報道発表資料
1.背景
昨年10月9日に公布された「地球温暖化対策の推進に関する法律」では、政府は、 毎年、我が国における温室効果ガスの総排出量を算定し公表することとされている。ま
た、国及び地方公共団体は、自らの事務及び事業に関する温室効果ガスの排出の抑制等 のための実行計画を策定し公表するとともに、その実施状況(温室効果ガスの総排出量
を含む。)について公表することとされている。
これらの「温室効果ガスの総排出量」の算定方法は、政令で定めることとされており 、現在環境庁において政令策定に向けた準備を進めているところであるが、同政令の算
定に当たっての考え方等について技術的な観点から検討を行うため、学識経験者、自治 体関係者等からなる「温室効果ガス排出量算定方法検討会」(企画調整局長の私的諮問
機関)を設置し、検討を行ってきたところ、先日同検討会において、検討結果を取りま とめ、本日午前に開催された中央環境審議会企画政策部会に報告を行った。
2.「検討結果とりまとめ」の概要
(1)温室効果ガスの排出量の算定に当たっての基本的な考え方
排出量は、IPCCガイドラインに準拠して、活動量(燃料使用量など)に排出係数 を乗じて計算し、さらに、6種類のガスのごとに地球温暖化係数(GWP)を乗じて算定する。
(温室効果ガス排出量)=(活動量)×(排出係数)×(地球温暖化係数) |
(2)電気又は熱(温水、蒸気、冷水等)の使用に係る排出量算定の考え方
{1} |
電気の使用に伴う二酸化炭素の排出量は、「使用した電気の量」に「発電時 の二酸化炭素原単位(全電源平均原単位)」を乗じて求める。
なお、全電源平均原単位は以下により求める。 (全国の火力発電所で排出された二酸化炭素の量) ―――――――――――――――――――――――――――――― (全国の発電所(火力、水力、原子力等)で発電された電気の量) |
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{2} | 熱の使用も同様に、「使用した熱の量」に「熱の生産時の二酸化炭素原単位 (全国平均のもの)」を乗じて算定する。 |
(3)HFC等の排出量算定の考え方
IPCCガイドラインに基づき、実排出量を算定する。HFC等の使用実態が多岐に わたるため、我が国の実態にあった適切な排出係数がある場合には、それを用いること
とし、ない場合には、IPCCガイドラインに示された係数を用いる。
(4)政府又は地方公共団体の実行計画に係る排出量の算定に関する考え方
地球温暖化対策推進法では、政府又は地方公共団体に温室効果ガスの総排出量を含 め、実行計画の進捗状況を公表することを求めている。
実行計画に係る排出量は、我が国全体の排出量と同様、活動量に排出係数を乗じて 算定する。
また、実行計画の実施状況の評価を行う際には、計画期間中、排出係数は固定して 同じものを用いることとするが、自らの実施した措置の効果によって排出係数が経年
的に変化した場合には、その変化した係数を用いることができることとする。
(5)今後の課題
HFC、PFC等の排出については、データが不足しているため今後とも科学的知見 の集積が必要。また、自治体の中には排出量の算定に関する対応能力にも大きな差があ
るため、適切な配慮が必要。
(参考)
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(座長) | 茅 陽一 | 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 |
西岡 秀三 | 国立環境研究所地球環境グループ統括研究官 |
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渡辺 征夫 | 国立公衆衛生院地域環境衛生学部環境評価室長 | |
太田 元 | 社団法人経済団体連合会参与 | |
原 穆 | オゾン層保護対策産業協議会事務局長 | |
大橋 健治 | 東京都環境保全局環境管理部環境計画室 地球環境担当課長 |
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永野 敏 | 川崎市環境局公害部大気課長 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長:竹内 恒夫 (内線6740)
調 整 官:谷津 龍太郎(〃 6283)
課長補佐:藤田 賢二 (〃 6286)
担 当:大井 通博 (〃 6285)