大気環境・自動車対策

平成14年度自動車交通騒音の状況

平成16年4月30日
環境省環境管理局
自動車環境対策課

 環境省は、平成14年度に行われた自動車騒音の常時監視の報告に基づき、全国の自動車交通騒音の状況について取りまとめた。平成11年4月に騒音に係る環境基準が改正施行されてからは、平成14年度分で4回目のとりまとめとなる。

1.自動車騒音の常時監視について

 自動車騒音の常時監視は、騒音規制法の改正により平成12年度から都道府県及び騒音規制法政令市の事務とされており、自動車交通騒音が支配的な道路に面する地域で、騒音に係る環境基準に基づいて、騒音測定及び環境基準達成状況の評価等を行うものである。
 平成14年度に自動車騒音の常時監視を実施した地方公共団体は139(47都道府県、12指定都市、30中核市、37特例市、13その他の騒音規制法政令市)であったが、平成15年4月に特例市だった清水市が中核市の静岡市と合併したことから、清水市は合併後の静岡市として集計することとし、138地方公共団体について取りまとめた。
 平成14年度の自動車騒音の常時監視は、騒音測定は139地方公共団体で行われ、環境基準達成状況の評価は、約7割の102地方公共団体(35都道府県、10指定都市、23中核市、29特例市、5その他の騒音規制法政令市)において行われた。

2.騒音測定結果について

 平成14年度の常時監視として騒音測定結果の報告があったのは、全国2,832箇所だったが、集計・比較分析対象は、環境基準達成状況の評価の対象範囲と整合をとり、全国2,762箇所の騒音測定地点とした。平均騒音レベルは昼間69.5dB、夜間65.6dBであり、このうち、1,496箇所(54%)が毎年測定を行う箇所だった。幹線交通を担う道路に近接する空間における騒音測定地点は2,647箇所(95.8%)であり、測定値の平均値がもっとも小さかったのは、昼間・夜間とも高速自動車国道で、昼間61.3dB、夜間58.4dBだった。

3.環境基準達成状況の評価について

 評価対象とされた住居等戸数は1,934千戸だった。このうち、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも環境基準値以下であったのは、1,549千戸(80.1%)だった。また、幹線交通を担う道路に近接する空間における評価対象住居等戸数は781千戸であり、昼間及び夜間とも環境基準値以下だったのは、537千戸(68.7%)だった。
なお、評価を行った道路の評価区間数は7,221区間であり、このうち評価区間内にある騒音測定結果に基づいて評価を行う区間(以下、「騒音観測区間」という)は、2,547区間(35%)だったが、全評価対象住居等の約3分の2にあたる1,303千戸(67%)は、騒音観測区間として評価された。

 環境省としては、引き続き自動車交通騒音の状況把握・情報提供に努めるとともに、自動車騒音対策を総合的に推進してまいりたい。

1.自動車騒音の常時監視について

 自動車騒音の常時監視は、都道府県及び騒音規制法政令市の事務とされており、自動車交通騒音が支配的な道路に面する地域で、騒音に係る環境基準に基づいて、騒音測定及び環境基準達成状況の評価等を行うものである。自動車騒音の常時監視は、騒音規制法の改正により平成12年度に96地方公共団体で始まったが、新たな中核市・特例市の誕生等に伴い、騒音規制法政令市の数が年々増加し、平成14年度は、139地方公共団体(47都道府県、12指定都市、30中核市、37特例市、13その他の騒音規制法政令市)において行われた(図1)。平成14年度のとりまとめに際しては、平成15年4月に特例市だった清水市が中核市の静岡市と合併したことから、清水市は合併後の静岡市として集計することとし、138地方公共団体について取りまとめることとした。

 グラフ:自動車騒音の常時監視について 平成14年度の自動車騒音の常時監視は、騒音測定は139地方公共団体で行われ、評価については、相当の準備が必要なこと等により、平成12年度は27地方公共団体でしか行われなかったが、平成14年度は102地方公共団体で実施された(表1)。測定を行った139地方公共団体のうち約7割が評価を実施したこととなり、平成15年4月1日までに評価未実施の地方公共団体は30となる。

種別地方公共団体名※1
都道府県 北海道、[青森県]、[岩手県]、宮城県、[秋田県]、山形県、福島県、茨城県、
栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、(神奈川県)、山梨県、長野県、
新潟県、富山県、石川県、福井県、[岐阜県]、[静岡県]、愛知県、三重県、
滋賀県、京都府、大阪府、[兵庫県]、奈良県、和歌山県、(鳥取県)、島根県、
[岡山県]、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、
長崎県、[熊本県]、[大分県]、[宮崎県]、鹿児島県、沖縄県
指定都市 札幌市、仙台市、千葉市、[横浜市]、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、
神戸市、広島市、北九州市、(福岡市)
中核市 旭川市、[秋田市]、郡山市、[いわき市]、[宇都宮市]、横須賀市、新潟市、
[富山市]、[金沢市]、[長野市]、岐阜市、静岡市、浜松市、豊橋市、豊田市、
堺市、姫路市、奈良市、和歌山市、岡山市、倉敷市、福山市、高松市、松山市、
[高知市]、長崎市、熊本市、大分市、宮崎市、鹿児島市
特例市 [函館市]、八戸市、[盛岡市]、[山形市]、(水戸市)、前橋市、高崎市、川口市、
所沢市、小田原市、大和市、平塚市、厚木市、福井市、[甲府市]、松本市、
沼津市、富士市、[清水市※2]、春日井市、一宮市、四日市市、大津市、豊中市、
吹田市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、岸和田市、[尼崎市]、明石市、
[加古川市]、呉市、下関市、久留米市、佐世保市
その他の騒音規制法政令市  [一関市]、(日立市)、土浦市、(ひたちなか市)、[桐生市]、伊勢崎市、[太田市]、
[松戸市]、[君津市]、上田市、多治見市、高槻市、[西宮市]
※1
  • 特に注訳の無い地方公共団体は、測定・評価をともに実施している。
  • 括弧[ ]付きの地方公共団体は、測定のみ実施している。
  • 括弧( )付きの地方公共団体は、平成14年度は測定のみ実施しているが、過去3年以内に評価を実施している。
※2
清水市は、平成15年4月より、静岡市と合併した。

2.測定の状況及び集計結果について

 自動車騒音の常時監視では、測定の対象とする騒音は自動車の運行に伴う騒音としている。平成14年度は、測定を実施した139地方公共団体から2,832箇所の報告があり、道路敷地境界から5m以内における騒音測定箇所が全体の9割以上を占める(表2)。集計対象は環境基準達成状況の評価を行う範囲と整合をとり、環境基準類型が指定されていて1車線道路に面する環境基準類型がA又はB類型の地域でないこと、及び道路敷地境界から50m以内にある箇所とし、2,762箇所とした(表3)。

 表2 騒音測定箇所の状況
(道路敷地境界距離帯別)
 表2:騒音測定箇所の状況(道路敷地境界距離帯別)

図3:定点・準定点の占める割合
 図3 定点・準定点の
占める割合

 道路種類別でもっとも多いのは、一般国道における測定で1,286箇所(全体に占める割合は46.6%)あり、もっとも少ないのは、都市高速道路における測定で5箇所であった。
 騒音測定地点は、1,496箇所(54%)が継続的に毎年測定を行う箇所(以下、「定点」という)であり、残る1,266箇所のうち、844箇所(31%)が隔年から最大5年毎に測定を行う箇所(以下、「準定点」という)だった(図3)。

 表3 騒音測定箇所の状況(地方公共団体・道路種類別)
 表3:騒音測定箇所の状況(地方公共団体・道路種類別)

 騒音測定値の平均値は昼間69.3dB、夜間65.3dBであった。うち、幹線交通を担う道路に近接する空間においては、騒音測定箇所2,647箇所(95.8%)の測定値の平均値は昼間69.5dB、夜間65.6dBであり、測定値の平均値がもっとも小さかったのは昼間・夜間とも高速自動車国道で、昼間61.3dB、夜間58.4dBであった(図4)。

 なお、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルが反映されないものの、幹線交通を担う道路に近接する空間において、測定箇所における夜間測定結果を環境基準値と比較判定したものを図5に示す。夜間に環境基準値を下回る測定箇所割合がもっとも多かったのは、高速自動車国道で86.2%であった。

図4:幹線交通を担う道路に近接する空間における騒音状況

図5:幹線道路を担う道路に近接する空間における測定結果と環境基準値との比較(夜間)
図5 幹線道路を担う道路に近接する空間におけ
る測定結果と環境基準値との比較(夜間)

3.環境基準達成状況の評価について

3-1.評価の状況について

図6:評価の実施状況
図6 評価の実施状況

 自動車騒音の常時監視では、道路に面する地域の環境基準達成状況の評価において、原則として、道路端両側から50mの範囲にある住居等を評価対象としている。平成14年度に評価を実施した地方公共団体は102であり、評価対象となった住居等は1,933.9千戸※3(評価総延長9,871km)であった(図6)。なお、市街地において幹線交通を担う道路※4に面する地域に立地している住居等は、約4,700千戸(平成10年環境省推計※5)である。

図7:評価区間数に騒音観測区間数が占める割合
図7 評価区間数に騒音観測区間数が占める割合

 評価を行った道路区間は7,221区間であり、このうち騒音観測区間は2,547区間(35%)である(図7)が、評価対象となる住居等戸数ベースで見れば、全体の約3分の2にあたる1,302.5千戸(67.4%)は、騒音観測区間として評価された(図8)。

図8:道路種類別に評価対象住居等戸数が騒音観測区間に占める割合
図8 道路種類別に評価対象住居等戸数が
騒音観測区間に占める割合

 評価対象住居等戸数を地方地区別に集計したところ(図9)、地域に存在する人口・世帯と比較して、北海道地区・近畿地区の割合が大きかった。さらに、47都道府県が全体データに占める割合を見たところ(表4)、大阪府及び北海道の割合が特に大きく、平成14年度の評価結果は、この2道府のデータに依存する傾向がやや大きいと考えられる。

図9:地方地区別の評価対象住居等割合と表4:都道府県別の評価対象住居等割合

3-2.集計結果

(1)全国の状況

 報告のあった全評価結果を集計したところ、昼間(6時~22時)及び夜間(22時~6時)とも環境基準値以下であったのは、1,549.3千戸(80.1%)、昼夜間とも基準値を超過したのは、233.6千戸(12.1%)となっている(図10)。このうち、幹線交通を担う道路に近接する空間※6の基準値が適用される地域は、昼夜間とも基準値以下であったのは、536.5千戸(68.7%)、昼夜間とも基準値を超過したのは152.2千戸(19.5%)となっている。一方、幹線交通を担う道路に近接する空間の背後地や幹線道路以外の道路に面する地域(以下、「非近接空間」という)においては、昼夜間とも基準値以下であったのは、1,012.8千戸(87.8%)、昼夜間とも基準値を超過したのは81.5千戸(7.1%)となっている。

 幹線交通を担う道路に近接する空間は、非近接空間に比較して、環境基準の達成率が約2割低くなっている。

 なお、各年において評価対象住居等戸数や地域的偏り等の違いがあるが、平成12年度からの経年変化を図11に示す。

図10:平成14年度 環境基準達成状況の評価結果(全国)
図10  平成14年度 環境基準達成状況の評価結果(全国)
図11:環境基準達成状況の評価結果(全国・経年変化)

※6
「幹線交通を担う道路に近接する空間」は、次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が特定される。
  • 2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路  15メートル
  • 2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20メートル

(2)道路種類別の状況

 表5 道路総延長に占める評価延長の割合(平成14年度
 表5:道路総延長に占める評価延長の割合(平成14年度
※7 道路統計年報2003(平成15年10月 国土交通省)より

 路種類別に評価区間の延長を集計したところ、総延長に対する各道路の割合(抽出率)は、2.5~6.8%であり(表5)、一般国道がもっとも高く、都市高速道路がもっとも低い。

 表6 道路種類別の平均評価区間延長
 表6:道路種類別の平均評価区間延長

 評価区間毎の平均延長は、0.8~2.8(km/区間)であり(表6)、高速自動車国道がもっとも評価区間を細分し、都市高速道路がもっとも粗い。平均は1.4(km/区間)であった。

 表7 道路種類別の評価対象住居等密度
 表7:道路種類別の評価対象住居等密度

 評価対象住居等密度は、道路種類別に62~396(戸/km)とばらつきがあるが、全国平均は196(戸/km)であった(表7)。

 道路種類別の評価結果は、昼間及び夜間とも環境基準値以下であった割合がもっとも高かったのは、4車線以上の市町村道で、244.5千戸(84.9%)であった(図12)。

図12 平成14年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・全体)
平成14年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・全体)

 道路種類別に、幹線交通を担う道路に近接する空間、非近接空間別に集計した結果を、図13、図14に示す。幹線交通を担う道路に近接する空間において、昼間及び夜間とも環境基準値以下であった割合がもっとも高かったのは、高速自動車国道で6.0千戸(81.5%)であったが、高速自動車国道では、非近接空間の方が昼間及び夜間とも環境基準値以下であった割合が低い(12.7千戸(78.7%))。

図13:平成14年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・幹線交通を担う道路に近接する空間)

図14:平成14年度 環境基準達成状況の評価結果(道路種類別・非近接空間)

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