北極、南極の氷が溶け、海水の量が増え、それが蒸発することによって雲ができ、雨が降り、様々な地域でこれまでなかったような台風、あるいは大雨、強風というものが頻発している。先般もフィリピンのロペス大使とお話をした時に驚くべきことをお聞きしました。フィリピンの台風というのは、雨は多いけれども、風はそれほどでもない。そして来る時期も割と限定的であったけれども、昨年は2つの大きな台風がフィリピンを襲い、ある島では、日本の商社が行っております、7000ヘクタールのバナナ畑のうちの5000ヘクタールが全滅した。こんなことはその地域で今まで無かったことだそうです。地球の温暖化に対して、フィリピンでも非常に問題視している。この他にも、島嶼諸国。まず最初に水位が上がって水没するのは実は私たちの国や周りの島嶼諸国です。こういう方々の話もしっかりと聞かせていただく。そしてそれを、世界に対して発信していく。そういうような場所も、これからは作っていかなければならない。2つの柱で取り組みたいと考えています。

(問)朝日新聞の鬼原です。よろしくお願いいたします。すみません、短く二つお聞きします。手抜き除染についてです。大臣は先週の金曜日行われた環境委員会で、4日に指示をされたという下りのところで、恒常的に行われているとしたら、これは由々しき問題だという見解を述べられております。大臣の御判断というものを今回ちょっと伺いたかったのですけれども、環境省として、調査結果も報告している段階で、現時点で大臣はこの手抜きが横行していたという判断をされているのか否か。これがまず1点です。
 2点目ですが、4日の行動について、やはり環境委員会でも2人の方が質問をされていました。大臣は登庁して、しっかり伝えるべきだったのではないかという質問に対して、過去の事実を検証するという指示を出させていただいたということで、あまり質問と答えがかみあっていないように私聞いたのですけれども、その辺もう少しご説明されるつもりはございませんでしょうか。
(答)過去の事例については、現在も調査、検証中です。報告をした以上の事例は見つかっていません。また、環境委員会の席で、除染に取り組まれている方、多くの方々が福島県、特に被災された方々である。一所懸命やっている方々がいる一方で、こういう報道がなされることについて、というような御意見も、議論の中でありました。私はこれからも、過去の政権で行われたことについての検査、検証はしっかりと行い、その結果が明らかになった段階で、恒常的であるかないかということを判断していくことになると思っています。あとは、4日のお話ですが、報道されたことの裏をとるというのは当然のことであり、その指示を出した。また、4日の日には関係者は全員集まれない、そういう状況の中でいつ、どの程度のことが分かるのかということで、「6日の日曜日に集まり、報告をさせていただきたい」と事務方から連絡がありましたので、そのように指示をし、7日の日に井上副大臣を本部長とする除染適正化推進本部を立ち上げた。何ら問題はないと承知をしています。