大気環境・自動車対策

平成22年度悪臭防止法施行状況調査について

平成23年12月22日(木)
環境省水・大気環境局大気生活環境室
直通:03-5521-8299
代表:03-3581-3351
室長:大村 卓 (内線6540)
室長補佐:中西 正光(内線6543)
担当:楠本 綾 (内線6545)

 環境省は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成22年度における悪臭防止法の施行状況を取りまとめました。

1.目的

 環境省では、悪臭防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県、指定都市、中核市、特例市及び特別区を通じ、悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめています。

2.調査結果の概要

(1)悪臭防止法に基づく規制地域の指定状況
悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成22年度末現在、全国の市区町村の72.9%に当たる1,275市区町村でした。
(2)臭気判定士(臭気測定業務従事者)の状況
平成8年に創設された臭気判定士については、平成22年度末現在の臭気判定士免状の取得者数が3,062名(前年度2,990名)となりました。
(3)悪臭苦情の状況
悪臭苦情の件数は、平成22年度は15,194件であり、前年度に比べ743件減少し、7年連続で減少しました。
 苦情の内訳を見ると、野外焼却が最も多く4,135件(全体の27.2%)、サービス業・その他が2,363件(15.6%)、個人住宅・アパート・寮が1,791件(11.8%)等でした。
 前年度と比較すると、野外焼却に対する苦情が65件(1.6%)増加した一方で、その他の苦情件数はいずれも減少しました。
(4)悪臭防止法に基づく措置等の状況
平成22年度の悪臭防止法の指定地域内の工場・事業場に係る苦情は、6,062件でした。当該年度に行われた悪臭防止法に基づく立入検査は2,043件、報告の徴収は410件、測定は86件でした。測定の結果、規制基準を超えていたものは38件でした。また、悪臭防止法に基づく改善勧告が8件行われましたが、改善命令は行われませんでした。この他、悪臭防止に関する行政指導が1,570件行われました。

※平成22年度悪臭防止法施行状況調査では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響による記録資料の滅失により、青森県、岩手県、宮城県及び福島県内の一部の地域で受け付けた苦情件数に関する報告が得られず、集計に含まれておりません。

I.悪臭防止法に基づく規制地域の指定状況

 悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成22年度末現在、全国の市区町村の72.9%に当たる1,275市区町村であった(表1)。

表1 規制地域の指定状況(平成21年度末現在)
市区町村数規制地域を有する
市区町村数
786 735 (93.5%)
23 23 (100.0%)
757 465 (61.4%)
184 52 (28.3%)
1,750 1,275 (72.9%)

II.臭気判定士(臭気測定業務従事者)の状況

 平成8年に創設された臭気判定士については、平成22年度末現在の臭気判定士免状の取得者数が3,062名(前年度2,990名)となった。

III.悪臭苦情の状況

(1)苦情件数の推移

 平成22年度に全国の地方公共団体が受理した悪臭に係る苦情の件数は15,194件と平成21年度(15,937件)から743件(4.7%)の減少であり、7年連続での減少となった。ただし、苦情件数が1万件前後であった平成3~5年度と比較すると、依然として高い水準である(図1)。

図1 苦情件数の推移
図1 苦情件数の推移

(2)発生源別の苦情件数

 平成22年度の苦情件数を発生源別にみると、野外焼却に係る苦情が最も多く、4,135件で全体の27.2%を占めた。第2位はサービス業・その他の2,363件(15.6%)、第3位は個人住宅・アパートの 1,791件(11.8%)であった(図2、図3)。
 また、平成21年度と比較すると、野外焼却に対する苦情が65件(対前年度1.6%増)増加した一方で、その他の苦情件数はいずれも減少した。

図2 悪臭に係る苦情の内訳(平成22年度)
図2 悪臭に係る苦情の内訳(平成22年度)

図3 過去3カ年の苦情件数の発生源別内訳
図3 過去3カ年の苦情件数の発生源別内訳

(3)都道府県別の苦情件数

 平成22年度の苦情件数を都道府県別にみると、東京都の1,451件が最も多く、次いで愛知県1,398件、神奈川県1,130件、大阪府977件、埼玉県889件の順となっている。これら上位5都府県で総苦情件数の38.5%を占めており、大都市を有する地域における苦情の多さが目立った。ただし、人口100万人当たりの苦情件数でみると、このような傾向はみられず、地域によってばらつきがあることがわかった。苦情件数を前年度と比較すると、47都道府県中31都道府県で苦情が減少した(表2、表3)。

表2 都道府県別苦情件数(上位5都府県)
苦情件数人口100万人当たりの苦情件数
都道府県件数都道府県件数
東京都 1,451 山形県 262
愛知県 1,398 沖縄県 238
神奈川県 1,130

宮崎県

222
大阪府 977 大分県 219
埼玉県 889 山梨県 195
全国 15,194 全国平均 119

※人口は総務省統計局(平成22年国勢調査人口等基本集計(平成22年10月1日現在)による。

表3 都道府県別苦情件数の対前年度比増減状況(単位:件)
都道府県平成21年度平成22年度増減対前年度増減比
北海道 273 312 39 14.3%
青森県 104 89 △15 △14.4%
岩手県 127 116 △11 △8.7%
宮城県 239 172 △67 △28.0%
秋田県 113 87 △26 △23.0%
山形県 390 306 △84 △21.5%
福島県 216 130 △86 △39.8%
茨城県 564 395 △169 △30.0%
栃木県 304 263 △41 △13.5%
群馬県 258 221 △37 △14.3%
埼玉県 987 889 △98 △9.9%
千葉県 814 632 △182 △22.4%
東京都 1,453 1,451 △2 △0.1%
神奈川県 1,144 1,130 △14 △1.2%
新潟県 270 267 △3 △1.1%
富山県 71 76 5 7.0%
石川県 126 105 △21 △16.7%
福井県 95 117 22 23.2%
山梨県 150 168 18 12.0%
長野県 350 316 △34 △9.7%
岐阜県 297 304 7 2.4%
静岡県 611 641 30 4.9%
愛知県 1,323 1,398 75 5.7%
三重県 369 356 △13 △3.5%
都道府県平成21年度平成22年度増減対前年度増減比
滋賀県 87 149 62 71.3%
京都府 419 371 △48 △11.5%
大阪府 940 977 37 3.9%
兵庫県 459 379 △80 △17.4%
奈良県 190 159 △31 △16.3%
和歌山県 121 111 △10 △8.3%
鳥取県 56 45 △11 △19.6%
島根県 56 51 △5 △8.9%
岡山県 190 168 △22 △11.6%
広島県 249 270 21 8.4%
山口県 147 159 12 8.2%
徳島県 113 89 △24 △21.2%
香川県 99 77 △22 △22.2%
愛媛県 234 168 △66 △28.2%
高知県 56 55 △1 △1.8%
福岡県 585 650 65 11.1%
佐賀県 77 59 △18 △23.4%
長崎県 164 164 0 0.0%
熊本県 110 104 △6 △5.5%
大分県 202 262 60 29.7%
宮崎県 246 252 6 2.4%
鹿児島県 245 202 △43 △17.6%
沖縄県 244 332 88 36.1%
合計 15,937 15,194 △743 △4.7%

△は減少を示す

(4)規制対象とそれ以外の苦情件数との比較

 平成22年度の総苦情件数15,194件のうち、悪臭防止法の規制対象となる規制地域内の工場・事業場に対するものは6,062件(39.9%)であり、規制地域外の工場・事業場に対する苦情が1,868件(12.3%)であった。
 また、個人住宅・アパート・寮、下水・用水など規制対象外の発生源に対する苦情が7,264件(47.8%)であった(表4)。

表4 規制対象とそれ以外の苦情件数
発生源別規制地域内規制地域外合計
工場・事業場 6,062
(39.9%)
1,868
(12.3%)
7,930
(52.2%)
規制対象外の
発生源
5,645
(37.2%)
1,619
(10.7%)
7,264
(47.8%)
合計
(%)
11,707
(77.1%)
3,487
(22.9)
15,194
(100%)

IV.悪臭防止法に基づく措置等の状況

工場・事業場に対する措置等の状況

 悪臭防止法の規制地域内における工場・事業場に係る苦情は6,062件(前年度6,058件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して悪臭防止法に基づき行われた措置等の件数は、立入検査が2,043件(同2,076件)、報告の徴収が410件(同329件)、測定が86件(同73件)、測定の結果、規制基準を超えていたものが38件(同36件)であった。また、改善勧告が8件(同4件)行われたが、改善命令は行われなかった(同0件)。なお、これらの悪臭防止法に基づく措置のほか、悪臭防止に関する行政指導が1,570件(同1,550件)行われた(表5)。

表5 工場・事業場悪臭に係る措置等の状況(件数)
平成21年度平成22年度前年度比
立入検査 2,076 2,043 △1.6%
報告の徴収 329 410 24.6%
測定 73 86 17.8%
(うち基準超過) 36 38 5.6%
改善勧告 4 8 100.0%
改善命令 0 0 -
行政指導 1,550 1,570 1.3%
(参考)苦情件数 6,058 6,062 0.1%

△は減少を示す

注)苦情に対して悪臭防止法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理した苦情に対するものとは限らない。

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