報道発表資料
環境省は、神奈川県、横浜市、オーストラリア政府、ニュージーランド政府、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、国連環境計画(UNEP)及び社団法人海外環境協力センター(OECC)との共催により、9月11日(日)から15日(木)にかけて横浜市で「第15回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」及び「国連気候変動枠組条約第6条アジア太平洋地域ワークショップ」を一体的に開催しました。
今回のセミナーでは、28か国・14機関の行政官を中心に、84名の専門家の出席を得て、温室効果ガス緩和対策の相互利益(Co-benefits)、クリーン開発メカニズム(CDM)、気候変動への適応策等について活発な意見交換が行われ、各国の理解が深められました。また、ワークショップでは、アジア太平洋地域における普及、啓発、教育のあり方について活発な議論を行いました。
さらに、本会議の関連イベントとして、環境省、神奈川県、横浜市及びOECCの共催により、9月10日(土)に、約200名の一般参加者を得て、環境の視点からの意識改革をテーマにシンポジウムを開催し、日々の暮らしの中で地球温暖化問題にどう関わるべきか、地球温暖化を防ぐために今できる行動とは何かを互いに考える機会を設けました。
1.開催日時・場所
平成17年9月11日(日)~15日(木)
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
2.実施主体
- 主催:
- 環境省、神奈川県、横浜市、オーストラリア政府、ニュージーランド政府、気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、国連環境計画(UNEP)、社団法人海外環境協力センター(OECC)
3.参加者
主としてアジア太平洋地域諸国の専門家及び国際機関等の代表者 84名
- 参加国(28か国)
オーストラリア、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、カナダ、中国、クック諸島、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モルディブ、ミクロネシア、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、パラオ、フィリピン、サウジアラビア、ソロモン諸島、スリランカ、タイ、ツバル、米国、ウズベキスタン、バヌアツ、ベトナム - 国連及びその他の国際機関並びに政府機関等(14機関)
国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、国連環境計画(UNEP)、アジア開発銀行(ADB)、地球環境戦略研究機関(IGES)、国立環境研究所(NIES)、地球環境センター(GEC)、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)、国際協力機構(JICA)、国際環境技術移転研究センター(ICETT)、地球産業文化研究所(GISPRI)、アジア・カーボン、パシフィック・コンサルタンツ、DNVジャパン - 日本からは、環境省の小島地球環境審議官、水野国際対策室長、土居国民生活対策室長他が参加。
- 議長は、地球環境戦略研究機関(IGES)のアンチャ・スリニヴァサン上席研究員が務めた。
4.会議の主な成果
(1)第15回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー
アジア太平洋地域では、地球温暖化問題に対処するために、多大の努力がなされてきた。環境省でも、各国と協力してこれまでに本セミナーを14回開催し、アジア太平洋地域における地球温暖化問題への意識の向上、経験の交流及び取組の強化を支援してきた。
本セミナーは、域内諸国における地球温暖化問題に関する情報、経験及び意見の交換を行うとともに、地域内での取組や協力を促進することを目的としており、今回のセミナーでは、以下のポイントが主要な成果として、議長サマリーにとりまとめられた。
- [1] 温室効果ガス緩和に向けた取組の相互利益(Co-benefits)
- 温室効果ガスの排出抑制を行う緩和措置に取り組む際に、大気質管理や交通部門での取組と組み合わせることによって、相互利益を模索することへの関心が高まっており、米国環境庁(USEPA)の総合的環境戦略プログラムやクリーン・エア・イニシアティブ・アジア(CAI-Asia)等の成功例を参考に、アジア太平洋地域において、相互利益を用いて努力を促すアプローチが重要である。
- 今後地域において緩和措置を進めていくためには、CDMを含め、緩和関連のプロジェクトに相互利益の考え方を取り入れていくことが重要であり、既存の活動組織をその方向で活用していくことも有益な方法である。
- [2] クリーン開発メカニズム(CDM)
- CDMについては、現状では京都議定書の第一約束期間においてクレジットを使用できることとなっているが、2012年以降のクレジットの取扱いが明確になっておらず、それがCDM実施の障害のひとつとなっている。
- CDMプロジェクトの円滑な実施のためには、ホスト国の指定国家組織(DNA)が果たす役割が大きく、制度合理的な範囲で手続きをより簡素なものにできれば、投資家が投資を行いやすい環境ができる。
- [3] 気候変動に対する適応
- 気候変動枠組条約では、緩和に関しては明確な規定がなされているが、適応については必ずしも十分に明確になっていないため、各国が取るべき行動の内容、方法論等の考え方に様々な相違が見られる。このため、まず適応の概念的な整理を行い、今後の対策につなげていくことが重要である。
- 適応策を進めていく上で、COP10で決定された「適応策と対応措置に関するブエノスアイレス行動計画」に基づいて今後策定されるSBSTA5か年行動計画が、今後の取組の指針となる。
- 同条約第6条に規定された教育・訓練・普及啓発に関する取組が、適応措置の実施に果たす役割は大きく、適応策を各国の政策において主流化していくために、これらの取組を活用することが重要である。
- 長期的な気候変動と短期的な気候現象の揺らぎを区別することは困難であることから、適応措置を実施するためには、リスク管理アプローチを用いることが重要である。また、実現可能なステップとして、対処を行うべき優先的な課題とセクターを整理することが提案された。
(2)気候変動枠組条約第6条に関するアジア太平洋地域ワークショップ
気候変動枠組条約第6条に関する地域別ワークショップは、同条約第6条に基づいて、「教育、普及、啓発」に関する取組を各国が効果的に実施することを促進する目的で地域毎に開催されることが決定され、これまでに欧州、アフリカ、ラテンアメリカ/カリブ地域で開催されてきた。
アジア太平洋地域で、これまでの地球温暖化アジア太平洋地域セミナーの実績が評価された日本において、同セミナーと連携して開催することが各国の支持を得て、COP10において決定されており、今回はこの決定に基づき開催されたものである。
本ワークショップでは、各国がそれぞれの取組状況を発表し、具体的な普及啓発、訓練、国際協力に関する方法論について、活発な意見交換と経験の共有が行われた。
とくに、地球温暖化アジア太平洋地域セミナーは、同条約第6条の実施のための有効なツールであるとして、参加各国から今後のセミナーの活動への強い期待が寄せられた。
また、我が国からは、普及啓発活動の成功例として、クール・ビズやチーム・マイナス6%の取組などを紹介し、参加各国から高い評価を得た。
本ワークショップの成果は、第23回補助機関会合(SB23、COP11に合わせて開催)で、報告されることになっている。
(3)地球温暖化シンポジウム
同セミナーの開催に合わせて、「ストップ温暖化!今、我々にできること ~アジア・太平洋からの報告~」と題した地球温暖化に関するシンポジウムを開催した。日々の暮らしの中で地球温暖化問題にどう関わるべきか、地球温暖化を防ぐために今できる行動とは何かについて、海外からの専門家を交えて、活発な議論が行われた。
なお、次回(第16回)セミナーの開催地については、現在調整中。
(別添1) | 第15回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー |
(別添2) | 第15回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー |
添付資料
- 連絡先
- 環境省地球環境局地球温暖化対策課国際対策室
室長:水野 理 (内線6772)
室長補佐:竹本 明生 (内線6773)
担当:亀谷 かおり (内線6775)