大気環境・自動車対策

平成19年度騒音規制法施行状況調査について

平成20年12月8日(月)
環境省水・大気環境局大気生活環境室
直通  03-5521-8299
代表  03-3581-3351
 室長  志々目 友博  (内線6540)
 補佐  山下 雄二   (内線6543)
 担当  永森,近藤   (内線6546)


 環境省は,全国の都道府県等の報告に基づき,平成19年度における騒音に係る環境基準の適合状況,騒音規制法の施行状況を取りまとめた。概要は次のとおりである。

(1)騒音に係る環境基準の現状
 騒音に係る環境基準(平成10年環境庁告示第64号)が平成11年4月1日から施行され9カ年が経過した。本基準の地域類型を当てはめる地域を有する市区町村は,平成19年度末において,全国の市区町村数の約71.0%に当たる1,289市区町村であった。
 平成19年度に環境騒音の測定を実施した地方公共団体数は373市区町村であった。地域の騒音状況をマクロに把握している地点については,平成19年度は,全測定地点3,150地点のうち約81.8%の地点で環境基準に適合していた。また,環境基準の適合率は,過去8年間を見ると上昇傾向となっていた。
(2)騒音規制法の施行状況
 騒音規制法に基づく規制地域を有する市区町村は,平成19年度末現在,全国の市区町村の約75.2%に当たる1,366市区町村であった。
 同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は,平成19年度末現在,全国で213,032件(前年度213,217件)であった。同法に基づく特定工場等に対する立入検査は857件(同1,011件)実施された。また,測定が436件(同528件)実施された結果,規制基準を超えていたものは269件(同331件)であり,法に基づく改善勧告は2件(同5件)行われたが,改善命令は行われなかった(同1件)。この他,行政指導が1,069件(同1,181件)行われた。
 また,同法に基づき届出された建設作業(特定建設作業)の総数は71,077件(同73,259件)であった。特定建設作業に対する法に基づく立入検査は1,491件(同1,616件)実施された。また,測定が411件(同460件)実施された結果,規制基準を超えていたものが94件(同114件)であり,法に基づく改善勧告及び改善命令は行われなかった(同0件,0件)。この他,行政指導が1,757件(同1,845件)行われた。

1.目的

 環境省では,騒音防止行政の一層の推進を図るため,毎年度,全国の都道府県,指定都市,中核市,特例市及び特別区を通じ,環境基準の適合状況,騒音規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い,その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)騒音に係る環境基準の類型当てはめ状況

 環境基本法に基づく環境基準の類型当てはめ地域を有する市区町村数は,平成19年度末現在1,289市区町村で,全国の市区町村数の約71.0%(前年度70.6%)に相当した(表1)。

表:表1 環境基準類型当てはめ状況及び騒音規制法地域指定状況

(2)騒音規制法に係る地域指定の状況

 騒音規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は,平成19年度末現在1,366市区町村で,全国の市区町村数の約75.2%(前年度75.2%)に相当した(表1)。

(3)一般地域における環境基準の適合状況

 全国の一般地域(道路に面する地域以外の地域)における環境騒音の状況を把握するため,地方公共団体により測定された環境騒音の環境基準の適合状況について調査した(表2)。

[1] 環境騒音の測定実施状況

 平成19年度に環境騒音の測定を実施した地方公共団体数は373市区町村(前年度377市区町村)で,環境基準の類型当てはめがなされている1,289市区町村の約28.9%であった。
 測定地点の総数は3,673地点(同3,769地点)であり,そのうち定点測定地点数(毎年度実施しているものとは限らない)は2,909地点(同3,044地点)で,全体の約79.2%となった。ただし,定点測定地点とは測定地点のうち,継続的な変化を調査するために定期的に測定を行う地点であり,毎年度実施しているものとは限らない。

[2] 環境基準の適合状況

 環境基準の適合状況は,地域の騒音状況をマクロに把握するために必要な地点を選定している場合と,騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合とに分けて集計を行っている。

ア 地域の騒音状況をマクロに把握するために必要な地点を選定している場合
平成19年度は,全測定地点3,150地点(前年度3,261地点)のうち約81.8%(同80.7%)の地点で環境基準に適合した。
地域類型別にみた場合,A類型及びB類型地域(住居系地域)では2,286地点(同2,406地点)のうち約82.1%(同79.6%)の地点で適合し,C類型地域(住居・商工業混在地域)では847地点(同837地点)のうち約81.1%(同83.8%)の地点で適合した。
イ 騒音に係る問題を生じやすい地点等を選定している場合
平成19年度は,全測定地点523地点(前年度508地点)のうち約75.0%(同70.5%)の地点で適合した。
地域類型別にみると,A類型及びB類型地域では337地点(同328地点)のうち約71.2%(同66.5%)の地点で適合し,C類型地域では186地点(同177地点)のうち81.7%(同78.0%)の地点で適合した。
(注)この集計における環境基準の適合・不適合の判定については,原則として測定した全ての時間帯において環境基準を満たした場合を「適合」とした。

表:表2 一般地域における環境基準の測定及び適合状況(道路に面する地域を除く)

[3] 環境基準の適合状況の経年変化

 平成12年度から平成19年度までの過去8カ年の適合状況を図1に示した。環境基準の適合率は,地域の騒音状況をマクロに把握するために選定した地点,騒音に係る問題を生じやすい地点等及び測定地点全体のすべてについて,上昇傾向にある。

図:図1 過去8カ月の一般地域における環境基準適合状況
図1 過去7カ年の一般地域における環境基準適合状況

(4)規制の状況

(4)-1工場・事業場に対する規制の状況

[1] 特定工場等総数及び特定施設の届出数

 騒音規制法に基づき届出された特定工場等の総数は,平成19年度末現在で213,032件で,前年度(213,217件)より185件(約0.1%)減少した(表3)。
 また,特定施設の総数は1,537,084件(同1,530,799件)となった(表4)。
 特定工場等の内訳を見ると,空気圧縮機等を設置しているものが約38.9%と最も多く,次いで金属加工機械を設置しているものが約20.9%,織機を設置しているものが約11.3%の順となった。
 特定施設の内訳をみると,空気圧縮機等が約42.0%と最も多く,次いで織機が約23.6%,金属加工機械が約18.3%の順となった(表4)。

表:表3 特定工場等総数及び特定建設作業件数の最近の推移
表:表4 法に基づく届出件数(平成19年度末現在)

[2] 法に基づく措置等の状況

 指定地域内の特定工場等に係る苦情1,201件(前年度1,297件)に対して,平成19年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は,報告の徴収212件(同217件),立入検査857件(同1,011件),騒音の測定436件(同528件)であった。騒音測定の結果,規制基準を超えていたものは269件(同331件)であり,改善勧告は2件(同5件)行われたが,改善命令は行われなかった(同1件)。また,騒音防止に関する行政指導が1,069件(同1,181件)行われた(表5)。

表:表5 指定地域内の特定工場等騒音に係る措置等の状況

(4)-2特定建設作業に対する規制の状況

[1] 特定建設作業の実施届出件数

 平成19年度中の特定建設作業実施届出件数は71,077件(前年度73,259件)であり,その内訳をみると,さく岩機を使用する作業が36,823件(同36,567件)と最も多く,次いでバックホウを使用する作業が18,995件(同20,827件)の順になっており,これらで全体の約78.5%を占めた。(表6)

表:表6 特定建設作業の届出件数

[2] 法に基づく措置等の状況

 平成19年度に行われた騒音規制法に基づく措置の件数は,指定地域内の特定建設作業に対する苦情1,924件(前年度2,062件)に対し,報告の徴収280件(同303件),立入検査1,491件(同1,616件),騒音の測定411件(同460件)であった。騒音測定の結果,基準を超えていたものは94件(同114件)であり,騒音防止に関する行政指導は1,757件(同1,845件)行われたが,改善勧告及び改善命令は行われなかった(同0件,同0件)(表7)。

表:表7 指定地域内の特定建設作業騒音に係る措置等の状況

(5)道路交通騒音に対する措置等の状況

 平成19年度の指定地域内における道路交通騒音の苦情307件(前年度322件)に対して,騒音の測定は89件(同106件)行われており,要請限度を超えていたものは11件(同19件)であった。また,道路管理者に対する道路の構造改善等の意見陳述及び都道府県公安委員会に対する交通規制等の要請は行われなかった(同5件,同0件)。なお,これらの騒音規制法に基づく措置のほか,道路管理者に対する協力依頼等の措置が92件(同102件)行われ,都道府県公安委員会に対する同様の措置は6件(同6件)行われた(表8)。

表:表8 指定地域内の道路交通騒音に係る措置等の状況

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