大気環境・自動車対策

沿道二酸化窒素低減効果検討調査報告書(平成11年3月)

序文

 酸化窒素等の大気汚染については自動車単体規制や総合交通対策等の諸対策が講じられてきましたが、特に大都市の道路沿道地域で依然深刻な状況にあり、これを効果的に改善するためには大気の移流拡散や光化学反応を伴う生成メカニズムを解明し、その結果を踏まえた検討を行う必要があります。
 本調査は、このような視点から、大気汚染物質の生成機構の解明および自動車排出ガス低減対策による環境改善効果の分析を行ったものです。

概要

第1章
 報告書全体の説明
第2章
 発生源モデル、広域モデル、沿道モデル等について現在の最新の知見をまとめ、更に調査全体の計画を示した。
第3章
 広域モデル計算対象領域として、関東地域を選定した。計算対象日については、二酸化窒素高濃度が観測された平成6年12月24日を選定した。
第4章
 最新の大気汚染物質(窒素酸化物、炭化水素)のデータによる発生源モデルを策定した。
第5章
 広域モデルを、気流、拡散、反応の3つの要素を加味して策定した。なお、気流モデルには、気流分布や気温分布、雲及び降水情報、拡散係数等、種々の気象要素に関する予報機能を兼ね備えた局地気象モデルを用いた。拡散モデルには、気流モデルからの出力として得られる気流と拡散係数を用いた格子型モデルを用いた。反応モデルには、最新かつ現段階で最も信頼性の高いといわれているCBM-IV法を採用した。
第6章
 広域モデルについて対象日における気流計算と拡散計算を行い、モデルの再現性を確認した。
第7章
 環境庁が過去に開発した「狭域沿道モデル」について、さらに改良を行った。
第8章
 モデル計算対象地点として亀戸(江東区)、柏市(千葉県)及び横浜市を選定した。
第9章
 現況の発生源条件において沿道の気流計算と拡散計算を行い、濃度の再現性を確認した。
第10章
 環境基準達成のために必要な排出ガスの必要削減量の試算を行うため、自動車排出ガス規制、シミュレーション対象年等を変化させ、広域と沿道の気流計算、拡散計算を行った。いずれの場合も、自動車単体規制のみでは環境基準を達成しない地点が存在した。
 また、2010年全規制(NOx、HC両方規制強化)のケースと2010年NOx規制のみのケースをみると、いずれの地点も、NOxに加えNMHCを削減した場合の方が削減効果が大きかった。

なお、本報告書は環境庁図書館に備え付けてありますので、閲覧を希望される方は、直接御来館下さい。

 (環境庁図書館所在地)
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