報道発表資料
環境省及び経済産業省では、毎年「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(以下「バーゼル法」という。)の施行状況について集計を行っております。今般、平成22年1月から12月までの状況について取りまとめましたので公表いたします。
平成22年1月から12月までの間に、バーゼル法に規定する手続を経て実際に我が国から輸出された特定有害廃棄物等の量は、81,344トン(平成21年は84,878トン)であり、我が国に輸入された特定有害廃棄物等の量は、4,292トン(平成21年は4,075トン)でした。
1 制度の概要
バーゼル法に基づく特定有害廃棄物等の輸出に当たっては、同法第4条第1項の規定に基づき「外国為替及び外国貿易法」(以下「外為法」という。)第48条第3項の輸出承認を得る必要があり、その際に、環境大臣は、バーゼル法第4条第3項の規定に基づき環境の汚染を防止するために必要な措置が講じられているかどうかの確認を行っています(注1)。また、輸出された特定有害廃棄物等の運搬を行う場合は、バーゼル法第6条第1項の規定に基づき、輸出移動書類を携帯する必要があります。一方、特定有害廃棄物等の輸入に当たっては、バーゼル法第8条第1項の規定に基づき外為法第52条の輸入承認を得る必要があり、その際に、環境大臣は、バーゼル法第8条第2項の規定に基づき環境の汚染が防止されているかどうかの確認を行っています。また、輸入された特定有害廃棄物等の運搬又は処分を行う場合は、バーゼル法第10条第1項の規定に基づき、輸入移動書類を携帯する必要があります。
これらバーゼル法の施行状況については、毎年取りまとめて公表することとしており、今般、平成22年1月から12月の施行状況について取りまとめました。
2 平成22年における特定有害廃棄物等の輸出の状況
- (1)
- 輸出の状況について輸出手続の段階別に整理すると以下のとおりです。
- [1]
- 輸出承認の申請を受け、環境省から輸出先国に対する事前通告を行ったものは58件で、その輸出予定量は、199,668トン(平成21年は、75件、277,517トン)でした。
- [2]
- 相手国からの輸入同意の回答を得て、経済産業大臣が輸出の承認を行ったものは57件(注2)で、その総量は241,673トン(平成21年は、71件、278,517トン)でした。
また、平成21年に通告を行った案件について、輸出先国から輸入不同意の回答を得たものが2件ありました。 - [3]
- 輸出の承認を得たもののうち、実際に輸出が開始され、経済産業大臣が輸出移動書類の交付をしたものは、579件(注3、注4)で、その総量は、81,344トン(平成21年は619件、84,878トン)でした。
- (2)
- 特定有害廃棄物等の輸出の内容は、別添1のとおりです。移動書類の交付に至った案件の品目は、鉛スクラップ(鉛蓄電池)、鉛・亜鉛・亜鉛銅灰、錫鉛・鉛のくず、金属含有スラッジ等で、輸出の相手国は、韓国、ベルギー、アメリカ合衆国及びシンガポールであり、いずれも金属回収を目的とするものでした。
- (3)
- バーゼル法施行以降の特定有害廃棄物等の輸出量(輸出移動書類に記入された量)及び輸出の件数(輸出移動書類の交付件数)の推移は別添2のとおりです。
3 平成22年における特定有害廃棄物等の輸入の状況
- (1)
- 輸入の状況について輸入手続の段階別に整理すると、以下のとおりです。
- [1]
- 相手国から我が国への輸出についての事前通告を受領したものは56件で、その輸入予定量は 37,749トン(平成21年は、49件、24,720トン)でした。
- [2]
- 輸入者からの輸入承認の申請により経済産業大臣が輸入承認を行い、環境省から相手国に対し輸入同意の回答を行ったものは46件(注5)で、その総量は、30,754トン(平成21年は、40件、19,428トン)でした。
- [3]
- 輸入の承認を得たもののうち、実際に輸入が開始され、経済産業大臣が輸入移動書類を交付したものは149件(注3、注6、注7)で、その総量は、4,292トン(注8)(平成21年は97件(注7)、4,075トン(注8))でした。
- (2)
- 特定有害廃棄物等の輸入の内容は別添3のとおりです。移動書類の交付に至った案件の品目は、電子部品スクラップ・プリント基板くず、金属(鉛、銅、亜鉛他)・貴金属くず、金属(銅、銀他)・金属水酸化物スラッジ、電池スクラップ(ニカド電池他)、廃蛍光灯・廃ランプ等で、輸入の相手国・地域は、タイ、香港、フィリピン、シンガポール、台湾等であり、金属回収など再生利用を目的とするものでした。
- (3)
- バーゼル法施行以降の特定有害廃棄物等の輸入量(輸入移動書類に記入された量)及び輸入の件数(輸入移動書類の交付件数)の推移は別添4のとおりです。
4 平成22年におけるバーゼル法に基づく行政処分の状況
バーゼル法第15条に基づく報告徴収及び第14条に基づく措置命令の実施件数は次のとおりでした。
- ○ 報告徴収件数
- 0件(0)
- ○ 措置命令発出件数
- 0件(0)
- ※
- ( )内は、平成21年実績
なお、輸出相手国からシップバックがあった案件や、税関から通報があった案件等については、環境省及び経済産業省は税関と連携の上、必要に応じて貨物確認や輸出入業者へのヒアリング等を行い、法令に違反していることが判明した場合には法令に基づく処分や行政指導を行う等厳正に対処しているところです。
参考:一覧表
我が国からの輸出について | 我が国への輸入について | ||||
---|---|---|---|---|---|
手続 | 件数 | 記載重量 | 手続 | 件数 | 記載重量 |
相手国への 通告 | 58件 (75) | 199,668トン (277,517) | 相手国からの通告 | 56件 (49) | 37,749トン (24,720) |
輸出の承認 (注2) | 57件 (71) | 241,673トン (278,517) | 輸入の承認 (注5) | 46件 (40) | 30,754トン (19,428) |
輸出移動書類の交付 (注3、注4) | 579件 (619) | 81,344トン (84,878) | 輸入移動書類の交付 (注3、注6、注7、注8) | 149件 (97) | 4,292トン (4,075) |
( )内は、平成21年実績
- 注1:
- 「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第4条第2項の地 域及び特定有害廃棄物等を定める省令」で定める地域を仕向地とする同 省令で定める特定有害廃棄物等の輸出の場合に限ります。
- 注2:
- 平成21年以前に事前通告を行ったものを含みます。
- 注3:
- 一定期間の輸出入に関して一括して事前通告又は輸出入の承認がなさ れたものであって、複数回に分けて輸出入される場合にあっては、通告 及び輸出入承認の件数と移動書類の交付の件数とは一致しません。
- 注4:
- 平成21年以前に輸出承認を得たものを含みます。
- 注5:
- 平成21年以前に事前通告を受領したものを含みます。
- 注6:
- 平成21年以前に輸入承認を得たものを含みます。
- 注7:
- 輸入移動書類を交付せず移動毎に輸入承認を行っている台湾からの輸 入承認件数を含みます。
- 注8:
- 輸入移動書類を交付せず移動毎に輸入承認を行っている台湾からの輸 入承認数量を含みます。
添付資料
- (別添1)平成22年における特定有害廃棄物等の輸出の内容 [PDF 162 KB]
- (別添2)特定有害廃棄物等の輸出量及び輸出件数の推移 [PDF 58 KB]
- (別添3)平成22年における特定有害廃棄物等の輸入の内容 [PDF 159 KB]
- (別添4)特定有害廃棄物等の輸入量及び輸入件数の推移 [PDF 58 KB]
- 連絡先
- 環境省廃棄物・リサイクル対策部適正処理・不法投棄対策室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5501-3157)
室長:吉田 一博(内線6881)
係長:野本 卓也(内線6885)
担当:彦坂 早紀(内線6886)