大気環境・自動車対策

平成12年度悪臭防止法施行状況調査について

平成14年3月22日

 環境省は、全国の地方公共団体の報告に基づき、平成12年度の悪臭苦情、悪臭規制等の状況を取りまとめた。その概要は以下のとおりである。

(1)悪臭苦情の状況
 平成12年度の悪臭苦情件数は21,205件であり、昭和45年の調査開始以来の最大件数にほぼ匹敵する結果であった(過去の最大件数は昭和47年度の21,576件)。これは、前年度と比較して2,473件、約13.2%の増加となっている。また、過去の調査で件数が最小であった平成5年度からは2倍以上の増加となっている。
(2)悪臭規制等の状況
 悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成12年度末現在、全国の市区町村の53.4%に当たる 1,748市区町村(対前年度17市町村増加)であった。
 これらの規制地域内において平成12年度には立入検査が5,730件(前年度4,869件)、報告の徴収が952件(同712件)、測定が145件(同157件)行われた。また、測定の結果、規制基準を超えていたものは34件(同26件)であり、法に基づく改善勧告が7件(同6件)行われた。また、行政指導が8,381件(同7,843件)行われた。

1 調査の目的

 本調査は、悪臭防止行政の一層の推進を図るため、環境省が毎年度全国の都道府県、指定都市、中核市及び特例市に対して、悪臭苦情の状況、悪臭防止法に基づく措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめているものである。

2 調査結果

(1)悪臭苦情の状況

[1] 苦情件数の推移

 平成12年度の悪臭苦情件数は21,205件であり、昭和45年の調査開始以来の最大件数にほぼ匹敵する結果であった(過去の最大件数は昭和47年度の21,576件)。これは、前年度と比較して2,473件、約13.2%の増加となっている。また、過去の調査で件数が最小であった平成5年度からは2倍以上の増加となっている。

[2] 都道府県別の苦情件数

 平成12年度の苦情件数を都道府県別に見ると、上位5件は愛知県、東京都、埼玉県、神奈川県、大阪府である(表1)。これら上位5都府県で総苦情件数の37.5%を占めており、都市部における苦情の多さが目立っている。
 また、苦情件数を平成11年度と比較すると、47都道府県中36県で苦情が増加しており、苦情の増加は全国的な傾向である(表2)。

表1 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
表2 都道府県別苦情件数の対前年度増減状況(単位:件)

[3] 発生源別の苦情件数

 平成12年度の苦情件数を発生源別に見ると、飲食店や自動車修理工場等の「サービス業・その他」が最も多く、10,642件で全体の50.2%を占め、第2位は「個人住宅・アパート・寮」の2,263件(10.7%)、第3位は木工工場や塗装工場等の「その他の製造工場」の1,905件(9.0%)であった。
 前年度と比較すると、ほぼ全ての業種において苦情が増加しており、業種別の苦情件数割合は前年度とほぼ同じであった(図2)。
 なお、野外焼却に係る悪臭苦情が今年度は7,086件であり昨年度(6,230件)から856件(13.7%)と大幅に増加した。

[4] 規制対象とそれ以外の苦情件数の比較

 平成12年度の総苦情件数21,205件のうち、悪臭防止法の規制対象となる規制地域内の工場・事業場に対するものは10,747件(50.7%)であり、規制地域外の工場・事業場に対する苦情(2,937件、13.9%)及び「個人住宅・アパート・寮」、「下水・用水」など規制対象外の発生源に対する苦情(7,521件、35.5%)が残りを占めている(表3)。

表3 規制対象・非規制対象別苦情件数

(2)悪臭規制等の状況

[1] 規制地域の指定状況

 悪臭防止法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成12年度末現在、1,748市区町村(前年度末 1,731市区町村)で、全国の市区町村数の53.2%にあたる(表4)。前年度に比べ17市町村増加した。

表4 規制地域の指定状況

[2] 悪臭防止法に基づく規制措置等の状況

 平成12年度中に、規制地域内で悪臭防止法に基づく措置等を行った件数は、表5のとおりである。
 平成12年度に行われた立入検査は4,869件(前年度5,730件)、報告の徴収は952件(同712件)、測定は145件(同157件)であった。また、測定の結果、規制基準を超えていたものは34件(同26件)であり、法に基づく改善勧告は7件(同6件)行われた。これらの措置のほか、悪臭防止に関する行政指導が8,381件(同7,843件)行われた。

表5 悪臭防止法に基づく措置等の状況

(3)臭気判定士の状況

 平成8年に創設された臭気判定士(臭気測定業務従事者)の数は年々増加しており、平成12年度末現在の臭気判定士免状の取得者は1,740名になっている。

(4)悪臭対策関連の条例・指導要綱等の状況

 悪臭防止法に基づく規制基準の他に、条例・要綱等により規制基準や管理基準等を設けて臭気対策を行っている地方公共団体は、条例が39都県市、指導要綱等が38都道県市である。
 このうち、嗅覚測定法による規制基準又は指導基準を設定している地方公共団体は、条例が12都県市、要綱等が37道県市である。