大気環境・自動車対策

平成10年度大気汚染状況について

1.二酸化窒素(NO

(1)全国の状況

 平成10年度は、全国で1,858の測定局(一般局:1,466局、自排局:392局)において二酸化窒素の常時監視が行われた。
 長期的評価による環境基準達成局(1日平均値の年間98%値が0.06ppm 以下の測定局)は、一般局で1,382局(94.3%)、自排局で267局(68.1%)となっており、その 割合は平成9年度と比較すると一般局は横這い、自排局はやや増加している(図1− 1)。また、年平均値の推移を見ると、近年横這い傾向が続いている(図1−2)。
 環境基準非達成局の分布についてみると、一般局については、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府及び兵庫県の自動車NOx法の特定地域に愛知県を加えた大都市地域に分布しており、自排局については、自動車NOx法の特定地域に加え、石川県、愛知県、京都府、岡山県、広島県、福岡県、長崎県及び沖縄県の8府県にも分布している(図1−3)。
 また、環境基準を超過した日数の割合を見ると、その日数は12月、2月を中心に冬季に多く観測されている(図1−4)。

※自動車NOx法・・・
自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法

(2)自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の特定地域における状況

 平成10年度は、特定地域全体で492の測定局(一般局:321局、自排局:171局)におい て常時監視が行われた。
 環境基準達成局は、一般局で238局(74.1%)、自排局で61局(35.7%)となっており その割合は、平成9年度と比較して一般局はやや減少し、自排局はやや増加している(図1−5)。一方、特定地域内において過去10年継続して測定を行っている399の測定局(一般局:278局、自排局:121局)における二酸化窒素濃度の年平均値は平成9年度と比べ、ほぼ横這いであり、依然として厳しい状況が続いている(図1−6)。
 また、二酸化窒素濃度の関東地域及び関西地域における分布を見ると、高濃度が観測された測定局は都心部に集中している(図1−7)。

2.浮遊粒子状物質(SPM)

 平成10年度は全国で1,798の測定局(一般局:1,529局、自排局:269局)において測定が行われた。
 長期的評価による環境基準達成局は、一般局で1,030局(67.4%)、自排局で96局(35.7%)であり、いずれも平成9年度に比べて達成率は増加した(図2−1)。一方、濃度の年平均値については近年ほぼ横這い傾向である(図2−2)。
 環境基準非達成局について高濃度が測定された日数の月別分布を見ると、8,11,12月に高濃度が測定された日数が多くなっている(図2−3)。
 環境基準達成率の分布を見ると、大都市地域を中心に低い水準となっており、特に関東地域で低い傾向が見られる(図2−4)。また、自動車NOx法の特定地域における状況は、大阪、兵庫圏においては一般局、自排局ともに平成9年度に比べて達成率の増加が見られるが、首都圏においては、ほぼ横這いである(図2−5)。
 関東地域における浮遊粒子状物質濃度の分布を見ると、都心部の周辺で高濃度が測定された測定局が多くなっている(図2−6)。

3.光化学オキシダント(Ox)

 平成10年度は、全国で1,185の測定局(一般局:1,150局、自排局:35局)において測定が行われた。
 このうち、環境基準達成局(昼間(5〜20時)の1時間値の最高値が0.06ppm以下の測定局)は一般局と自排局を合わせて7局(0.6%)と、依然として低い水準となっている(図3−1)。
 しかし、これを濃度別の測定時間の割合で見ると、1時間値が0.06ppm以下の割合は95.4%、0.06ppmを超え0.12ppm未満の割合は4.6%、0.12ppm以上の割合は0.1%となっており、ほとんどの測定時間において環境基準値以下であった(図3−2)。
 また、大都市に限らず都市周辺部での出現日数も多くなっており、光化学大気汚染の特徴である「広域的」な汚染傾向が認められる(図3−3)。

(参考) 非メタン炭化水素(NMHC)

 光化学オキシダントの原因物質の一つである非メタン炭化水素(全炭化水素から光化学反応性を無視できるメタンを除いたもの)については、一般局では、午前6時〜9時における年平均値は近年横這いであり、平成10年度(362局)は0.26ppmCであった(図3−4)。
 また、自排局については午前6時〜9時における年平均値は近年、減少傾向で推移しているものの平成10年度(181局)は0.37ppmCであった。

大気環境指針:午前6時〜9時の平均値が0.20〜0.31ppmC以下

4.二酸化硫黄(SO2)

 平成10年度は、全国で1,682の測定局(一般局:1,579局、自排局:103局)において測定が行われた。
 長期的評価による環境基準達成率は、一般局で99.7%、自排局で100%と近年良好な状況が続いている。また、二酸化硫黄の年平均値は、昭和40、50年代に比べ著しく減少し、近年では横這い、もしくは減少傾向にある(図4)。

5.一酸化炭素(CO)

 平成10年度は、全国で472の測定局(一般局:145局、自排局:327局)において測定が行われた。
 長期的評価では、すべての測定局において環境基準を達成しており、近年良好な状況が続いている。また、一酸化炭素濃度の年平均値は、昭和40、50年代に比べ著しく減少し、近年では横這い、もしくは減少傾向にある(図5)。


<参考>環境基準とその評価方法

1.環境基準

項目環境上の条件
二酸化窒素 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。
浮遊粒子状物質 1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。
光化学オキシダント 1時間値が0.06ppm以下であること。
二酸化硫黄 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。
一酸化炭素 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。

注)平成9年2月4日にベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンについての大気の汚染に係る環境基準が設定されたが、これらの物質による大気汚染状況については別途取りまとめを行うこととしており、本表からは除いてある。

2.評価方法

(1)短期的評価(二酸化窒素を除く)

 測定を行った日についての1時間値の1日平均値若しくは8時間平均値または各1時間値を環境基準と比較して評価を行う。

(2)長期的評価

  1. ア 二酸化窒素
     1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、低い方から数えて98%目に当たる値(1日平均値の年間98%値)を環境基準と比較して評価を行う。

  2. イ 浮遊粒子状物質、二酸化硫黄及び一酸化炭素
     1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、高い方から数えて2%の範囲にある測定値を除外した後の最高値(1日平均値の年間2%除外値)を環境基準と比較して評価を行う。
     ただし、上記の評価方法にかかわらず環境基準を超える日が2日以上連続した場合には非達成とする。>

3.各環境基準設定物質における人の健康や環境に及ぼす影響について

[1]二酸化窒素:
高濃度で呼吸器に影響を及ぼすほか、酸性雨及び光化学オキシダントの原因物質になると言われている。
[2]浮遊粒子状物質:
大気中に長時間滞留し、高濃度で肺や気管などに沈着して呼吸器に影響を及ぼす。
[3]光化学オキシダント:
いわゆる光化学スモッグの原因となり、高濃度では粘膜を刺激し、呼吸器への影響を及ぼすほか、農作物など植物への影響も観察されている。
[4]二酸化硫黄:
高濃度で呼吸器に影響を及ぼすほか、森林や湖沼などに影響を与える酸性雨の原因物質になると言われている。
[5]一酸化炭素:
血液中のヘモグロビンと結合して、酸素を運搬する機能を阻害するなどの影響を及ぼすほか、温室効果ガスである大気中のメタンの寿命を長くすることが知られている。
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