大気環境・自動車対策

平成27年度第2回(第5回)風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会議事録

日時

平成27年10月1日(木) 16:00~18:00

場所

環境省 第2・第3会議室

出席者

(座長) 町田信夫

(委員) 沖山文敏、落合博明、桑野園子、佐藤敏彦、塩田正純、橘秀樹、田中充、新美育文、船場ひさお、矢野隆

(環境省) 高橋水・大気環境局長、早水大臣官房審議官、江口総務課長、行木大気生活環境室長、百瀬大気生活環境室長補佐、松戸大気生活環境室振動騒音係長、出口大気生活環境室振動騒音係主査

議題

(1) 風力発電施設から発生する騒音等の状況について

(2) これまでの議論の取りまとめ(骨子)について

(3) その他

検討会資料一覧

検討会委員名簿

資料1-1 風力発電施設から発生する騒音等の状況

(平成22~24年度戦略指定研究「風力発電等による低周波音等の人への影響評価に関する研究」より)

資料1-2 風力発電施設から発生する騒音等の状況

(環境影響評価書資料及び風力発電機メーカーへの騒音実態ヒアリング調査より)

資料2  風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会報告書骨子(案)

議事

【行木大気生活環境室長】 定刻となりましたので、ただいまから平成27年度第2回風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を開催いたします。
 座らせていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、また今日から風も強くなるようでございますが、お天気が不安定な中ご参加いただきまして大変ありがとうございます。
 本日は田中委員が1時間ほど遅れる予定とのご連絡をいただいております。
 本日の会議は、設置要綱に基づき公開とさせていただきます。
 続きまして、事務局の人事異動がございましたのでご紹介させていただきます。
 水・大気環境局長の高橋でございます。
 総務課長の江口でございます。
【江口総務課長】 よろしくお願いします。
【行木大気生活環境室長】 大気生活環境室長の補佐の百瀬でございます。
【百瀬大気生活環境室長補佐】 百瀬でございます。よろしくお願いします。
【行木大気生活環境室長】 私は、8月に大気生活環境室長を拝命いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。行木でございます。
 それでは、事務局を代表いたしまして、ここで水・大気環境局長の高橋よりご挨拶を申し上げます。
【高橋水・大気環境局長】 7月31日付で水・大気環境局長を拝命いたしました高橋と申します。改めてよろしくお願い申し上げます。
 本日はご多忙の中、ご出席を賜りましてまことにありがとうございます。
 我が国におきましては、低炭素社会への構築に向けまして、風力を含めます再生可能エネルギーの拡大というのが厳重な課題になっておりますけども、それと同時に生活環境への影響を未然に防止するということが求められております。この検討会では、風力発電施設から発生する騒音等の調査を適切に行うための手法につきまして、検討するということを目的に、平成25年に設置をされております。
 前回6月の検討回以降少し間があいてしまいましたけれども、先生方からこれまでいただきましたご指摘を踏まえまして、風力発電施設から発生する騒音等に関するデータを収集するということで作業をしてまいりました。
 また、これまでの検討会での議論を整理いたしました報告書の骨子案を、今回事務局で準備をさせていただいております。ぜひご忌憚のないご意見を賜ればと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。
 簡単でございますけれども、ご挨拶とさせていただきます。
【行木大気生活環境室長】続きまして、お手元に配付しております配付資料について、確認をさせていただきます。
 本日ご用意している資料ですが、議事次第の後、検討会の委員名簿、それから資料1‐1といたしまして、風力発電施設から発生する騒音等の状況(平成22~24年度戦略指定研究「風力発電等による低周波音などの人への影響評価に関する研究」より)、それから、資料1-2といたしまして、同じく騒音等の状況の資料で、環境影響評価書資料及び風力発電機メーカーへの騒音実態ヒアリング調査より、と題したもの。それから、資料2といたしまして風力発電施設から発生する騒音等の評価手法の関する検討会報告書骨子(案)です。
 そのほか、田中委員が1時間ほど遅刻されるということで、事前にご意見をいただいております。田中委員のご要望により、委員限りで配付させていただいております。委員の先生方におかれましては、ご確認いただければと思います。
 資料の過不足や不備等がございましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。
 なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますのでご協力お願いいたします。
 それでは議事に移りたいと思います。これ以降の進行につきましては、町田座長にお願いいたします。
【町田座長】 座ったままで失礼いたします。座長の町田でございます。
 早速ですが、これから議事に入らせていただきます。
 今、事務局からご説明がありました田中委員のご意見につきましては、本日の議題2に関するものでございますので、1時間後ぐらいになりますか、田中委員がお見えになりましたら、ご意見を伺いたいと思っております。
 それでは議題1、風力発電施設から発生する騒音等の状況について、まず事務局から資料のご説明をお願いいたします。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 事務局の出口でございます。よろしくお願いいたします。
 それではお手元の資料1-1、及び1-2につきまして説明させていただきます。
 それではまず資料1-1について説明いたします。
 平成22年度から24年度にかけまして橘委員が代表研究者として実施されました、「戦略指定研究風力発電施設等による低周波音等の人への影響評価に関する研究」におきまして、風力発電施設周辺36カ所及び対照地域18カ所について調査を実施されております。この研究結果につきまして、風力発電施設の騒音測定結果に係る部分を、本日引用させていただいております。
 では、引用させていただいた内容につきまして説明させていただきます。
 まず調査結果の概要についての(1)の部分ですが、風力発電施設周辺における風車騒音の周波数特性についてというところについて引用させていただいております。
 これは、風力発電施設周辺164カ所で測定されました、風車の稼働時の1/3オクターブバンド音圧レベルの分析結果につきまして、全て重ねたものが図-1になっております。
 また同表につきましては、Moorhouse他による限界曲線、及び純音に対する聴覚閾値についても記載されております。
 続きまして(2)につきましてですが、風力発電施設から測定点までの水平距離と等価騒音レベルの関係について引用しております。まず図-2ですが、単機で設置されました風力発電施設につきまして、風力発電施設から測定点までの水平距離と等価騒音レベルの関係を示したものになっております。
 また図-3ですが、こちらはウィンドファームにつきまして、再近接風車から測定点までの水平距離と等価騒音レベルの関係を示したものになっております。
 続きまして(3)ですが、風力発電施設周辺の等価騒音レベルの測定値と、風力発電施設が設置されていない対照地域周辺の95%時間率騒音レベルにつきまして、度数分布を整理したものになっております。
 続きまして、(4)ですが、風車騒音に含まれる振幅変調音について引用させていただいております。風車騒音につきましては、規則的な脈動音(振幅変調音)が聞こえることがありまして、これがうるささの原因ではないかと考えられておりますが、この振幅変調音の振幅変調の程度(振幅変調度)につきまして度数分布を整理したものになっております。
 次に(5)風車騒音の指向性についてということで、風力発電施設を中心として半径90メートルの円周上で測定を実施されまして、等価騒音レベルにつきまして風車騒音の指向性を確認されたものが図-6になっております。
 また同様に風力発電施設周辺の振幅変調度につきまして、分析されましたものが図‐7になっております。
 次に、資料1-2について説明させていただきます。
 風力発電施設の騒音に関しまして、2つの調査を行っております。
 1つ目は、風力発電事業の環境影響評価図書のデータ整理を行っております。
 風力発電事業につきましては、平成24年10月から環境影響評価法の対象となっておりまして、一定規模以上の風力発電事業を設置する際には、同法に基づくアセスメント手続を行うこととされております。本調査では、環境影響評価法に基づき提出されました環境影響評価書または環境影響評価準備書から、騒音の調査、予測手法、及びその結果などにつきまして、データの整理を行っております。
 なお、こちらの調査ですが、調査対象としました事業計画は35事業でありまして、環境影響評価法の対象とならない総出力7,500kW未満の規模の事業につきましては、本調査には含まれておりません。
 では調査結果の概要について説明させていただきます。
 まず(1)の出力、基数等についてですが風力発電事業の総出力ごとの事業計画件数について示しております。
 この図を見ていただくとおわかりのとおり、総出力が1万kW~2万kWの事業計画が最も多いのですが、最大で12万kW以上の計画もされております。
 続きまして、次のページにまいりまして、事業計画ごとの風車設置予定基数の分布を示しております。
 こちらにつきましては、6基~10基及び11基~15基の計画が最も多くなっております。また設置基数が増えるにつれて、計画件数は減る傾向にあるのですが、最大で57基までの設置計画も存在しております。
 続きまして、風車1基当たりの定格出力の分布につきましては、図-3のとおりです。2,800kW~3,000kWの計画が最も多く、次いで1,800kWから2,000kW、及び2,200kW~2,400kWの規模の風力発電施設が数多く計画されております。最大で3,300kWの風力発電施設の設置が計画されております。
 続きまして、次のページにまいります。
 各事業計画における最も近い住宅までの距離を図-4のとおり示しております。
 図-4では、600メートル~800メートルが最も多いということで示しておりますが、より住宅に近い場所における設置計画も存在しておりまして、最も近い計画では住宅までの距離が200メートルとなっております。
 また、最も住宅から遠い設置計画では、1,700メートル住宅から離れております。
 続きまして、風力発電施設の音響パワーレベルについて示しております。
 こちらにつきましては、設置を計画されております風力発電施設の定格出力と音響パワーレベルの関係を示しております。横軸が定格出力で、縦軸が定格時の音響パワーレベルとなっております。
 こちらの音響パワーレベルですが、主としてIEC61400-11に基づき測定されましたデータでして、メーカーからのカタログ値を記載させていただいております。
 次のページにまいります。
 (3)環境影響の予測手法についてですが、騒音の伝達予測手法の採用状況について図‐6で示しております。
 風車からの騒音の伝達予測につきましてはよく知られているものとして、ISO9613-2とNEDOから出されております予測手法がありますが、このうち事業計画の44%に当たる15件はISOの予測手法を採用しておりました。また、35%に当たる12件はNEDOの予測手法を採用しておりました。
 図-7ですが、環境影響の予測の中で純音成分の確認状況を示しております。
 純音成分はご存じのとおり、聞こえますと耳ざわりだということで知られておりますが、これにつきまして、純音成分の有無を検討した上で有りと確認した計画が10件、純音成分を検討した上で、無しと確認したものが10件、残り15件につきましては純音成分の検討自体行っておりませんでした。
 (4)にまいります。こちらは設置予定地周辺の環境調査を以降にまとめております。
 今回、整備の対象としましたのは等価騒音レベル及び95%時間率騒音レベルです。
 なお、等価騒音レベルにつきましては、基本的に特定騒音を除外した騒音を記載していただいております。ただ、後述しますが、必ずしも適切に除外音処理が行われているわけではない可能性があります。また時間率騒音レベルにつきまして90%時間率騒音レベル、及び95%時間率騒音レベルにつきましても、特定騒音が除外されることから残留騒音を評価していると思われます。
 本調査ですが、より測定件数の多い95%時間率騒音レベルについて整理しております。
 次のページにまいります。
 最初にですが、設置予定地周辺の等価騒音レベルの調査結果をまとめております。
赤が昼間、青が夜間です。
 昼間ですが42~45dBが最も多く、夜間では40~42dBが最も多い結果となっているのですが、昼夜ともに60dB前後のデータも確認されております。これにつきましては、適切な除外音処理がなされなかった可能性があると推測されます。
 続きまして、設置予定地周辺の95%時間率騒音レベルについて示しております。
 こちら昼間は38から40dB程度、夜間は40から42dBが最も多くなっていますが、50dBを超過するケースも確認されております。50dBを超過するようなデータにつきましては、測定地点を確認しましたところ、海岸に非常に近いところでありました。このことから波の音などが原因ではないかと推定しております。
 次のページにまいります。
 こちらは昼間の等価騒音レベルと95%時間率騒音レベルを比較した図となっております。
 両者の平均値は等価騒音レベルが46.1dB、95%時間率騒音レベルが37.8dBとなっておりまして、約8dBの差があります。これにつきましては、等価騒音レベルの測定において、適切な除外音処理が行われなかったというのが一つの可能性としてあげられると考えられます。
 次にまいります。
 (5)設置後の騒音影響の予測です。
 設置後に風力発電施設から伝搬すると考えられる予測騒音レベルにつきまして、図-11のとおり示しております。設置基数、出力も異なる計画をまとめておりますのでばらつきは見られますが、風力発電施設から離れるにつれ、距離減衰により騒音の影響が小さくなる傾向が確認されます。
 次のページにまいります。
 等価騒音レベルと予測騒音レベルを足しあわせたものが図-12になっております。
 こちらですが、等価騒音レベルの影響が大きく、前ページで確認されましたような距離減衰は明確には確認されません。
 図-13ですが、こちらは95%時間率騒音レベルに風力発電施設からの予測騒音レベルを足しあわせたものです。
 風力発電施設から離れるにつれ予測騒音レベルが小さくなる傾向が確認されます。
 なお、こちらで一部に夜間の予測値が、昼間よりも高い点などが存在するのですが、これにつきまして測定箇所を確認しましたところ、海に近いところだったということが確認されておりまして、恐らく原因としては人の発生する音ではなく、波の音など自然の音の影響によるものではないかと推定しております。
 次のページにまいります。
 こちらから、二つ目の調査になります。二つ目の調査について説明させていただきます。
 国内で風力発電の販売等を行っておりますメーカーさんを対象に、主要な風力発電施設の定格出力及び音響パワーレベルなどにつきまして、聞き取り調査を実施いたしました。現時点で聞き取りを実施しました6社さんにつきまして、本日は資料にまとめさせていただいております。こちらの6社が現在設置をしております風力発電施設の発電量の合計は、国内の風力発電係る総発電量の4割程度を占めております。
 なお、ヒアリング調査につきましては現在も継続中でありまして、この資料につきましても今後更新していく予定です。
 では、調査結果について説明させていただきます。
 図-14で、各メーカーで販売しています風力発電施設の定格出力と音響パワーレベルの関係を示しております。
 なお今回聞き取り調査を行いました6社さんにつきましては、測定結果については全てIEC61400-11に基づいたものでありまして、第3者機関で測定されたものだと伺っております。
 最後に次のページの別紙ですが、こちらはヒアリング調査の際に、合わせてメーカーさんから聞き取った事項についてまとめております。
 大変申し訳ありませんが、本日はお時間が限られておりますので、こちらの聞き取り内容につきましては説明を省略させていただきたいと思います。
 以上で資料1-1、及び1-2についての説明を終了いたします。
【町田座長】 ありがとうございました。
 資料1-1風力発電施設から発生する騒音等の状況(平成22~24年度戦略指定研究「風力発電等による低周波音等の人への影響評価に関する研究」より)、それから資料1-2風力発電施設から発生する騒音等の状況(環境影響評価書資料及び風力発電機メーカーへの騒音実態ヒアリング調査)について、ヒアリングの内容を含めましてご説明をいただきました。
 それでは、委員の皆様方からご質問、ご意見等を賜りたいと思いますがいかがでしょうか。
【橘委員】 補足をさせていただきます。
 資料1-1で戦略指定研究の紹介がありましたけれども、この研究プロジェクトではフィールド調査と同時に、住民を対象とした社会反応調査、それから実験室での聴感実験、これは現場ではできない風車の音がどのように聞こえるかを細かく調べるためです。その三本柱でこの研究プロジェクトは成り立っています。
 この資料は、最初の物理的なフィールド測定の結果をまとめたものです。今日の議論でも全てLAeq、すなわち等価騒音レベルで話が始まっているんですけれども、風車騒音の問題ではさっきも言いましたけれども、低音周波数の成分が大きいということで、A特性による評価でいいのかということが大きな議論になったわけです。それで、この研究プロジェクトでもまず実験で確かめてみようということで、風車騒音以外のいろんな環境騒音も含めて聴感実験をしましたところ、我々も予想外だったんですけれども、A特性というのはかなり普遍性があり、ほかの環境騒音と同じようにA特性をかけた音圧レベル、すなわち騒音レベルで評価できるのではないかということになりました。そういうことで、資料1-1の黄色と青の棒グラフは、A特性音圧レベルで整理した結果です。このほかにも、C特性やG特性による整理もしています。
【町田座長】 ありがとうございました。橘委員は、先ほどご紹介ありましたように研究代表者として研究を遂行されたということでございます。
 どうぞ桑野委員お願いします。
【桑野委員】 資料1-2について教えていただきたいんですけれども、いろいろな事業35基とおっしゃったと思いますけれども、このように測定とか予測をされて、その評価はどのようにされたのでしょうか。出てきた値についてどう評価されたのか、わかりましたら教えてください。
 それから、もう一つ同じ資料で、図-12とかあるいは13、特に図-13でこの95%時間率騒音レベルを加えたというのは、どのような足し算をされたのか教えてください。
【町田座長】 二点、ご質問いただきました。当該事業の状況について、結果の評価をどのようにされたのかということと、7ページの図-13、騒音の95%時間率騒音レベルに風力発電施設からの予測騒音レベルを加えた予測値、これについてご説明お願いします。
【行木大気生活環境室長】 桑野先生質問ありがとうございました。
 最初の点でございますが、こちらの資料は前回の検討会におきまして、風力発電施設から実際発生している騒音の状況について整理をということで、そのあたりの参考になる情報としておまとめをしたものでございます。
 実際アセスメントの結果評価がどうだったのかというのはさまざまでございまして、まだ審査がなされている途中のものもございますし、今この場では申し上げる用意がございません。
 ここの趣旨は、実態の関連性、それから、よく参考になるものとしてご用意しているということで、これを踏まえた結果につきましては、またお時間をいただいて、整理をして先生にご連絡させていただければと思います。
 二点目の実際どのように加えたということについては、担当から説明します。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 図-13ですが、95%時間率騒音レベル、こちらの数字と風車からの予測騒音レベルにつきまして、エネルギー加算により出した数字になっております。図-12につきましても同様の計算でやっております。
【桑野委員】 一つはパーセンテージの値ですけれども、それも両方ともエネルギーで足しあわせたということなんですね。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 本来であれば、LA95は音圧エネルギーの平均ではなくて、時間率騒音レベルであるんではあるんですが、残留騒音を表していると考えまして、便宜的にエネルギー加算により算出しております。
【町田座長】 よろしいですか。
 塩田委員、お願いします。
【塩田委員】 4ページの予測手法ですが、ISOの黄色くなってるほうがNEDOより多く使われているというのが意外でしたが、この中にその他がありますけど、その他は具体的にどういうものが利用されているんでしょうか。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 その他につきましてですが、評価手法として、どちらを使用したともはっきり明記されてない物につきまして、今回その他ということで取り扱わせていただきました。
 具体的にどの手法でやっているかについては、今ここでお伝えできるような確認はしておりません。
【塩田委員】 ありがとうございました。
【町田座長】 今の塩田委員のご質問なんですが、不明というところがはっきり明記されてないということではないのでしょうか。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 申し訳ありません。不明というのは、予測手法自体の記載がないものでして、その他につきましては予測手法につきまして記載があるんですが、どちらの手法をとってるかの明記がないということであります。
【橘委員】 予測していないんですか。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 途中の式が載っていませんで、結果だけが出されているような場合です。
【町田座長】 沖山委員、お願いいたします。
【沖山委員】 アセス書を見たと言うんですが、アセス書は普通は予測方法を入れていますよね。要するに、予測方法が入っていないアセス書というのが幾つかあったということなんですか。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 予測が入っていたといいますと、ISOやNEDOの予測式が入ってたものということでしょうか。
【沖山委員】 何も予測の方法がなかったというのは、普通のアセス書には予測手法を必ず入れることを認識していると思うんですが、そういう図書があるのかなということをもう一度お伺いしたのです。
【行木大気生活環境室長】 今、詳細のデータが手元にはないようではありますけれども、アセス評価図書としまして、予測結果は書かれているんですけれども、予測の用いられた手法については、必ずしも十分な記載がないものも一部あったということでございます。
【町田座長】 橘委員、お願いします。
【橘委員】 予測法について一般的な話として確認しておきたいと思います。風車騒音の予測でNEDOの手法とか、ISO1996の手法が挙げられていますが、これらを使わなければならないということは、全くないと思うんです。原則的には事業者が自ら予測計算法を開発してもいいわけですね。だから、アセスメントでこの方式でないといけない、これを使ってないからだめだみたいなことは、一切ないと僕は思います。事業者が本当にいいと思う方法を自ら開発してもいいわけです。この辺を確認しておかないと、既成の何かを使わなきゃいけないように思うとまずいんじゃないかと思います。
【町田座長】 ご意見として承ってよろしいですか。
 他にございますでしょうか。
 私から一点お伺いしたいんですが、資料1-2の2ページ、図-3風車定格出力ごとの計画件数というところで、最大で3,300kWの風力発電施設の設置が計画されています。3,300kWというのはどんな設置環境なのか、もしおわかりでしたらご紹介いただければと思います。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 申し訳ございませんが、具体的にどういった環境かにつきましては、確認をすぐにしておりません。
【町田座長】 結構です、ありがとうございます。
 ほかにご意見等ございますでしょうか。
 塩田委員、お願いします。
【塩田委員】 3ページの図-4の住宅までの距離と、それから、6ページの騒音予測値の距離があります。これはその報告書の中でリンクしておりますか。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 騒音の予測の場所ですが、最も近い住宅地はもちろん測定されてることが多いんですが、それだけではなく、その他に影響が大きそうなところなどにつきましても調査をされておりますので、予測をされておりますポイントのほうが、住宅地までの最寄りの住宅地点よりも多くなっております。
【塩田委員】 例えば図-4のデータと、図-11のデータの表現を同じようにしていただけると、予測と実測の関係がよく理解できたのではないかなと思いますが。
【出口大気生活環境室振動騒音係主査】 わかりました。以後、工夫させていただきたいと思います。
【早水大臣官房審議官】 恐らく、今の図-4は最も近い住宅までの距離なので、予測をする場合は例えば学校があるとか、注意しないといけないものがある場合はそういう視点でも予測をしており、一番近いところだけ予測しているのではなくて、遠いところも含めて予測しているので、多分こちらの予測点が多くなっているということかなと思っています。6ページの図-11のほうですね。
【塩田委員】 実は、住宅までの距離の騒音レベルはわかりますね。例えば600~800m程度における騒音レベルは、実測しているからわかってると思いますが、それを図-11の横軸の距離のところに載せていただけると、予測と実測との関係がどのようになっているかがわかるかなと思いました。
【行木大気生活環境室長】 これはアセスの評価のための書類でございますので、残留騒音として周辺の環境騒音として実測したものはありますが、風車騒音はあくまで予測値でございます。また、今、早水から申しましたとおり、母集団の性格が異なりますので、そういった資料があれば参考になるという点についてのご意見は承りましたが、母集団の性格が違うということ、それから風車騒音についてはまだ予測の段階のものですので、その重ね合わせは難しいということをご理解いただければと思います。
【塩田委員】 わかりました。
【町田座長】 橘委員、お願いします。
【橘委員】 図の8と9で、実は意外だったんですけれども、日本では事前の調査の時に環境の状態がどうなってるかということを調べる場合に、等価騒音レベルが常識的に広まり過ぎてるところもあり、機械的にある時間の等価騒音レベルを測ってきてしまうんです。騒音計のスイッチを押すだけで自動的に出ますから。そうすると、近くを車が通ったとか、カラスが鳴いたとか、いろんなイベントが全部入ってしまうわけですね。
 いつも言ってますように、風車があるような地域では、夜間は都市部と違って、車はあまり通らないですね。もちろん通ることもありますけど、非常に静かな時間帯が長いのです。風車騒音の場合には、このような状態における騒音を評価しないといけません。
 そこで残留騒音という言葉が出てきたわけですけれども、これを具体的に評価するにはL90、すなわち騒音レベルの90%時間率レベル、あるいはL95、すなわち95%時間率レベルでいいであろうと、ここにも書かれているとおりで、イギリスその他の国でもやっているわけです。だからその方向に行くべきだと言ってきたのですが、既にここでL95をはかっている、実際にやってるということは大変感心しました。
 ただ、ちょっと数値が大き過ぎるなと、これ本当かなと思います。我々がやった範囲では、先ほど資料1-1で紹介いただきましたように、海岸が近いところなどを除いて、農山村部では大きいところでも35 dBぐらいだったと思います。これはいろんな環境があったので、しようがないんだと思いますけれども、いずれにせよL95で評価しているというのは高く評価したいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
 それでは最初の議題につきましては特に、ご意見ございませんので、次の議題に移らせていただきます。
 2番の議題ですが、これまでの議論の取りまとめ骨子についてということで、まず事務局ご説明をお願いします。
【百瀬大気生活環境室長補佐】室長補佐の百瀬でございます。
 改めましてよろしくお願いいたします。
 私のほうから資料2につきまして、これまでの議論の取りまとめの報告書の骨子ということで、ご説明をさせていただきたいと思います。15分程度でかいつまんでご説明させていただきます。では、大変恐縮ですが、座らせていただきたいと思います。
 まず、お開きいただきまして、目次でございます。「はじめに」から「今後の課題」まで、8つに分けて記載をしてございます。前回の検討会のご議論ではなかった項目としまして、こちらの4番として、「諸外国の基準等」というのを新たに追加をして目次立てをさせていただいてございます。
 1~4につきましては、これまでの研究とか諸外国の状況などをまとめてございまして、5から以降は、評価手法とか騒音への対応策、または今後の課題ということで、より今後の話について書かせていただいてございます。
 3ページ目をお開きいただければと思います。
 まず、はじめにということでございますけれども、こちらについては背景を記載しておりまして、最後の4.のところでございますが、本検討会の趣旨ということで記載をさせていただいております。
読み上げさせていただきますと、風車騒音の環境影響に関し、施設設置の計画段階や、施設設置後に行う調査、予測及び評価手法について検討を行うとともに、騒音対策技術についても整理し、これらを踏まえた今後の課題を明らかにしたという位置づけで書かせていただいております。
 続きまして、2.でございます。こちらについては、これまで出ております研究についてまとめたものでございます。先ほど、橘先生からもお話ございましたが、戦略指定研究のお話や、また健康影響に関する知見につきましては、最近のものを含めて、少し書き加えさせていただいてございます。
 1つ目といたしまして、発生源側に関する研究ということでございまして、こちらは戦略指定研究のことを記載させていただいておりますが、下から2つ目のポツでございますが、風車騒音のうち、20Hz以下の音に関しては、音圧レベルが聴覚閾値を超えるものは確認されなかったとか、そういった知見が示されてございます。
具体的な結果につきましては、4ページ目にグラフを載せてございます。こちらにつきましては、先ほど資料1-1でも掲載させていただいておりますので、説明は割愛させていただきます。
 続きまして、騒音の予測手法について、ISOとNEDOのものについて、2手法について特徴の整理を記載させていただいておりまして、次のページの5ページ目までNEDOの記載をさせていただいてございます。
 続きまして、5ページ目をお開きいただければと思います。受音側に関する研究ということで、戦略指定研究などの知見を整理してございます。
低周波音に対する聴覚実験調査の中で、ポツの3つ目でございますけれども、A特性音圧レベルが低周波成分も含む騒音を評価する場合にも適用できるということで、先ほど橘先生からもお話ございましたけれども、そういったことが確認されてございます。
また、社会反応調査についても記載をさせていただいてございます。次のページをおめくりいただければと思います。
次のページでは健康影響研究についても記載をさせていただいておりまして、こちらにつきましては、Health Canadaの記載なども参考に加筆してございます。例えば、うるささとの関連性について確認されているということを記載させていただいております。
続きまして、3.風車騒音の聴感的な特徴をまとめてございます。
1つ目といたしまして、立地環境と周辺環境ということでございます。
こちらにつきましては、風力発電施設というのは、山間部など地域的なバックグラウンドの騒音レベル、いわゆる残留騒音が極めて低い地域に設置されることが多いということでございまして、そういった中で、その風力発電施設からの周辺の騒音レベル、暗騒音ということでございますが、こういったものが小さいために、非常に感知しやすく、気になりやすいという特徴があるということでございます。
注を記載をさせていただいております。7ページ目をお開きいただければと思いますが、こちらについては残留騒音と暗騒音について、この報告書での定義を少し明確に記載させていただいております。
まず、残留騒音でございます。左の(a)の図でございますが、例えば風車であったり、自動車であったりとか、そういった特定騒音ではなくて、騒音源が特定できないような、backgroundのようなnoiseを残留騒音ということで書いてございます。
また、右の図では暗騒音について説明しております。暗騒音につきましては、例えば特定騒音Aというのが風車であれば、風車以外の周辺のnoiseを暗騒音と定義し、この報告書ではそのように記載しております。
続きまして、(2)発生する音の特徴・性質ということでございます。
これにつきましては、風力発電施設のブレードの回転に伴いまして、スウィッシュ音とよばれる音が発生いたしますので、これがうるささに繋がると記載をさせていただいております。
また、純音性成分が含まれることによって、そのうるささが著しく高まるということがあるということについても記載をさせていただいております。
続きまして、4.風車騒音に関する諸外国の基準についてご紹介させていただいております。
おめくりいただきまして、表-1というのが、諸外国の基準やガイドラインについてまとめたものでございます。こちらにつきましては、日本音響学会誌に掲載されたものを掲載させていただいております。
ご覧いただきますと、各国とも、その田園地域であったり、住宅地域であったりとか、地域の累計ごとに、幅がさまざまな騒音レベルでの基準や、ガイドラインといったものが示されているのがわかるかと思います。
また、次のページで9ページ目をご覧いただければと思うんですけれども、本表におきまして暗騒音という記載をしているところがございますけれども、こちらにつきましては、学会誌からそのままとってきた関係もございまして、本報告書で先ほど申し上げた定義からいたしますと、文脈としては、その残留騒音と表記するのがより適切なものではないかということで、注ということで記載をさせていただいてございます。
続きまして、5.ということで、設置前段階における調査・予測及び評価の手法について記載をさせていただいております。
(1)といたしまして、基本的な留意事項ということを記載しておりまして、(2)からは、調査手法のより具体的な留意点について記載してございます。
おめくりいただきまして、10ページ目でございますが、伝搬特性や受音地点の状況についての留意点といったものも記載してございます。
また、具体的な調査手法ということで、調査機器について書いてございますが、アの調査機器等の3つ目のポツでご紹介させていただければと思います。こちらにつきまして、防風スクリーンを装着することによって、風速5m/s程度までは風雑音の影響を少なくすることができるということで記載をさせていただいております。
続きまして、11ページをお開きいただければと思います。
こちらは(3)ということで、予測手法について記載をさせていただいてございます。②の具体的な予測手法のところについて少しご紹介いたしますと、残留騒音というものにつきまして、その予測・評価に当たりまして、先ほどから少しお話ありましたが、こちらについては90%時間率騒音レベル、もしくは95%時間率騒音レベルによると。こちらにつきまして、戦略指定研究の結果からの風車騒音については、他の騒音と同様にA特性音圧レベルの評価に適しているということが言えるかと思いますので、このように記載をさせていただいてございます。
続きまして、12ページをお開きいただければと思います。こちらにつきましては6.ということで、設置後段階における調査及び評価の手法ということで記載をさせていただいております。
(2)で調査手法についてもう少し具体的なことを記載しておりまして、例えば、その振幅変調音や純音成分の状況について把握するとかといったことを記載させていただいてございます。
また、一番下の(3)評価方法でございますが、次のページをおめくりいただければと思います。
13ページの上のところでございますけれども、評価の際には、風車からの騒音が最大で、かつ暗騒音の影響が小さい時間帯における等価騒音レベルを代表値として予測値との比較を行うといったようなことを書かせていただいております。
また、注の中で、等価騒音レベルの測定では暗騒音の影響を受けやすいということで、その除去に細心の注意を払う必要があるということを記させていただきました。
続きまして、「7.騒音への対応策」でございますけれども、こちらにつきましては、昨年度まとめられました分科会の知見を中心に記載をしてございます。今回はかなり簡略化して記載をしてございますけれども、最終的な報告書には、分科会の内容を踏まえて、より詳細に書いていきたいと考えているところでございます。
これにつきましては3つに分けて書いてございまして、対策技術的な事項と、2つ目として設計・運用的な事項、(3)といたしまして、関係者間のコミュニケーションということで記載をさせていただいております。
続きまして、14ページをおめくりいただければと思います。14ページ目の8.ということで、「今後の課題」ということを書かせていただいております。
まず、1点目といたしまして、対策技術的な事項ということで、短期的な事項と中長期的な事項に分けて記載してございます。
短期的なものといたしましては、例えば、空気の流れ等も考慮した低騒音型のブレードの開発といったようなことを、また中長期的な事項といたしましては、立地条件を反映した空力音伝搬予測モデルの検討といったようなことを書かせていただいております。
また、2つ目の設計・運用的な事項でございますけれども、こちらも同様に短期的なものと中長期的なものに分けて記載しておりまして、例えば短期的なものであれば、場所別の対策の実施など、そういったものを書かせていただいてございます。
また、一番下の(3)関係者間のコミュニケーションでございますが、こちらも短期的なものと中長期的なものに分けてございまして、例えば短期的なものであれば、説明会の実施といったようなことを記載させていただいております。
続きまして、次のページをおめくりいただければと存じます。
15ページの(4)ということで、静穏な地域における騒音の評価の考え方ということで記載をさせていただいております。
こちらにつきまして、平成24年度の請負先の調査業務で提案された、騒音レベルの記載についても少し触れさせていただいておりまして、一番下のポツから、下から2つ目のところに少し書いているんですけれども、元々静穏な地域におきましては、その環境基準にはないようなうるささの捉え方等につきまして、そういったものがありますので、いつも総合的にきちんと議論していく必要があるということで、そういったものは風力に限らず、静穏な地域としてどうしていくべきかということを、丁寧に議論していく必要があるということで書かせていただいております。
最後のポツでございますが、風車騒音の評価における、評価として参考となるようなその目標値につきましては、スウィッシュ音などの風車特有の問題とか、そういったものを考慮して、早急に検討していく必要があると記載をさせていただいてございます。
最後に、(5)その他でございます。
まず1つ目は、本報告書の活用されると期待されるような、本報告書の活用方法みたいなことを書かせていただいてございます。
次のページをおめくりいただければと思います。
16ページ目でございますけれども、1つは、視覚的な要素等の関係について記載をさせていただいておりまして、こちらについても知見の収集に努め、対応策について検討することが必要であるということとしております。
また、最後のポツでございますけれども、洋上風力発電施設について、まだ知見が不十分でございますので、そういったことについても触れさせていただいております。
以上、少し駆け足で恐縮ですが、説明とさせていただきます。
【行木大気生活環境室長】 少しだけ補足をさせていただければと思います。お時間の都合上、予測評価手法がメインのところなんですが、説明としては端折らせていただきまして、大事な点もいろいろあるんですが、詳細は資料をご参照いただければと思います。
 若干、補足したいと思いましたのが、普通の風車以外の騒音の測定でございますと、風が強いときには、風雑音が入ってしまうから測定をやめるようにというように調査のマニュアルに書かれていたりもいたします。ところが、風車の騒音を図るときには、風雑音があるときに、それを避けながら調査をしなければいけないというところがありまして、それもありましたので、防風スクリーンの辺りについて特に明記をさせていただきました。
 あと、評価・予測の辺りですが、ポイントといたしましては、今、百瀬からも説明があったところですが、風車は静かなところにつくられることが多いということ、それから、音の特性上、あまり音圧レベルは高くなくても、そのうるささを感じさせるという音でもあるということがありますので、残留騒音に特に着目をし、残留騒音の評価としましては、例えば、その90%なり95%なりの時間率での騒音レベルを着目したらどうかということ。
 ただ、風車騒音自体の評価としましては、ほかの多くの騒音の評価では、等価騒音レベルが使われております。国際的にもそういう動向でございますので、それを考えて等価騒音レベルを使うということとしてはどうかという案でございます。
【町田座長】 ありがとうございました。
 議題2の資料についてご説明をいただきました。これからご質問等をお受けしたいと思いますけれども、今ご覧いただいてもおわかりになりますように、大変論点が多いものですから、この資料を三つに区切らせていただきまして、委員の皆様方から、ご質問・ご意見等を受けさせていただきたいと思います。
 まず最初は、1、2、3、4の項目、ページで言うと3ページ~9ページの内容について、ご質問・ご意見等ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 コメントですけれども、時間がなくてかなり端折られたと思いますが、3ページは非常に大切なポイントで、4ページに絵がございますけれども、超低周波音のところにMoorhouseの曲線だけしか書かれておりませんが、ドイツやオランダでもこういう閾値曲線を決めています。大体この曲線に重なります。
 これまで、風車騒音は低周波音だ、低周波音だということで、随分、恐怖感を持たれて、マスコミもそういう方向での報道が多かったんですけれども、少なくとも我々の研究の結果では、少なくとも風車騒音の超低周波音のところは聞こえません。これについては先ほどご紹介いただいたとおりです。じゃあ、風車騒音はどうでもいいのかというと、決してそうではなく、右側の可聴周波数の範囲で騒音として問題になっているわけです。おどろおどろしい低周波ということではなくて、十分耳で聞こえる周波数範囲で問題になっているわけです。だから、それを何とかしなきゃいかんということで、そこを抜いちゃって風車騒音は聞こえない音だという風にとられてしまうと、非常にまずいです。これはもう皆さんおわかりになっていると思いますけれども、確認をしておきたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 落合委員、お願いいたします。
【落合委員】 今、橘先生のお話を受けてなんですが、3ページの下のところに、「すなわち、風車騒音は可聴周波数領域における騒音の問題として捉えるべきである」と書いてありますが、その「すなわち」の後に、「超低周波音の問題ではなく」という言葉をきちっと入れておいたほうがいいんじゃないかと思います。
 それから、5ページの受音側に関する研究で、一番上のところに、これは同じように「20Hz以下の音の寄与は極めて小さい」と書いてあります。寄与は小さいと、その低周波、低周波音と今まで言っていたのは何なんだという話なんですが、平成21年度に実際に自治体で調査されたときに、現場へ行って聞いたのですが、報告書にも書いてありますけれども、160~200Hzぐらいの機械から発生する純音成分がどうも苦情の原因のようです。
 7ページに書いてありますけれども、その辺りも、ここに入れておいていただくといいんじゃないかなと思います。
 それから、どこに入れたらいいかわからないんですが、報告書にも入っていたと思うんですが、家屋の内外レベル差です。この間、wind turbine noiseで橘先生が発表されましたけれども、環境基準を決めているときの発生源は主に道路騒音だと思うんですが、それに比べて風車音の主な周波数成分はA特性をかけますと、道路騒音よりも少し低いところに来ています。これに伴い、内外レベル差も道路騒音のときに比べて5dB~10dB小さくなりますので、その辺のところも、後で目標値のところの話につなげる意味でも、書かれているとよろしいんじゃないかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。今、4点ほど落合委員からコメントございましたが、環境省から何かご発言ございますか。よろしいですか。
 はい、ありがとうございました。
 ほかにご意見ございますか。佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 前回までの議論でも質問させていただいたかもしれませんが、今回、このはじめにのところに四つほど丸がしてあって、最後のパラグラフのところで、これらを踏まえた今後の課題を明らかにしたとあるんですが、今回の報告書のゴールというか、その辺がこれでいいのかなと感じます。この先まだ検討して、皆さんのお役に立てるものを目指すということであれば、ここでいいんですけれども、一方で、最後のほうに15ページには、地方公共団体が自らが調査を行う場合は、本報告書に記載した調査手法を一つの参考とされることを期待する。適切に活用することとか書いてありますでしょう。このままの報告書で適切に活用できるかなという印象です。
 今検討会の目的、評価して何をするかというと、結局、健康影響その他問題が出るのか出ないのか、これだったら大丈夫だろうとか、そういうのをわかるようにしたいというのが評価の目的なので、こういうことが影響すると思われる、こういうことが課題であるというような形での報告書で終わってしまうと、目的に合致しないのではないかなと思っております。
 だから、今後まだこれからどういうことをして、いついつまでに目的にあるような報告ができるということが、はじめにのところで明確化したほうがいいんじゃないかなと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。今の件、何かコメント、環境省からございますか。
【行木大気生活環境室長】 佐藤先生、ご指摘ありがとうございました。
 田中委員のご指摘とも関連があるので、また追って後ほどご議論ができればと思いますが、先生がおっしゃった、何を目標として、いつまでにどうしていくのかという辺りは、ご指摘のとおり、しっかり明確にしていきたいと思います。
 健康影響についてわかること、それから、わかっていないことを明確にすること。あと、そのほか、風力発電施設から出てくる騒音をどう調査して、どう予測評価を出していくのかを整理するという側面もございますし、いろいろなことがあろうかと思います。
 今のこの資料では、目標値という言葉を余り説明なく使っており、まだ現段階では説明が不足していますので、それで何を目指してどうするのかという辺り、整理をしていきたいと思います。
【佐藤委員】 ありがとうございます。補足しますと、結局、今いろいろと出ている健康影響、Health Canadaのほうでは、高血圧とか、そういった影響は見られなかったというようはお話もありますけど、アノイアンスの部分で実際の特性のプロファイルとか、ほかに心因性だとか、スウィッシュ音とか、いろんな影響するであろう因子が挙がっているわけですけれども、こういったものを最終的にはどういうふうに評価に重みづけをして、最終総合評価をするかというところが求められるのではないかと思いますけれども、なかなかその辺は難しいというのはわかるんですけれども、何らかの形で総合評価ということをしていかないと、使う側にとっては余り役に立たなくなってしまうと思います。
 あと、もう一つ問題になるのは、課題のところにも出ていますけれども、コミュニケーションというところで、やはり昨今の論文等を見てますと、ディスコミュニケーション、どういうふうな捉え方をしているかというのが、特にアノイアンス等の出現に関しては、非常に影響力があるということが実験等でも出ていますので、それによって、それは影響する因子の中でも次元の違うレベルかと思いますけれども、こういうことをどういうふうに評価の中に取り入れていくかということも、必要になってくるんじゃないかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 今、佐藤委員のほうからご質問とコメント等ございましたけれども、それに関連して、田中委員からご意見いただいておりますので、1~4の項目についてご紹介していただければと思います。
 田中委員は5時半ぐらいにこちらにお見えになる予定でございますので、次の項目に行く前に、田中委員のご意見をご紹介下さい。
【行木大気生活環境室長】 では、1~4に関連する部分で、田中委員からのご意見をご紹介させていただきたいと思います。
 まず、全体的に簡潔に要点をまとめられており、検討会の議論がわかりやすく取りまとめられていると思います。基調は本案でよいと考えます。
 ただし、幾つかの箇所については、少し議論を深めて、報告書の考え方や取りまとめたところについて反映させることが重要かと思います。
 以下のコメントを提示させていただきます。意を尽くすために少し丁寧になりますということで、まず、その6ページのところでございますが、その下段の注釈のところでございます。
 特定騒音として風車騒音を対象とする場合、暗騒音の影響を含まない残留騒音に着目することが重要であるという部分についてですが、田中委員のご意見は、風車騒音を対象として環境影響を評価する場合に、風車の周辺の自動車の走行音や動物の鳴き声などを含めた暗騒音に着目するケースがあり、また、こうした暗騒音の影響を含まない残留騒音に着目するケースがあるかと考えます。
 この点は従来の環境影響評価の経緯がありますので、相互のケースの比較検討を行い、その上で方向性を出していくことが必要ではないかと考えます。
 それから、そもそもこの箇所は、本文を補足説明する注ですので、残留騒音に注目することが重要であるといった価値観、判断をここで付記することはなじまないのではないでしょうかと、これがまず一つ目です。
 それから、続きまして、ページ7の下段、諸外国の基準やガイドラインの紹介の箇所でございますが、その中で、下から5行目、ペナルティを規定している国(州)や暗騒音をベースとしてそれに5dBを加えた値を限度値として設定しているという文章がございます。
ここについての田中委員のご意見ですが、諸外国でのペナルティの意味、それから、限度値の意味について補足説明しておくことが望ましいと考えます。こうした用語は読み手にとってわかりにくいですし、その意味を正確に伝えることが求められますということでした。
【町田座長】 ありがとうございました。今、読んでいただきましたようなご意見を頂きました。委員の皆様方にはお手元に印刷物があるかと思います。
 この件について、特に環境省からはご発言ございますか。
【行木大気生活環境室長】 田中委員のご指摘も踏めまして、まず、環境影響評価の件に関しましては、アセスメントを担当している課室とも十分によく相談いたしまして、整理をしていきたいと思っています。
 それから、諸外国の基準、ガイドラインのところも、少し事務局が用意した文書に説明が足りない点がありましたので、丁寧に記載をするように整理をしたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 1~4の項目、ほかにご意見・コメント等ございますでしょうか。
 船場委員、お願いします。
【船場委員】 それでは、7ページの(2)の発生する音の特徴・性質のところなんですが、これ二つ挙げられていて、下の項目はとてもいいと思うんですが、一つ目に先ほど落合委員のご意見とも関連すると思うんですけれども、風力発電施設をほかの施設から発生する騒音と比較して、より低周波の騒音が発生していると一般に思われておりということと、それから、しばしば懸念されるということが、この音の特徴と性質として最初に挙げられていて、これはこのまま書いていると、低周波の騒音が大きいんだよというふうに読めてしまうのかなと思いますので、ここで書くのであれば、違う書き方をするべきではないかなと思いました。
 それと、9ページのところに、音響学会誌からの諸外国の基準・ガイドラインの比較の表があって、ここのところで注記で、ここで言う暗騒音というのは、ほかの部分との定義が異なるとのお話があったんですが、これは最終的にはどういうふうにされるおつもりでしょうかというのを、お伺いしておきたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。最初のご意見につきましては、今後の報告書に反映させていただくということでよろしいかと思います。
 次の、暗騒音についてですが。橘委員、お願いします。
【橘委員】 この辺の記述は、文言はちょっと違いますけれども、現行のJISZ8731の注書きで書いてある内容です。残留騒音とか暗騒音の定義は。
 現在、そのもとになっていたISO1196のpart1を改訂中で、この絵に描いてありますような概念について、議論をしているところです。暗騒音と残留騒音、英語ではbackground noiseとresidual noiseは非常に混乱していまして、今までは例えば道路交通騒音を対象とする場合には、航空機騒音とかそれ以外の騒音は全部暗騒音と、この絵で言えば右側で済んでいたんですけれども、こういう静かさの評価みたいになってくると、この右側の絵だけでは概念の説明ができなくて、目立った音がないようなとき、それでも音っていうのはいろんなところから聞こえてきているわけですよね。特に地方部へ行きますと、しーんとしている時間が長いですね。しーんという音が聞こえるわけではないけれど。こういう状況で存在する音が残留騒音です。
 要するに、特定できるような目立った音がない状態でも必ず音は存在するわけで、それがここで言うと残留騒音です。ISOでもともとそうなっていたので、JISでもそういうふうにしたんです。現在、ISOでは再び議論をしているところです。
 ただ、この風車騒音の場合、こういう考え方で、静かさの評価みたいなものがすごく大事になってくるだろうということでございます。
 ISOで現在行われている議論では、residual remaining noiseにしたらという案も出ています。それから、英語でambient noiseなんていう言葉も使われることがありますが、これもまたこれよくわからないですね。人によっては、ここでいう総合騒音を言っている人もいるし、いろんな目立つ騒音をなくしたときの音、すなわち残留騒音のことを言っている人もいるし、いろんな論文でもそんなように混乱しています。だから、このような用語については、状況やバックグラウンドを考えながら解釈していかなきゃいけない。
 先ほど船場先生からお話のあった表の中の暗騒音ということは、一応参考にしたもともとの論文ではbackground noiseと書いてあるので、日本語では暗騒音としか訳しようがないんでそうしていますけれども、その言わんとするところは、やはりここで議論している残留騒音だと思います。それで、環境省のほうで、その表の下に注を書かれています。
ISOでは現在、暗騒音と残留騒音について、議論の最中でもあります。ただ、この委員会では、そういう解釈で行ったらどうだということだと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。用語の使い方、難しい点があるようでございます。
桑野委員、お願いします。
【桑野委員】 ささいなことですけど、今のところで、9ページの注でambient noiseというのがあるんですけれども、6ページの注の中にはambient noiseって出てこないんですよね。だから、統一したほうがいいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 沖山委員、お願いします。
【沖山委員】 もう少し先にご質問したほうがいいかなと思ったんですが、皆さんにお叱りを受けるかもしれませんが、3年前にアセス法の対象施設の中に風力発電施設が入りましたことから、地方自治体も風力発電施設を対象施設に入れたんですが、それの技術指針をつくるときに、基本的には、環境目標値をつくることが必要なんですよね。
僕はこの委員会がそれも決めるのかなと思ったんですが、この報告書ですと、それがまだ抜けているんで、先ほど佐藤先生がおっしゃったように、これから先のことで、その辺のことを考えるのかなということで、理解しておけばいいのかなと思っているんですが、いかがでしょうか。
【町田座長】 ありがとうございました。実は今のご質問は次の項目にも関連ございますので、そこで環境省のご見解等を尋ねられればと思いますが、それでよろしいですか。
【沖山委員】 それで結構です。
【町田座長】 ほかに、この四つの項目についてございますか。
 どうぞ、塩田委員。
【塩田委員】 6ページに健康影響研究の内容について、これはカナダの研究結果と思いますが、それが紹介されていますけど、これ一つで大丈夫ですか。
 現在継続している研究も中にはあるし、他のグループが実施してきた研究も含めて紹介しておけば、カナダ国が実施した研究結果と先に研究した結果との間に、そんなに相違がなかったというのがある程度、確認できるのではないかという感じがします。現在、国内で実施している研究についても、紹介していただければ良いのではないかと思いました。
【町田座長】 ありがとうございました。
 矢野委員、どうぞ。
【矢野委員】 さきの戦略指定研究でも、THI等の報告がありますので、その辺りを引用されると、日本の成果も反映されるものと思います。
 一部だけ健康影響があるという結果が出ていますけれども、全体としては健康影響はないだろうという結論だったと思います。
【行木大気生活環境室長】 ご指摘のとおり戦略指定研究、もう既に結果がまとまっているものもありますし、現在進んでいるものもございますし、Health Canadaとか、南オーストラリアですとか、いろいろまとめられて、最近、国際的にもいろいろ動きがありますので、報告書のほうでは丁寧に記載をさせていただきたいと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 それでは、時刻もございますので、次の5番~8番の項目、ページで言いますと9ページ~16ページについて、ご意見・コメント等をお受けしたいと思います。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 15ページの、これ佐藤先生のコメントにもありましたように、目標値という言葉が使われていまして、これは平成24年の報告書にも目標値という言葉が使われています。
 先ほどの世界の基準の比較のところでも、英語ではnoise limitという言葉がよく使われているんですけれども、これを単に騒音規制値とやってしまうと、ペナルティを伴う騒音規制法的なニュアンスになって、環境基準的なものではなくなるんじゃないかと、大変訳が難しかったんです。
 訳はともかくとして、この委員会、あるいは環境省はこれから風車騒音に対して、何らかの基準というのか、ガイドライン、指針と言うのか、これからの議論ですが、何らかの基本的な線を提示していくべきであると思います。地方自治体も、今は独自の判断だけではなかなかできないで困っているので、国としての統一的な指針を出してほしいと、よく地方の方からも声を聞きます。まさにそのとおりだと思いますね。
 さっき佐藤先生もおっしゃったように、国が何らかの地方自治体が判断するときのバックボーンを示すべきだということで、それに一歩近づいたかなというのが正直なところの印象です。
 15ページの目標値も、値として出すとすれば、どういうものを目指すのか。曖昧模糊とさせるのか。注意しなきゃいけないのは、これがさっき言ったような非常にリジッドなクライテリアになってしまうと、また運用が難しくなってくるだろうと思います。だから、これは早急に環境省としての態度を決めていただいたほうがいいんじゃないか。我々も意見を言いますけれど、行政でやっていける範囲というのがあるかと思います。
 その辺の用語については、いつも新美先生にその辺のご意見を伺っているんですけど、法律的にどういう言葉を使えばいいのか。しかし、考え方が決まらないと言葉も決められないと思います。
 それから、それを決めていく上で、その前の13ページにございますけれども、風車騒音の特徴というのは何といっても振幅変調音、今の2MW前後の風車だと、大体1秒間隔ぐらいで、シュワシュワシュワという音が聞こえます。これが非常にnoisyなんですね。気になる。周期がゆっくりしているものですから、それを低周波音だと思ってしまう人もいるようです。変動が1秒間隔ぐらいで、いかにも低周波なんです。人によっては低周波音の音が抜けちゃって、低周波という音とは別の何か有害な波が来ているように思っている人もいるようですけれども、そういう誤解も解かなきゃいけない。
 それはともかく、振幅変調音というのは非常に問題です。ただ、これは風車が回る限り、必ず発生する音なんで、振幅変調音があった場合にはペナルティをつけるという方法を決めている国もありますが、風車騒音の目標値、というのかまだわからないけど、何か値を決める場合には、振幅変調音ありき、すなわち、振幅変調音の影響を含めて考えるべきだと思います。そうでないと瞬時瞬時で変わりますし、さっきデータも出てましたけど、振幅変調音には指向性もありますし、風車の向きによって違うというようなことになると、目標値なり指針値が決められないということになります。
 それに対して純音成分というのは、風車によって出る場合、出ない場合があります。純音成分があると、これは耳で聞けばすぐわかりますが、ある場合とない場合とでは、えらくうるささが違います。先ほどのA特性の音圧レベルでは、純音成分が含まれていてもさほど数値的には大きくならなくても、耳で聞いた感じではすごくうるさいんです。
 純音成分は、機種によってすごく大きな音を出しているものと、ほとんど出していないものとあり、これは技術的にはやろうと思えばできるということです。ですから、これがもしあった場合には、一種のペナルティ的な考え方で対応していくのがいいんじゃないかと思います。そうすれば、環境を守るために、クオリティの高い風車が使われるきっかけになるんではないかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
【新美委員】 目標値という言葉で、一つのポイントとして私も読んでいて思ったのは、これが誰にとっての目標値かというのがはっきりしないんですね。環境基準ですと、行政としての目標値ですから、あらゆる総合的な手段をとるんですけれども、ここですと、風車の事業者だけの目標値なのかというふうにとられてしまいます。そうすると、これは規制値と全く異なりますので、この目標値というのは何なのかというのを、しっかり議論をしておく必要があるだろうと。
 受音側でも何かをしなければいけないし、そのための施策を講ずるんだということをはっきりさせるとするならば、この目標値というのは、風車という、ある意味で国家的な試験として再生エネルギーを導入しようというわけですので、それをある意味で所要のものとした上での目標は何かということを、きちんと議論しておく必要があるんだろうと思います。
 その意味で、規制値とかは、性格決定によって違ってくると思います。事業者だけの目標値というのは、これまでの議論からいっても割に合わないんじゃないかと、そういう気がいたします。
 指針値って言葉の表現ではなく、指針値というとガイドラインですので、余り拘束力はないんですけれども、ただ、今申し上げましたように、国家としてこういう目標値を立てたときに、事業者、民間に対してはこうあってほしいというようなときには、ガイドラインという物を使うのはよくあることですね。
 ですから、最終的な責任は国家が負うんだということが、バックにあるということなんですね。この辺を少しご議論をいただくといいんじゃないかと思います。
【早水大臣官房審議官】 今の点、大変ご指摘ありがとうございます。今回のこの資料では、とりあえず24年度の報告書に、最初に目標値という言葉を使っていたので、違う言葉を使い出すとわかりにくくなるので、目標値という言葉で統一してしまいました。その他さらに二、三カ所出てまいりますけれども、そういうふうにいたしました。
 多分、性格としてはまさしくご指摘のあったとおり、行政としての目標なのか、あるいは、事業者の目指すものなのか、あるいは、どの程度の法的拘束力があるものなのか、そういうもので多分変わってくると思いますので、その辺り、可能であれば、この報告書の中である程度明らかにしたいと思います。もし不十分であれば、ここの(4)の五つ目の丸にあるように、まだいろんな事項をこれから考えて、最終的な目標値を決めていかないといけませんので、最終的に決める段階で、何らかの名前を使いたいと思いますけれども、いずれにしても、今後検討する中で、その名称、あるいは位置づけというものをしっかりしていきたいと思っております。
【町田座長】 ありがとうございました。
 塩田委員、どうぞ。
【塩田委員】 橘委員と新美委員の話を聞いて。8ページと9ページに、世界各国の数値が出ております。この国々の数値は、まさしく目標値なのかどうなのかについて、環境省として、調査できるのではないかなと思いました。これは英文になっていたのを日本語にしたわけですね。
 そうすると、例えばペナルティというのは先ほどありましたけども、このpenalty responsibility、ペナルティは責任があるよという内容になっているのかどうかということですね。
 例えば、その数値に対してオーバーしたら、これは具体的にどう対応するのでしょうか。
【町田座長】 橘先生、お願いします。
【橘委員】 細かい話はもう一回読み直さないとはっきり言えませんけれども、明らかにペナルティはペナルティです。それをrating levelという表現をしていて、今言っている目標値、noise limitイコール何とかプラス何とかで、最後に、例えば純音成分がある場合には-5というように厳しく評価するということです。
【塩田委員】 数字を厳しくするのをペナルティと言っているわけですか。
【橘委員】 そうです。要するに、うるさく感じる成分が含まれている場合には厳しくしますよということです。逆に、ヨーロッパで行われている鉄道ボーナスのように、道路騒音に比べて大きくてもいいですよ、というのもありますね。ペナルティはその逆だと思います。
 はっきり規定しているのは、イギリスで、純音成分が含まれている場合には5 dBのペナルティを設定しています。ニュージーランドでは、純音成分あるいは振幅変調音があった場合には、最大6dBまでのペナルティを規定していますが、その程度は書いてないですね。何かの関数になっていない。だけど、とにかくペナルティを決めているわけですね。
 それから、規定されている値が、新美先生のお話にもあったように、本当に、これを超したらもう営業停止になるようなものか、それはわかりません。国によって運用の仕方が違うと思います。
【町田座長】 環境省、お願いいたします。
【行木大気生活環境室長】 橘先生、ありがとうございました。
 今、塩田先生のお話ですけれども、そのペナルティという言葉も、法的拘束力があって、罰則という意味のペナルティなのか、それとも、ほかとは違って、こういう場合、条件として厳しくするという意味合いでのペナルティなのか、いろいろあろうかと思います。
 私どもも、まだ全てではないのですが、その辺りの性格なども整理をしていかなければいけないと思っておりまして、ここにある表も、私どもの把握している範囲では、アセスの中の技術的な参照的な意味合い、いわばクライテリアというんでしょうか、そういった意味合いの値もあれば、日本で言えば解析方法のようなものに基づく、業者の目標的な意味合いのものとも読めるといったような、結構幅がございますので、橘先生にもご協力をいただきつつ、私どもとしても整理をして、船場先生のご指摘もありましたし、この報告書の中で統一した用語で、ご理解いただけるような形で整理をできるようにしていきたいと思います。
【橘委員】 追加させてください。一例ですけれども、この表の中のGermanyのところを見ていただくと、Lrと書いてあります。これはrating levelで、基本はLAeqなんですけれども、そこの一番右に書いてあるTAとはtonal audibility、日本語では純音性可聴度、それから、IMはimpulse、衝撃性です。風車によっては、シュワシュワじゃなくて、ドンドンと聞こえるようなものもあるというので、そういうimpulsive noiseも考慮に入れているようです。こういう音が含まれていたらrating levelで厳しく評価しますよという意味です。ですから、実質ペナルティですね。
【町田座長】 rating level、評価騒音レベルなどと訳していますね。ありがとうございます。
 先ほどのペナルティにつきましては、田中委員からのご意見を環境省からご紹介いただきました。これは委員限りの資料でございますが、1ページの一番下に例が述べられております。
 ペナルティの意味、意図を正確に伝えるということは大事だと思いますので、ぜひ報告書のほうに反映をさせていただければと思います。
 桑野委員、お願いします。
【桑野委員】 先ほど橘先生がご指摘されたことでもあるんですけれども、振幅変調音というのは必ずあるものでありますし、そして、実際に私が現地で聞いてみましても、それがあるおかげでとてもわかりやすい。すなわち、閾値が下がるんですね。だから、これに対しては何らかの目標値か、そういうところに反映すべきものだと思います。
 それから、純音成分は今お話が出ておりましたように、ペナルティが適当だと思います。
 それから、あと、視認性とかってありましたけれども、これも程度がいろいろ違いまして、近くに見えているだけの場合もありますし、そして、シャドウフリッカーが自宅の庭とか、時には家の中まで映るというケースもございますので、そのようなケースによって、かなり影響が違うのではないかと思います。
また、近くにあるというだけで、そこの土地の価格が下がるというような不安を抱いていらっしゃる方もございますから、いろんな理由があって、視覚的な影響というのは、かなり影響をしていると思いますので、どのように扱うのがいいかわかりませんけれども、今後の検討課題かと思います。
 それから、もう1カ所、14ページの上から4行目のところに、この苦情発信時において、効果的な対策を実現している事例が確認されたとありますけれども、もしできましたら、何か具体的な、どのようにしたら効果的だったかということを書いていただけると、よりわかりやすいかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。ただいまのご意見、ぜひ報告書に、反映をお願いいたしたいと思います。
 それでは、矢野委員、どうぞ。
【矢野委員】 この報告書の骨子ですけれども、戦略指定研究の内容を包括的にまとめていただいて、それに対しては敬意を表したいと思います。
 12ページに評価方法ってありますけれども、今までもここでずっと議論がされていたことと密接に関連しているんですけども、評価、ここに評価指標の計算方法が書かれていて、どう評価するかということが重要なんだろうと思います。
 どう評価するかという、そのもとになるのは、例えば戦略指定研究の成果もありますし、諸外国の成果もある。また、橘先生がまとめられた、諸外国のガイドラインの比較といった非常に貴重な資料もあり、この戦略指定研究を越えて、橘先生は音響心理実験もされていまして、純音成分の影響だとか、成果も出ていますので、そういうのも反映されればどうかなと思います。
 それから、さきに中央環境審議会の大気・騒音部会でも意見が出たと思いますけれども、これ戦略指定研究の成果がなかなか反映されないということで、懸念を表明されていたと思います。その懸念というのは、先ほど一番最初に佐藤先生が言われましたこと、それから沖山委員、橘先生も言われましたけれども、さらに踏み込んで、どこまで評価体系を構築していくかということが、ここに課されている一番大きな問題ではないかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 橘委員、どうぞ。
【橘委員】 先ほど言い忘れたので、大事なポイントなので追加させていただきます。さっきの15ページの目標値―ひとまず、目標値ということにしておきますけれども、その上のほうに、農山村部など残留騒音が低い静穏な地域、とありますが、これは具体的には大体30dBぐらいなんですね。このような静かな地域に設置される風力発電施設より発生する騒音については、うるささを高める振幅変調音等を考慮して、目標値をA特性音圧レベルで35dBとする等の提案がなされている、とあります。この35がひとり歩きしてしまいまして、その後の風車騒音の議論が非常に混乱しちゃったわけです。
 これはあくまで、そういう静かなところでは、多くの国で採用している残留騒音+5dBという一つのフォーマットによれば35dBになるということです。そのとおり日本でやるかどうか、これから議論すべきですけれども、下のほうの目標値を決める場合に、そういう考え方でよいと思います。これから先は私の個人的提案ですけど、音響的な地域類型別にそのresidual noiseを想定して、あるいは、カテゴライズして、それプラス5dBというのを一つの目安にするというのが良いと思います。ですから、非常にうるさいところに風車を建てる場合には、何も35dBなんて守る必要はないわけです。京浜工業地帯に風車を建てるのであれば、幾らでもいいとは言いませんけれども、値はもっと大きくてもいいわけです。
 ただ35だけがひとり歩きして、それで随分、議論の空白期間が出たような気がするんですけど、それはイグザンプルであって、これからは広い意味でのバックグラウンドごとの数値の決め方を、ある程度のフォーマットを決めておかなきゃいけないと思います。環境省もそろそろ提案をしていただければと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。今、橘委員のほうから、音響的地域類型というようなご提案もございました。その類型を新しくつくるようであれば、目標値の考え方もそこへ連動して変わってくるのではないだろうかと思います。ご意見ありがとうございました。
 どうぞ、新美委員。
【新美委員】 私は13ページの(3)コミュニケーションのところに出ているんですけれども、風車騒音については感覚障害の色彩が強いというのは、私も同感なんですが、こういう問題は、ディスコミュニケーションだけで処理するというのは不可能なんですね。要するに、原発の例でもわかりますように、安全だ安全だと思っても、危ないと思っている人は説得されないわけなんですね。その感覚を緩和するために何をやるか。要するに、危ないと思っていることについて大丈夫だというだけじゃなくて、それに対してトレードオフできるような総合的な施策を講じて、その上でディスコミュニケーションをするというような対応をとったほうがいいんじゃないかと思います。
 先ほど、見えるからうるさいとか、あるいは土地が下がるからと、いろんな思惑で危険だというインプットされた情報が増幅される可能性はありますので、総合的に感覚そのものを融和するもの、なかなか表現は難しいんですけども、総合的な施策を講じた上で、ディスコミュニケーションをきちっとしていくというような対応をしたほうがよろしいんじゃないかと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。
 矢野委員、どうぞ。
【矢野委員】 先ほどの橘先生の地域類型の話とも関連するかどうかわかりませんけれども、資料の1-2で気になったところが、5ページの図-9なんですよね。これが95%時間率騒音レベルが戦略指定研究で選定した、対象地区の騒音レベルよりも大分高いんですけども、これはどういう状況で測定しているのかということをチェックして、あと、どういうところの暗騒音なのかということが、もう少しわかってきて、地域類型云々するときに、少し参考になるような資料になるかもわからないということでコメントさせていただきます。
【町田座長】 ありがとうございました。
 今、田中委員がおみえになりました。今、議題2の項目について議論をさせていただいております。5~8の項目、ペーパーとしては既に承っておりますが、これだけはぜひ発言したいというところがございましたら、お願いしたいと思います。
【田中委員】 それでは、来た早々で申し訳ございませんが、発言させていただきます。
 一つは、11ページのこれでいけば、これは5の項目の中の具体的に予測手法の(3)②のところでございます。
 このところに、音響パワーレベルを基に騒音の伝搬を予測し、現地調査により把握した残留騒音に加味することにより予測を行う。以下なお、風車騒音についても、これこれにあるから、評価はA特性だということになっておりまして、このところで私がコメントさせていただいたのは、残留騒音に加味して予測評価を行うとの趣旨ですけれども、これは最初にコメントさせていただきました予測評価に際して、残留騒音に着目して行う手法、あるいは考え方と、暗騒音に着目して行う考え方があると。これらに関して、これまでの環境影響評価、アセスメントの経緯を加えますと、どうも私が把握している範囲だと、暗騒音に着目するケースが多いんではないかと聞いておるものですから、そこでこの両者の優劣、あるいは、課題の整理といったものを考える必要があるんではないかということが、ここでのコメントになります。
それから、もう一つは、12ページに参りまして、予測評価の方法の(4)評価方法に関してであります。この評価の一番上の丸のところですが、騒音の影響を評価する場合はということで、二つの考え方を、評価に当たってはということで二つの考え方。
一つは、実行可能な範囲で回避・低減の措置が講じられているかどうかの検討。いわゆる、これBATと呼ばれるBest Available Technologyということになるんでしょうか、そこと、あともう一つ、目標等との比較を行うと、こういう組み立てになっております。
二つ目の丸に、影響の回避・低減についてはということで、これは主に前者の、いわゆるBATの実現可能な対策技術を整理し、その影響が十分に回避される計画、あるいは、低減される計画であるかについての評価を行う、こういう組み立てになっております。
そこで意見としては二つございまして、一つは、一つ目の丸の目標等との比較を行うという、この目標等が一体何を指すかということを整理しておいたほうがよろしいかなと。この位置づけであるとか特性、この内容は言わないと、少し評価のあり方が意味が曖昧なのではないかと考えます。
二つ目は、その二つの丸の前者・後者の比較をしたときに、一つ目の丸では、そのBATの考え方と目標等との比較を行うという、二つの考え方を示していて、後半の丸では、このBATの考え方を中心に述べているものですから、このバランスが悪いなということです。一つは目標等との比較を行うというこのやり方について、より詳しく述べるか、あるいは、むしろその前者のところから、一つ目の丸から、目標等との比較を行うというこの文について整理する、場合によっては削除するということも一つの案かなと思います。ですから、この辺りの点が整理が必要ではないかということでございます。これが2点目の指摘でございます。
それから、3点目は、13ページのところで、7番目の騒音への対応策のところになります。
ここからは対策の技術的事項ということで、この書き振りが、例えば騒音低減に取り組む事例が確認された、これは上から4行目でございますが、あるいは、これ一つ目の丸のエアコンの設置等の事例があったという、以下このようなことで、何か事例があったとか、確認されたというようなことが、これところどころにこういう表現が出てくるんですが、そもそもこの事例が確認されたとか、あったということが、少し前後の文脈、あるいは、それまでの文体と書き振りが変わっているものですから、そもそもこの事例とは何かとか、あるいは、確認されたって、どういう誰が確認したのか、そういうきちんとした記述を置いておいたほうがよろしいかなと思ったところです。この事例が確認された等の意味合い、それをきちんと整理したほうがいいかなと思いました。
それで最後でございますが、14ページからの今後の課題になります。
最後、特に内容的にはこの評価のことで、15ページの静穏な地域における騒音の考え方、これが一番重要な結論かなと考えるのですが、まず一つ目の丸に、24年度のここでの環境省が実施した「風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務」における検討結果が出ておりまして、風車騒音に係る目標値について検討が行われたと。以下、これについては35dBとする等の提案がなされていると、こういうことになっております。この箇所ですが、風車騒音にかかる目標値といったときに、これがややもすれば場合によっては、規制のための目標値というような誤解といいますか、少し意味合いを明確にしておいたほうがいいかなと思いました。その目標値の位置づけが、例えばその規制に際しての目標値、あるいは目標といったような誤解を招く可能性がありますので、この24年度の報告書で意図している風車騒音に係る目標値というのは、どんな意味なのかということを整理しておいたほうがいいかなと、これが1点目のことです。
それから、もう1点、今、両括弧の一つ目の丸のことについての目標のことを申し上げたんですが、四つ目の丸に、元々静穏な地域においては、目指すべき音環境の目標値を設定するためには以下、表現が並んでおります。それから、さらに五つ目の丸では、上記の検討を行う中で、風車騒音の評価における目標値についても、スウィッシュ音などと以下並んでおります。こうしたところに目標値という表現が、この④番目と⑤番目に出てくるのですが、どうも意味合いが、私が読んでみると違うのではないかと読み取れました。
と申しますのは、四つ目の丸の目指すべき音環境の目標値を設定するためにはというのは、恐らくこれは静穏な地域環境における音環境の、言うなれば、ある種の水準のようなものを意図していて、一種の環境基準的な、一般環境における環境基準に近い性格のものと考えられますし、それから、五つ目の風車騒音の評価における目標値というのは、これは恐らく風車騒音の影響を考える際に、そうした目標を持つと。その際に参照されるべき目安であるとか水準、こういうものをここでは目標値と呼んでいるように思われます。したがって、同じ目標という表記が、この④と⑤、あるいは、①にあるわけですが、相互の関係が意味合いが、目標値といっても異なっているように思いますので、そこはきちんと明確に書き分けたほうがいいんではないかと思ったところです。
長くなって恐縮ですが、まとめて意見を述べさせていただきました。以上でございます。
【町田座長】 ありがとうございました。細かくご検討をいただき、コメントを頂戴いたしました。今後の報告書作成についてのご意見とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、時間も大分押してまいりましたので、全体を通してご意見・コメントを頂戴したいと思うのですが、まず最初は、先ほど沖山委員から少しご発言ございました、このアセスの関連で、今の目標値にも関係しますけれども、技術指針、ガイドライン、目標値というものがないとできないのではないかという、ご発言がありました。沖山委員、何か補足はございますか。
【沖山委員】 実は、地方も風力発電施設を対象施設に国が設けたんで条例で設けたんですが、これにより地方もこれの環境アセスメントの技術指針をつくるわけですね。環境省のつくられたこれを参考にと思って、まだつくらないで待っている自治体が幾つかあるんですね。
 既に技術指針を出したところでは、評価値はどうしたのかなと思ったら、24年度の騒音制御工学会の報告で35dBと出ておりますとまでしか書いていなかったんですが、そういう意味で、もう少しこの報告書も、地方自治体がさっき佐藤先生おっしゃったように、技術指針をつくれるような、もう少し砕けたというか、わかりやすいものにならないかなという気がしております。
 それから、そういう意味では、目標値のこともありますので、環境省さんとしては、今後どういう方向で進められるのかなということをさっき質問させていただいたのです。
 以上です。
【町田座長】 ありがとうございました。環境省から何かコメントございますか。
 お願いします。
【早水大臣官房審議官】 じゃあ、私のほうから、ご指摘の点を含めて幾つか答えさせていただきたいと思います。
 まず、矢野先生からご指摘のあった、あと別の先生からもご指摘ありましたが、資料1-2の5ページのグラフの分析ですね。残留騒音が高いんじゃないかということについて、これは、やはりアセスがどういう場所で計画されているかで違うと思います。多分もとの書類を見て、地域ごとに分類すればある程度性格がわかるんじゃないかと思いますので、もし可能であればそのような形で整理して、そうすると今後の議論の役に立つと思いますので、ぜひ、できればそうしたいと思います。
 それから、田中先生からご指摘のあった「目標値」ですが、最初の24年度の報告書が目標値という言葉を使いましたので、以下出てくるものを同じような言葉でとりあえず統一しましたが、確かに今ご指摘のように、特に四つ目の丸の目標値という辺りは、誤解を招くと思いますし、位置づけとして、今後どういうものを考えるかによって名称も変わってくると思いますので、そこはよく考えて言葉遣いを決めていきたいと思います。
 それから、対策技術についてのご意見ですが、この7.のところは、分科会の報告をもとにまとめていくことになると思いますので、ほかのところとまさしく性格が変わるかもしれません。そこは何らかの形で整理してお示しできるようにしたいと思います。
 それから、評価手法のところでありますが、私も以前アセスを担当しておりまして、ここを書いた意図でありますけれども、アセスについても騒音の影響について実行可能な範囲で回避・低減の措置が講じられているかどうかをまず評価する、それから、基準とか目標がある場合には、それとの整合性を評価するということで、その一般論を一つ目の丸に書いて、ただ、この風車騒音の場合は今は目標値というのは実際にはないので、二つ目の丸で回避・低減のやり方について述べたということです。その辺わかりにくくなっておりますので、本来目標があれば目標との比較をしなきゃいけないんだけれども、風車騒音では今できていない状況だということを表すか、もうそれができないんであれば、先生がおっしゃるように、一つ目の目標値の比較というのはとってしまうか、その辺りをまた考えたいと思います。意図としては、そういう一般論と風車のことを書き分けたということでございます。
 それで、一番大きなポイントである、目標値を求められていてこれからつくらなきゃいけないという話と、あと、最初のほうに佐藤先生からご指摘のあった、この検討会の位置づけなり、まとめる目的といいますか、その辺りを明確化してということのご指摘について、この2点をあわせてお話したいと思います。前回の検討会でも若干お話ししたかと思いますけれども、この検討会では、長期にわたりまして、いろいろなことについてご検討をいただいておりまして、戦略指定研究の話もありますし、それから諸外国のこと、あるいは対策技術のヒアリングとか、いろんな要素を検討していただいておりました。
 そういう意味で、風車についてよくわかっていないこと、あるいは誤解されていることなどもいろいろあるということで、とにかく風車に関する知見をまず集積していく、それを整理するということがまず大事なことであろうということで、検討会として整理をし、また調査や評価手法というものがアセスに求められますので、それもできる限り整理するということもしていただきました。
 その中でまだ十分検討されていないものとして、まずは目標値だと思うんですけれども、それをまた検討し始めると多分まだ時間がかかるので、とりあえず、この検討会として、一応今年中を目途に、これまでの知見でわかったこと等を整理して、それで課題の分は残す、一回整理をしたいというのが今の考え方でございます。
 ですから、まさしくその15ページにありますように、橘先生からご指摘にありました35dBというのが一つの案として出たわけでありますけれども、さらにいろんな要素を考慮して、実際にアセスに使うような目標値にするに際しては、さまざまな要素の検討が必要だということと、その中で静穏な環境でどうかという、もっと一般的な議論もあるということなので、その中で風車の特徴というのを考えなきゃいけないということがありますので、この辺りはもう少し時間をかけて議論したいということで、今後の課題の中に入れているということでございます。
 ですから、そういったアセスの中で、まさしく目標の設定というのが待たれているというのは理解しておりますので、15ページの最後のまとめの中に、早急に検討していく必要があるということを入れております。その具体的なスケジュールについては、まだ今はここではお示しできませんけれども、それも含んで検討したいと思います。今回整理できる範囲で取りまとめた上で、さらに目標値の検討をなるべく早くやりたいというのが今の考え方でございます。
【町田座長】 ありがとうございました。環境省から、報告書の位置づけについて詳細にご説明をいただきました。
 もう予定の時刻を回っているのですが、もしよろしければ、1件だけご質問を。
 それでは、橘委員、どうぞ。
【橘委員】 これも先ほど言うのを忘れたんですけれども、3ページの二つ目の丸のところの一番下に、騒音の環境基準を満たすレベルの音であってもと書いてございますけれども、全部の地域に騒音に係る環境基準は適用されないと思います。
 それから、風車のアセスメントで騒音に係る環境基準のA、B地域の夜間の基準値45dBを下回っているから問題はないというような判断がされている。ご存じのように騒音に係る環境基準というのは、あれはあらまほしき値ではなくて、うるさい道路交通騒音などをひとまずここまで下げようよという目標値なわけです。それであったら、もう騒音の問題は全くないなんていうことは一言も言っていないわけです。騒音に係る環境基準のメインの騒音源は道路交通騒音です。道路交通騒音というのは我々が生活していく上で聞こえないということはあり得ないわけで、聞こえることを前提にして、ひとまずこのぐらいのレベルに下げようと言っているわけですね。
 風車の場合には、聞こえるのを前提に議論しちゃっていいかどうか。もちろん聞こえなくするというのは、ものすごく大変なことです。騒音というのは、その種類によって影響が全く違う。
 これは矢野先生の論文にもありますように、道路交通騒音と風車騒音の反応関係で明らかに差が出ていますから、環境アセスでは今までの紋切型で、45dBを下回っているから問題ないというような評価はしないような方向で指導が必要だと思います。
 そのためには、今議論している目標値か指針値かわかりませんけれども、具体的な数値を各地方自治体が地域の特性を考えて決められるようなシステムが必要だと思います。
【町田座長】 ありがとうございました。ご意見として承っておきます。
 それでは、予定時刻を回っております。この質疑応答はこの辺で終わりにしたいと思いますが、その内容につきましては、アセスとの関連についての議論もございました。こちらについては関係部署も含みまして、ぜひ議論をしていただきたいと思っております。
 また、本日議論いただきました暗騒音の問題、残留騒音、あるいは、ペナルティの取り扱いですね。あるいは、評価の目標についての議論もございました。難しい問題も多々あるかと思いますけれども、これらの意見をしっかりと事務局で受け止めていただきまして、報告書(案)の作成をお願いしたいと思います。
 それでは、最後の議題(3)でございますが、その他、事務局から何かございますでしょうか。
【行木大気生活環境室長】 特に議題として用意しているものはございません。
 次回の検討会の日程につきましては、追って先生方に調整をご相談させていただいて、改めてご連絡をさせていただきたいと思います。以上です。
【町田座長】 それでは、本日の議題は以上でございますので、進行を事務局にお返しいたします。よろしくお願いします。
【行木大気生活環境室長】 本日はお忙しい中、長時間にわたるご審議をいただき、ありがとうございました。大変貴重な意見をいろいろいただきまして、しっかり受け止めて、次の検討会に向けて準備を進めていきたいと思います。
 本日の議事録につきましては、事務局で(案)を作成し、先生方にご確認をいただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
 お手元の資料につきましては、もし郵送をご希望であられる場合は、封筒にお名前をお書きいただければ、私どもで郵送させていただきます。
 それでは、これにて本日の検討会を終了いたします。長時間ありがとうございました。