大気環境・自動車対策
黄砂ってなに?
黄砂とは?
黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。
風によって大気中に舞い上げられた黄砂は、発生源地域周辺の農業生産や生活環境にしばしば重大な被害を与えるばかりでなく、大気中に浮遊し、黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候に影響を及ぼしています。
また、海洋へも降下して、海洋表層のプランクトンへのミネラル分の供給を通して海洋の生態系にも大きな影響を与えていると考えられていますが、その量についてはまだ明確にはなっていません。
黄砂現象は従来、自然現象であると理解されてきましたが、近年ではその頻度と被害が甚大化しており、急速に広がりつつある過放牧や農地転換による土地の劣化等との関連性も指摘されています。
そのため、黄砂は単なる自然現象から、森林減少、土地の劣化、砂漠化といった人為的影響による側面も持った環境問題として認識が高まっています。
MODIS画像(2001/3/20)
アジア太平洋地域環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS)の統合環境モニタリング(IEM)から得られたMODISデータの解析結果より引用
大黄砂時の北京(2002年春)
黄砂の発生と輸送のしくみ
黄砂の発生・発達、日本までの輸送、輸送途中での物理的・化学的変化などのメカニズムは、気象や地質などの要因が複雑に作用して形成されています。
北東アジアを起源とする黄砂は、偏西風により輸送され、北太平洋を横断し北米大陸まで到達していることが、衛星画像やモデル計算によって明らかになっています。
太平洋を横断する黄砂をとらえた衛星画像(NASAGoddard Space Flight Center提供)
飛来する黄砂粒子の性質
黄砂粒子には、石英や長石などの造岩鉱物や、雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物が多く含まれています。日本まで到達する黄砂の粒径の分布は、直径4ミクロン付近にピークを持ちます。黄砂粒子の分析からは、土壌起源ではないと考えられるアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなども検出され、輸送途中で人為起源の大気汚染物質を取り込んでいる可能性も示唆されています。